| 2010年8月の井上力 |
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日付 |
見出し |
| 8月31日(火) | 日航「再建」とLCC |
| 8月23日(月) | 神戸空港利用 最低に |
| 8月19日(木) | 国家の責務と道義的責任 |
| 8月17日(火) | 県民は質草か |
| 8月9日(月) | いっさいの埋め立て反対 |
| 8月8日(日) | 「記録する会」画期的できごと |
| 8月6日(金) | にいまるにいまる(2020)核廃絶 |
| 8月5日(木) | 平和宣言と木曜行動 |
| 8月3日(火) | 白書の色はバラ色 |
| 8月2日(月) | 議員削減に反対/安上がりの国会に賛成 |
2010年8月31日(火)の井上力
日航「再建」とLCC
詳細に内容を報じられていましたが、日航の更生計画が発表されました。1万6千人の解雇、5,200億円の債権放棄、再生支援機構が3,500億円を出資などです。他の多国籍大企業と同様、ドル先物を買って2千億円を超える損失をだしたり、ホテル事業でも損失をだし、地方空港に「公共の福祉」と旗が振られて強制就航したり、日米構造協議で購入させられたジャンボ(B747)の悲しい話などは、「親方日の丸」と片付けては、まさに学習不足です。
前原国交大臣は、LCC(格安航空会社)=ローコストキャリア設立について、「『検討』ではダメで、具体的に一歩を踏み出せ」と言っているようです。
成長戦略会議の結論はLCCの参入促進でした。ただし「国営または国策LCCをつくれ」ではありません。私はANAがつくることにも大きな疑念を抱いています。
大臣は、地方空港の乱造を批判しながら軍事費の肩代わりをした茨城空港を開港、その茨城空港には「上海まで4千円」という格安便(春秋航空)を就航させて格安航空会社を支援、アシアナ航空の就航で仁川(インチョン)空港のハブ化を支援しています。成田にも関空にもLCC専用ターミナルをつくれと言ってみたり。
『朝日』の報道では、春秋航空は週3回、茨城に就航しているが月曜日は百里基地の訓練の関係で成田への着離陸になるのだそうです。水戸から成田までは私鉄で4千円以上かかるそうです。首都圏第三空港、百里基地の2本目の滑走路、首都圏の災害支援拠点空港と意義が変遷し続け、いまやアジア各国のハブ空港を支援する空港です。
商売のことは分かりませんが、デパートがわざわざ隣に量販店をつくるでしょうか。つくったとしたら、そのデパートはどうなるでしょうか。
2010年8月23日(月)の井上力
神戸空港利用 最低に
けさの『朝日』が神戸版で日航撤退後の神戸空港の利用者数について報じています。けさの『おはよう新社会党です』も、久しぶりに空港問題をうったえました。日航撤退、伊丹と関空の経営統合、そして航空機燃料税引き下げというトリプルパンチを神戸空港が浴びています。おおむね「いまどきの神戸空港」と同内容ですが、下のグラフを加えました。
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6月の利用者数144,341は、これまで最大だった'07年8月292,552の半分以下です。1か月利用者数が15万人を切ったことを『朝日』は、神戸版トップで「神戸空港利用 最低に」と見出しを付けています。神戸市統計書では平成20年度まで3年間の「利用状況」を次のように。神戸市の発表とほんの少し数字が異なっています。
| 10−18. 神戸空港の利用状況 単位:人 | |||||
| 年次 |
着陸 |
乗降客数 |
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回数 |
総数 | 乗客 | 降客 | ||
| 平成18(2006)年度 | 10,629 | 2,743,004 | 1,378,800 | 1,364,204 | |
| 平成19(2007)年度 | 10,638 | 2,974,983 | 1,498,879 | 1,476,104 | |
| 平成20(2008)年度 | 9,859 | 2,579,674 | 1,301,941 | 1,277,733 | |
| 平成21年版神戸市統計書/資料:国土交通省『空港管理状況調書』 | |||||
