井上力の 木曜コラム

バックナンバーその1

最近の木曜コラムへ TOPへ
バックナンバーその2へ 吉田俊弘さんの「木曜行動」ノートへ
バックナンバーその3へ 木曜行動へ
バックナンバーその4へ  
バックナンバーその5へ  
バックナンバーその6へ  

ここにはNO.1(チラシは35号2002年8月1日)から
NO.50(チラシは86号2003年8月21日)までをまとめました


なだ・平和のための木曜行動NO.86
2003年8月21日

50

住基ネットさらにアブナく

 住基カードが来週の月曜日から販売されます。

 『神戸新聞』が各自治体を取材して「行政は誇大広告」だと報じたその日、『にっぽんNOW』という「新聞」が各紙に折り込まれていました。トップの見出しは「住基ネットさらに便利に」。発行所は「株式会社今週の日本」と欄外に小さくあり、「編集協力」は「内閣政府広報室」。

 発行した会社の素性については後日に譲るとして、「住基ネットさらに便利に」の「さらに」か「便利」かのいずれかが誤植ではないかと目を疑いました。昨年来、「便利になった」と言う話を聞いたことがありません。

 「国民は身分証明をほしがっている」と自治体に命じて名簿とカネを出させ、「公的認証サービス」を開始しろ、そうすれば「さらにカード希望者が増える」ということのようです。

 25日、県内11市1町の住民が提訴します。訴訟サポーターも募集中。


なだ・平和のための木曜行動NO.85
2003年8月7日

49

百年まであと7年

 平和祈念式典で秋葉忠利市長は、平和への思いを、ことばを強めて語りました。秋葉市長になってから5度目の平和宣言です。

 とりわけNPT(核不拡散条約)から脱退し、核開発をやっていると宣言した北朝鮮の金総書記に対しては、ブッシュ大統領とともに「広島を訪れ核戦争の現実を直視せよ」と。

 世界最悪の戦争屋・ブッシュ相手に「瀬戸際外交」は通用しません。何より周辺の国に住んでいる私たち、そして私たちと一緒に暮らしている在日の人々の「いのち」を大切にしてこそ、です。ましてや日本は唯一の被爆国であり、核兵器廃絶が国民世論の国ではないですか。米・韓・中・ロ・朝・日6か国で話し合う機会に、何が何でも「北東アジア非核地帯」と「日朝正常化」を。

 朝鮮戦争終結50周年は、朝鮮半島植民地化百周年を平和に迎えるための最後の機会です。あと7年しかありません。


なだ・平和のための木曜行動NO.84
2003年7月31日

48

「自殺県内2番」の衝撃

 29日の『神戸新聞』には、とてもショッキングな見出しが踊っていました。「兵庫・長田・灘の自殺率突出」。同紙は、チームを編成し、特集を始めました。

 「人口十万人当たりの自殺率でみると、特に震災の被害が大きかった地域で、深刻な状況が浮き彫りに。97―01年までの五年間の平均で灘(31・1人)、兵庫(36・4人)、長田(27・7人)の神戸市内の三区が突出し、全国平均(23・3人)、県平均(22・3人)を大きく上回った」(同紙)。

 灘区の人口は12万人超ですから、5年間にわたってほぼ10日に1人が自殺した計算になります。

 全国で年間自殺者が3万人。うち1万人はバブル崩壊後に増えた分だそうです。

 まず死なないでください。まわりの人を死なせてはなりません。生命はつくれません。

 国と行政は、原因の除去と相談を受け入れる体制を。


なだ・平和のための木曜行動NO.83
2003年7月24日

47

2%のための行政?

 一昨日の『毎日新聞』夕刊によると、8月25日から販売される住基カードの発行予定枚数は、大阪府内で対象人口の1・8%にとどまるそうです。大阪府の内部資料から。なかでも人口の多い大阪市は248万人に対して1万枚で、なんと0・4%。「必要がない」「持つとアブナイ」「わからない」うえ、利用目的がはっきりしないことから少なく見積もったものと思われます。

 神戸市では、「延期するべきだ」(新社会党)「延期する考えはない」(助役)というやりとりが昨日発行の『議会だより』に紹介されました。神戸では外国人を除く145万人の対象者に対して3万枚。約2%の発行予定です。500円で売られます(所有権は神戸市にあるので「交付される」が正確)が、費用は1枚あたり3300円以上です。「記念に買う人も」(某主幹)と公務員が「一部のための奉仕者」になるのは憲法違反です。


なだ・平和のための木曜行動NO.82
2003年7月17日

46

これでは暴災大臣だ

 どこかのテレビが「暴言」「失言」「放言」は、それぞれどう違うのか、なんてやっていました。過去の政府答弁や、それに基づく省令・政令・通達・条例などと無関係に、国会でのやりとりがいいかげんになっていることと関係があるのでしょう。大臣級の発言が人を傷つけ続けています。

 7月11日、閣議後記者会見で鴻池よしただ・防災担当大臣が演じた時代劇は、きわめつきです。「両親は市中引き回しの上、打ち首」。しかも15日の閣議や前後の記者会見で「弁明」風の「開き直り」をくり返しました。

 非難の対象は2人。関係者が苦しむ長崎を訪ねて、現地の声がこうだと言うのならまだしも、そうではありません。逆に「85%は鴻池支持のメール」と、現地を混乱させる発言を、なお続けています。「神戸事件の少年はすでに社会に出ている」とも。大臣暴言による被害を防ぐ「防災」が必要です。


なだ・平和のための木曜行動NO.81
2003年7月10日

45

住基カードは何のため?

