画 Sachiko Tanabe

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タイトル

更新(追加)日

利用者減/連続16か月に

2009年7月8日

「健闘」に「復興支援」

2009年6月17日

いつまで続く?利用者減少

2009年5月13日

ついに13か月連続減(1か月乗客)

2009年4月7日

ついに17万人台(1か月乗客)

2009年3月7日

いよいよスカイマーク空港

2009年2月3日

乗客減少・年間25万人

2009年月10日

羽田激減その他も厳しく

2008年12月16日

8か月連続の対前年割れ

2008年11月8日

チャーター便飛べど

2008年9月7日

利用者減る一方

2008年7月12日

利用ピークを越した?

2008年4月10日

新年度は管理収支の赤字必至

2008年4月3日

319万人に届かず  さらに2年間

2008年1月31日

あらためて空港島売却計画について

2007年5月17日

3たび「ありとキリギリス」

2007年3月28日

搭乗率下落とまらず

2007年2月12日

偽装空港の本領発揮

2007年1月13日

あいつぐ撤退(続報)

2006年12月27日

あいつぐ撤退

2006年12月25日

スカイ便、搭乗率回復したが・・・

2006年11月12日

質的に変化し始めた神戸空港

2006年10月12日

搭乗率低迷

2006年8月17日

これで黒字というの?

2006年2月23日

 

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2009年7月8日に追加

利用者減(対前年同月)連続16か月に

神戸空港の6月利用者数は、176,829でした。(神戸市が公表

計画では年間319万人の利用者を見込んでいました(需要予測)。単純に12か月で割ると1か月あたり265,833人となりますので、これを「目標」として目標達成率を計算してみました。航空会社は関空発着便の撤退をすすめていますので、いずれ対前年同月比の減少は止まるのでしょうが・・・。

 

利用者数

目標達成率

市の需要予測 265,833  
'06年6月 210,395 79.1%
'07年6月 231,674 87.1%
'08年6月 200,592 75.5%
'09年6月 176,829 66.5%

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2009年6月17日に追加

「健闘」に「復興支援」

神戸市は5月の神戸空港から離発着した航空機の旅客数などを発表しました。前月より増えたものの旅客数の減少は止まらず、対前年同月比で15か月連続減少となりました。20万人を割り込んだのは2月、4月についで3度目です。

全便 旅客数 増減 増減率
'06年5月 235,655    
'07年5月 248,692 13,037 5.5%
'08年5月 235,024 ▲13,668 ▲5.5%
'09年5月 180,992 ▲54,032 ▲23.0%

民主党が国土交通省に資料を請求したことが『朝日新聞』で報じられていました。

 新型の豚インフルエンザの発生が観光に与えた影響について国土交通省が調べたところ、羽田―神戸間の航空利用客が前年より4割も減ったり、近畿地方の宿泊施設で約3万件のキャンセルが発生したりしていることがわかった。感染が広がった関西での影響が、改めて示された。

 同省が5月末、航空各社やJR、近畿地方のホテルなどに聞き取り調査を実施。1日に民主党に資料を提出した。

 航空は神戸で感染が確認された5月16日から27日までを対象に、日本航空と全日空に聞き取りを実施。羽田―神戸の旅客数は計約1万3千人で、前年よりも40.9%少なかった。羽田―大阪(伊丹)は約16万人で前年比24.8%減、羽田―関西は約3万8千人で同21%減だった。(以下略、赤字は引用者)

きのう国土交通大臣が閣議後会見で「新型インフルエンザの影響に対する関西の振興支援策」を発表しています。3社が運航している「5月の神戸・羽田便」については、次のとおりです。 「関西の復興支援策」は、飲食店や中小企業にではなく航空業界に対して行われるのでしょうか。

羽田便 旅客数 増減 増減率
'06年5月

112,243

   
'07年5月

122,819

10,576 9.4%
'08年5月

106,444

▲16,375 ▲13.3%
'09年5月

85,374

▲21,070 ▲19.8%

『朝日新聞』の記事にある国交省の「5月16日から27日までは約13,000人、対前年40.9%減」という情報を考慮すると、それ以外の期間は「健闘」だったようです。「それ以外の期間」は1日から15日までと28〜31日までの19日間です。 ただし3社のうち、SKYを除くJALとANAへの聞き取りということで、いささか不正確です。

下記のように4月と比べると実は、5月は「健闘」でした。「連休の高速道路どこまで乗っても千円」を考慮すれば大健闘だったのです。

    対前年増減 対前年増減率
羽田便 16〜27日   ▲40.9%
それ以外  

5月 ▲21,070 ▲19.8%
4月 ▲32,979 ▲29.6%
       
全便 5月 ▲54,032 ▲23.0%
4月 ▲56,439 ▲25.8%

なお、27日という日は神戸市長が「ひとまず安心宣言」をした28日の前日です。兵庫県知事は25日の記者会見で「22日から・・・緊急事態であるという意味での認識は解除されたという効果を持」ったと語っています。アップ直後に一部書き換えました

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2009年5月13日に追加

いつまで続く?利用者減少

神戸空港の4月の利用者数などが公表されました。おもな特徴は以下のとおりです。「きょうの井上力」の方でも関連する情報をアップしました。

(1)1か月の旅客数としては、過去最少の162,422人(搭乗者=乗り込んだ人数・一日あたりだと2,707人)

(2)3月まで就航していた仙台便がなくなりましたが、旅客数減少の主たる原因ではありません(3月の同路線利用者数は4,220人)

(3)'08年3月に始まった対前年同月比で旅客数減少は「足かけ3年度」つづき、連続14か月となりました 。対前年同月比の減少幅は56,439人(218,861−162,422)で過去最大

(4)提供座席数262,428は、2月の255,086(9,110/日)についで少なく、一日あたりでは8,748/日と過去最少

(5)羽田便の旅客数が10万人を割り込むのも、これで昨年6月から10か月連続となり、78,366人。3月の76,839(2,479/日)についで少なく、一日あたり2,612人間違いを訂正しました5月15日

(6)航空会社別では70%台以上の高い搭乗率で路線を維持してきたSKYが61.6%と過去最少を記録しました

(7)神戸空港ターミナル会社は6月の株主総会で旧住友系の初代社長が退任し、川重出身の新社長を迎えます。「本体(空港ターミナル)は相対的に順調、ベイシャトルが危ない」という認識の市の人事のようですが・・・。さらに本体つまり空港島の用地売却、輸送用機械器具製造業用地などの売却を断念し、「利用計画見直し」とされています(?)が、必要なのは市の総路線(基本計画=マスタープラン)を点検し、関連部分を白紙撤回することです。このままでは大震災後、にわかに打ち出した「神戸長江交易プロジェクト」の二の舞を演じているだけです

