バックナンバー1

いまどきの神戸空港へ
バックナンバー4へ
バックナンバー3へ
バックナンバー2へ

『みんなの力』の「座談会」

2002年12月10日

寝言は寝て言え

2002年10月1日

無料の神戸−関空トンネル造る?

2002年9月30日

伊丹空港が消える日が?

2002年9月27日

需要予測「見直し事業」は、また同じ会社に

2002年9月7日

漁協の裏金には背景がある

2002年8月26日

言論封殺反対・緊急集会のお知らせ

2002年6月18日

あまるは足りぬの始まり

2002年6月18日

国会はいまや放談会

2002年5月28日

需要予測は何のため

2002年5月13日

参議院国土交通委員会ウオッチャーとして

2002年4月11日

空白の参院・国土交通委員会会議録・・・何が?

2002年4月2日

国土交通大臣の記者会見

2002年3月26日

2つの新聞記事

2002年3月24日

ここまできた神戸空港にかかわる踏み倒し事件

2002年2月28日

どんどん出る「神戸空港不要」論

2002年2月25日

ついに出た国交省 「神戸空港は必要ない」

2002年2月8日

2月4日の「おはよう」が書いた神戸空港情勢

2002年2月4日

K−JETに別れを惜しむマニアたちのメッセージ 2002年1月30日
神戸は「踏み倒し天国」か 2002年1月10日
静岡空港のスゴさに勝てるか 2001年6月18日
未完成・空域調整案の陥穽 2001年5月30日
『朝日』の社説も怒った 2001年5月28日
巨大ケーソンが運ばれ続けます 2001年4月11日
国際空港化へ一路 2001年2月9日
マリコンと神戸市の固い絆 2000年10月6日
空港ができてもポートライナーの乗客数は増えない 2000年9月20日
お粗末な神戸空港のお粗末なゴロ合わせ 2000年2月8日
トップページへ いまどきの神戸空港へ

2002年12月10日に追加

『みんなの力』に載った座談会

どうなる!?神戸空港

 神戸空港が着工4年目を迎えましたが、なお「造る」か「やめる」か、議論が続いています。神戸空港問題の現状について話しあってみました。井上力さんを囲んだのは副会長の赤松徳治、事務局長の今村稔、選対委員長の金丸正樹です。

金丸 井上さんは環境・管制(安全)・カネ(経営)という3つの「K」を指摘し続け、お集まりいただいた皆さんも神戸空港についてたくさんご意見をお持ちです。きょうは神戸空港問題の最近の話題を語っていただくことにしたいと思います。

井上 扇千景大臣の「神戸空港を国際空港に」「年間十万回発着の立派な空港に」という9月の発言について、今村さんが「寝言は寝て言え」とおっしゃいました。この大臣発言に象徴されるように、重要な位置にある人の主張がグラグラ揺れるんです。

赤松 需要予測(表A)が震災後、上方修正されていたことなんて意外ですね。震災で建設計画を凍結しなかっただけじゃなく、「震災後、需要は増える」だなんてね。

井上 開港を2年遅らせれば、それは「もっと需要が増えたところから始められる」という考え方なんだそうです。

赤松 たとえば飲食店を開業するとき、同じ発想で売り上げの増加を計算できれば苦労は要りませんね。いま開業するより2年先に開業した方がお客さんが多いと・・・。3年、5年・・・、もっと遅く開業するとそれだけ需要は増えるのですか、神戸市の計算では・・・。とても一般には通用しない理屈ですね。

金丸 おかしいですね。医療生協でも新しい事業を始めるとき、病気になる人の数が右肩上がりに増えていくという前提でやったら、それはもうたいへんですね。

井上 神戸空港計画は、「空の時代がやってきた」「アメリカを見ろ」から始まっています。何百キロも離れた隣の町への鉄道もない、不便な国のマネをしているのです。しかも関西空港がすでにあり、これも赤字のなかで。

今村 世界じゅうの経済政策も大きく変わったしね。電化とか下水道整備が産業立地を促進した時代と異なり、空港が地域経済の発展に不可欠かという真剣な吟味が欠けていた。4年前の住民投票の提起は、そういう意味でも大切だった。今からでもすべきだけど。

井上 矢田市長一年の節目に、私の記憶では初めて『神戸新聞』が世論調査を行い、その結果を発表しました。市民の6割が空港を「やめるか延期」だそうです。市長は「意外だ」なんてコメントしていましたけど。

今村 自治体民主主義のありかた、市民生活との関わりという観点からも、神戸空港をどうするかという問題はこれからも市政の大切なテーマだね。

井上 これまで埋め立てで表向きは成功、しかし何十年も市の予算がほとんど1円も投じられていない地域も、灘区にもたくさんあります。保育所も幼稚園も高齢者のための施設も、公園もない。影に光を当てるのが行政の役割なのに、その逆。

赤松 一人ひとりの市民が神戸で暮らし、つくりあげた文化を大切にする観点からも、空港建設は逆の働きをするでしょう。ちょうど小泉内閣が壊すことに一生けんめいになっているうちに、新しいものまで壊れていったのと同じです。酒の安売り店が周囲をつぶして最後に自分が倒産。タクシーの安売り競争も同じです。井上さんの当選後は相当忙しい。

今村 まちで多くの人々が考えている「これからへの不安」は、その多くが神戸市政とつながっている問題も多い。とくに神戸市政のスタンスをどう住民自治に転換するか、相変わらず与党多数の議会のなかで井上さんが果たす役割は大きい。

金丸 大勢の人が「空港より風力発電にした方がまだ、市民のためになるのではないか」「造ってしまって取り返しがつかなくなるより、中断してみんなで考えよう」と、おっしゃっています。4月の選挙では、前回に続いて空港問題がもう一度大きな焦点です。わかりやすい話で定評のある井上さんを盛りたてて、私たちもがんばります。

トップページへ いまどきの神戸空港へ

2002年10月1日に追加

祝・扇千景大臣留任
第2回
(第1回は3月19日の委員会)放談会


「夢」か、おきて語った寝言か

国土交通省のホームページ内にある「大臣会見」から目が離せません。神戸空港がスクスク成長して、とうとう年間10万回発着の空港になる夢を大臣は語っています。ご本人は「夢」とおっしゃいますが、「寝言は寝て言え」と、言いそうな人が、あちこちにいます。

2月から3月にかけて一悶着のあった大阪府知事、関西財界、いやいや神戸市も困り果てている気配です。第二次小泉内閣の就任会見(9月30日)から抜き書きします。

●国際空港と国内空港と乗り継ぐのに、料金かけて乗り継ぎに移るっていうの本当に国際的に恥ずかしい

●何年か先でいいんです。伊丹に取って代わる空港、1年間に10万回の乗降するような神戸空港作ると、立派な神戸空港にするんだという意気込みがあれば、私はもう大賛成して、私も政治生命かけてでも応援したいと思っています

●コミューターみたいに、貨物のような小さなこと考えないで、ドンと大きな計画、何年後でもいいから近付くんだという、そういう私が言っている基本的なグランドデザイン的なものをなぜ書いてくれないんですか、そうしていただきたいということを私は知事や市長にお願いしました

●狭い空域の中で、一種、二種、三種ってどう考えても安全性が私は自信があるとは思えてません

●国際的な感覚からすれば、国内線と国際線が同じ空港にあるというのは世界の常識

●もともと関空造るときに神戸が反対したのはそもそもの間違いなんです

●私はいちばん空港という問題と新幹線と高速道路と、そして港、一体になるべきだと思ってます

以上 http://www.mlit.go.jp/kaiken/kaiken02/kaiken.html より

「寝言は寝て言え」だけじゃ足りない。保護者はいないのか。保守党の野田党首は「ボク保護者とちゃう」と言いそうです。もちろん首相も。深谷・航空局長は、兵庫県知事や神戸市長の陳情を大臣に取り次いできた責任があるのではないか。

なお、何が放談と言って、「年間10万回」は一日あたりの便数で137便。神戸市の計画では次のようになっています。1995年の需要予測と同じ会社に委託した、「ただいま調査中」の例の需要予測とも関係します。

 

時期

旅客数

便数

年間発着回数

1993年の計画 2003年開港当初 240万人 18便 1.3万回
  2010年 570万人 41便 3万回

1995年(大震災の年)に需要予測を見直し

1999年の計画 2005年開港当初 340万人 30便 2万回
  2010年 420万人 30便 2.2万回
扇大臣の夢 137便 10万回

参考

伊丹 1998年 10万回
関西空港 全体構想 30万回

空港島までの交通手段は600億円つかってポートライナーを延伸中です。(1期工事の完成は2005年の予定)

年間10万回となると本格的な地下鉄を造らなければなりません。重複投資の博覧会ができそうです。滑走路延長、ターミナル拡張、・・・不景気の折り、倒産寸前のゼネコンには夢でしょう。ただし、さめて見る夢ではありません。

トップページへ いまどきの神戸空港へ

2002年9月30日に追加

無料の神戸ー関空トンネル造る?