 住基ネットでひと騒動したのは昨年の8月5日からでした。ウシに10ケタ、ヒトに11ケタ。横浜市が四分の一の「望まない人々」の意向を受け入れ、矢祭町はきっぱりと離脱し、一年たちました。

 今度はごく一握りの「デジタル化した身分証明」をほしい人々(神戸では150万人のうち最大3万人)と、カード製造会社や政府の熱望で、住基カードが8月25日から販売されようとしています。IT大国化して1枚のカードで病歴の記録から買い物、納税にいたるまでできる社会をつくりたいという政府のごり押しの結果です。当面はパスポートの発給の際などに手続きが簡略化されるだけですが、慣れることから始めようというわけです。

 4ケタの暗証番号。今度は覚えておかないと大変なことになります。他人に知られてはいけません。去年は個人情報保護法抜きでしたが、今年は条例改正が間に合いません。


なだ・平和のための木曜行動NO.80
2003年7月3日

44

自治体職員を派遣するな

 国会は国民の気持ちからどこまで離れていくつもりでしょう。イラクへの「自衛隊以外」の派遣があたかも「平和貢献」で「いいこと」のように語られ始めています。「自治体職員をイラクに派遣するとすれば、安全な地域に」などと。

 私たちは自衛隊を派遣する国・地域には、医師であろうと自治体職員であろうと、送るべきではないと考えます。そこが戦場だからです。イラクの場合はPKO協力法に基づく派遣要件さえ整っていません。「大義なき戦争」「国連決議なし」「派兵している国はわずか」・・・。

 逆に軍隊が必要でなくなったとき、あるいは日本が「軍事貢献」をする必要がない場合、国連の決議に基づいて、武力によらない徹底した平和と民生のための国際貢献をするべきです。

 何も難しいことではありません。憲法の定めるとおり、日本と日本人が行動することが大切ではないでしょうか。


なだ・平和のための木曜行動NO.79
2003年6月26日

43

沖縄慰霊の日に

 6月23日の沖縄「慰霊の日」がいつになく大きく報道されました。沖縄にとってはいつもと変わらぬ「沖縄敗戦の日・6月23日」なのに。

 沖縄はずっと米軍優先社会。沖縄は変わらないのに、実は有事3法が国会を通過したことによって、沖縄を47番目の県としたこの国の形が大きく変わったからです。

 沖縄を47番目の県だと言ってしまうことが重大な誤りです。「島の形が変わる」ほどの艦砲射撃に始まり、この国でただ一か所、地上戦を経験し、実際には日本軍によって10万人もの民間人が見殺しにされ、今も「平和の礎(いしじ)」に毎年新たな名が刻まれる「戦場」、それが沖縄です。

 そもそも「有事」に住民を保護することは可能だろうか。沖縄戦の経験からそれを引き出そうとする若い新聞記者たちの記事で、各紙が埋められました。

 沖縄は一番早く「戦前」を経験してきました。


なだ・平和のための木曜行動NO.78
2003年6月19日

42

首相の代わり果たす秋葉市長

 広島市長の秋葉忠利さんの平和宣言は、毎年、世界の注目を集めています。世界で最初に核戦争を体験した都市の市長として、世界で最後に核戦争を体験した都市となるべき長崎市長とともに、祈念式典で読み上げる平和への発言を、首相や大統領の発言より、世界ははるかに重く受け止めています。

 その秋葉市長がキムジョンイル(金正日)総書記に今年の平和祈念式典への招待状を送ったそうです。

 秋葉市長は1月11日に北朝鮮がNPT(核不拡散条約)脱退を表明したことに抗議声明を出し、イラク戦争についても2月から3月にかけて、イラク開戦に反対する声明をブッシュ大統領やブレア首相に送りました。「核廃絶を願う式典」に総書記を招いたことに喝采を送りたいと思います。

 非核三原則を遵守すべき、いや憲法を守る立場にある首相の代わりを自治体が担っています。


なだ・平和のための木曜行動NO.77
2003年6月12日

41

片思いの手紙なのか

 5月28日『毎日新聞』「記者の目」の「(イラク)反戦の主張は正しかったのか」を、この欄で少し紹介しました。論説室の高畑昭男氏が「イラクに自由をもたらした戦争」に反対した「島国平和主義や傍観主義を捨てて、もう少し感性を研ぎ澄ませ」と書いておられました。

 その後10日以上たちますが、この間にもアメリカでは「大量破壊兵器をイラクが持っているという戦前の情報は間違っていたのではないか」という声があがり、バグダッド陥落後2か月たって、それはいまだに発見されていません。

 読者に実相を伝えることが目的の新聞として、またその論説として、「理想ですまない現実がある」「反戦の主張は正しかったのか」とは無茶苦茶です。

 手紙とメールをだしたのに、社からも記者からも、返事はありません。現実を見つめるからこそ理想を持とうとするのは片思いなのでしょうか。


なだ・平和のための木曜行動NO.76
2003年6月5日

40

商売上手な大統領

 サミットを報じる日本の報道は、総じて北朝鮮問題が議長声明に盛り込まれたことについての評価に終始しているように見えます。「旧宗主国」と「旧植民地」の関係のヨーロッパ的常識に、小泉首相が一生懸命、実情を訴えて切り込んだ、と。「それでも核武装はもっての他」だし拉致は強制連行と並べて論じるべきではありません。

 世界的な評価としては、イラク攻撃について「賛否半々」というこじれた状態を修復するためのサミットでした。

 私たちは「強いドル」という、対イラク戦費を事実上世界が分担することに合意したことに、着目しています。ドルがユーロより20円も安くなっていますが、元に戻して「アメリカのイラク」を共有しようというものです。血税を2兆円つぎ込んだりそな銀行の「販売価格」が合意の瞬間、暴落。「ブッシュは商売上手な大統領か」?資本家が世界を操っているだけです。 


なだ・平和のための木曜行動NO.75
2003年5月29日

39

新聞こそ感性とぎすませ

 「自分たちだけの『平和』にしがみつくこと」を戒め「島国平和主義や傍観主義を捨てて、もう少し感性を研ぎ澄ませ」と読者に説教する新聞を見ました。

 『毎日新聞』5月28日4めんの「記者の目」で、論説室の高畑昭男氏。大半はイラク戦争の結果、イラクに自由が根ざし始めており、フランスのシラク大統領らの「反戦」の主張がイラク問題の解決を遅らせたとし、様々な角度から「反戦の敗北」を強調しています。見出しは「反戦の主張は正しかったのか」。伝えられる傷跡の大きさや高まる反米感情、復興への「日本人の貢献の必要」などと、まったく異なる角度からの観察です。

 もはや戦地に派遣されている日本の若者、自衛隊員や石播社員の生命について、氏の感性をこそ問いたい。勝ち戦を熱狂的に支持する民衆にブレーキをかけるのは公器だと主張していた新聞こそ「いつか来た道」を歩んではいけない。


なだ・平和のための木曜行動NO.74
2003年5月22日

38

答弁席に座る能力

 野党第一党が平和に関わる重要問題で自・公・保政権と「一致」してしまって1週間たちました。

 有事3法案の審議が参議院に場所を移し、答弁席に見知らぬ人(民主党の「安保大臣」前原誠司氏)が座り、「答弁」する姿に「あれは何だ」という問い合わせがありました。「修正された法案が審議されているのですから、・・・」。続いてなおも「ならば、小泉首相も答弁席にいるのだから、菅直人・民主党代表も隣に座るべきではないか。彼は『政権担当能力』と言っているが、有事3法案について首相と同じ考えの所へ行ってしまったんだから」・・・明快な質問に、答えるに窮しました。こんな光景2度と見たくありません。