同じ神戸市統計書で、「陸上運輸」のうち、灘区内の鉄道各駅の乗車人員を多い順に並べると以下のようになります。西灘駅をのぞくすべての駅が、神戸空港より多くの人々の移動に役立っています。灘区でこれより乗車人員の少ない駅は、六甲と摩耶のケーブルカーの4つの駅、摩耶ロープウエイの2つの駅、および六甲有馬ロープウエイの六甲山頂カンツリー駅だけです。
| 鉄道灘区内各駅の乗車人員(神戸市統計書より) 単位:千人 | ||||||||
| JR西日本 | 阪急電車 | 阪神電車 | ||||||
| 六甲道 | 灘 | 六甲 | 王子公園 | 岩屋 | 新在家 | 大石 | 西灘 | |
| 平成18年度 | 9,229 | 7,953 | 7,129 | 4,196 | 1,939 | 1,611 | 1,654 | 876 |
| 平成19年度 | 9,342 | 8,172 | 7,167 | 4,171 | 1,917 | 1,686 | 1,744 | 892 |
| 平成20年度 | 9,258 | 8,047 | 6,977 | 4,140 | 1,848 | 1,716 | 1,685 | 918 |
なお余談も過ぎますが、「菜の花や・・・」と詠んだ与謝蕪村が摩耶ケーブル廃線かという今の議論を、どう聞いているでしょう?
蕪村が天上寺への行き帰りに歩いた摩耶山の麓一帯は菜種畑だったそうです。平野が狭く傾斜があって首都にも大阪(坂)にも近い、当然、商品作物の生産が主たる産業となり、菜種を搾る水車小屋も、枯れることのない六甲・摩耶からの川沿いにたくさんあったそうです。18世紀中葉、もうイギリスでは産業革命が始まります。蕪村は享保元年(1716年)− 天明3年12月25日(1784年1月17日)(ウィキペディアより)の人。『暴れん坊将軍』などで美化されていますが、享保の改革は他の2つの改革と同じく、大失敗でした。とりわけ商品作物を奨励したのは武士階級にとって自分で自分の首を絞める行為そのものでした。貨幣と交換できる作物の生産や家内制手工業は、革命的に広がります。とは言っても商品作物とその加工品を独占するのは商人階級でした。また摩耶山麓の菜種畑一帯に住んでいた人々がすべて、夜に本を読んだりして過ごせたかというと、売るほど電気が造れる石炭火力発電所のそばに住んでいるからといって、電気代を気にせず暮らせるはずがないのと一緒です。しかし、確実に次の時代の主役たちが力を持ち始めていることの証しが、画家で歌人の蕪村の存在であり、その詠んだ歌なのです。「菜の花や月は東に日は西に」「菜の花や摩耶を下れば日の暮るる」・・・
週末にジャーナリストのOさん、写真家のHさんが神戸に来られ、神戸空港を取材して帰られました。
ベイシャトル用も含めて駐車場の盛況ぶりに目を丸くしておられました。「あれほど多くの車が駐車場を埋めているのは、なぜか?」と。
2010年8月19日(木)の井上力
国家の責務と道義的責任
お盆で1週間飛ばしましたので、けさは8月5日以来の「なだ・平和のための木曜行動」。17日の『朝日』大江健三郎さん「定義集」に、「被爆国の道義的責任とは」がありました。
大江健三郎さんが寄稿した8月6日の『ニューヨークタイムス』は、http://www.nytimes.com/2010/08/06/opinion/06oe.html
けさのチラシでも紹介した「道義的責任」がことばとして登場する部分。時事通信が報じた際の翻訳(ネット情報では原文は日本語)では次のようになっています。
唯一の被爆国の国民として、核の傘の保護下で暮らすのが道義的責任であり、その傘を捨てるのは責任放棄だと言われたら、被爆者は怒りを覚えるのではないか(Wouldn’t they feel a sense of outrage if they were told that it’s their moral responsibility, as citizens of the only atom-bombed country, to choose to live under the protection of a nuclear umbrella, and that wanting to discard that umbrella in favor of freedom is, conversely, an abdication of responsibility?)