週末の扇大臣会見が、国土交通省のホームページにアップされています。

(問)  空港なんですが、国際線も飛んでいないので1種の見直しというのはよく分かるし、その後いろいろ時代とか変わってきて分かるんですけれども、国内線の縮小というのはやっぱり関空とか神戸空港を考えると需要をどちらかにシフトさせた方がよいと、そういうお考えということでよろしいんですか。
(答)  と、思いません。私そう思っています。だから私いつも、この間兵庫県の知事さん、神戸市の市長さんお見えになったときに、同じ兵庫県なんですから神戸空港が伊丹にとって代わる空港になり得るなら、私は命を懸けても応援していきたいと。それは関空と神戸空港という位置関係、あるいは海を通じ、あるいはトンネルを作っても国内線と国際線の乗り継ぎの便利さ、これは諸外国どこへ行ってもそうですけれども、国内線と国際線の乗り継ぎに金がいるという、料金を取るという、タクシーに乗っても、あるいは高速を通ってもお金を取るという、このあれは私は関西が国際空港の玄関であるということに関しては、私は不満です。ですから少なくともそれを解消するために、何らかの手を打たなければいけないというのは、当然担当者として考えるべきことであると思っていますので、ですからそのことを宿題として私は渡してありますので、それも含めての考え方でございます。
http://www.mlit.go.jp/kaiken/kaiken02/kaiken.html より

人間、トシとると「この」「あれ」「それ」「なに」で、十分相手に意思が通じるようになる(通じたと自ら思う)そうです。塩川財務大臣も「公的資金を投入する」と言うべきところを「あれをなにする」と言ったために、たたかれたのではないか、というのが私の推測です。

宿題の多いことで有名な神戸高校卒の扇大臣から「宿題」だなんて言われなくても、前知事が震災直後にぶちあげた関空=神戸間の海底トンネルは、すでに新港〜ポートアイランド間が完成し、近所の人々を泣かせて新神戸トンネルの延長工事も延々と進められている。

「うみほたる」(東京湾横断道路)が大失敗だった。高速道路を造るのをやめようという大合唱の渦中にいたはずの扇大臣が、新海底トンネル構想を、ブチあげていたのです。

宿題を課せられた兵庫県知事と神戸市長は、どうするおつもりでしょうか。

ご無体な。それはございませんでしょう。無料で関空と神戸空港の間の乗り継ぎを可能にする手だては、不可能です。資本主義でなくてもできません。それを兵庫県と神戸市で、船を出す、あるいはバスかタクシー、ましてや海底フリーウェイだなんて。

神戸空港関係者・推進派の人々には、お代官様に陳情したつもりが、とんだ悪代官。「やれるならやってみろ。ただし、乗客を無料で運ぶことが条件だぞ」・・・いいお代官様なのでしょうか。

トップページへ いまどきの神戸空港へ

2002年9月27日に追加

伊丹空港が消える日?

『毎日新聞』夕刊は「大阪空港1種見直し」「関空に国内線シフト」「国交相表明」「地元の反発必至」と1めんトップで報じています。インターネットでは
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/seiji/20020927k0000e010069000c.html

けさの扇大臣の会見。関空、伊丹、神戸という3空港の役割分担を見直し、国内線を伊丹から関空、神戸空港にシフトさせると報じています。国際線はすでにないのですから、つまり、紙飛行機だけになる・・・?

かつて国際線があった時期、伊丹は羽田と並んで空港整備特別会計の優等生、ドル箱でした。「足りぬは余るの始まり?」で、関空を造り神戸を認め、それに関空二期工事まですすめてしまったために、発着便の奪い合いになっているのです。

1種空港でなくなるということは、国営でなくなるということ。モノレールまでつくったのに、管理費を地元自治体が負担しなければなりません。

神戸空港関係者は、「伊丹から神戸にシフト」という部分を喜んでいるでしょうが、あくまでも巨額の赤字をジェット噴射する関西空港をどう救済するかということですから、ことは簡単ではありません。

年末まで行われる交通政策審議会・航空分科会では「神戸空港がじゃまやなあ」(関西弁の人はいないかな?)という議論がまた噴出しそうです。

関西空港を「上」だけ民営化する際に、大企業が投資するに値すると判断できる状態にするには、「これしかない」ということ。ゼニになりそうな部分は全部関空に、というわけです。

つまりゼニにならん部分は、伊丹と神戸で奪い合ってちょうだい、と。とりわけ、神戸空港の売り物である関空からの「乗り継ぎ」を例のK−JETでと。それも羽田便や福岡便は「ゼニになる」から関空発。「ゼニにならん、たとえば夜の宮崎便はどうでしょうか」なんて議論になっていきそうな気がします。

加えて、関空が赤字だと言ってもラッシュ時には、さほど割り込むスキはありません。「神戸へのシフト」は神戸が完成する05年秋から、関空二期が供用開始までの「ツナギ」ということでしょうか。

ところで扇大臣は内閣改造で、どうなるのでしょうか。「神戸空港はダメよ」なんて言っていたかと思ったら、突然、航空局とすべてすりあわせができてしまったようで・・・。93年の伊藤茂・運輸大臣が果たした役割を思い出します。

トップページへ いまどきの神戸空港へ

2002年9月7日に追加

需要予測見直し事業

神戸市が新規事業に着手しました。神戸空港についての「需要予測見直し事業」です。今年4月26日にみなと総局が「この結果がどうであれ、工事を止めることはない」と宣言していた、あの事業です。

神戸新聞が8月30日に報じ、また中田作成さんらが指摘しておられますが、委託契約が結ばれました。委託先は95年に神戸市が委託した、つまり現在の需要予測をした会社、システム総合研究所(本社・東京)です。契約金額は850万円。

見直し作業について、定例会見を行った矢田立郎・神戸市長は、「(需要が下方修正されるという)厳しいものになるのではないか」と2度聞かれて、ようやく次のように述べています。

・・・・・基礎的なものを整理し、また関係機関ともすり合わせをしていかなければいけませんから、少し時間がかかるかなと思っています。作成過程の内容については、当然、国も透明性の確保をいわれているわけですから、わたしどもは、データを作っていく際に、そしてその内容を作り上げる際に、これらを公開できるようきちっと作業しなければならないと思います。・・・・・

・・・・・さらに、中間取りまとめの中でも、日本全体で首都圏では最大3.4パーセントくらい伸びると、関西でも約2.8パーセント伸びるのではないかと言われており、底のベースが約2.4パーセントと言われています。需要予測としては、間違いなく国が言っているトータルの伸びは変わらないのではないかとわたし自身思っています。21世紀の様々なアクセスを考えていく際に、人間の環境問題も考えなければいけないわけです。そういう点では、資材などももっと環境にやさしいものにということも必要でしょうし、今までもそういう努力をしてきています。とにかく、いろんな付与される条件、それに伴う変化を考えながら、やっていかなければならないと思っています。

http://www.city.kobe.jp/cityoffice/15/020/kaiken/140905.html
より

・・・と、早い話、答えていないのです。何があっても(「人間の環境問題を考え・・・?・・・)造るのだ、という回答。筆耕したのは秘書課ですから、大切な部分が抜けているのかもしれません。

それとも「上方修正」を期待しておられるのでしょうか。ジェット機が新幹線より「環境にやさしいもの」という新説のお披露目だったのでしょうか。

トップページへ いまどきの神戸空港へ

漁協の裏金には背景がある

2002年8月26日に追加

う三(胡散)くさこうべくうこう「う」が三個

という「川柳」が、けさの『おはよう新社会党です』の「井上力のおはよう川柳」に「採用」されました。「おはようの選者やさしいみな採用」

「解説がいるような川柳つづけるか」とも指摘されております。で、その解説は次のとおり。

 神戸市漁協が19億円の裏金。神戸空港や関西空港の漁業補償が漁民にわたらず、「手数料」としてプールされていたそうです。ダムの補償金や漁業補償は「止まらない公共事業」の大きな原因。神戸市が「事情を聞く」とか。神戸市が埋め立て免許の同意を急がせた経過についてもぜひ調査を。胡散臭いぞ神戸空港。(おはよう川柳のページにも掲載)

さらに解説に解説が必要なのが、わが川柳の三流(せんりゅうとも読む)たるところ。

神戸空港反対の声をあげた大勢の神戸市民のなかに、漁協の組合員もおられました。埋め立て免許取得の際に、神戸市漁協は総会を開かず、神戸市から急き立てられて「同意」の判を押してしまったのではないか、というのです。

経過について私らが知る由もありません。でも「手数料」を払った側に大いなる問題があるように思えます。「手数料は1割」というのが慣例になっていたのか、それとも「補償されない漁民にも配分するため」というのが、漁業補償としてまっとうなものであるのか、・・・。

なまえのとおり、胡散臭い。

トップページへ いまどきの神戸空港へ

市民運動への脅迫NO!緊急集会のお知らせ

2002年6月18日に追加

中田作成さん宅にテロ風のハガキを送りつけた事件が起きました。空港反対運動や市長リコール運動などが、加害者からすると「許せない」ことなのでしょうか。いっときの感情から電話で意見を述べるとか、通りすがりに悪口を言うといった嫌がらせとは基本的に異なる、冷静で確信にみちた匿名の嫌がらせです。