 議院内閣制ではない地方議会では、提案者になろうとしないし、答弁なんかとても不可能、議員提案をしない政党が、議院内閣制の国会では答弁席に座りたくてしかたない。おかしな国です。


なだ・平和のための木曜行動NO.73
2003年5月15日

37

これは修正ではない

 「国会から平和勢力を消す」流れが本格化したのは10年前。93年7月の総選挙で細川内閣が誕生し、小選挙区制が決められたときに始まります。村山内閣と土井衆議院議長が社会党を壊したことが10年後の5月15日の「歴史の曲がり角」を予定しました。

 ところで、有事3法案は「修正された」と表現できるものでしょうか。

 「憲法14条、18条、19条、21条は最大限に尊重されなければならない」などと、あらためて法律に書き込むことが修正と言えるのでしょうか。首相の「指示」や「代執行」を定めた条項(14、15、16条)の「国民保護」法制制定までの凍結という部分を除けば、その他の「修正合意」は、すべて「自・社=与野党なれ合い時代」に多用された「付帯決議」と変わらないものばかりです。民主党は「政権担当能力」を修正劇で示したかったと言われますが、示せたのは「妥協する能力」でした。


なだ・平和のための木曜行動NO.72
2003年5月8日

36

すごいのは授賞式だけじゃない

 メールで次のような書評をいただきました。

 ・・・(略)さて、アメリカの傲慢にドタマに来ることの多い昨今ですが、『アホでマヌケなアメリカ白人』という本をご存じですか?

 アカデミー賞授賞式で「ブッシュよ、恥を知れ!」と吼えたムーア監督の作品です。人に勧められて読み始めましたが、何ともおもしろい。ブッシュが当選した大統領選の裏話(かなり凄い)や、ブッシュ政権の中心人物たちの(本人は知られたくないであろう)履歴、その他アメリカ社会についての諸々を、歯に衣着せぬ・・・どころか、よーここまで書くわ!みたいに、暴きまくっています。しかも思わず「笑っちゃう」ような描き方で書かれているから、娯楽的に読めてしまって、これも凄い!

 残念ながら、日本社会もしっかりアメリカ社会型になっていますよね。お忙しいとは思いますが、ぜひお読みになってください。・・・(略)・・・


なだ・平和のための木曜行動NO.71
2003年4月24日

35

復興中毒が心配

 イラク攻撃について、最近の世論調査結果でも6割〜7割の人々が「武力行使をすべきでなかった」としています。

 アフガニスタン復興支援からイラクへ。拠出がどれほどになるのか、血を流すことはないのか。中東の戦争に日本がどんどん深入りすることに世論は「NO」です。

 攻撃反対だったロシアは「イラクには債務返済能力がある」と公言し、「イラクの戦後」は、はやくも大国の利権がぶつかり合う新たな戦場と化しています。

 90兆円ともいわれる「復興市場」に、神戸の医療産業都市構想策定の際にも大きな役割を演じたベクテル社などが、早くも襲いかかっています。死体の上にむらがる、文字どおりハゲタカです。

 日本経済が軍産複合体制へと「構造改革」されることへの警鐘も鳴らされ始めています。公共事業中毒から「戦後復興中毒」になったのでは、何の意味もありません。


なだ・平和のための木曜行動NO.70
2003年4月17日

34

なお戦火止まぬアフガニスタン

 1通のe-メールを頂戴しました。「ご活躍を」で終わる短い文面に平和を願う強い意思が込められていました。

 「一昨年中村先生の講演会をご縁に二度お目に掛かりました。大阪では神戸の情報がなかなか入手出来なくて、(選挙結果は)神戸在住の同級生に問い合わせました」・・・激励してくださった要旨は敢えて省略するとして、「中村先生」とは、あのペシャワール会の中村哲さんのことです。

 イラクでは「人間の楯」に「志願」した日本からの仲間もいましたが、「井戸を掘る医者」はいないようです。タリバン政権崩壊後1年半、なお戦場のアフガニスタンで「とにかく生き延びろ。病気はあとで治すから」と叫ぶ中村哲さんを慕う若者からのメールでした。

 「中村哲さんの話を聞き、その後70回、朝晩の『木曜行動』をしています。戦場で命を救えない代わりに・・・」と返信メールを送りました。


なだ・平和のための木曜行動NO.69
2003年4月10日

33

19世紀型の戦争

 一昨年11月22日から続けてきた「なだ・平和のための木曜行動」が、来週で70回を迎えます。いま、この行動を担ってきた新社会党員たちはそれぞれ選挙活動の真っ最中です。その記念すべき70回目の行動が行われる17日には、それぞれが支えた候補者の凱歌を歌いつつ笑顔で参加したいものだと、つくづく思います。もちろん、きょうマイクを握っている3人の候補者も。

 「戦争と報道」ということについて、アルジャジーラが米軍に狙い撃ちされた事件が「戦局の焦点」になっています。

 この戦争(正確には「イラク攻撃」)の目的がフセイン政権の打倒ということにある限り、報道機関であっても攻撃対象になる、ということなのでしょう。

 国際法違反。国連決議なしの武力行使。報道関係者も攻撃対象。・・・いよいよこの「戦争」は、2世紀さかのぼって19世紀型に。


なだ・平和のための木曜行動NO.68
2003年4月3日

32

平和問題が地方選挙の争点に

 明日から神戸でも県・市会の選挙が始まります。

 神戸空港、神戸の経済・失業問題、県・市の財政や行政改革問題、福祉行政をめぐる多くの争点などに加え、にわかに平和とイラク戦争の問題が争点に浮上しています。

 地方の行政や地方議会のなかで、戦争と平和の問題は、いかに扱われるべきか。『毎日新聞』が候補者アンケートで設問として取りあげたほか、すでに都知事選挙では大きな争点になっています。「平和のうちに生存する権利」を憲法にかかげている国にあっては、当然のことでしょう。

 神戸市議会は年末に事実上の「イラク糾弾決議」を多数決できめ、今度のイラク攻撃が始まった直後、神戸市はテロ事件勃発という危機に備えるとして動きだし、他の自治体ときわだった違いをみせています。

 非核神戸方式と有事法案の関係についても、ぜひ議論が広がってほしい。


なだ・平和のための木曜行動NO.67
2003年3月27日

31

屈辱的な孤立でいいの?