「道義的責任」は次のように使われてきました。
★2009年4月5日オバマ大統領のプラハ演説「米国は、核兵器国として、そして核兵器を使ったことがある唯一の核兵器国として、行動する道義的責任がある」(朝日新聞)
★2009年9月24日鳩山首相(当時)が国連安保理首脳会合で「しかし、我々は核軍拡の連鎖を断ち切る道を選びました。それこそが、唯一の被爆国として我が国が果たすべき道義的な責任だと信じたからであります」(首相官邸)
★2010年8月6日菅首相が広島平和記念式典で「唯一の戦争被爆国である我が国は、『核兵器のない世界』の実現に向けて先頭に立って行動する道義的責任を有している」(首相官邸)
2010年8月17日(火)の井上力
県民は質草か
昨年度の決算(見込み)を知事が公表しましたが、その際(13日)記者の質問に答えて「その場合には、消費税や地方消費税の取扱いなど避けて通れないと思います」と「明快」です。生活、生きることへの課税を自治体が求める構図です。
すでに赤字県債が1兆2千億円に達し、借金残高全体の三分の一に。単年度発行額で2千億円を超えました。「国は地方交付税で措置する」というデタラメな証文を書いてはいますが、県民を質に入れたようなものです。グラフをつくって「いまどきの県政」を本当に久しぶりに更新しました。
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県債発行額の推移(「平成21年度決算見込み」=8月13日兵庫県財政課より作成)
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神戸市はその前日(12日)に同決算見込みを公表しました。神戸空港運営費や地域福祉センター運営費の一部まで兵庫県に肩代わりをさせ、保育所民営化、敬老パス乗るたび負担に象徴される負担の転嫁、つまり上(県)と下(住民)の両方に負担を転嫁したことで見かけの財政健全化は猛烈な勢いで進んでいます。
都道府県と比べると税収の法人への依存度が少ない上、兵庫県でもそうですが、団塊世代の大量退職で個人住民税は増収です。超高層マンションが林立し固定資産税も増収。法人税は兵庫県が1千億円、神戸市が50億円(ちょっと数字は丸めすぎです)減少。
ただしこれから自動車や家電メーカーへの公的援助が終わり、つまり駆け込み需要が終わる上、今後は関西経済の落ち込みに加えて円高大不況が深刻になります。退職金課税の総額が減り、住宅ローン破たんや若者の失業、法人税の繰り越し控除(「繰り越し控除という制度があって前年以前の赤字を当該年度の所得が生じても差し引いて税計算ができる制度があります。この繰り越し控除の制度を活用して、例えば、銀行ではほとんど法人税などは払われていない状況が続いています」・・・知事の13日の記者会見)など、いい材料はありません。「百歳以上の行方不明」問題に見られるように、無年金者の老後は「まちの崩壊」に直結です。
空港と空港関連事業については一般会計に直ちに反映されません。近い将来と遠い将来のいずれも深刻であることは「いまどきの神戸空港」で日ごろ述べているとおりです。
なぜか、県の決算分析より市のそれに多くを割いてしましました。
2010年8月9日(月)の井上力
いっさいの埋め立て反対
週末、WWF(世界自然保護基金)ジャパンのブログパーツをトップページに。めでたくジュゴン生息数を1頭、増やすことができました。今年は国際ジュゴン年です。名護の宮城保さんに船で案内してもらった辺野古の藻場にジュゴンが時折やってくるという話でした。WWF ジャパンから辺野古や泡瀬の埋め立て問題で発信量が増えています。
ブログパーツは.swfという拡張子です。
ODAさんに教えてもらって・・・。日本気象協会の天気予報つき時計も貼ってみました。
ジュゴン生息数を増やしたい方はWWFジャパンのサイトを。貼り付けは簡単です。
2010年8月8日(日)の井上力
「記録する会」画期的できごと
けさの『神戸新聞』は、神戸市が神戸空襲・死没者名簿の作成に踏み出すと報じています。きのうまで空襲パネル展を神戸市教育会館で開催していた空襲パネル展の会場(中田政子さんたち「神戸空襲を記録する会」主催)に、嬉しい緊張の空気が漂ったことは容易に想像できます。