名乗り出て中田さんの人柄をよく理解すべきです。神戸の未来のために。テロ風のハガキを送りつけた匿名の人物に、あえてお勧めします。名乗って批判してこそあなたは、すっきりするのではありませんか。それをお待ちします。

ほんとうの批判・議論は匿名で行えるものではありません。IT文化の一番悪い影響を受けて起きた出来事だと思います。

緊急集会が21日、行われます。午後6時半から、兵庫県私学会館。JR元町駅東口を北へ徒歩2分。匿名のテロリストに対し、あえて中田作成さんは、連絡先としてご自分の住所、電話番号を公開しています。

トップページへ いまどきの神戸空港へ

以下は2002年6月18日に追加

あまるは足りぬの始まり

日本の航空界は、関西空港・二期の供用を遅らせなければならない大変な事態に立ち至っています。急きょ、「徳島空港の教訓を学ぼう」とばかりに兵庫県知事が記者会見(17日)をして「その必要はない。予定どおり工事をしないとソンする」と発表したりしています。

兵庫県というのは実に「飛行場に恵まれた」ところです。

あまり知られていませんが、伊丹市はれっきとした兵庫県。ところが大阪空港とも呼ばれるように玄関は大阪府に向いており、廃港議論のさなかにつくられ、国際線が就航しなくなったあと完成したモノレールは、兵庫県とは逆の方を向いて走っています。もちろんこれまでの関連道路などの整備には兵庫県は応分の負担をしてきました。

但馬空港も兵庫県にあります。霧や雪の日が多く、除雪費が着陸料を上まわる、自然条件に恵まれない場所に過疎克服の悲願を込めて建設されました。

「県内5空港」という構想は、伊丹、但馬、播磨、淡路、神戸。先代の知事は5つも県内に空港を持とうとしていましたし、兵庫県を南北に貫く高速電車が関西空港まで海の下を走るという構想が打ち出されていました。「バブルのころでしょ?」いいえ。バブル崩壊後です。

いまではこのうち淡路、播磨が消え、神戸は市民の反対がおさまらず、大臣が「神戸空港では伊丹の代わりをできない」と言い出す始末。そして関西空港は文字どおり、地盤沈下。兵庫県知事としては何かモノを言わざるをえないのです。

結局、「県内5空港・母港は神戸・くわえて関西空港」と兵庫県じゅう空港だらけになるはずが、「うちの飛行場」は但馬だけになってしまいました。

あまるは足りぬの始まりとはよく言ったモノです。

トップページへ いまどきの神戸空港へ

以下は2002年5月28日に追加

国会は放談会か

<以下、背景色がブルーの部分は井上力。黄色い部分は引用>

 神戸市会の審議の際には委員側も神戸市側もこの議事録を手にして、やりとりが行われました。以来2か月半、ようやく国会図書館のホームページ上にアップされました。

 需要予測調査方法を見直すことになった、重要な国会でのやりとりですので、紹介します。
(略)

○国務大臣(扇千景君) (略)神戸空港はその伊丹と関空との間でどのような空港を目指しているのか。また、目指す空港の形と、現実的に滑走路は何メートルで、今後延長の可能性があるやなしや。そして、今の空域の問題をいいましても、伊丹空港を神戸空港に取っ替える、伊丹を廃止して神戸空港に替えると言うけれども、伊丹の現在の空港量が神戸の新たな空港量に転嫁できるかどうかというのは、ノーなんです

 ということは、今の神戸空港の立地条件というのは、淡路島に近くも延びられない、あるいは大阪湾近くも延びられない。限定された滑走路しかできなければ、これは単なる貨物かコミューターか、言ってみれば国際空港たり得ない空港しかできないということでございます。それでは私は中途半端になるのではないかと、神戸空港という名が泣くのではないか、私、神戸の出身でございますので。造る限りは国際空港たり得るような立派なものが造れるならいざ知らず、中途半端なものでは私はかえって申し訳ないと。
   〔委員長退席、理事藤井俊男君着席〕
 そういう観点と、今の、私、パイロットの操縦というのは、これは私、専門家じゃありませんから私は地図の上で、お互いの管制空域というものを地図の上で見た場合に、私のような素人が考えても、これは神戸空港が国際空港たり得る資格があるのかないのか。あるいは、それじゃ関空の、今度第二滑走路を造りますけれども、それと、二期工事と、神戸と、国内線と国際線が一直線で結べて、これが国内需要を伊丹に取って代わって、たり得る資格があるかないか。(略)

○大沢辰美君 大変はっきりと意見を述べられたと思います。私も一部賛同する面がありますけれども、これからの検証するという言葉、それから勘案したいという言葉を受け止めたいと思うんですが、今、安全面について、どんな空港が結果的になろうとしても、私たちはこういう空港はやめていただきたいという思いがあるわけですけれども、そういう中で、こういうパイロットというプロの人たちが、専門家の人たちが安全面について、こういう点は検証していただきたいという今の指摘については、これからの検証で参考にしていただけますか。

○政府参考人(深谷憲一君) 御説明申し上げます。

 委員の方から先ほど、神戸空港、それから、などの関西地域の三つの空港についての安全の御指摘がございました。

 神戸空港につきましてはまだ具体的な飛行経路、これはまだ設定がされておりませんですが、今後、当省におきまして検討の上、設定をしたいというふうに考えております。(以下略)

 空域調整は終了していることになっています。「具体的な飛行経路」は決まっていません。まことにそのとおり。にもかかわらず神戸市は「東京に5便」「札幌に5便」と、就航計画を発表しています。この就航計画は、国土交通省がどう責任を負っているものなのか。訊いてほしかった。

 しかも、「飛行経路」についても神戸市は、すでに公表しています。たぶん神戸市にしてみれば、あれほど難航した空域調整を当時の運輸省は「飛行経路」として認めたものと認識しているようです。深谷航空局長は「飛行経路、これはまだ設定がされておりません」と明言しました。米軍の要求、大阪府などの要求で、空域調整が再燃することを、示唆しているのではないでしょうか。

 くわえて、国際空港化とか滑走路の延長とか、大臣が空想で述べたような計画は、航空局長も神戸市当局も聞き流せないことではないのでしょうか。

○国務大臣(扇千景君) ですから、私はそういうことを考えて、なぜ神戸空港のことで私が明快なことを言えないかといいますと、神戸のあの空港を造るという、あの島、あの埋立てといいますか、それはほとんど神戸市が、建築費用の約五百億の財源のうちに国が出しているのは補助金で二百五十億だけなんですよね。神戸市が全部これやっているんです。神戸市はかつてポートアイランドやっていたときに神戸株式会社と言われたんです。うまくいったんです。けれども、それと同じように地方自治体がやっていることで国が二百五十億しか補助金出していないんですから、神戸市がやっていることを、私が、国から、あんたのところ駄目よと、こう言い切れないところがつらいというところであって、造るのであれば本格的に国と一体となって、私は、国際線、国内線の整理というものをきちんと、それこそ私はグランドデザインをして国民に明示し、あるいは市民に明示し、県民に明示すべきだと思っています。

(略)

○国務大臣(扇千景君) (略)それで、私は、四段階の推定方式というのがございまして、御存じのとおり、これを決めますときには国内の旅客流動量の予測というものがあって、今申しましたような数値は、経済指数、GDPとの相関関係からこれ予測するんですね。ところが、今のGDPの関係で予測しますと、今、大沢議員の口から言われました阪神・淡路大震災以来、兵庫県の復旧、復興が思うように進んでいないとなれば、この平成七年に予測したもの、これが果たしてGDP比から計算した四段階原則の第一の原則である経済指数、GDPからその流動性というものを図った相関関係、これが果たして今でも変わらないかどうか。これ、私やっぱり重要な問題だと思います。
   〔理事藤井俊男君退席、委員長着席〕
 空港は開いても、果たしてこれだけの需要があるかないかというのは、やっぱり今もう一度計算し直す必要がある、私はそう思っておりますし、また地域の旅客流動量の予測というものがあります。これも私は、経済指数との相関関係から、地域の発生及び集中交通量を推定するという、この二段階目。

 そして三段階目は、地域間の旅客流動量の予測というのがあります。だから、この地域間の距離、移動時間等々考えれば、私は大変いい位置にあるとは思っておりますけれども、今、先ほどからお話しのように、関空、伊丹、神戸というこの三角形というものをどう予測するかというのが三つ目の観点でございます。

 四つ目は、機能分担、交通量の予測、所要時間、運賃等の問題、あるいは空域等の問題等々考えて、私は、平成七年行われたこの神戸空港の予測というものが果たして今でも変わらないでいるかどうかということは、私は国土交通省、こういう時代、二〇〇一年に入ってどう変わっていくかということも再度検証していきたいと思っております。

(略)