 24日イラク攻撃について衆・参両院は予算委員会で集中審議を行いました。

 世界が「戦争中止(戦争反対)」と「始まった戦争を早く終わらせる(イラクの首都を米軍が制圧してフセインを殺せ)」の両論に分裂しているなかで、小泉政権だけは「戦争支持」という、世界からワンテンポ・ツーテンポ遅れた方針に執着して、その意味で孤立しています。

 国民世論は『読売』などの論調を別として「NOWAR」。日本は侵略と敗戦・ヒロシマの歴史に学び「武力で平和をつくれない」との立場から、「世界のどの国とも異なる立場から反戦だ」と「孤立」するならいざ知らず、意味不明、戦利品(原油)が目当て。物欲しそうで、屈辱的な孤立です。

 衆参両院の「論戦」もきわめて低調。問題をはぐらかせる政府。40年前の安保議論を読み直すのが精一杯の「野党」。詳報を載せた新聞もわずかでした。


なだ・平和のための木曜行動NO.66
2003年3月20日

30

悪の30か国の一つか

 イラク攻撃に支持を表明した45か国のなかにも、そのうち国名を公表した30か国のなかにも、日本は名を連ねています。

 やがて「軍隊を出した国」が何か国、後方支援に参加した国が何か国、そして戦費負担に応じた国が何か国、というふうにこの数は30より少ない数へと絞り込まれていくのでしょう。そんななかで「日本の役割」「国際貢献」を声高に叫ぶのが愛国者ででもあるかのような主張も生まれてくることは必至です。

 「共同通信」が行った先週末の世論調査で、30歳台、20歳台、・・・と歳が若いほど、開戦反対の声が多いことが示されていました。株価は思惑で乱高下しています。日米野球の開幕戦開催も、海外旅行も中止。ガソリンスタンドには「値上げのお知らせ」。

 「戦争を早く終わらせて、ひと儲け」を狙う人々からさえ「NOWAR」の声があがっています。


なだ・平和のための木曜行動NO.65
2003年3月13日

29

さとうきび畑から

 国際婦人デーの8日、ワシントンでは女性ばかり25人がデモで逮捕されたそうです。

 この日、神戸でもイラク攻撃反対のデモがあり、参加しました。「NO WAR」「DON‘T ATTACK IRAQ」プラカードも英語。参加者も国際色豊でした。イラン人らしき人々が立ち止まってデモに「ピース」のサインを贈ってくれました。岡本光彰さんのパロディー歌は『六甲おろし』ならぬ『ブッシュおろし』。「ノーウォー、ノーウォー、ハァーンセン・アクション・・・」。久しぶりに『勝利を我らに』を歌い、ジョーンバエズを思い出しました。

 翌日曜日の『ニッカンスポーツ』に、平和を歌う森山良子と、『さとうきび畑』や『涙(なだ)そうそう』など、その歌が特集で紹介されていました。唯一の地上戦経験地・沖縄がテーマ。「ざわわざわわ」というさとうきび畑に眠る戦没者の叫びは風に乗ってブッシュやブレアに届くだろうか。


なだ・平和のための木曜行動NO.64
2003年3月6日

28

民営化万能論の末路

 市会予算委員会の様子がときおり報道されます。

 4日はいくつかの新聞が神戸ワインについての委員会審議を報じました。

 「神戸ワイン在庫三八〇万本」「生き残りかけ」「検討会で見直しへ」・・・在庫三八〇万本は昨年の今頃の話で、現在の話ではありません。ブドウ生産農家との約束を破棄し、全量買い取りをすでに取りやめていて、この在庫です。

 新年度予算案では38億円の神戸市からの貸し付け金が計上されています。外郭団体の神戸市からの貸付金というのは往々にして、年度末が来るたびに「返して、またすぐ借りる」実質的には補助金のようなものです。

 破たんの原因を「お役所仕事」と考える向きも多いようですが、本当の原因は民営化路線です。民営化は万能薬ではありません。

 ちょうど軍需産業に依存し、軍事情報収集まで民営化したアメリカの「止まらない戦争」のように。


なだ・平和のための木曜行動NO.63
2003年2月27日

27

無謬神話また崩壊

 ハウステンボスが破たんしたという報道に、あなたはどんなお気持ちを抱かれましたか。シーガイア、レオマ ワールド・・・大型テーマパークの不振、老舗の遊園地も閉園が相次ぎます。

 「ダメだと思ってた」「環境・自然との共生への問題を提起した役割を評価」など、論評も様々です。

 神戸にも巨大テーマパーク構想がありました。「レジャーワールド」。神戸空港に降り立つジェット機の車窓から見下ろす緑生い茂る一角があればいい、という夢を見た人々がいました。反対したのは今の新社会党でした。税金を食い潰して震災前に破たんし、被害は最小ですみました。「神戸の埋め立ては失敗しない」という無謬(むびゅう)神話の名残がいま空港の工事を急がせています。

 世界の政治にも、地方の行政にも、いま求められるのは「間違っているかもしれない」「みんなに聞いてみよう」という謙虚さではないでしょうか。


なだ・平和のための木曜行動NO.62
2003年2月20日

26

孫子の代までの借金

 神戸市と兵庫県の新年度予算案が発表されました。不況で自治体はどこも財源不足。四苦八苦の予算編成を繰り返しています。

 神戸市はすでに毎年数百億円の「財源対策」を迫られてきました。

 基金を食いつぶし、土地を切り売りし、さらに「禁じ手」にもここ数年、手をつけています。

 「公債基金の運用」・・・。庶民の暮らしにたとえれば、住宅ローンを組む際に入った生命保険を解約して収入を手に入れるようなもの。昔風に言えば質屋に持っていった質草を他に売る約束をする・・・と言ったところでしょうか。

 太平洋戦争中に発行された戦時国債は、紙切れと化しました。戦利品が手に入らない戦争のために発行された債券は、今のことばで言えば不良債権。神戸空港という「戦利品」のために行う神戸市の「財源対策」は、孫子の代までの無理で強引な借金を意味しています。