(8)不況の深化、高速道路への逸走の影響などもあり、ゴールデンウィーク・5月に好転する芽も摘まれています

(9)神戸空港推進の方々、神戸空港利用促進派の方々には絶望的なデータを並べましたが、ひとつ、皆さんにとって明るい材料を指摘します。昨年の4月は対前月で276,018人から218,861人へ57,157人の利用者減少でした。今年は3月の223,840人から4月の162,422人へ61,418人減りました。仙台便の4,220人が皆減であることを踏まえるならば、「底打ち」感を見いだす人もいそうです

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2009年4月7日に追加

ついに13か月連続減(1か月乗客)

公表された神戸空港の旅客数を'07年度と'08年度、グラフにしました。昨年3月に始まった対前年割れは13か月連続となりました。

旅客数は対前年86.7%、約40万人(395,486人)減の2,576,726人で、市の需要予測319万人に比して613,274人少なかったという結果でした。

開港初年度、453万席を数えた「提供座席数」=離発着便すべての座席数は、開港2年目が443万席、そして'08年度、380万席へ減少しました。

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2009年3月7日に追加

ついに17万人台(1か月乗客)

神戸空港は2月、開港3周年を迎えました。神戸の財界は搭乗記念割引などを用意し、祝いました。発表された2月の搭乗者数は惨憺たるものでした。

神戸市の発表では対前年同月76.1%、ずっと維持してきた20万人をあっさり割り、173,776人でした。羽田便も76,839人と過去最少。対前年同月で5万人以上(54,449人)の減少も過去最大。対前年比減少記録は12か月に伸びました。一日あたり片道の搭乗者数は3,103人です。

鹿児島便がなくなったこと、去年がうるう年だったこと、不況が深刻になっていること、搭乗率はいいので航空会社は魅力を感じているはずだ?・・・理由はありますが。

4月からの累計で2,352,877人、飛行場設置許可や埋め立て免許の際に「利用者が多いはず」と言って目標に掲げてきた「319万人」に及ばず、年間で260万人にも届かない可能性が高まりました。計画との差は60万人にもなります。

計画では2010(平成22)年度には予定乗降客数を「403万人」とし、連動して空港特会の着陸料収入を「16億円」も見込んでいるのですが、実績は「7億円」を割り、見込みと現実が年を追うごとに乖離していきます。ジャンボが次々と離着陸するはずだったのに、日本の空に、もうジャンボは飛んでいません。エミレーツ航空が大量に買ったどデカいジェット機が就航しないことは確実ですし。そのエミレーツ航空でドバイを経由しブラジルへ行ったことのある兵庫県知事は「関空と神戸を結ぶトンネルを掘って直通電車」構想を蔵の中から取りだし、救済策だと考えているようです。B/Cはどうなるのでしょう?そもそもそんな先まで神戸空港は保つのでしょうか?いっそ、ドバイまでトンネルを掘れば?

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2009年2月3日に追加

いよいよスカイマーク空港

神戸市が1月の利用者数を発表しました。11か月連続して「対前年割れ」です。(以上、2月7日)「きょうの井上力」も神戸空港関連が増えています。

2月16日で神戸空港開港3年です。抗議集会と記念行事がおこなわれます。

JALとANAが撤退して4月から一日22便となります。灘区で一番新しい市バス路線26系統(昔も26系統はあったのですが)は12便で、往復を数えると24便です。

前回までに報告したとおり、減便、撤退、乗降客数の減少は、開港から3年で神戸空港の将来性をとても危うくしました。かつての開発基金、いま新都市整備事業会計が持つ内部留保のすべてが、かつての山や緑地と同じように「削られる」危機に直面しています。

神戸新聞が月末に報じたところでは、スカイマークが減便撤退の穴埋めをするそうです。同社のサイトには中期計画がアップされていませんが、一連の報道をグラフにすると次のようになります。

2009年4月の就航予定とSKYの中期計画

 

 

 
















便

JAL

         

17

JTAなど

   

     

ANA

       

SKY

           

17

α

増便時期

 

A

@

B

A

C

C

SKY増便

 

@'09年12月

A'10年(4〜6往復便)

B'11年〜'12年

C'13年〜'14年(検討)(『神戸新聞』1月31日)

 

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2009年1月10日に追加

前年割れ10か月連続に
乗客数減は25万人(
暦年)

神戸空港の利用者数は減少の一途を辿っています。神戸市の月例発表より。

 '08年旅客数 2,703,294
 '07年旅客数 2,961,471
 増減 -258,177
 
 
1月 2月 3月 4月 5月 6月
'08旅客数 221,920 228,225 276,018 218,861 235,024 200,592
'07旅客数 210,665 218,781 285,976 221,125 248,692 231,674
増減 11,255 9,444 -9,958 -2,264 -13,668 -31,082
 
7月 8月 9月 10月 11月 12月
'08旅客数 201,205 249,344 228,911 224,312 214,509 204,373
'07旅客数 238,363 292,552 268,320 249,263 251,901 244,159
増減 -37,158 -43,208 -39,409 -24,951 -37,392 -39,786

12月の特徴は、対前月で「提供座席数」は増なのに、旅客数は1万人もの減少を記録したことです。

「提供座席数」は一昨年の12月、401,879席と開港以来3度目の1か月に40万席の大台を記録しました(他の2回は、開港初年度末の1月と3月)。いずれも大の月で、12月はルミナリエ観光や帰省客など。しかしその前後の月(9月以降とその後ずっと)は、すでに提供座席数でも対前年減少をし始めていました。その 一昨年12月、ANAは搭乗率で55%を割り(54.8%)、全社で今年は317,914席と8万席余も少ない結果となったのでした。一部あいまいな表現を訂正し、誤りを削除しました。1月13日

「提供座席数」は空港管理収支(空港特会)に連動します。ANAへの神戸市の「話し合い」を、年末の市長定例会見は最後には「口を出せない」としながら、次のように記者に答えています。'96年12月の飛行場設置許可についての公聴会(当時の運輸省主催)には、ANAもJALも公述し、路線や便数まで約束したわけではありませんが、神戸空港は必要だと主張しました。私もその一人ですが公述人164人という歴史的公聴会でした。

記者  空港の関連になりますが、全日空の羽田便の3便のうち昼の便をなくす方向で考えていることが一部報道で出ていますが、市長の考え方を伺いたいのですが。
矢田市長  この羽田便の減便は何としても維持してほしいと、先日も全日空の本社へ神戸商工会議所の水越会頭と一緒に、今後の神戸の便数維持について、ぜひ配慮していただきたいと、かなり時間をとっていただいて話をしてきたところです。重ねて副市長も何回も全日空と話し合いをしている状況です。 これは神戸空港だけの問題ではないのです。全国の空港全体について、全日空の経営の状況から考えて見直しを図っていかないといけない、と言われています。しかし、実際に利用される人の利便を考えたときに、搭乗率がとても高く、あえて便数を減らすことは、ちょっと理屈に合わないのではと話をしています。
記者  そのような理屈に合わないことを、市長の主張に対して全日空側はどういったお答えをされているのですか。
矢田市長  全日空は、全国で様々な便を運航しているため、神戸だけ現状のままで考えていただくのかどうかはわかりません。 考えてみると、原油が高騰したことによって海外便ではサーチャージを課金し、この高騰に対する手段として随分経営努力をされたようです。今回の場合は、普通に考えたら原油価格は急落したわけですから、下がっているのに何故という話になります。やはり、先物買い的に予約をして調達を考えておられるようですから、そういうようなことも何か要因であるのかなと思わないことはないです。これは各社の経営の中身であり、我々が立ち入れないので申し上げることではないです。
太字は引用者。