○国務大臣(扇千景君) もう一つ追加して申し上げておきたいと思います。

 それは、先ほど委員がおっしゃいましたように、費用の問題でございますけれども、少なくとも私はこれは神戸市が自治体として地方債を発行すると、二千六百億円。果たして地方債がそれほど今受け手があるかどうか。地方債を受け入れる能力があるかないか。これも私は大きな変化の表れを察知しなければ、神戸市民に負担を負わせるということになっては申し訳ないということと、先ほども申しましたけれども、造る限りは神戸空港が伊丹空港に取って代わって、関空が、国際空港がもし何かありせば、神戸空港は国際空港の補完にもなり得るよというような立派な空港であれば、私は伊丹をやめて神戸空港を準国際空港とするぐらい立派なものを造れるのであれば、私はこれも大きな意義があると思っています

○大沢辰美君 私もう一度、安全性の問題についての需要予測について今お聞きしたんですが、局長にお聞きしたいんですけれども、神戸市が出した需要予測の数字は今、大臣が述べられましたが、そのとき、平成七年に神戸市は出しました。

 それ以前に国土交通省、旧運輸省もこの神戸空港の需要予測を出されたと、調査をしたと聞いていますが、その数値は幾らになっていますか。

○政府参考人(深谷憲一君) 委員お尋ねの、旧運輸省が平成六年度に関西の三空港につきましての国内旅客需要検討の調査をした経緯がございます。その際の数値によりますと、平成十七年度、二〇〇五年になりますが、関西国際空港千百六十一万人、伊丹空港が千四百六十五万人、神戸空港が三百二十一万人という数字をはじいておりました。

 少し省略して引用しますが、後ほど委員長が、航空局長と大臣の間に「意見が違っておる」と問題にしたのは次のくだりです。もともと神戸市がつくって持っていった「機能分担」です。大臣がいかにインプットしても、アウトプットする段階で「神戸は準国際空港」と答弁してしまったというのが、真実のようです。
○政府参考人(深谷憲一君) ただいま委員の方から、関西国際空港、それから伊丹空港、それから今これからできます神戸空港、三空港についての機能についてのお尋ねがございました。

 私どもといたしましては、関西国際空港、これは二十四時間運用の日本の大きな玄関口の一つとしての国際の基幹空港、また一方で、国内便の、との乗り継ぎということも含めまして、関西地域での国内線、これの大きな需要を賄うという意味におきまして、関西国際空港は、国際線それから国内線、これの基幹空港という位置付けに、であるし、今後もそうであろうというふうに考えてございます。

 伊丹空港につきましては、現在、約年間十万回ほどの離発着の状況でございますが、純粋の国内線の基幹空港として現在も機能をしておると思いますが、今後もそういう役割を果たしていくものであろうと。

 これ、今、整備はされております、神戸市が設置管理者として、いわゆる第三種空港として神戸空港が整備がされつつありますけれども、これは神戸市それからその周辺地域、これの国内航空需要、これに対応する地方空港として一定の役割を果たしていくものというふうに考えております。

 「神戸市それからその周辺地域」と神戸市が市民に説明している「神戸都市圏」は同じものかどうか。神戸市内でも、東部や北部の人は伊丹を利用する方が便利そうなのに、人口の150万人を大きく超えて、これが500万人。

 しかも神戸市の説明は「3空港が適切に役割を分担」すべき「神戸都市圏の航空需要をまかなう都心型空港」となっています。航空局長の言う「一定の役割」と同じものでしょうか。

(略)

○委員長(北澤俊美君) この際、委員長からちょっと申し上げますが、我が国の航空行政について質疑をしているわけですが、その最高責任者の大臣とそれから実務の責任者である航空局長の意見が全く違っておると。

 内部が混乱しているということをこの委員会が確認したという実績が残るというように理解する向きもあるかもしれませんが、少なくとも、立法府において国の行政の在り方について質疑をしている以上、そんなことでは済みません。

 ここへ質問通告されて出てきた以上、省内の、局内の意見ぐらいは統一してきてもらわなきゃ、今後は開かせませんよ。航空局長、一言、答弁あるべし

○政府参考人(深谷憲一君) 国土交通省といたしましては、大臣の御答弁のとおりでございまして、私が申し上げましたのは……

○委員長(北澤俊美君) ちょっと待て

 国土交通省を代表するのはどっちだ。大臣か局長か

○政府参考人(深谷憲一君) 大臣でございます

○委員長(北澤俊美君) そしたら、どうして違うことを言うんだ。国土交通省の方針はということはどういうことだ

○政府参考人(深谷憲一君) いえ、私が申し上げましたのは、三空港の管制の安全上の問題を申し上げ、補足、御説明を申し上げたということでございまして、方針としての議論は私は申し上げておらなかったと思うんです。

○委員長(北澤俊美君) そんな小手先のことを言ってここをごまかそうとしたって駄目だ

 このことで時間を費やすことはいけませんから、後ほど理事会で協議をさせていただきますが、少なくとも、国土交通省の航空行政については省内の意見が統一していないということを改めて大臣並びに副大臣に申し上げて、次に進めさせていただきます。

○国務大臣(扇千景君) 委員長。

○委員長(北澤俊美君) 大臣、やりますか

○国務大臣(扇千景君) 委員長の御指摘ですけれども、私は、今国土交通省として現実に予算も取り、そして行政を行っているわけでございます。けれども、なおかつ、私は、公共工事というものと、そして国の利便性、経済性、そして政策面で新たに見直すべきものはないか論議をするというのが、私はこういう委員会で大変地元の先生方の御意見も聞いて、私はどういう判断をするかということ、今後なおかつこれを進行していくかいかないかということに関しては、私は大事な論議だと思っていますから、少なくとも私は、私の基本方針と今までのデータを開示することとに意見の相違はありません。

 ですから、局長は今までの意見を開示したことであって、航空行政自体に関しましては、今後こういう委員会での論議を踏まえて、私は国土交通省の航空行政として誤りなきを期すと、そういう委員会に是非していただきたいことと、していただいていることに感謝を申し上げたいと思います。

○委員長(北澤俊美君) 私が質疑、私が質疑──ちょっと御静粛に

 私が質疑の当事者になるわけにはいきませんけれども、少なくとも、航空行政について、この場で省内で答弁する者が違う答弁をするということは混乱を起こすことでありますから、これは、ここで議論をすることが大事だということは当然のことでありますけれども、少なくとも、出てくる大臣それから行政の担当局長は意見を同じくしてもらわなきゃ困ります

 では、次に進みます。(以下すべて略)

 結局、翌日の委員会で扇大臣が「個別具体的な話に言及し、結果として誤解を招いた」としてワビを入れました。神戸については「神戸空港は神戸市及びその周辺の地域の国内航空需要に対応した空港」という政治決着がはかられた模様です。

 航空局長より大臣の方が上なのか下なのか。 

トップページへ いまどきの神戸空港へ

以下は2002年5月13日に追加

需要予測は何のため?

参議院各委員会の会議録オンラインのルールについて

 参議院の委員会会議録は1か月たつと国立国会図書館のホームページへと場所を移されるのだそうです。

 例の国土交通委員会3月19日の会議録はいまだにその存在が不明です。拉致されたのか、それとも強制連行されたのか、それとも行方不明なのか。

http://kokkai.ndl.go.jp/
 ところで、国土交通省(交通政策審議会空港整備部会)が、3月19日の扇大臣答弁をうけて需要予測の新基準を提示したことにともない、4月26日に「みなと総局」(新聞社の支局ではありません。神戸市の部局のなまえです)空港整備室は記者会見を行い、「国の新基準に基づいて、需要予測を見直す」「その結果にかかわらず、建設工事は計画どおり進める」と発表しました。

 さっそく、中田作成さんらが「新たな需要予測がでるまで、工事を中断するべきだ」と申し入れをしました。

 何と言っても、150万人の人口で、開港時に360万人、その5年後には420万人の乗客がある、すべての離発着機は70%の搭乗率で、但馬便にいたっては、雪の日も霧の日も飛び続けて、ほぼ満席というすごい需要予測なのです。

 この想定どおり市民が暮らそうと思えば、毎年1回は東京への往復どちらかに神戸からの飛行機を使い、九州のどこか主要都市に1往復は「空の旅」を楽しまなければならない!のです。

 神戸市御用達の計量経済学者は、「21世紀には」「時間価値」が「高まり」、安価な地上交通より、少々値段が高くてもみんなが飛行機を使うようになる、と言うのです。

 右肩あがりがストップするとどうなるか。右肩が下がるとどうなるかは、この学者は何も言いませんでした。所得の低い高齢者が多くなるとどうなるか。不景気で企業が出張を減らしたり、出張旅費をケチったりするとどうなるかということも。

 需要予測はこの際、正確に、できるだけ速やかに出していただきたいものです。

以下は2002年4月11日に追加

会議録ウオッチャーとして

 ほとんど参議院国土交通委員会・会議録ウオッチャーです。

 とうとう第7号(4月4日)まで、でたのですが第2号(3月19日)は、まだです。私が探しているアドレスはhttp://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0110/154/15403190064001a.html

 ですが、ありません。

 扇千景・議員のサイトは<NEWS>というのが6月10日だったりで、関連することは何も書かれていません。ゼネコンをつぶすとか、「構造改革で景気浮揚」とか、過激なことばが並んではいますが。 

トップページへ いまどきの神戸空港へ

 

以下は2002年4月2日に追加

会議録がとんでいる

これほど議事録を「精査」する必要はどこから?