なだ・平和のための木曜行動NO.61
2003年2月13日

25

いのちと戦費負担

 野党が国会に提出した「医療費3割負担凍結法案」に国民は祈るような気持ちでその行方を見守っています。

 自民党の内部から、とくに地方選挙を準備中の地方組織や地方議員から、野党案を支持する声も強まっていると言います。

 思い出すのは16年前、「売上税選挙」と後に名づけられた87年の統一地方選挙です。当時、野党と一緒に自民党の地方選挙候補者が「外から反対するより、自民党の中から反対の声をあげている私の方が、本当の売上税反対だ」とうったえ、とうとう売上税を断念させ、消費税と名を変えて89年に実施されるまでそれを押しとどめたことがありました。

 だれでも医療を受けることのできる最もすぐれた保険制度を「財源がない」の一言で葬り去るわけにいきません。一方のイラク戦費の負担を喜んで受け入れる首相の下ではとくに。


なだ・平和のための木曜行動NO.60
2003年2月6日

いのちとカネの基準

 スペースシャトルの事故を、ほぼ実況で見ました。木曜コラム子としても、心から哀悼の意を表します。

 いっそうの科学技術の進歩を願う立場から、あえて辛口の論評をさせていただきます。

 イスラエルの飛行士が宇宙からシャロン首相と対話した際の映像に、すでにシャトルに亀裂が入っているのが映し出されていました(『人民日報』が報道)。事故は避けられたのではないか、と素人は考えました。

 さらにシャトルの商業化・民営化と国家予算の削減が事故の遠因と指摘する専門家も多いようです。「戦争のために予算を削った」と悔やむNASA関係者の証言もあります。

 ブッシュは内憂を外(イラク)へ、と走り出し、シャトルの破片がネット上で売りに出されたお国柄です。「いのちとカネ」の基準を他国に押しつけないでほしいと願わざるをえません。すでに介護の商業化など模倣するこの国には、とくに。


なだ・平和のための木曜行動NO.59
2003年1月30日

平和という資源を生かそう

長野県の田中康夫知事の「森(しん)世紀ニューディール政策」が、話題になっています。

内容はダムによらない治水策としての保安林・造林事業や都市部の民間企業に「里親」になってもらって進める森林整備など計16事業。

 地球温暖化を防止し、ダムによらずに洪水を防ぎ、そして注目を集める10万人の雇用創出など、聞いてみれば、「それは可能だ」とうなづきたくなる夢あふれるプランです。

 30人学級実現や「脱ダム」、公共事業削減など、「長野モデル」は、実は長野の問題ではありません。

 つくる前に「破壊する」・「つぶす」ことだけ「成功」した小泉「改革」ではなく、地域の条件とそこに住む人々の力を生かす方策が今こそ求められています。

 港をつぶして空港に血道をあげてどうするのでしょう。平和の国がイージス艦を出し、イラク攻撃のアメリカを支持して、どうするのでしょう。


なだ・平和のための木曜行動NO.58
2003年1月23日

答えは明白。「反戦」

 全米各地のみならず、世界中で行われた18日のデモは、イラク攻撃を急ぐブッシュ政権に大きな制約となりました。世界じゅうの人々が、平和を愛していることが改めて証明されました。

 冷戦終結後10余年。「戦争の形は変わった」と超大国の大統領が言えば、世界中の人々の方からは「反戦運動も変わった」というのが、「答え(アンサー)」です。

 イギリスの労働党政権がブッシュの一の子分を演じるなか、反戦デモは労働組合や野党の専売特許ではなくなりました。

 アメリカの若者が「戦争は答えではない」と始めた大運動は、各国の労働組合や野党の「指導」や「協力」がないなかで大きな力を発揮しています。

 日本でも、首切りや賃下げに協力する労働組合や、「解散風」に気もそぞろの野党にリーダーシップ発揮を待っているわけにはいきません。答えは「庶民は反戦」。


なだ・平和のための木曜行動NO.57
2003年1月16日

選択の余地はあるのか

 『はんてん情報』というミニコミ紙をいただきました。そこに12月に首都圏で報じられた風刺漫画のセリフが紹介されています。

 ウオルト・ハンデルスマンが描くイラクと世界最強国の関係・・・とでも言うものでしょうか。それは次のようなものです。

 「査察団がイラクで何かを見つけたら戦争だ!

 見つからなかったら、隠しているに違いないから戦争だ!

 隠してない、というならウソだから戦争だ!

 ウソついてないというならウソだから戦争だ!

 ・・・このように選択の余地はいろいろと残されている」

週末の反戦デモを控えたワシントンからは「査察に期限設けず」とのブッシュ大統領の「寛大な」方針が伝えられました。

 日本の世論も7割が開戦反対です(TBS系)。いっさいの選択の余地のないイラクの民衆のことを、若者と一緒に考えたい。


なだ・平和のための木曜行動NO.56
2003年1月9日

こんなもの要らない

 ストもないし、ベースアップは「要らない」と言う。クビ切りに協力する労働組合ばかりになりました。役所と違って「こんなもの(労組対策)要らない」というわけで、日経連と経団連が合体して日本経団連という組織ができています。その日本経団連が元日、消費税を04年から毎年1%ずつ上げていって最終的には16%にしようというプランを発表しました。「こんなもの要らない」とんでもないお年玉には付録があって「この案に賛成してくれる議員に日本経団連は政治献金をする」ですって。

 ここまで腐っていた日本の財界。医療費・保険料、介護保険料、雇用保険の掛け金、配偶者特別控除廃止、発泡酒・たばこ税・・・庶民から絞りとり続けてまだ取ろうというのです。

 声をあげましょう。「こんなもの要らない。消費税」「こんなもの要らない。日本経団連」!

実はアナログ版の方では、「井上力の木曜コラム」という名称ではありませんでした。従来は『木曜行動』というタイトルだったのですが、新年にあたりタイトルを『木曜コラム』と変えました。


なだ・平和のための木曜行動NO.55
2002年12月26日

新戦没者をつくる気か

 一年を終えるにあたって人々は皆、一年を振り返るものでしょう。逆境にあって努力は十分だったのか、あるいは幸せを来年にもつなげたい、と。

 しかし、この国の政治と社会には、反省も幸せの持続も見えてきません。

 「靖国」問題への「対策」として公費を投じる「新・戦没者追悼施設」をめぐる議論が、その最たるものです。「ロバと親子」が様々な忠告を聞きながら進むうち、とうとう親子がロバを担いで歩く愚を犯す、イソップの世界を小泉・福田は演じようとしています。

 財界人を座長とする「賢人」たちが真顔で出した結論は、「靖国存続」「新施設を国立で」という愚策でした。

 そういえばアフガニスタン作戦で新たな戦没者がすでに生まれています。イラク作戦が始まれば、さらにその数は増え続けるでしょう。めざすは「戦没者追悼」の「新施設」ではなく、「新戦没者」を「追悼する施設」を造ることか?