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2008年12月16日に追加

前年割れ9か月連続に
羽田激減その他も厳しく

おはよう新社会党です』第559号は、世界同時不況に対し自治体の備えがいかになかったかを訴えました。その脇に次のグラフと短いコメントを載せました。

神戸空港(空港特会)は、'08年度、着陸料収入835百万に対し支出1,515百万円で兵庫県が243百万円の補助金を出す。利用者数と着陸料収入はほぼ連動。何より、来年度から埋め立ての借金返済(毎年200〜660億円)が始まる。

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2008年11月8日に追加

8か月連続 対前年割れ

昨年の9月から顕著になった「提供座席数」(=着陸料収入)の減少は、ついに昨年12月を例外として14か月連続となりました。

「利用者数」(乗降合わせて)は、'07年度の合計が294万人でしたが、今年9月までの1年間で280万人、10月までの1年間では278万人とさらに減少しました。神戸市が空港建設の根拠とした「319万人」の87%です。

スカイマークのパイロット2人が退職したために大量の欠航を出した「スカイ・ショック」(兵庫県関係者)は6月・7月の激減となりました。しかし、乗客数の減少は3月から、提供座席数の減少は昨年の9月からで、今も続いています。

下がり続ける法則があろうはずもないのですが、麻生内閣の支持率や世界の株価と一緒で、「底割れ」を心配している向きもあるようです。少なくとも「ご祝儀相場」が空港にもあったようです。

神戸空港の開港は'06年2月16日。'07年度は実質「開港2年目」'08年度は「開港第3年度」です。

'07年度上半期

4月

5月

6月

7月

8月

9月

利用者数(乗・降)

221,125

221,125

231,674

238,363

292,552

268,320

対前年同月(%)

102.7

105.5

110.1

115.6

119.9

110.6

 

'07年度下半期

10月

11月

12月

1月

2月

3月

利用者数(乗・降)

249,263

251,901

244,159

221,920

228,225

276,018

対前年同月(%)

105.9

112.5

116.6

105.3

104.3

96.5

 

'08年度4〜10月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

利用者数(乗・降)

218,861

235,024

200,592

201,205

249,344

228,911

224,312

対前年同月(%)

99.0

94.5

86.6

84.4

85.2

85.3

90.0

 
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2008年 9月7日に追加

チャーター便飛べど

久しぶりにあすの『おはよう新社会党です』に神戸空港問題を書きました。今年4月に「3月までの7か月間で、対前年乗客減が6か月」と報告しましたが、さらに4月以降も対前年割れが続いています。6月・7月にスカイマークが「パイロットが2人辞職して大量欠航」となったことが大きな原因ですが、その後も対前年同月の減少幅は、いっそう大きくなっています。

対前年減少幅がだんだん大きくなっています

 

4月

5月

6月

7月

8月

'07旅客数(A)  221,125 248,692 231,674 238,363 292,552
'07提供座席数 363,158 374,625 345,559 375,294 391,561
'08旅客数(B) 218,861 235,024 200,592 201,205 249,344
'08提供座席数 358,381 343,289 311,860 317,946 329,368
(B)−(A) ▲2,264 ▲13,668 ▲31,082 ▲37,158 ▲43,208

ついに対前年同月で、4万3千人の減少です。凄まじい減少です。

下の表のように、旅客数は開港初年度とぴったり同じ水準です。一方、「提供座席数」が大幅に減り、航空会社にとっては効率的な「機材の運用」ができたということでしょう。

日経新聞が、8月28日から30日まで「航空・逆風下のサバイバル」という特集をしましたが、それに符合するものです。「運んだ空気の量」が大幅減少、着陸料を節約し、原油高や世界の航空不況に対処しているということでしょう。

ただし、神戸市の収入面では着陸料に直結するのは提供座席数であり、小型化・効率化を進める航空各社の動向は、神戸空港には暗雲が立ちこめます。神戸市の計画では旅客数が年間319万人、その機種は今はないジャンボなど超大型まで見込んでいたのです。エミレーツ航空がドバイから飛ばす新開発の800人乗り(富裕層向けは450人くらいらしい)では関空でさえがエプロンからはみ出すと言うし・・・。

  4月 5月 6月 7月 8月
'08旅客数(B) 218,861 235,024 200,592 201,205 249,344
'08提供座席数(C) 358,381 343,289 311,860 317,946 329,368
'06旅客数(C) 215,267 235,655 210,395 206,115 243,979
'06提供座席数(D) 348,001 361,188 359,521 372,330 370,673
(C)−(D) 10,380 ▲17,899 ▲9,803 ▲54,384 ▲41,305

『おはよう』には、次のように書きました。資料は神戸市です。

熊本便復活・国際貸しきり便飛ぶも誤字訂正

乗客減そして収入減

 神戸市は8月の神戸空港利用者数を公表しました。スカイマークがパイロットが2人やめて大量の欠航を出した6月、7月から回復基調にあるものの、旅客数は開港初年度(06年)に逆戻りです。旅客数が前年を下回る傾向は昨年9月から続き、丸一年となりました。まだ一度も当初計画の年間319万人に届いたことがありません。旅客数・便数の減少は着陸料収入の減少に直結、ますます兵庫県の補助金への依存を強めそうです。

 兵庫県と神戸市は、来年度国家予算に対する要望で、「神戸空港の便数倍増と運用時間の延長(深夜運行)」を掲げました。カナダ製のプロペラ機での熊本便「復活」や、神戸・天津友好都市35周年記念事業で貸し切り便(オウンユースチャーター機、市長ら200人)を飛ばすなど、「利用者が多い」というキャンペーンに必死です。

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2008年7月12日に追加

利用者 減る一方

ついに羽田便の利用者数が10万人を割った!

けさの『神戸新聞』が市が公表した利用状況について、報じています。スカイマークのパイロットが2人減ったために運休が続き、その影響が搭乗者数=利用者数に顕著です。

下のグラフは、神戸空港の、そしてどの地方空港にとってもドル箱の東京・羽田便についてです。昨年12月から座席提供数は減り続け、利用者数は92,426人。一日あたり、鉄道乗客数と同じ数え方(それぞれの駅からの乗車人数をカウント)をすると、1,540人となりました。

 

対前年同月・航空会社ごとの乗客数で見ると、ANAも4月=96.6%、5月=98.0%、6月=99.7%と苦戦、JALは対前年では伸ばしていましたが6月は97.4%と落ち込みました。SKYは4月=90.0%、5月=73.0%、6月=57.8%です。

全路線合計での乗客数(乗・降)のピークは'07年3月の285,976人で、逆にこの6月の200,592人は、開港直後以来の少ない数字です。再来年には単純平均で毎月335,833人が乗降する計画なのですが・・・。

燃料高から関空や中部空港の国際便は80%の搭乗率がある路線でも、各社が撤退表明しており、原油高の影響は今後現れてくる見込みで、先行き、ますます危ない雰囲気です。

何度も言いますが、もっと危ないのは来年度から始まる造成費の元本返済資金です。

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2008年4月21日に追加

利用はピークを越した?