 3月24日に書いた「2つの新聞記事」の原因が分かりました。扇千景・国土交通大臣が3月20日の参議院国土交通委員会で「釈明」しているのです。

 おさらいをしておきますと、19日に開かれた委員会での扇大臣の答弁を共同通信系が報じ、物議をかもし、横やりを入れられ、翌20日の委員会で「釈明」となった、ということです。それを受けて22日の『赤旗』が「19日の委員会」で大沢議員の質問と扇大臣の答弁を報じているのです。20日の委員会については報道はなかったと思います。参議院の会議録は、19日の委員会について、まだ(2日の朝)アップされていません。3月14日・第1号から3月20日・第3号までとんでいます。

 (扇大臣)引き続きまして、なおこの際、先ほど委員長のお許しをいただきましたので、昨日の当委員会における関西三空港に関します私の答弁について、誤解を招きかねないとの御指摘がございました。改めてその考え方を述べさせていただきたいと存じます。
 関西国際空港、伊丹空港、神戸空港の関西三つの空港につきましては、関西国際空港は国際線及び国内線の基幹空港として、伊丹空港は国内線の基幹空港として、神戸空港は神戸市及びその周辺の地域の国内航空需要に対応した空港としてそれぞれ整備を行っております。
 昨日の当委員会における関西三空港に対する私の答弁は、公共事業の一般に共通する課題として、絶えず時代の変化に適切に対応しながら、その効率的な在り方について検証を続けていく必要があるという趣旨を申し上げたものでございます。
 したがって、個別具体的な話に言及し、結果として誤解を招いたことは誠に私としては遺憾でございます。何とぞよろしく御理解を賜りますようお願いを申し上げます。
 以上でございます。ありがとうございました。

  なお、この日の委員会では池口委員がこの問題について質問しています。大沢委員はこの日の質疑はなく、他の共産党委員も関西三空港問題にはふれていません。
○池口修次君
 そういうことですと、この三空港の問題については、まだこれから十分議論をして決める余地が相当残っておるというふうに理解をすればいいのか、もう予算を組んだものについては必ずやるということなのか、その点をちょっと確認をさせていただきたいというふうに思うんですが。

トップページへ いまどきの神戸空港へ

以下は2002年3月26日に更新

扇千景・国土交通大臣の記者会見
2月8日
http://www.mlit.go.jp/kaiken/kaiken02/020208.html より転載

(問)  大阪府の太田知事が今週の記者会見で、建設中の神戸空港を含めた関西の3空港の在り方について今1度見直すべきではないかという御発言があったのですが、おそらく神戸空港の事業計画を念頭に置いた発言と思われるんですけれども、今一度、大臣の御見解を伺いたいんですけど。
(答)  私も3つも必要ないと思っていますよ。
 
(問)  神戸空港ですか?
(答)  いや、あのね、同じ地域になぜ3ついるのかって、お分かりになります? 私は少なくとも今の伊丹空港を、関空をする時にこれは予定価格は出ていますから、調査企画は。これは調査してみることは必要だと思いますけれども、伊丹空港を、関空をする時に、伊丹はもちろん、1ヶ所にするべきだというときに伊丹の人が今まで反対だとしてた人も存続してくれとおっしゃるし、今度それじゃぁ伊丹と神戸空港と出来上がったときにはどういう関係になるのかと。これも私は今後調査の検討材料としては必要なことだと思いますよ。ですから必要がないとかあるとかと言う前にですね、果たしてこの3空港の関係というものは果たしてどうあるべきかと、それを検討すると。航空事情等々ふまえまして関空自体も航空事情があるということを皆さん御承知のとおりですから。貨物一辺倒にするのか、いや近距離一辺倒にするのかと。全て今後調査の上でということで、私は無駄のないように効率的にいかに何が必要で何が不必要なのかということを検討していくというのは、国土交通省としては絶えず姿勢としては持ち続けるべきであるというふうに思っております。
 
(問)  ということは、太田知事のお考えと同じようなお考えということですか。
(答)  いや、私は太田知事の発言を聞いておりませんので、何がどうおっしゃったのかよく分かりませんけれども、私は国土交通省としてのスタンスというものはそういうものであるということを申し上げておきます。以上です。
トップページへ いまどきの神戸空港へ

以下は2002年3月24日に追加

2つの新聞記事

 扇千景・国土交通大臣が3月19日の参議院国土交通委員会で、神戸空港の需要予測見直しに言及したことについての、2つの新聞記事が手元にあります。

 ひとつは3月20日の神戸新聞です。もう一つは3月22日の赤旗です。記事の見出しは以下のとおり。

『神戸新聞』 『赤旗』
需要予測の見直し必要 神戸空港
神戸空港で国交相 国交相も建設に懸念
  参院委大沢議員
  安全、需要予測ただす
 国土交通省が需要予測調査をやり直す際に、需要予測の前提条件の中でもきわめて重要な条件であるGDPの伸び率を「厳格化する」と大臣が言明したことについて、『神戸』の方には報じられています。

 『赤旗』の方には、質問に答えたのかそれとも大臣が勝手に答弁したのかは定かでありませんが、「伊丹を廃止して神戸空港に変えて、伊丹の航空量を神戸にかえることができるかどうかというとノーなんです」という記述があります。

 少なくとも、神戸の市民運動のなかには「伊丹を廃止して、神戸空港建設を」という声は、ありません。自民党の一部や、推進派のなかには苦しまぎれに「伊丹空港はもともと、廃止するべきだと考えて、神戸の建設を主張してきたのだ」などと口にする人もありますが・・・。

 会議録がホームページに掲載されれば、また触れたいと思います。

参議院国土交通省・会議録
http://kokkai.ndl.go.jp/cgi-bin/KOKUMIN/www_loginより
2002年3月19日・参議院・国土交通委員会 を指定してください。
トップページへ いまどきの神戸空港へ

以下は2002年2月28日に追加

神戸市が、2042年度まで無利子融資の制度創設
と言ったら、・・・・・どうします?

ここまできた神戸空港にかかわる

踏み倒し事件

 神戸と関西空港を結ぶ超高速空気運搬船(K−JET)が2月7日に運行をうち切りましたが、港湾整備局のかねてからの企みどおり、神戸空港開港後に再就航させ、神戸市がこれまでに出した投資・融資・貸付は返済されるそうです。

 市民としてはまことにうれしい話です。いまどき、「貸したカネを返してくれる」なんていう美談は、そうあちこちにあるものではない。

 ただし、手放しでは喜べません。いや、「返す」の主語と、「返す」期間を調べてみると、これはとんでもない「踏み倒し事件」なのです。自治体民主主義の終えんを白昼堂々、それも議会で宣言した「踏み倒し宣言」です。

 朝日新聞(28日)が話を単純にするため、神戸市からの無利子融資だけを焦点化しています。その額98億円。再就航から37年間で毎年、3〜4億円ずつ返済すると。利用客は大好きな倍々ゲームで、一日1,600人でスタートし、4〜5年後には一日2,400人。

 乗客1人あたりの経常利益  300円以上
 高速船1艘あたりの経常利益   ?円以上
 船員1人あたりの経常利益    ?円以上

 こんなに儲かる海運業を紙の上で計算すること自体が、常人には不可能です。しかも運行再開にあたっての初期投資や無利子融資以外の借入金返済は、度外視されているようです。

 料金はどう設定したのか。ランニングコストはどうなのか。「2042年度には・・・」なんて、国土交通省の高速道路計画じゃあるまいし。

 そもそも中田作成さんが指摘するように、神戸空港完成後って、あるのでしょうか。

 迷案・珍案のさらにウルトラEくらいを港湾整備局長はお考えになっているのではないか。
●市営か国営にして、ランニングコストをゼロにする
●超インフレで料金が100倍くらい、借金は百分の一にする
●旧生田川に水を引き「新神戸駅から20分で関空」をうたう

 あほくさ。

トップページへ いまどきの神戸空港へ

以下は2002年2月25日に更新

どんどん出る

「神戸空港不要」論

 国会で扇千景・国土交通大臣が「神戸空港は需要調査をやり直す」と言明(たしか22日の予算委員会)。
 神戸市港湾整備局が、どう困るかと言って、「これまでの需要調査」そのものが関西空港の需要調査をもとにしてズサンな見込みをしただけなのですから。

 ほとんど次のような計算式なのです。

 「関西空港の需要予測」×(「神戸都市圏の人口」÷「近畿圏の人口」)

 しかも「神戸都市圏の人口」は「神戸市の人口150万人」とは違って、兵庫県の人口にちかい500万人。大阪空港がある伊丹市や但馬空港のある日高町の人口まで含んでいます。