なだ・平和のための木曜行動NO.54
2002年12月19日

日本人をやめてから言え

 今この国の防衛庁長官は45歳、慶応大学卒の若者がやっている。その長官が訪米してMD(ミサイル防衛)構想に、「研究」段階から「開発・配備」段階へとGOサインをだしてしまった。

 日本列島が米本土防衛の要塞となる。どこかの国から発射されたミサイルの「上昇段階」「中間飛行段階」「突入段階」の、どの段階でも迎撃してアメリカの「本土防衛」をしようというものだ。「上昇段階」ではどこを標的にしているかわからないけど、それを撃ち落とすミサイルは日本から発射される。集団的自衛とは、集団標的だ。

 小泉首相と福田官房長官は、石破茂・防衛庁長官の発言打ち消しにやっきになっている。

 石破長官の持論は「徴兵制も原爆保有も憲法に違反しない」だ。

 かれは「徴兵を奴隷的苦役だとする政府見解を見ると日本人であることをやめたくなる」そうだ。かれは日本人をやめた方がいい。日本人、とくに若者のためだ。


なだ・平和のための木曜行動NO.53
2002年12月12日

発泡酒で戦争をする国か

 発泡酒が1缶20円アップ、たばこは1箱40〜50円アップだそうです。増税がイヤなら酒やたばこをやめればいいのだ。たばこは健康のために4〜5倍に値上げしたって抵抗は少ない。

 配偶者特別控除をなくすそうです。イヤなら主婦も働けばいいのだ。シングルでこれらの「恩恵」を受けていない人も多いのだ。

 巧みな手法。不景気「だから」増税という、逆立ちした発想は、景気への影響を推しはかる前に、消費者・国民の抵抗や嘆きを「無視したい」ということが原点になっています。

 発泡酒がなぜ売れるのか、考えたこともない政治家たち。ここまで庶民の暮らしを知らなかったのかと、あきれ果てます。

 「入る」はかりごとをどんなに巧妙に行っても「出ずる」方には制止が効かず、イラクの戦費は出っぱなし。しかも戦利品(原油)はアメリカの独り占め。「発泡酒(への増税)で戦争をした国」として、後世、長く語り継がれるでしょう。


なだ・平和のための木曜行動NO.52
2002年12月5日

「新しい人権」の真意(下)

 本来近代憲法は、権力の暴走を防ぐために、国家・権力を規制するものとして生まれ、人々の人権、そして民主主義を保障し、拡大するものとして発展してきた。日本国憲法は、その意味では、世界の民主主義闘争、人権運動、そして反戦・平和の願いを収斂した世界史的な憲法といえる。日本の支配層にとって、大変邪魔な憲法なのである。だから、憲法はその成立と同時に、常に改悪の攻撃にさらされてきた。そして、今、「統治する側が、すなわち支配する側が、統治しやすい、支配しやすいように、憲法を変えようとしているのである。「公」(国)を守るためには、個人の自由は制限される。甘えは許さない自立せよと、権利より義務が強調される。日本人は日本人らしくとがんじがらめの統制、管理が幅を利かすようになる。強権国家の登場である。(『新社会兵庫』11月26日号より抜粋、松枝佳宏・憲法兵庫会議事務局長)

全文は、http://www.portnet.ne.jp/~nsphyogo をご覧ください。


NO.50とNO.51は、50回特別紙面でコラムは休止です。


なだ・平和のための木曜行動NO.49
2002年11月14日

「新しい人権」の真意(中)

 1日に決まった衆議院憲法調査会の「中間報告書」は、いまの国会がいかに国民から遊離した議論をしているかを示す、またとない反面教師です。

 とくに「新しい人権」と名づけられた「環境権」、「プライバシー権」などを声高にさけぶ議論には、苦笑を禁じえません。

 「日本国憲法には権利ばかり書かれている」と「指摘」したつづきに、「環境という文字も、プライバシーという文字も、いまの憲法には見あたらない。重大な欠陥だ」・・・。

 昨年6月4日、神戸で行われた地方公聴会で中田作成・参考人が指摘したのは「環境基本法を制定すべきだ」ということでした。

 日頃、埋め立ての問題点や地球温暖化をどう防ぐのか、これらに無頓着な人々が「憲法に環境という文字がない」と騒ぎ立てます。プライバシー権についても同様です。住基ネット・国民総背番号制推進の人が改憲論者です。


なだ・平和のための木曜行動NO.48
2002年11月7日

「新しい人権」の真意

 1日の衆議院憲法調査会で採決された「中間報告」を入手しようと衆議院憲法調査会・事務局に電話を入れました。

 「国会議員には全員に配布しました。一般の方にはお分けできませんが、神戸の公聴会で発言された○○さんですね。送料着払いでお送りします。これ以上のことは課長とお話ください」。

 インターネット上には公開されているが、ダウンロードできても2メガ、七〇六nの印刷となると・・・。

 一部五千円で有償配布を検討中とか。すべて中山太郎・会長や調査会幹事会の合議結果だという。ガラスケースに入れて「知らせたぞ」とする「お上」の告知方法そのままではないか。憲法公布から56年の秋の日の出来事。

 「いまの憲法は55年たって古くなった」って?「55年たってなお、この旧態依然は恥ずかしくないのでしょうか」。「新しい人権」の正体が本当は明治憲法への回帰であることが、はっきりしました。


なだ・平和のための木曜行動NO.47
2002年10月31日

メシをくわせてこそ

 「水害で困っているというからコメを送ったのに、それが核開発に使われていたのか」「今後の経済協力も飢えた子どもたちには行き渡らない」

 これらの主張ももっともです。平和と友好関係を望み、国家と自治体の財政が破たんしていても、暗い過去の清算のための支出をしようと決意した私たちにとって、それが平和を脅かすものになるなら、それはやめるべきだ。その証はまず拉致問題の解明と原状回復である。メシを食わせてこそ、まともな政府というものでしょう。

 9月17日の小泉訪朝と日朝ピョンヤン宣言、そして9月3〜5日に明らかになった核開発継続の「自白」にいらだちと不信が募ります。国防とは何か、国土を守るということは国民を守ることと同義語ではないのか。