いろいろありながら開港以来、乗客数を増やしてきた神戸空港ですが、3月の利用実績が公表され、第一年度に続き第二年度'07年度も、「319万人」に届かず、「297万人」(これ自体は対前年度24万人増)だっただけでなく、重大な一つの事実が明らかになりました。

搭乗者数が増えるに従って航空会社は便数や航空機の機種(「機材」)を変更します。搭乗可能人数を「提供座席数」と呼びます。勘違いしている空港もあるようですが、機材に合わせて搭乗者数が増減するのではなく、搭乗者数に合わせて「提供座席数」は決まります。航空会社経営は科学または算術です。逆に言えば、空港さえ造れば搭乗者数は、そのキャパシティに合わせて増えるというのは空想であり、非科学です。本四架橋をキャパシティに合わせて車が通らないのと同じです。

さて神戸市が先に発表した年度末までの集計で、提供座席数は、第一年度より第二年度の方が少なかったのです。

  第1年度 第2年度 増減

提供座席数

4,534,246 4,435,741 ▲98,505

搭乗者数

2,738,143 2,972,212 +234,069

つまり、空席は実に33万席も減らすことができた訳です。空気を運ぶか客を運ぶか、航空各社にとってきわめて大切な数値は、劇的に好転しました。

対前年度の増減だけを月ごとに表にしたものは以下のとおりです。<+>は増、<▲>は減です。6月まで新潟、熊本便があり、代わって7月から石垣便が加わるなどの変更もありました。旅行代理店が「仕入れ」と呼ぶ「企画商品」に合わせた予約があって、航空各社は機材を選定します。開港直後と国体のあった第一年度は、航空各社の期待どおりに搭乗者数が伸びなかった。第二年度は期待を裏切られないように「提供座席」を航空各社は減らした。ということでしょうか。季節的な変動もあり、一概に▲が増える傾向だとも断言できませんが、SKY社の動向なども報じられており、熊本便復活というすごいニュースも伝えられていますが、「ピークを越した」と考えるのは早計でしょうか。

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

なお、2ヘクタールの売却が決まりそうで、「売却にはずみがつく」と『神戸新聞』が2月に報じ、神戸市が3月21日に1.6ヘクタール(16,210平米)の契約が完了したと公表した用地は、'04年度に売却を開始した「保管施設用地」と「業務施設用地」(このページの昨年5月17日の図のKL)で、あわせて2.5ヘクタールの一部です。かねてヒラタ学園が進出すると言われてきた「小型航空機機能用地(固定翼)」の一部(同図F)は、三分の二を借地で、三分の一を売却で。訓練飛行に滑走路が使われることになるのは来年4月以降のようです。

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2008年4月3日に追加

新年度は管理収支の赤字必至

開港3年目・2008年度、神戸空港は早くも正念場を迎えます。例年どおり、予算定例会の港湾交通委員会にみなと総局が出した'07年度の決算見込みが4月1日付でホームページにアップされました。

空港島の埋め立て・造成など、神戸市民がもっとも心配してきた「臨海部土地造成事業」の巨額の起債償還は、'09年度から(10年債ですから)です。空港島の、使い勝手は悪いのに高価な(27万円/平米)土地が、今年中にどれくらい売却できるか、売却のために値下げするのか、想像もつきません。

一方、県からの補助金や地方交付税、あるいは航空機燃料譲与税をドンと投入する「管理収支」の方は、比較的健全だと見られてきたのですが、早くも第2年度で赤信号がつきました。収入は、4億円もの予算との乖離があります。

市が発表している数字は以下のとおりです。この調子ですと、'08年度は予算との乖離が5億円、'09年度には7億円、2010年度以降は着陸料が想定の半分程度しか入らないということになるのではないでしょうか。

(単位:百万円)
年度 '06年度 '07年度 '08年度 '09年度 '10年度 '11年度 '12〜'14平均 '15年度

着陸料予算

779 1,220 1,305 1,592 1,667 1,667 1,719 1,754

同上決算

899 836            

収入合計予算

1,187 1,861 2,021 2,448 2,666 2,640 2,932 3,097

同上決算

1,493 1,466            
                 

収支予算

115 541 429 499 439 165 148 297

収支決算

478 136

         

下はこれをグラフ化したものです。

始まった'08年度以降、さらに着陸料収入が増えつづけるという予定だったのですが・・・。


2008年1月31日に追加

319万人に届かず  さらに2年間

スカイマークが<神戸−羽田>便を4月から2便減便する意向であることを、『神戸新聞』がネット版できのう報じました。2月で開港から2年を迎えますが、実質初年度の'06年度2,738,143人、そして'07年度は12月までで2,246,049人、神戸市は「当初319万人、2010年度から403万人、2015年度434万人」と搭乗者数を見込んできました。今年度、開港以来最大の搭乗者数を記録することは確実ですが、開港初年度見込みに今年度も到達しないことも確実になり、その上、27便から25便に減便されることで、来年度('08年度)も目標到達は難しくなりそうです。

あらためて神戸空港の「見込み」を表にすると以下のようになります。

年度 '06年度 '07年度 '08年度 '09年度 '10年度 '11年度 '12〜'14計 '15年度
(平成 年度) (H.18) (H.19) (H.20) (H.21) (H.22) (H.23) ・・・ (H.27)
搭乗者数見込み(万人) 319 319 319 319 403 403 (@403) 434
  同 実績 (万人) 273              
着陸料収入見込み(百万円) 779 1,220 1,305 1,592 1,667 1,667 5,157 1,754
一日の便数見込み 27 27 27 27 30 30 (@30) 30
    同  実績 27 27 25          
建設費の利払い(百万円) 323 547 795 1,148 1,411 1,654 5,890 1,977
建設費の元金返済(億円)       265 650 374 693  

空港管理収支は開港直前にようやく明らかにしたものですが、着陸料の他に「地方交付税」「県補助金」「航空機燃料譲与税」が「税金を投入しない」という表向きのポーズをとりながら、実は投入されています。

地方交付税は、大阪府知事になる橋下氏が「府債ゼロ」という前言を取り消して「地方交付税で国が措置してくれる府債は借りた方がトクだ」と、きょう発言したらしいですが、まさにそれです。しかも「措置する」のであって「交付」はドンブリ、福祉関係の交付税と一緒になっていますので、実際はこの額が国から市へ送金されるものではありません。

県補助金は、県の行革新プランとやらで先々どうなるか分からない上、これも「半分は県が負担してね」と神戸市が要求しているに過ぎないものです。法制度的な「枠」はありません。市バスの運行補助まで打ち切る兵庫県が空港の運営にピーク時で4億も出してくれるのだそうです。病人の布団ははぎ取るけど旅客には手厚く?