報道メモが伝える数字「神戸市史に7491人とあるが、経済安定本部調べ(49年)は6789人、建設省戦災復興史(57年)は8209人」からも明らかなように、当時の混乱と政府・地方行政の機能崩壊を認めることと、何十年もの間、いや永久に死没者名簿作成を拒否することは別問題です。
1,221人の死没者名簿を集めた中田政子さんたちの活動に、画期的な出来事の起きる1週間になりそうです。当時の地方行政(断じて「自治」ではなかった)のすべてであった兵庫県の役割はきわめて大きい。
2010年8月6日(金)の井上力
にいまるにいまる(2020)核廃絶
広島の慰霊式・平和祈念式=平和記念式典を見て、8時15分にテレビの前で黙とう、秋葉市長の平和宣言を聞き終えたところで、9時からの会議のため、家を出て、車のラジオに切り替えました。式典主催者が「核の傘からの離脱」を求めたのに、菅首相はそれに答えませんでした。歴代首相の挨拶としてはとても長い「回答」だったように思います。
8月6日の朝の広島だけでなく、パンギムン国連事務総長を招いて国会でスピーチを、広島と長崎の市長が国会で演説する機会は・・・?などと思いつつ、平和宣言の次のところに、耳を立てました。
このように、核兵器廃絶の緊急性は世界に浸透し始めており、大多数の世界市民の声が国際社会を動かす最大の力になりつつあります。
こうした絶好の機会を捉(とら)え、核兵器のない世界を実現するために必要なのは、被爆者の本願をそのまま世界に伝え、被爆者の魂と世界との距離を縮めることです。核兵器廃絶の緊急性に気付かず、人類滅亡が回避されたのは私たちが賢かったからではなく、運が良かっただけだという事実に目を瞑(つぶ)っている人もまだ多いからです。
今こそ、日本国政府の出番です。「核兵器廃絶に向けて先頭に立」つために、まずは、非核三原則の法制化と「核の傘」からの離脱、そして「黒い雨降雨地域」の拡大、並びに高齢化した世界全(すべ)ての被爆者に肌理(きめ)細かく優しい援護策を実現すべきです。(広島市ホームページより)
2010年8月5日(木)の井上力
平和宣言と木曜行動
「なだ・平和のための木曜行動」が、きょうは389回目でした。このチラシで初めて広島平和宣言を書いたのは2002年8月8日でした。第36号。「ブッシュ大統領は広島・長崎を訪ねるべきだ」「核兵器が人類に何をもたらすのかみてほしい」という見出しです。この号は、I女性会議と新社会党灘総支部の共同編集でした。I女性会議が「八の日行動」を六甲道駅前で行っており、一緒に行動したのでした。
当時は「木曜コラム」ではなく、「木曜行動」というタイトルで2回目でした。
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秋葉忠利市長はあす、12回目の平和宣言です。発表された「骨子」によれば、初めて核の傘からの離脱を求める宣言だそうです。広島市のホームページに記者会見の動画がアップされています。けさのチラシで次のように紹介しました。
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ヒロシマ平和宣言2010骨子 ◎被爆者が発してきたメッセージは平和憲法の礎であり、世界の行く手を照らしている ◎65年前の惨劇を繰り返すことのないよう被爆者とともに決意を新たにする ◎NPT再検討会議の最終文書に市民社会の声(「核兵器禁止条約を含め新たな法的枠組みの必要性」)が盛り込まれたのは潘基文国連事務総長やオバマ米大統領らの活動による ◎日本政府に非核三原則の法制化、「核の傘」からの離脱、きめ細かい被爆者援護策を求める ◎菅直人首相に核兵器禁止条約締結の音頭を取ることを求め、すべての国に軍事関連予算の削減を求める ◎市民や都市は、2020年までの核兵器廃絶のため、さらに大きなうねりをつくろう |
2010年8月3日(火)の井上力
白書の色はバラ色
労働経済白書(平成22年版 労働経済の分析−産業社会の変化と雇用・賃金の動向−)がでました。ひどいものです。次のような表現があります。