 そう言えば、わが政府はどうなのか。高校生の就職内定44%。近畿の失業率7・6%。「メシを食わせてこそ」は、小泉政治にもあてはまります。


なだ・平和のための木曜行動NO.46
2002年10月24日

無条件で核開発断念を

 北朝鮮が核開発を継続していたことを認め、拉致問題と並んで大問題になっています。

 訪朝した米・ケリー国務次官補が証拠を見せてそれを認めさせたと言われるのが9月3〜5日。小泉訪朝は17日で、前後関係からすると、すでにこの段階で「政治的解決」が決まっていたと思われます。ブッシュ大統領が武力解決を示唆しないことは誠に喜ばしいことで、隣国に住む住民としてはその「政治的解決」に大いに期待したいところです。たとえ、「イラクのあと」だとしても、あるいは背景にいる中国の視線を気にしていっときの猶予であったとしても。

 私たちは朝鮮半島と日本列島が、まず非核地帯になることが何にもまして重要なことだと訴えてきました。将来の北東アジアの非武装地帯化を見すえて。そしてその前提は力の均衡によるものではなく、相互の信頼です。北朝鮮は無条件に核開発を断念すべきです。


なだ・平和のための木曜行動NO.45
2002年10月17日

第3次厚木訴訟の意味するもの

 「受忍限度を超える被害をもたらした厚木基地の設置・管理は違法」。

 16日横浜地裁は、厚木基地周辺6市の住民4951人に対して、国が27億4600万円を支払う命令を下しました。

 将来の被害についての請求を退けたとはいうものの、原告ほぼ全員の訴えを認めたもので、基地騒音訴訟としては過去最高の賠償額です。全国の反基地運動が手を結んで応援してきた裁判での、この勝訴は、きわめて大きな意味を持っています。

 とくに、「うるささ指数」(WECPNL=W値)75以上の全地域を賠償対象としたのは初めてです。厚木基地訴訟の第1次、第2次訴訟では同数値を80以上としていました。

 地元では「爆音訴訟」と呼ばれてきました。静かな町を取り返そうという人々の力が日米両軍の「備え」を押し切った形。軍隊と市民生活は両立しません。有事立法の議論にも大きな影響を与えます。


なだ・平和のための木曜行動NO.44
2002年10月10日

報復戦争ではなかったのか?

 アフガニスタンへの空爆が始まって7日(日本時間)で1年がたちました。新聞もテレビも様々な形で「1周年」を論じました。

 それらは「70か国の国際協調」は大きな成果で、しかし「目標達成」には、なお課題が多いとし、いっそうの検討や努力が必要だというものが目立ちました。

 そもそも、この「いくさ」の名称が「報復戦争」だったという事実を忘れるところから、これらの論評はスタートしています。9・11テロに<アナログ版では「に」が脱落していました>対する、アメリカの「復仇(ふっきゅう)」「仇討ち」「仕返し」であり、これは国連が禁じてきた行動であることから目をそらしてしまっています。そしていつの間にか、「飢えをなくし、何の罪もない民衆に民主主義を教え、国づくりをする」という「大義」が、戦争を仕掛けている側にできあがったかのような論調です。いつの間にか米国の、例の「自由と民主主義のための戦争」に日本も参加しています。これでは自衛隊の撤収は不可能です。


なだ・平和のための木曜行動NO.43
2002年10月3日

「伊丹廃港」発言の波紋

 扇千景・国土交通大臣が9月27日と30日にあいついで記者会見で語ったことが大きな波紋を広げています。

 「神戸空港が国に認められたのか」「モノレールを造ったばかりなのに伊丹空港をなくしてしまうなんて、できるのか」・・・。

 大阪府知事や関西の財界は「何を唐突に。聞いていない」と、怒りをあらわにしています。

 大臣発言をよく読んでみると「国際空港と国内空港と乗り継ぐのに、お金がいるなんて本当に恥ずかしい」「伊丹に取って代わる空港、1年間に10万回、立派な神戸空港にするんだという意気込みがあれば、私はもう大賛成して、私も政治生命かけてでも応援したいと思っています」「狭い空域の中で、一種、二種、三種ってどう考えても安全性が、私はあるとは思えません」

 「寝言は寝て言え」というのが専門家の論評です。伊丹か神戸を軍事転用したいとでも考えているのでしょうか。


なだ・平和のための木曜行動NO.42
2002年9月26日

石原知事の「平和では困る」事情

 「北朝鮮は全く信用できない国だ。信用したらえらい目に遭う」。小泉訪朝当日の『毎日新聞』夕刊が報じた第18富士山丸・紅粉元船長(須磨区在住)のコメントです。90年、帰国のころの感想にはなかった感情が、すでにあらわされています。

 訪朝翌日の18日、都議会本会議で石原都知事は日朝首脳会談と拉致問題に触れ、「北朝鮮は卑劣極まりない蛮行を繰り返し、わが国に計り知れない被害を与えたことを自ら認めた。都民を代表して強く抗議する」と述べたと報じられました。

 発言の断片で即断できませんが、拉致問題の真相解明、謝罪・再発防止やテポドン・不審船の恐怖を除去することと、「報復」「懲罰」的な対処(ブッシュによる!)とは明らかに異質です。ASEM(アジア欧州会議)は「正常化歓迎」の決議をしました。

 「三国人」発言の石原都知事は、「国交正常化と平和では困る」事情について隠さず語るべきです。


なだ・平和のための木曜行動NO.41
2002年9月19日

いのちと平和の重さ

 小泉首相の訪朝で明らかになった娘さんの死を、横田早紀江さんは「日本の国のために犠牲になって亡くなった若い者たちの心を思ってください」と語られたそうです。心からご冥福を祈ります。

 拉致議連代表が「国家テロだ。許せない」と正常化を後戻りさせるための発言をしていたことを別にして、娘や息子の死を意外な形で知らされた遺族の記者会見に、もらい泣きをした人も多かったのではないでしょうか。有本恵子さんは神戸の出身で、桜ヶ丘にあった頃の神戸外大の卒業ですから、本当に身近なこととして日朝の長い不幸な歴史に思いを寄せざるを得ません。

 日本による朝鮮半島の併合から92年、(南北)朝鮮を植民地支配していた国の敗戦から57年。日韓条約から37年。最初の拉致事件から25年。長い年月の重みを、いのちと平和の重みとして受け止め、東北アジアの非核・非武装・友好地域をつくりたい。