航空機燃料譲与税は、話題の道路特定財源と似ていて、本来、炭素税的な、環境税的なものですから、広く神戸市域全般の環境保護のために使うべき性格の国税です。

これらがあるというものの、上の表で利払いが着陸料で賄えなくなる時期が間もなくです。便数と着陸料まで見込み違いが生じたというスカイマークの部分撤退は、大きな問題です。なお、神戸市の収支計画は、市のサイトにあります。

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2007年5月17日に追加

あらためて空港島売却計画について

神戸市は空港島の財政計画について、'98年に出した計画とその後の実績とを比較するデータをホームページにアップしています。(従来は手書きのものでしたが、2007年3月20日付で、PDFですが実績を斜体で表しています)

要約すると以下のようになります。官庁会計風に言うと「留保資金は48億円執行した」となります。

これを平易に言うと造成工事費は281億円、計画より少なくすんだが、工事中に売却できる予定だった土地が売れず、収入は568億円少なかった(予定の4割だった)ため、銀行から計画より239億円多く借り入れ、なお足りなかった資金は、48億円を流用した。48億円という額は、おおむね新都市会計から一般会計に繰り出すことを取りやめた金額と見あうものです。

なお、「実績」と言っても2007(平成19)年度の土地売却収入121億円を、見込んだ数字です。

    計画 実績
支出 工事費 2,482 2,313 169
利 息 298 186 112
2,780 2,499 (A)281
財源 起 債 1,743 1,982 239
土地処分 1,037 469 -568
2,780 2,451 (B)-329
新都市整備事業基金から繰り出し

48

起債が年度ごとに、どう膨れあがったか単位:億円)
  計画 実績 償還年度
'99(H.11) 384 265 2009
'00(H.12) 691 650 2010
'01(H.13)

463

374 2011
'02(H.14)

186

280 2012
'03(H.15) 19 205 2013
'04(H.16)   208 2014
1,743 1,982  

 

起債償還(借金の返済)はどうなっているでしょうか。

(4) 起債の償還

起債の償還は平成21年度から平成25年度までとなり、これについては上記1,037 億円以外の土地処分収入約2,000 億円を充てる。

というのが、'98年に提出した財政計画です。

まず、平成15年度までの5年間で起債が終わる予定でしたが、償還は2009(平成21)年度から6年間ということになります。

そして、「上記1,037億円以外の土地処分収入約2,000億円」があり、「上記1,037億円」のうち未だ入って来ていない土地処分収入が568億円も、あるのです。つまり、2,568億円を確保できるのです。いや確保するために土地を販売しなければならないのです。

この際、まだ0.3ヘクタールだけが民間売却という状態で、値下げを断行した空港島の土地売却計画を振り返ると以下のとおりです。計画の上ではすべての土地が3月31日までに「処分開始」となっていました。

地図も表も、初めて作ったのではありませんが、我ながら一番よくできました。お入り用の方は転載してお使いください。

番号 用 地 名 処分開始年度 面積 売り上げ 処分単価
(ha) 予定収入(億円)
@ 空港施設用地 平成14年度 6.7 17.42 26,000円/平米
A 空港施設用地 平成15年度 93.9 244.14
B 空港施設用地 平成16年度 37.7 98.02
C 旅客ターミナル用地 平成14年度 4.5 121.50 270,000円/平米
D 貨物ターミナル用地 平成15年度 2.8 75.60
E 駐車場用地 平成14年度 8.0 216.00
F 小型航空機機能用地(固定翼) 平成16年度 13.5 364.50
G 小型航空機機能用地(回転翼) 平成18年度 12.8 345.60
H 航空機サービス機能用地 平成16年度 11.5 310.50
I 航空機関連機能用地 平成16年度 7.1 191.70
J 総合物流施設用地 平成16年度 8.4 226.80
K 保管施設用地 平成16年度 1.4 37.80
L 業務施設用地 平成16年度 1.1 29.70
M 輸送用機械器具製造業用地 平成18年度 14.6 394.20
N 鉄軌道車庫用地 平成16年度 7.8 210.60
O 緑地(利便施設用地) 平成18年度 4.4 118.80
    236.2 3002.88  

 

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2007年3月28日に追加

3たび「ありとキリギリス」について本会議で語る

本会議で「ありとキリギリス」を語ったのは、初めてではありません。最初は'93年に神戸空港に反対の表明をしたとき、2度めは、大震災の後でした。今度が3度めです。そして最後です。

 つぎに、神戸空港について総括・検証を求め、また市民意見を反映することを求める請願第178号および請願第179号について討論します。

 市長は、本定例会で神戸空港の用地処分について5割引や定期借地等の方針を示しました。

 思えば、開港してすでに1年。いや1年など、この20世紀から21世紀へとまたがった長大計画にとっては一瞬の出来事です。埋め立ての開始は99(平成11)年、埋め立て免許の出願は住民投票運動を足蹴にする目的を持って98年10月、もっと遡れば基本計画検討委員会の設置は89(平成元)年です。なんと平成の19年間にわたって、「財源調達」を怠ってきた!ことになります。

 その間に大震災がありました。また住民投票で決めようと言う大運動もありました。立ち止まる何度もの機会を、わざわざ見過ごして開港し、そして1年、その上に5割引なのであります。

 19年ぶりに財源調達方針が初めて公表されたのです。それは「半額セール」でした。先ほどの粟原議員の討論で売買実例として今後の用地売却に、大きな影響を与え、ひいては造成事業費の調達そのものを不可能にするのではないかと指摘したところです。

 そもそも、半額セールは、生ものなどの売れ残りや季節商品を廃棄処分するより原価割れでも売ってしまった方がいいという商法です。土地は生ものでも季節商品でもありません。閉店前の大安売りを売り物にしたスーパーもありました。これもしかし、開店直後だけの大安売りではありません。

 ところがわが空港島の用地売却は、開店直後だけの大安売りというのであります。

 財源は工事費を100億円、安くできたから、と。これは大きな間違いです。私たちは消費者として予定より安価で購入できたことを、たしかに「もうかった」などと言います。これはしかし、「もうけ」ではありません。

 100個2万円で仕入れる予定のチョコレートを19,000円で仕入れることが出来た。お菓子屋さんは100個を店頭に並べて、そのうち10個だけ1個あたり100円引きの値段をつけ、あとの90個は元の定価をつけて並べたら、どうなるでしょう。この商法の大失敗の、最大のポイントは1,000円安く仕入れたことを「儲かった」と勘違いしたことです。1,000円余分に利益を得るのは、100個全てが売れたときであります。