 くわえて石原行革担当相が今度はすばらしい放談(2月23日福島市)。「関空U期も神戸空港もいらない」「関西でも世論調査をすると6割、7割が反対と言っている」。

トップページへ いまどきの神戸空港へ

以下は2002年2月8日に更新

ついに出た 国交省

 
「神戸空港は必要ない」

2月8日扇千景・国土交通大臣が記者会見(国交省のホームページには午後3時現在、未掲載)で「神戸空港は必要ない」(毎日新聞夕刊3版)と言明したと伝えられています。

また
アサヒ・ドットコム(
http://www.asahi.com/politics/update/0208/004.html
でも同趣旨の会見を伝えています。

神戸市は現在、予算編成作業中で「国の予算案に基づいて整備を進める」スタンスですが、これに大きなプレッシャーがかかります。たぶん東京事務所には「真意を確かめろ」という伝令(野球とちゃうか)が飛んだでしょう。

神戸市にとって難儀なのは、自民、公明、民主いや共産社民まで、どの党が閣僚の座にあっても困らないが、保守党という党とはパイプがないことでしょう。役所と役所の関係は大丈夫だが・・・。「チカゲさんは(神戸出身なのに)国交省のマキコだ」と舌打ちする人もいるのではないでしょうか。

「きょうの井上力」より)

新しい神戸をつくる市民の会が2月28日に予定している集会が楽しみになりました。

井上力のページへ戻る

トップページへ いまどきの神戸空港へ

「きょうの井上力」2月4日より転載

やっぱり要らない神戸空港
自民党で反対しているのは「改革派」?「抵抗勢力」?

カジノ 経済特区 空港見直し

 朝日新聞と読売新聞が1日報じた太田房江・大阪府知事の発言が物議をかもしています。

 「関西空港、大阪(伊丹)空港、神戸空港、3つの空港が共存共栄をめざすという、きれいな言葉では、済まされない時代」。「カジノをつくる」「経済特区をつくって外国人の短期就労を増やす」「外資系企業を誘致する」

 発言はきわめて過激。神戸市幹部が中央省庁をねじ伏せてつくった3空港の位置づけは「国際ハブ空港としての関空」「国内基幹空港としての伊丹」「地方空港としての神戸」でしたが、この「すみ分け」「共存」そのものを崩そうというのです。太田知事は兵庫県知事や神戸市長と「協議する」とも宣言しています。

「すみ分け」崩したのは神戸市

 神戸市の計画では東京、札幌、福岡など主要都市への就航をめざしており、最初に「すみ分け」を崩したのは神戸市でした。

 国の予算編成で、公共事業費削減の真っ先にやり玉に挙げられたのが神戸空港でした。野中広務・元自民党幹事長は神戸空港は「本四架橋と同じ批判を後世受けることになるし、その旨小泉首相にも話した」(『朝日』1月20日)と需要面から神戸空港建設を取りやめるべきだとその後も繰り返し、発言しています。

Kジェットで110億回収不能

 ポートアイランドU期と関西空港を最短で結ぶと宣伝されてきた神戸市の第三セクター・Kジェットが2月7日で運行を停止することになりました。「高速空気運搬船だ」と揶揄されたのも無理はありません。乗客数が一度も採算ラインに達しないままでした。

 神戸市が補助金や出資金、貸付金と名目をつけてこれまでに出し続けたカネは110億円。市民1世帯あたり3万円ちかい額です。「会社存続」で返済は先送りだそうです。

みんな「いらん」と言い続けている

 昨年の市長選挙の際に、新聞社が行った出口調査では「空港反対58%」「賛成19%」と、いぜん神戸空港について反対の声が圧倒的です。

 「釣り堀にしよう」こんな意見の方が現実的に感じます。「市民参画というなら住民投票を」「赤字の責任はだれがとるのか、きちんと決めろ」「子どもに説明できない」「計画を変更した部分、環境アセスメントをやり直せ」・・・。ほとんどの方々と同じ考え方を新社会党はしています。

トップページへ いまどきの神戸空港へ

2002年1月30日に更新

K−JETに別れを惜しむ

マニアたちのメッセージ
熱心に神戸空港とその関連事業のことを考えすぎたせいか、昨夜、夢を見ました。100億をこえる「踏み倒し」が行われるK−JET「航路廃止」事件で、最終便がでる夜、別れを惜しむマニアたちの群のなかになぜか私も入って、叫んでいるのです。

●市長さんありがとう。関空のきれいな空気を運んで7年間。使ったお金が110億。K−JETが空気を運ばないと神戸で酸欠がおきないか心配です。

●2階は私たち夫婦だけの個室でした。こんな贅沢な旅をありがとう。もう乗船できないかと思うと寂しくて寂しくて。

●貧乏人はJRか南海で。K−JET全体がVIP船室でした。またひとつ、神戸らしい、神戸ならではの名物がなくなるのは残念です。

●神戸空港ができたらまた、110億使って、高速空気運搬船を再開しましょう。

●神戸空港ができたときには、いまの港湾整備局長が110億円を神戸市に返すと約束してくださいました。ありがたい。ありがたい。

●2002年2月7日まであったK−JETのホームページには「乗り換えがあるので、その間にタバコがすえてよかった」とか感謝している人がいるのに、止めていいのか。抗議する。

などと。それにしても、「会社は残る」のに解雇される船員さんたちはどうなるのかな?

トップページへ いまどきの神戸空港へ

2002年1月10日に更新
「海上アクセスごめんね100億」

神戸は「踏み倒し」天国か
1月9日付で神戸市港湾整備局の山本信行局長から「市会議員各位」として次のような文書がだされました。

 本日午前に開催された海上アクセス株式会社、神戸航空交通ターミナル株式会社の取締役会において、下記のとおり決議されましたのでご報告申し上げます。

取締役会決議

(1)海上アクセス株式会社
神戸〜関空間を結ぶ神戸ジェットシャトルの航路を平成14年2月7日(木)をもって廃止する。

(2)神戸航空交通ターミナル株式会社
神戸マリンルートの一環としてのターミナルビル管理事業・駐車場事業を平成14年2月7日(木)をもって廃止する。

  *バス事業については、運行を継続するため他の事業者へ営業を譲渡することを検討している。

 各紙が詳しく報じています。「遅すぎた決定」「悔しさにじませる神戸市」「震災の痛手」・・・。

 「深々と頭を下げて会見に臨んだ」いつもの光景。市民にはあまりにも日常的な光景が、きのうも繰り返されたようです。しかし、その一方で、「神戸空港開港後には、船を借りてでも運行を再開したい」「それによって債務を償還したい」と述べたと報じられています。

 神戸市から見れば「出資金」「貸付金」「補助金」とそれぞれ名づけられています。いま100億円という大金があれば神戸市内の会社をいくつ救うことができるのでしょう。倒産ではないという。不渡りを出していないから会社更生法の適用も受けない。民事再生法でもないという。

 はっきりしていることは、どのような名目をつけようが、この事業に投入された公金は、すべて踏み倒されたということ。

 債権放棄や支払猶予がいかに横行する国でも、これほどあくどい踏み倒しはない。会社は倒産ではないという。したがって経営責任も問われない。

 あと3年半「神戸市都市経営・最後のエース」神戸空港が登板すれば・・・
 あと3年半「埋め立て地用・夢の無人運転電車」ポートライナーが空港島まで走りだしたら・・・
 あと3年半、湾岸線が渋滞で、ピンチヒッターを海上に求める機運が高まれば・・・

 需要予測が実は役所と議会にしか通用していなかったことがはっきりしたのだから、ただちに「すべてを疑う」べきです。神戸空港は、あらゆる点で自分たちの予測どおりにならないのではないか、と。市民の心配の声の方が、ひょっとしたら正しいのではないか、と。この先も「たら」と「れば」で両社に公金を投入するのは「泥棒におい銭」以外の何ものでもない、と言ったら、泥棒に失礼だ。泥棒には3分の理がある。

 カリカリ。中田作成さんがコメントをだしてくださるそうです。

トップページへ いまどきの神戸空港へ

2001年6月18日に追加
神戸空港は
静岡空港のスゴさに勝てるか
 きょう「静岡空港・住民投票の会」が条例直接請求の署名簿を提出したと報じられました。

 建設を進めてきた知事が先月18日「県民の判断に委ねたい」と表明したことから住民投票実現への期待が一気に高まったとジャーナリストの今井一さんは解説します。

 静岡空港は「世界で一つ」という特徴を売り物にしていました。かつて空港に鉄道が乗り入れている例は数少なかったので、神戸では新神戸まで延ばしたポートライナーと直結することを自慢していました。しかし、なんと、静岡空港は「新幹線と直結」だというのです。

 チャーター便を飛ばせば、首都圏と中京圏から新幹線で乗客が押し寄せるというスゴい話です。地権者でもある島野房巳さんは、町長選挙や知事選挙にも出馬して空港反対運動をしてこられた方ですが、島野さんからお聞きした話です。