賃金とGDPは激減したが雇用が守れた、というのです(本文70ページ)。「雇用の確保を通じて所得と消費の崩落を防ぎ、人々の不安心理を払拭することによって、経済を底支えた」(同)と。紹介されているデータとこの表現の落差。
労働者の暮らしは「底支え」どころか、雇用も賃金も、すでに底割れしています。格差(同第3章)で片付けるわけにはいかない深刻な情勢です。
全体としては長期安定雇用を経営者に説教しており、また企業もそういう考え方だとも分析しています。ならばとてもハッピーが、すでに現実であり、白書も紹介する必要はありません。第3章第1節には次のグラフがあります。(本文158ページ)
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かなり多くの企業で、ここ十数年間の雇用政策への反省があるのは事実ですが、雇用情勢が明るくなったとはとても言えません。
「労働者派遣事業」について第3章で次のように触れています。
「非正規雇用増加の背景としては、相対的に賃金の低い者を活用しようとする人件費コストの抑制志向が強かったことのほか、新規学卒者を採用し、じっくりと人材を育てるよりも即戦力の確保が重視されたことなども指摘することができよう。また、労働者派遣事業の規制緩和が、こうした傾向を後押しした面があったものと考えられる。
なお、こうした大企業を中心とした採用態度は、社会的にみた雇用の安定という観点ばかりでなく、それぞれの企業における技術・技能の継承や人材育成という観点でも問題が多く、大企業の採用態度も次第に修正されてきている。2008 年から2009 年にかけては、全ての企業規模で雇用者数が減少する中で、大企業においてのみ正規雇用の寄与が増加となっている
」と。(本文186ページ)「採用態度の修正」がホンモノであることを願わざるを得ません。コムスンの事件から3年(ちょうど3年前の参議院選挙の頃でした)、すでにグッドウィルもフルキャストもおびただしい犠牲者とイヤな思い出を残してメインステージから消えました。正規代替派遣という正規雇用は不安定雇用です。若者の苦しみは何も除去されていません。白書が今回まったく触れず、メスを入れるべきは労政審でも議論があった業界団体、たとえば(社)日本人材派遣協会の現状ではないでしょうか。あるいは転職あっせん企業も含めて「人材ビジネス」と若い労働者の労働ではないでしょうか。
2010年8月2日(月)の井上力
議員削減に反対/安上がりの国会に賛成
小選挙区制のときもそうでしたが、国会議員定数の削減に世論は大きく傾いています。「あんな国会議員はいらん」「何が国権の最高機関か」「選良と呼ばれた時代があったのか」もっともです。
しかし私は、(1)少数意見が実は必ずしも少数ではなく、多数にはならないまでも三分の一かあるいは半数近くの意見となった実例も多いこと、(2)何より、直接民主主義こそが民主主義で、代議員数は多ければ多いほどいいという立場から、議員定数は減らすことをやめる時期に来ていると考えます。もちろん、(3)代議員はできるだけ安上がりがよく、「労働者並みの賃金」を理想として歳費を下げる(政策秘書は増やす)こと、(4)政党助成は減額すること、(5)菅首相の政治活動の出発点だったという故・市川房枝さんのように議員とカネの関係をそれこそガラス張りにすること、(6)もちろん企業・団体献金は禁止することなどが条件です。(5)については、市川房枝さんの『私の国会報告』復刻版407ページに、その実態が掲載されています。
「安上がりの代議制」を実現する道は、議員一人あたりの社会の負担を下げることで可能です。むしろいま言われている定数削減は、「安上がりの代議制」に逆行する道です。国会議員や閣僚の「質の劣化」は、高額の報酬・カネのかかる選挙制度の下でここまで進んでしまったのであって、定数を増やせば質が下がる、あるいは歳費を下げれば質が下がるという心配は、少なくとも実証されたことがありません。
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