  しかも、定期借地では固定資産税の収入も見込めません。
 そもそも、計画段階で経済波及効果を過大に宣伝し、空港が出来れば雇用が増える、空港が出来れば市民所得の拡大に貢献すると言い続けたのが、時の市長でした。

 私は「ありとキリギリス」に喩えて、神戸市政の歩むべき道を提起したことを、今思い出しています。

 なぜ、いま、一人あたり市民所得を政令都市の中でせめて、中位くらいにしたいと表明しなければならないのでしょう。なぜ今、雇用問題がなお深刻なのでしょう。それほど空港建設の19年間、市の財政も神戸経済も後退したのです。空港計画は雇用や市民所得について、出来もしない約束をちりばめてきたのです。

  あと10日ほどで終わる平成18年度は、全ての用地が処分開始を迎える年でした。埋立免許の期限も迫っています。

 環境問題、需要予測、財政計画、空域と海上交通の安全問題など、すべてについてチェックし、総括・検証してその実態を市民に明らかにするべきであります。

 請願を採択し、みなさん、市民との約束を果たそうではありませんか。

 以上、私の最後の討論といたします。

 

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2007年2月12日に追加

搭乗率の下落とまらず

開港1年を目前に、神戸空港への逆風は収まる気配がありません。路線の撤退、減便、長距離バスの撤退、搭乗率の下落・・・。地元では神戸空港はなぜつくったのかという批判の声が強まっています。「きょうの井上力」では、用地のバーゲンセールについて「この商法の問題点は?」と書きました。あすの『おはよう』は、吉田俊弘さんがつくった面とトップニュース、「吉田さんがニュースを解く」いずれも神戸空港問題です。

データを載せるのは後日にしますが、発表された1月の搭乗率がまた最低を記録しました。

井上「ようやく1月の搭乗率がアップされました」
某氏「搭乗率はアップどころか最低だったと新聞に載っていた」
井上「それがアップされたのです」
某氏「また偽装問題か」
なにかよく分からない会話でした。

1月までの搭乗率をグラフにして『おはよう』に載せました。

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2007年1月13日に追加

「神戸空港に438万人!」
偽装空港の本領発揮

神戸市みなと総局は毎月、神戸空港の利用状況を公表しています。

「年間319万人が利用する空港をつくって、どこが悪い」と、開き直ってきました。ところが搭乗者数は一向に増えず、2月の開港からやがて1年を迎えるというのに、やっと100万人を超したところなのです。11月末までの累計で1,092,008人というのが正確な数字です。

もっとも、「需要予測319万人」という数字は、神戸空港の乗降客数だと説明されてきました。

定義は以下のようになっているようです
空港 搭乗者数 出発便に乗る人の数
旅客数 出発便と到着便の両方を数える
旅客機 搭乗者数 座席に座っている人の数
鉄道(駅) 旅客数 駅で乗る人(切符購入者)の数
乗降者数 ラッチを通過する人の数
バス 乗客数 乗って1人、降りて1人と数えるはずがない
タクシー 乗客数 同上

ことばは、よく似ていてもまったく異なるものを示すことがあります。白紙は何も書いてない紙または白い紙ですが、白書に何も書いてなかったら様になりません。「底上げ」と言えば何かの水準を上げることですが、「上げ底」は多く見せるため底に空洞をつくった箱や、転じて、統計数字などをごまかすことです。近年の流行語では偽装です。

神戸空港の需要予測は「上げ底」だ。構想の段階から広く指摘されてきました。そこで「底上げ」をすればいいのに、とうとう「上げ底」をしてしまったのが、神戸市です。ことばは、ちょっと似ていても早とちりをしてはいけない見本です。

神戸市が先日発表した「神戸空港利用状況」は、搭乗率低迷と報じられました。年末の利用者が多くなる時期を含んでも53.1%ですから、その報道は正確でした。

グラフが人の目を欺くのではありません 神戸市の発表です

路線の撤退・減便にうなされた関係者の初夢が、グンと折れ線グラフがあがる夢だったかどうか?

搭乗者数の発表にあたって、当初から見学者数を加えて「上げ底」してきましたが、12月にはついに10万人を割り込み80,731人。「入場者数」を「入館者数」と言い換え、「搭乗者数」を「旅客数」に言い換えた結果が「開港以来438万人が神戸空港を利用した」となるのです。これを偽装と言わずに何というのでしょう。せめて年度替わりにしてほしい。

提供座席数(A)、旅客数(B)、座席利用率(C)は航空会社にとって大切な定義と数字です。クーキを運ぶためにヒコーキを飛ばす航空会社はありません。クーコーのためにヒコーキがあるのではなく、ヒコーキのためにクーコーがあるのです。C=B÷A×100が搭乗率です。

神戸市みなと総局のように、空港の出口でも通る人の数を数えてみても、座席利用率が2倍になったりしないのです。53.1%が2倍になったら、立ち席券を売りたい航空会社が現れないとも限りません。「東京まで2,500円。バスより安い」・・・なんて。学力低下のきわみ。偽装もここまでやるか。だれかがいい初夢を見た代わり、私は悪夢にうなされそうです。

「560万県民が1年間でやがて1回ずつ神戸空港を利用した」と報告しないと、県税の神戸空港へのたれ流しを止められてしまうのかも知れません。


2006年12月27日に追加

あいつぐ撤退(続報)

けさの新聞が報じた神戸空港の路線撤退について、昨日付でみなと総局がだした文書は以下のとおりです。就航都市が「2減1増」7から6へ減少です。就航府県では7から5へ2減です。

 さて、このたび、株式会社日本航空及び全日本空輸株式会社より、神戸空港に係る平成19 年度の路線便数計画について、下記のとおり報告がありましたので、お知らせいたします。

 今後とも神戸空港の利便性向上及び利用促進に努めてまいりますので、引き続きご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。

1. 新千歳線を1 往復増便するとともに、石垣線を1 往復新設する。

2. 仙台線(1 往復)、熊本線(1 往復)を休止する。

*上記の実施時期は、6 月〜7 月で調整中

全日本空輸

1. 東京線、那覇線を各1 往復増便する。

2. 新千歳線を1 往復増便するとともに、新潟線(1 往復)を休止する。(移行時期は6 月中を目途とし、4 月から6 月の運航頻度は調整中)

3. 鹿児島線(2 往復)を休止する。

*上記1、3 の実施時期は4 月で調整中

(参考)

1. 現在の運航状況

鞄本航空10 往復
  (新千歳2、仙台1、東京2、熊本1、鹿児島2、那覇2)

全日本空輸10 往復
  (新千歳2、仙台1、新潟1、東京2、鹿児島2、那覇2)

2. 再編後の運航予定

鞄本航空10 往復(新千歳3、東京2、鹿児島2、那覇2、石垣1)

全日本空輸10 往復(新千歳3、仙台1、東京3、那覇3)

*なお、スカイマーク鰍ェ東京線7 往復を運航。(平成19 年2 月・3 月ダイヤによる)