 島野さんによれば、着眼点は「すばらしかった」が、ここで画竜点睛。静岡から発車した「こだま号」は最高速度に達する前にブレーキをかけないと空港駅に止まれない。同じように、掛川駅から発車した「こだま号」も、空港駅に止まるためには「新幹線でなくなる」ことを求められるというわけです。

 今回の住民投票は、このような雲をつかむがごとき「計画」に困惑しきった住民の大反乱です。「すでに着工したのも同じだ」から「住民の意思を問う必要はない」と、神戸空港・住民投票は切り捨てられましたが、静岡は「着工後に」「住民に委ねよう」となりはじめています。

 「静岡空港のスゴさ」から「静岡県民のスゴさ」へ。一連の空港計画、びわこ、播磨、静岡が中止になると神戸空港だけが残ってしまいます。神戸市民はスゴくない、のではなくて私や「私たち」の責任でしょうね。

トップページへ いまどきの神戸空港へ

「2001年5月30日の井上力」を6月18日に転載
未完成・空域調整案の陥穽
   
 神戸空港の離発着経路は、飛行機が過密で、シミュレーションによれば19分44秒も待たねばならないケースがあると。中田作成先生が情報開示を求めた結果、明らかになったもの。すかさず神戸市は「空域調整は終わっている。よそが淡路島の上空を使うことになっている」と、コメントしています。

 国が行ったシミュレーションに異議を唱える神戸市の見解。「管制は国の専管事項」なのに「空域調整は地元の課題」とした第6次空港整備五カ年計画の矛盾が、あらためて吹き出しました。93年8月細川政権下、社会党・伊藤茂運輸大臣のお仕事でした。

 貝原知事の辞職で、当時のややこしい事情に詳しい当事者が公式の場から消えます。小泉政権では亀井静香さんが「去る者日々に疎し」の印象です。神戸市=運輸省=淡路一市十町=兵庫県。

 「関空は遠い」「伊丹は制約がある」を理由に無理してつくる神戸空港が「離陸に19分44秒待ち」では、あの『朝日』社説が言うように、「費用対効果分析」以前の問題です。

 国土交通省と神戸市が同床異夢かどうか、難しいので同音異義語の勉強。神戸空港のケーソン据え付け工事着工に歓声・鼾声・喊声を上げるなど感性マヒの証し。管制方法も決めず、官製官制の空域調整案で工事完成をめざせば、陥穽に落ちること必死。

トップページへ いまどきの神戸空港へ
  2001年5月28日に追加
『朝日』の社説も怒った

(『おはよう新社会党です』NO.207より)
   
空港需要予測はエエカゲン
神戸空港需要予測も見直しか
   
 「これほどいい加減だったのか、と腹立たしさを通り越してあきれる」

 『朝日新聞』の社説(25日)ならずとも、「総務省が国土交通省に是正勧告」という小さな記事(24日)を見て、怒った人が多かったのではないでしょうか。ことに住民投票を求める声が切り捨てられ空港建設がすすむ神戸には。

 神戸空港の場合も、「建設すべし」の結論が先にあり、それに合わせてデータをこしらえたものです。しかもそのデータの元になったデータは関西空港建設のための「近畿圏の航空需要」でした。『朝日』社説は「国土交通省は、この勧告をまじめに受け止め、・・・未着工や建設途上の空港の需要予測と費用対効果分析をやり直して公表・・・神戸空港をその対象にすることは当然だ」としています。

 神戸空港の「需要予測」は開港初年度でいきなり340万人、その5年後には420万人とされています。

 昨年の路線別輸送実績(国土交通省)によれば、神戸市が就航を予定(期待)している関西圏と九州各県・沖縄、それに札幌を結ぶ路線が軒並み前年を下回り、低迷しています。地方路線の減便や廃止の流れは止まりそうにありません。

 もともと国内航空需要の6分の一が東京ー札幌、東京ー福岡の2路線に集中しており(9200万人のうち、この2路線だけで1600万人)、「やがて国内線の利用者は1億人を越える」という理由だけで「神戸空港を造る」のは無理というものです。

 秋は市長選挙。「空港やめろ」の声をさらに大きくしていきましょう。

 

資料:平成12年路線別輸送実績(資料は国土交通省)
旅客(上位50路線のうち、関西圏関連)  路線別旅客数、座席利用率は次のとおりである。
順位 路線別 平成12年 平成11年 旅客数
H.12/11(%)
旅客数(人) 座席利用率(%) 旅客数(人) 座席利用率(%)
3( 4) 東京(羽田)−大阪(伊丹) 4,227,597 72.0 3,606,740 69.8 117.2
5( 6) 東京(羽田)−大阪(関西) 2,247,908 65.7 1,910,447 68.6 117.7
11(9) 大阪(関西)−札幌(千歳) 1,446,928 59.6 1,667,645 63.6 86.8
14(14) 大阪(伊丹)−福岡 1,394,219 69.4 1,314,575 67.4 106.1
17(16) 大阪(伊丹)−札幌(千歳) 1,315,931 67.8 1,305,861 64.0 100.8
22(21) 大阪            −鹿児島 1,143,888 65.8 1,158,781 65.9 98.7
24(27) 大阪(関西)− 福岡   929,157 54.6 869,112 54.7 106.9
25(24) 大阪 (関西)−沖縄 (那覇 ) 907,857 65.5 940,247 60.1 96.6
27(25) 大阪 (伊丹 )−仙台  896,850 67.2 930,950 70.2 96.3
32(33) 大阪(伊丹)−宮崎 778,933 61.7 777,838 63.7 100.1
33(29) 大阪(伊丹)−沖縄(那覇) 752,842 71.0 811,563 71.4 92.8
34(36) 大阪(伊丹)−松山 736,970 67.7 715,884 70.4 102.9
36(35) 大阪(伊丹)−熊本 726,251 67.1 723,802 67.6 100.3
41(40) 大阪(伊丹)−高知 661,361 63.6 681,120 63.8  97.1
44(44) 大阪(伊丹)−長崎  620,202   54.4  621,629  58.4  99.8
1.順位中の( )は、前年度順位。
2.座席利用率は、人キロメートル÷座席キロメートルで求めている。
3.東京−岡山間の前年順位については、51位以下のため(−)とした。
資料:5月24日『朝日』の記事
  空港利用者の予測は正確に
     総務省が勧告
 98年度までの10年間に新設したり、滑走路を延長したりした15の空港のうち、9カ所は利用旅客数が事前の予測値を下回ったとして総務省は24日、内閣府と国土交通省に対し、需要予測方法を改善するよう勧告する。
 総務省がまとめた行政評価・監視結果によると、滑走路を延長した釧路空港は193万人の需要を予測しながら実績は70万〜90万人台にとどまり、移転・新設された高松空港も287万人の予測に対して実績は4、5割だった。
トップページへ いまどきの神戸空港へ

  2001年5月28日に追加
巨大ケーソンが運ばれ続けます
2001年4月10日、神戸市は港湾整備局長名で「ケーソン据付工事について」という文書を発表しました。4月14日から5月中旬にかけて、神戸空港島の護岸となるケーソン5個の海上運搬と据え付け工事を行うというものです。「取り合い部」3函の据え付けも。

「島の形が見えれば、市民の反対の声も小さくなるだろう」と思ったかどうかわかりません。なぜわざわざ土曜日か。たぶん大安だから。

それにしても巨大です。幅11.5m、長さ13m、高さ10m。どこをどう運んでいったのか。ゆうべは眠らずに考えましたが、コンクリート製造工場がポートアイランドにありませんから、海上への搬出場所のそばで組み立てたに違いありません。立入禁止区域で見ることができません。

そしてこれから外周全部にケーソンを据えていくには、ポートアイランドを何台の大型トレーラーが通ることになるのか。「埋め立て工事は海の上で進めるから、ポートアイランドの環境に与える影響は軽微」と評価した先生方は、いまどこで何をしておられるのか。

文書に付けられていた略図を掲載します。ちょっと加工しましたが図の赤い印を付けた場所の間を海上運搬するそうです。(減量のため削除)

トップページへ いまどきの神戸空港へ

 

2001年2月9日に追加

 

「一番機が飛ぶまでの市長」

選挙の年。国際空港化へ一路

 にわかに神戸空港を「国際空港化」しようという議論が一部でにぎやかになってきています。

 まず、周辺状況から。
●関西空港、不等沈下でU期工事いっそう多難
●関西空港の経営不振・財源不足
●羽田への国際線乗り入れ承認と成田への国内線増便
●日航機ニアミスで広域一元管制の「安全神話」崩壊

 失礼。神戸空港推進派にとっての好材料は
◯首都圏に三つめの空港をつくろうとしている
◯USJジャパンの開業で多くの人が関西を訪れる
◯“のぞみ”が新神戸に止まる
◯昨年、国内線の乗客数は減ったが、国際線は増えた
◯神戸港の貨物量は震災前水準に戻らない。貨物も空の時代
◯日銀神戸支店や様々なメディアが神戸空港を「批判」
◯連合系労組の航空連合までが・・・
◯人間の臓器の部品どりをする病院と至近距離の空港
◯最大野党曰く「空港問題だけで市長の是非を論じられない」
 ◯もほとんど●ではないか。●と◯が反対ではないか? 