なだ・平和のための木曜行動NO.40
2002年9月12日

木曜行動40回の軌跡

 朝晩それぞれ勘定すると、きょうで80回、まるで意地を張っているかのように続けてきました。

 「あれは戦争じゃなく犯罪捜査に軍隊を使っているだけ」「小さな政党がガタガタ言わなくても、日本の平和は大丈夫」「アメリカに逆らって日本は生きていけない」「不況打開は戦争が一番」・・・こんな感想も頂戴しました。

 また一方、署名をご自宅にお持ち帰りいただいたり、「暑いでしょう」「寒いでしょう」と缶コーヒーをそっと手渡していただいたり、ファックスやメールで激励をお寄せいただいたり・・。「全国一熱心な平和運動や」「平和は身近なところから」「『自衛隊がインド洋から帰ってくるまで』という決意は、とても大切」などのご意見もいただきました。

 お先真っ暗な経済情勢。増える失業、悪法で増大する一方の庶民の負担。静かに広がる反戦の声は、暮らしを守る要求と一体のものです。


なだ・平和のための木曜行動NO.39
2002年9月5日

田中康夫さんの提案

 長野県知事選挙で田中康夫さんが圧勝しました。有事法制に「反対」・「疑問」を表明した数少ない知事ですから、平和のためにも、この結果を喜びたいと思います。

 どの自治体も「改革」を標榜して弱者から搾り取ることばかり計画しています。田中康夫さんは、選挙を通してとくに農村を歩いたと報じられています。都市でも農村でも、公共事業がもたらす薄日を実感できる人がどんどん減っています。高速道路しかり、漁港整備しかりです。神戸空港なんか、工事中の雇用さえ実感できる人は、マリコン関係者も含めてゼロに近いのではないでしょうか。漁業補償「手数料?」着服の漁協はどうかわかりませんが。

 沈没寸前の日本丸にあって、なおいかに船のこぎ手を減らせば速く航海できるかと考えているのが小泉改革と各自治体の「改革」。田中康夫さんは毎晩の船上パーティをやめようと提案しています。


なだ・平和のための木曜行動NO.38
2002年8月29日

呉の震災に軍隊の影を見る

 芸予地震は昨年3月。神戸同様、急傾斜地の多い呉で今月11日に土砂崩れが起き、1人お年寄りが亡くなられました。呉市の「対策」は、近辺20_の雨で避難勧告を出すという強硬手段(28日報道)。急傾斜地対策工事が完了するか、立ち退くまで、ひんぱんに避難生活が続くそうです。

 昨年、震災復興検証会議で調査に行きました。バイクさえ通れない階段・坂道に石組みの擁壁。立ち並ぶ住宅は、海軍の将校が建てた名残だとか。阪神淡路大震災の教訓が生きているようであり、また全く同じスタートラインからの復興でもあるような。

 ポートピアという埋め立て地があったり、阪急の遊園地が撤退したり、海と山と坂道と・・・。CCZまである。神戸と呉はウリ二つです。

 ただ神戸は軍港でなくてよかったという思いを強めました。軍隊優先の街の出発は平和の半世紀にも、震災復興にも濃い陰を落としていました。


なだ・平和のための木曜行動NO.37
2002年8月22日

やめてんか住基ネット

「覗ける」「透けて見える」

 住基ネットが五百万人ちかい離脱自治体を残したまま、5日からスタートしました。実施見合わせを求める議会決議や首長の申し入れを振り切っての見切り発車でした。

 案の定トラブルが多発。きわめつきは「在住外国人に他人の番号通知」や「透けて見えるハガキによる通知」です。国のものでも自治体のものでもない「市民個人のもの」である個人情報を、あろうことか保護法なしに全国どこででも「覗ける」ようにしたのは、それ自体が暴挙です。

 新聞の投書欄には「ねらいは兵籍簿」など、有事体制との関係を指摘する声があがりました。防衛庁が身元調べをしてリストを庁内ランで閲覧していた事件は、つい先日。大義のない戦争で怖いのは「味方」から攻撃されることで、身元調べは不可欠。

 情報公開運動をしてきた中田作成さんが「やめろ」と運動の先頭に立っておられます。国の本当の狙いが「透けて見える」と。


なだ・平和のための木曜行動NO.36
2002年8月8日

「和解」説いた平和宣言

 ・・・「ブッシュ大統領に広島・長崎を訪れること、人類としての記憶を呼び覚まし、核兵器が人類に何をもたらすのかを自らの目で確認することを強く求めます」・・・「この(憲法99条・天皇と公務員の憲法擁護義務)規定に従うべき日本国政府の役割は、まず我が国を『他の全ての国と同じように』戦争のできる、『普通の国』にしないことです。すなわち、核兵器の絶対否定と戦争の放棄です」

 平和宣言を秋葉忠利市長が読むようになって4回目でした。「ヒロシマの心」とは逆に、アメリカはやられたらどうやり返すか、核兵器をいかに使うか、どこで使うかを考え、雄弁に語るようになっています。日本は、周辺事態法につぐ有事法案で、強い国にどうなびくかを考え、語るようになっています。「人類共通の明るい未来を創るために、どんなに小さくても良いから協力を始めること」が「和解」の意味だとも秋葉市長は述べました。

TOPへ 木曜行動へ

なだ・平和のための木曜行動NO.35
2002年8月1日

国を信じろと言われても

 国会は昨日閉会しました。思えば2月の小泉首相施政方針演説で「有事立法」が唱えられて、ちょうど半年。きのうの衆議院本会議で正式に継続審議がきまりました。

 当初国会の勢力図からして、5月の連休明けにも衆議院から参議院へ送られるという観測さえありました。国会の外の力で有事法案を押し返せたことは喜ばしいかぎりです。

 秋から、ことによれば来年の統一地方選挙後、可決か廃案かの大決戦がやってくるかも知れません。

 有事になれば国民はどう避難するか、そもそも有事の際に自衛隊は国民を盾にするのか、守れるのかという議論になってきそうです。

 有事法の論点が住民基本台帳ネットワーク(国民総背番号制・住基ネット)の問題に飛び火しています。矢祭町だけでなく、横浜市長らが慎重論。三等海佐の独断であそこまでできるのに、「国を信じろ」と言われても、というわけです。

最近の木曜コラムへ TOPへ
バックナンバーその2へ 吉田俊弘さんの「木曜行動」ノートへ
バックナンバーその3へ 木曜行動へ
バックナンバーその4へ  
バックナンバーその5へ  
バックナンバーその6へ