石垣へのJALは直行便(ANAは乗り継ぎ)です。これで関空から1便、伊丹から1便、神戸から1便となり、「大阪神戸空港」の面目躍如?です。石垣への観光客を広く関西全域から集めるという考え方が功を奏するかどうか。『神戸新聞』によれば「潜在需要はある」というJALの見解だそうです。

それにしても、旅行代理店が押さえている団体前売りは、それほど少なかったということのようです。便がなくなる新潟、熊本でも、これが可能なのは、近くに伊丹から新潟、熊本への便がある、いや元々あったからです。旅行社の「仕入れ」のリスクも小さく、航空会社に路線の撤退と就航を容易にしたという点で、神戸空港はその方面では高い評価を受けるのです。

トータルで、新千歳6便、東京12便、那覇5便、その他4便(鹿児島2、仙台1、石垣1)となります。11月の那覇便搭乗率は46.1%です。開港1年もせずに「乗って残そう○○便」運動と、加えてベイシャトルのために「海から行く関空は近い」運動という2正面作戦となり、加えて神戸空港にはさらに2つの財政問題が立ちはだかります。

一つは、空港会計で、当面毎年約2.5億円ずつ起債償還額が増えることへの対応です。「着陸料収入で賄う」と明言してきましたが足りず、県費に頼らざるを得ませんでした。

もう一つは、造成財源の大半を工事中と完成後の土地売却で賄うと明言してきたのに、土地が売れていないことです。当初計画では「最後の土地の売却開始は'06(平成18)年度」でした。あと3か月であの水たまりを売りに出すことなど、できるはずがありません。


2006年12月25日に追加

あいつぐ撤退

神戸空港に就航する3社のうち、JALとANAが路線撤退を検討していることが明らかになりました。

神戸新聞が12日に報じ、東京新聞など、ほぼ全紙が追いました。また空港特別委員会で、みなと総局長は「聞いていない」としながらも、それぞれ撤退となると乗降客数と着陸料収入がどう減るかを答えました。検討されているのはANAの新潟便、ANAの鹿児島便、JALの熊本便などです。

搭乗率

11月

2〜11月

伊丹便

関空便

新潟
(ANAのみ1往復)
38.0% 33.9%

ANA4便
JAL4便

鹿児島
(両社で4往復)
48.2% 41.6%

ANA6便
JAL7便

ANA2便

熊本
(JALのみ1往復)
41.0% 32.4%

ANA4便
JAL4便

仙台
(両社で2往復)
45.7% 45.1%

ANA系6便
JAL6便

『東京新聞』(共同通信)が確定的に報じていますが、ANAは新潟、鹿児島をやめて、札幌、那覇に各1便増やすようです。

神戸空港は「7つの都市と結ばれている」が自慢ですが、雲行き怪しくなり、おまけに、伊丹とは7つどころかもっと多くの都市と元々、結ばれていたのでした。しかも数多く。


2006年11月12日に追加

スカイ便、搭乗率回復したが・・・

神戸市が毎月初めに発表する神戸空港の搭乗実績ですが、今月は未発表です。東京便のスカイマークだけネット上で公表されましたのでグラフをつくりました。われながら「いまどきの神戸空港」に、熱心なことです。

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

10月

搭乗者数

25,865

69,176

59,794

62,469

58,337

54,671

61,163

52,289

59,462

搭乗率

84.0

90.5

83.8

85.4

78.8

71.2

79.6

63.1

72.7

スカイマークは「搭乗率8割で採算ライン」(西久保慎一社長)としています。9月が63.1%と就航以来最悪の搭乗率でしたが、10月は持ち直して72.7%です。もっとも、これでも月ごとに見たとき、悪い方から3番目で、5月を最後に8割に到達していません。

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2006年10月12日に追加

質的に変化し始めた神戸空港

9月までの「神戸空港利用状況」が発表されました。神戸市は開港後のデータを発表しています。3月末までと新年度とわけると、4月から9月まで'06年度上半期は乗客数1,353,980人となり、「初年度319万人」という広げた風呂敷は、やはり大きすぎました。厳密に言えば「初年度は目標にまったく届かず35万人」でした。

搭乗率を上げて効率化を競い合う航空会社の目標に照らして、それを裏から見れば、何とわずか半年で約100万席の空席を運んだのです。空席の上には空気しかなく、つまり海上アクセス同様に、「空気を100万人分運んだ」のです。

冗談はさておき、各月の乗客数、利用可能座席数、搭乗率は、路線別に以下のとおりです。以下、特徴をグラフで示しましたので、お使いください。またデータもpdfより使いやすくしています。搭乗率は航空会社発表の数字と若干異なります。緊急用の空席の扱いの違いではないかと思われます。

  乗客数 座席数 搭乗率 乗客数 座席数 搭乗率 乗客数 座席数 搭乗率
新千歳 15,325 17,888 85.7 32,495 42,490 76.5 33,566 57,480 58.4
仙台 4,570 8,216 55.6 9,222 19,282 47.8 6,501 18,719 34.7
新潟 2,167 3,848 56.3 4,472 10,132 44.1 3,771 16,644 22.7
羽田 51,103 59,253 86.2 122,123 143,546 85.1 109,678 143,438 76.5
熊本 1,702 3,900 43.6 3,158 9,290 34.0 2,475 8,650 28.6
鹿児島 9,277 15,966 58.1 16,892 38,532 43.8 14,648 37,470 39.1
那覇 25,929 34,484 75.2 55,711 81,932 68.0 44,628 65,600 68.0

110,073 143,555 76.7 244,073 345,204 70.7 215,267 348,001 61.9
1日平均 8,467 11,043 76.7 7,873 11,136 70.7 7,176 11,600 61.9
 
  乗客数 座席数 搭乗率 乗客数 座席数 搭乗率 乗客数 座席数 搭乗率
新千歳 43,080 59,693 72.2 46,322 58,020 79.8 43,869 61,240 71.6
仙台 7,681 19,437 39.5 9,167 18,685 49.1 7,003 19,292 36.3
新潟 3,859 14,880 25.9 1,661 4,440 37.4 1,651 4,440 37.2
羽田 112,243 149,747 75.0 100,033 145,546 68.7 98,178 151,172 64.9
熊本 2,806 8,990 31.2 1,924 8,760 22.0 2,255 9,040 24.9
鹿児島 17,409 38,874 44.8 11,622 37,370 31.1 12,790 38,584 33.1
那覇 48,577 69,567 69.8 39,666 86,700 45.8 40,369 88,562 45.6

235,655 361,188 65.2 210,395 359,521 58.5 206,115 372,330 55.4
1日平均 7,602 11,651 65.2 7,013 11,984 58.5 6,649 12,011 55.4
 