*** * ***

 今年は「一番機が飛ぶ日まで」の市長を選挙する年。神戸空港整備推進協議会(2000年7月27日発足)が「21世紀の空港と航空ビジネス」と題するセミナーを、7日開催したと『毎日』や『神戸』が報じました。

 このセミナーで話されたことは、アメリカではビジネスジェット(世界に19,000機ある会社の自家用社機)が当たり前。日本もやがて、と。

 鎌江伊三夫・神大都市安全研究所教授は「阪神大震災で緊急患者のヘリ輸送が少なかったのが反省材料」と。

 アメリカは鉄道網が発達していない。新幹線もない。造っても移動に時間がかかりすぎる。バスかジェット機しかない。それほど公共交通が遅れた国。遅れた国のマネをすると「IT」の二の前になる。

 鎌江教授は公共ヘリポートが中央市民病院の目の前にあったのをご存じないのか。その市民病院へも、ヘリポートへも市民が行けない状態が大震災でした。神戸空港が完成するとヘリポートは市街地からさらに遠くなります。

*** * *** 

 ときを同じくして神戸経済同友会が6日、「21世紀 新・国際都市神戸をめざして」という提言を発表。「将来は関西国際空港を補完するのが望ましい」

 『毎日』の藤田昭彦さんは「公的な団体としては初めて国際空港化を提言」と報じ、『神戸』は「地元経済団体としては初めて」と報じています。「伊丹を補完」から「関空を補完」ですから神戸空港としては「昇格」です。便数確保に懸命の伊丹。伊丹ナオモテ「補完してくれ言うてへん」、イワンヤ関西空港オヤ。

 「ポートライナーとJRの乗り換えの簡便化を」とも。経済同友会ほどの伝統ある団体が、何をかイワンヤ。今、JRとポートライナーはくっついてます。それとも新神戸駅のことをイワンとするか。

*** * ***

 両者の動きは、神戸空港の基本的な欠陥(需要がない)を半ば認めながら、さらに大きな欠陥を持つ空港にしようという意地悪な提案です。

◆「完成後5年で一日あたり30便の地方空港」という環境アセスメントの前提条件が変われば、当然アセスメントのやり直しが必要。
◆同じく飛行場設置許可を国土交通省から受け直す必要があるのではないか。
◆だれのための空港か。「ビジネスジェット専用空港」は「市民のだれもが航空機を利用する機会が増えた」という従来の説明とまったく逆。
◆「ジェット機を所有する会社」とその社長は、神戸からどこへ飛びたいのか。八尾空港?白浜空港? 中国・東南アジア? アメリカまでは航続距離がどうなんでしょう? 欧米は「コンパクト」それも航空機がちょうどいい距離に都市が点在しています。
◆「岡山空港も国際空港化した」という論法で、岡山のように滑走路の延長を考えるのでしょうか。
◆税関・出入国管理・検疫機能を港から空港へシフトするというが、いよいよ神戸港をつぶすつもりなのか。
◆管制や空域の問題で、現在の計画も実は神戸市がごり押しをして漕ぎ着けたもの。どうするのでしょう。
◆「農業用水のため」「上水不足を補うため」「工業用水を」「治水のため」・・・目的変われどムダなダム造りは続いてきました。
 「伊丹の国内線がいっぱいだから」「関空の近距離国際線がいっぱいになるから」「シャチョーが乗りたいから」「臓器を運ぶため」「新薬を世界に届けるため」・・・いちばん確かな「需要」・・・ガイドライン関連法の下で「病院の隣にある滑走路」を米軍は見落としません。

トップページへ いまどきの神戸空港へ

2000年10月6日に追加

マリコンと神戸市の固い絆

粟原富夫・市会議員(中央区選出)が、2000年10月5日の神戸市議会「空港・新産業に関する特別委員会」で質問。「神戸市の前港湾整備局長が神戸空港関連工事を請け負っている某マリコンの役員になっている。神戸市は調査すると約束した」と、10月6日の『神戸新聞』が報じたところです。

この人は、定年後も嘱託職員として港湾整備局長を勤め、今年5月まで神戸港埠頭公社の理事長でした。某マリコンには6月に常務に就任したそうです。今も神戸港港湾審議会の委員であり、海洋博物館の館長代理です。

某マリコンは、資本金は2億40万円ながら従業員700人、事業内容には次のように書かれています。(兵庫県経営者協会のHP・会員企業より)

事業内容:
港湾・海洋土木を中心とした総合建設業、大型起重機船・地盤改良船などの多数の作業船を有し、明石海峡大橋・関西国際空港等ビック・プロジェクトに参画

某マリコンは、地元であることや実績から言っても、黙っていても、空港の工事を請け負うことになるのは明らかで、常務就任の背景には、あまりカッコの良くない神戸市トップの間での確執が見え隠れします。それとも単に、発注者兼請負人のこの人が欲張りな老人であるだけなのか。

港湾審議会は「審議会」と名づけられてはいますが、都市計画審議会と同様に、行政計画の決定権を有しています。海洋博物館の館長は空席で、その代理が民間企業の常務取締役なのです。マリコンと神戸市の絆は、このように固い。週刊ダイヤモンドが指摘したとおりです。(10月6日の井上力より)


2000年9月20日に追加
空港ができても

ポートライナーの乗客数は増えない

 2000年9月19日、神戸市は市会総務財政委員会に「神戸新交通ポートアイランド線延伸事業について」という企画調整局の資料を出しました。これまで説明してきた神戸空港計画を大幅に変更する内容です。従来との変更点は下記のとおりです。

1.1期工事を二分し、いわば「0.5期工事」とし、その内容は次の2〜6とする

2.延伸の距離を空港島内で6.7キロから5.4キロに短縮。環境アセスは6.7キロ分が対象

3.車庫を新設しない

4.駅を空港島内で1つ減らす

5.事業費を900億円から590億円に310億円減額する(『毎日』の報道)

6.事業費のうち330億円を神戸市が出し、260億円を新交通株式会社(社長は市長)が出す

空港つくる前提条件を大幅変更

 なぜこうなったかということについて、『神戸新聞』(9月20日)が的確に取材して報じています。「2015年段階でのポートライナーの乗客予測を15万人から10万人へ下方修正した」。

 ポートアイランド(U期)に企業がたくさん進出する。ポートアイランド(U期)にレジャーランドをつくる。空港島には空港関連の企業が進出する。そこで働く人は「ん」万人。空港島には人工海水浴場や「処分緑地」ができる。すでに凍結を表明していたものもありますが、これらが一挙に破棄されました。

 一昨年、住民投票条例を議会が審議したときに、神戸市が発表した1,200億円の全体構想については、はるかかなたに霞んで見えなくなりました。三宮駅の改築、1編成6両から8両への輸送力増強などです。実はまだこの先にも「全体構想」があって、新神戸駅までの延伸ですが、これについては不明です。

(「9月20日の井上力」より)

神戸製鋼所が、ベネズエラの大統領選挙で負けた候補者に裏金を渡していた?「三社会」とか「四社会」をとおして支配していると報じられた神戸市より、ベネズエラのほうが程度は上?
連合の姿勢が違う?政党の真価が問われる?議員と市民の距離が違う?1月23日の吉野川住民投票は大成功。「123」「吉野川に1票を」に感動しました。
羽田空港発着枠は、残すところ数十便。2002年までに全て割り当てを終える。神戸空港の完成まで残しておいてもらえる?
太田大阪府知事は、女性で初めて知事になった人。笹山神戸市長は、自分が市長を務める街に初めてケチをつけた人。「空港のない街は衰退する」と。
臓器移植ビジネスや遺伝子ビジネスの時代だそうです。固定資産税が払えなくなった人は日栄のような取立てに気をつけましょう。120億円が投じられ、先端医療センター建設へ
また関西空港の醜い争いです。2本目のアクセスルートは橋かトンネルか、と。それは熱心なこと。神戸は震災で人工島への複数ルートの必要性を痛感したはずなのに、「防災拠点」の神戸空港には、橋が1本かかるだけ
坪当たり90万円が空港島の売却価格。首都圏第三空港はメガフロートが有力。「なぜ神戸空港は?」海の上に浮かぶ鉄の塊を、不動産として登記できますか。環境に悪くても埋め立て方式しかないというのです
神戸空港の護岸築造工事を請け負っているマリコンが、淡路町長にワイロを贈った
埋め立てても、潮の流れは変わらない。環境アワセメントの教科書です
便利になります。機内食の大工場までできるんです
空域確保は94年12月17日。淡路町や五色町を含む淡路島1市10町が合意。ちょうどひと月後に淡路を震源とする地震が起きました
海が汚い、埋めてしまえ。山が汚い、削ってしまえ。神戸方式
国際空港に将来は、と空港建設促進協議会の吉本顧問
胡散(うさん)臭いと市民は思ってきましたが、よく見ると「う」が「さん」個もついてます
トップページへ いまどきの神戸空港へ このページの頭へ