2月からの累計
  乗客数 座席数 搭乗率 乗客数 座席数 搭乗率 乗客数 座席数 搭乗率
新千歳 44,456 59,954 74.2 54,842 61,532 89.1 313,955 418,297 75.1
仙台 8,105 19,282 42.0 10,684 18,524 57.7 62,933 141,437 44.5
新潟 1,778 4,588 38.8 1,490 4,440 33.6 20,849 63,412 32.9
羽田 108,398 151,156 71.7 96,739 154,152 62.8 798,495 1,098,010 72.7
熊本 3,029 9,155 33.1 2,895 8,440 34.3 20,244 66,225 30.6
鹿児島 16,828 38,564 43.6 14,620 36,758 39.8 114,086 282,118 40.4
那覇 61,385 87,974 69.8 61,299 86,065 71.2 377,564 600,884 62.8

243,979 370,673 65.8 242,569 369,911 65.6 1,708,126 2,670,383 64.0
1日平均 7,870 11,957 65.8 8,086 12,330 65.6 7,525 11,764 64.0

7月に平均搭乗率が55%まで落ち込みました。8月、9月はやや持ち直してトータルの搭乗率と同じ、60台%半ばの平均搭乗率へと回復しました。夏休み・お盆は航空会社にとっては書き入れ時、加えて兵庫国体が9月30日から始まったことなどと合わせ、好調に推移したようです。新潟便も「乗客2割」の状態から脱しました。路線別の搭乗率は、次のとおりです。新潟(ANA1往復)、熊本(JAL1往復)、鹿児島(JAL,ANA各2往復)と、採算路線とはくっきりとグループ分けができています。ただ9月の仙台(JAL,ANA各1往復)が好調です。

3社の搭乗率を比べると以下のとおりです。大手2社がじわじわと追い上げ、ついにSKYに搭乗率で追いつきました。もちろん乗客数ではJAL、ANA、SKYの順に、完全な序列がつきました。

75%の搭乗率で採算ラインというSKYの落ち込みは、羽田線全体に影を落としています。

ビジネス客、東京便が生命線と言われてきた神戸空港ですが、「地方路線にテコ入れを」(矢田市長)なんて言っているうちに、9月はついに、座席では41.7%を占める羽田便の乗客は、神戸空港利用客の39.9%に過ぎないという、初めて逆転現象を起こしました。

羽田(東京便)の占める割合(単位:%)

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

旅客数

46.4

50.0

50.9

47.6

47.5

47.6

44.4

39.9

座席数

41.3

41.6

41.2

41.5

40.5

40.6

40.8

41.7

神戸市営航空会社の身代わりと言われるSKY社。伊丹から溢れるビジネス客の受け皿として十分成り立つとされた神戸空港。質的に変化し始めています。

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2006年8月17日に追加

搭乗率低迷

きのう神戸空港は開港半年を迎えました。共同通信は以下のように配信しました。(西日本新聞8月15日より)

搭乗率55%、値上げ響く 神戸空港

 神戸空港は16日で開港から6カ月。“開港効果”も薄れ、7月の搭乗率は、羽田便の値上げが響き、開港した2月に比べ21ポイント減の55%まで落ち込んだ。9月にも就航する見込みの国際ビジネス便にわずかな望みを託さざるを得ない状況で、運航時間の延長などで巻き返しを迫られている。
 月別搭乗者は最多だった3月でも約24万人で、神戸市が目指す年間319万人に届かない。利用客の約半数を占める羽田便でみると、2月は86%だったが7月は64%まで減った。

乗客の半数近くが利用する羽田便は64.9%(7月)ですが、熊本便29.4%、鹿児島便33.1%、仙台便36.3%、新潟便37.2%、那覇便45.6%と低迷。羽田便と新千歳便(71.6%)だけが平均搭乗率を引き上げている状態です。

羽田便を9月から8便に増やすスカイマークの動向については、「 きょうの井上力」に書いたように重大なプレスリリースが8月11日付で出されています。「(大阪湾)3つめの空港」と「3つめの航空会社」の二人三脚は、どちらも苦戦し、足並みまで乱れかねません。

原油の高騰、機材購入にともなう経費増、自社で整備しトラブルを起こさないという当然の義務など、航空会社の経営環境は厳しいようです。一日平均乗客数と搭乗率(座席に占める乗客の割合)をグラフにしました。

  2月 3月 4月 5月 6月 7月
乗客数 110,073 244,073 215,267 235,655 210,395 206,115
搭乗率(%) 76.7 70.7 61.9 65.2 58.5 55.4
一日平均乗客数 8,467 7,873 7,176 7,602 7,013 6,649
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2006年2月23日に追加

管理収支「黒字」の怪

2006年2月21日神戸市みなと総局は、かねてからの約束に大幅に遅れて「神戸空港管理収支の見通し」を発表しました。予算事項として資料配付と記者会見をしましたので、報道は23日夕刊からとなり、『神戸新聞』は「'06年度黒字」と夕刊トップで報じました。

計画の当初から私たちが指摘してきたように、「市民の常識=神戸空港の非常識」丸出しです。支出の見込みにあわせて収入を「調達」すれば黒字になります。

発表資料の骨格は以下のとおりです。

   神戸空港「管理収支(合計以外はおもなもの)
         金額の単位は(百万円)

年度

'06

'07

'08

'09

'10

'15

着陸料収入(B)

779

1,220

1,305

1,592

1,667

1,754

地方交付税相当額

120

196

240

328

410

623

収入合計(A)

1,187

1,861

2,021

2,448

2,666

 

3,097

公債費(借金返済)

323

547

795

1,141

1,411

1,977

管理経費(E)

739

739

739

739

739

739

支出合計(C)

1,072

1,320

1,592

1,949

2,227

 

2,800

神戸空港に関する「会計」には、このほかに造成の「臨海部土地造成事業会計」、「港湾会計」、および三セクの「ターミナル会社会計」があります。

「管理経費は主に着陸料収入でまかなう」とされてきました。「市税は投入しない」とも。

ところが

(1)開港7年目から公債費=借金返済(元利)だけで着陸料収入を上回り

(2)着陸料収入はジャンボ4機、大型機4機など、どんどん需要予測にあわせて大型化し

(3)管理経費は10年間「ゼロ成長」(「豊かな神戸」「新たな飛躍」とは裏腹に。そして物価上昇からすればマイナス成長)

(4)たしかに市税ではないものの、地方交付税交付金という一般財源を「特定財源化」してこの会計に繰り入れ

(5)県補助金や航空機燃料譲与税は「もちろん」この財布に入れる

(6)国の「空港特会」にならって普通会計としての処理で、減価償却費は計上せず、貸借対照表もない、どんぶり勘定(いつか答弁でそのような表現が当局側からありました)

というのです。かくして毎年、黒字です。しかも本当に剰余が出るなら、一般会計に返済するべきだと思うのですが、積み立てると言います。補助金を出した県が黙っているかどうかはわかりません。ただ「神戸市一般会計」は黙って空港特会にお金が貯まっていくのを見つめるのだそうです。

3つのグラフをつくりました。便数が増え、管理経費も増大するはずなのに、着陸料収入と管理経費がいずれも「影が薄くなる」のです。完成していっそう、神戸空港の常識=市民経済に疲弊もたらす非常識が露呈しました。

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