井上力の

バックナンバーその4

最近の木曜コラムへ TOPへ
バックナンバーその1へ 吉田俊弘さんの「木曜行動」ノート」へ
バックナンバーその2へ 木曜行動へ
バックナンバーその3へ
バックナンバーその5へ  
バックナンバーその6へ  

ここにはNO.151(チラシは187号2006年 1月5日)から
NO.200(チラシは236号2007年2月8日)までを
2008年5月1日にまとめました
 

なだ・平和のための木曜行動NO.236
2007年2月8日

200

マンション建設ラッシュが壊すもの

 2系統の市バスから見える「W興産は話し合え!」という横断幕が、ひときわ目を惹きます。場所は護国神社とコープのちょうど中程です。

 16系統の市バスから見える林立する赤いノボリも。場所は神戸大学国際文化学部(旧教養部)の東です。

 平穏であることだけが幸福というささやかな希望を、時ならぬマンションラッシュが打ち砕いています。いわく「六甲からの夜景」「閑静な」「都心へ15分」「梅田へ40分」・・・。

 そのマンションからの景観が絶景であるならそのマンションに遮られる景観には絶句する。ゴミ置き場一つ自らの敷地内につくれない大欠陥マンションが、「閑静な住宅街」に歓迎されるはずもない。

 砂防地区の伏流水が二度と地表を襲うことはないのか。

 はっきりしていることは人々の交流や支えあいをデベロッパー(開発業者)が壊し続けていることです。


なだ・平和のための木曜行動NO.235
2007年2月1日

199

投稿者の言うとおり

 『神戸新聞』投書欄「発言」(31日)に、医療機関の領収書をこまめに貯め、年間11万円でやっと千円還付という、苦労する庶民の立場から、「めんどう」だからと開き直る政治家を嗤(わら)う意見が掲載されていました。

 国会議員の事務所費しかり、地方議員の政務調査費しかり。公費支給の沿革やルールは微妙に異なりますが、まことに指摘のとおりです。

 政治資金規正法があり、国会議員の資産公開に関する法律があり、自治体には準じた条例がありますが、ザルでは水をすくえません。

 先の投稿者は年金生活者のようです。医療費控除に必要な領収書を例に挙げておられますが、この方は、仮に領収書どおりに年金が増額されるなら生活を全面公開しようという決意のようです。議員とカネの問題は、議員の私生活を隠したままでは解決しません。


なだ・平和のための木曜行動NO.234
2007年1月25日

198

コンプライアンス万能?

 「コンプライアンス」が大流行しました。新自由主義は何でもありじゃない、企業のカネの儲け方にも、乗っ取りにも規範や秩序が必要だと。その規範は法令遵守だと。

 その流行は行政にまで及び、条例を運用する神戸市までが村岡事件発覚直後から目指したのは「コンプライアンス」でした。ついには条例をつくる市会までが「コンプライアンス」。

 ところが不二家事件では、だれも腹痛を訴えなかったし被害がなかったことから「どうも、法令さえ守っていればいい、隠し通せればいいという風潮は困ったものだ」などと言われたりします。

 四半世紀続いた規制緩和一辺倒から新しい企業秩序が生まれそうでいて、それはますます遠のいていくようです。新自由主義は労働者に寄生する腐った資本主義です。

 腐りかけた材料を使ったことを、腐った資本主義がなじっているだけです。


なだ・平和のための木曜行動NO.233
2007年1月18日

197

12年、山陽団地から

 山陽団地から、とても元気で、でもとても心配な電話をいただきました。大震災で山陽団地に避難生活の場を求めた人の一人です。「神戸に帰りたい」と。赤磐市は暖かくしてくれるけど、帰りたいと。

 避難所に山陽団地への一時避難が呼びかけられ、彼女はそれに応じました。岡山県営住宅には大量に空き家があったのです。大勢の人が山陽団地で暮らしました。復興住宅が完成し、どこに申し込むと外れないのか、街並みはどう変わっているのか、名谷かHAT神戸か・・・。

 県外避難者数は名目上はどんどん減っています。神戸市役所が広報を送り続けている人の数は433人。先日新聞に報じられた兵庫県の「県外避難者」は265人です。

 知事は「復興宣言はしない」と言い、市長は「豊かな神戸」と言います。はっきりしていることは、みんな間違いなく震災の日から12歳、年を重ねたことです。


なだ・平和のための木曜行動NO.232
2007年1月4日

196

県政・市政の大掃除を

 お正月からイヤな話題で恐縮です。秋から「次は役所も絡んだ土地疑惑」と噂されていました。

 ある種の議員は政治資金規正法で認められない寄付を、「借り入れ」として受け取るのが常らしいのです。しかも前宝塚市長も今回も、元兵庫県議。5千万円について地検が後援者を事情聴取した後に「返済」したものの、八百万はつじつまが合わないらしいのです。

 つじつま合わせができたとして、後援者がカネを「渡す」には、それなりの理由があったと『毎日』は詳細に報じています。震災復興事業の代替地について、神戸市と兵庫県が「口きき」に応じていたのではないかというものです。12年前、震災の朝、「きょうからどうやって暮らそうか」悩みに悩んだ人々の背後に、「何で儲けるか」悪知恵を働かせていた人の凄さよ。それが2世や与党というものか。積んだ経験は使い道次第です。県政・市政の大掃除が必要です。


なだ・平和のための木曜行動NO.231
2006年12月28日

195

おもてなしには裏があった

 神戸空港は「7つの都市と結ばれる空港」というふれ込みでしたが、新潟便と熊本便がなくなり、仙台便、鹿児島便も半減することになりました。来年度は、新千歳6便、羽田12便、那覇5便、その他4便(鹿児島2、仙台1、石垣1)となるそうです(26日、神戸市みなと総局)。

 撤退でどう不便になるかというと実は、そう不便にならないのです。新潟と熊本には伊丹から各8便、鹿児島には伊丹と関空から15便も飛びます。

 ただ空港の役割が大きく変わります。東京経済への従属が深まります。石垣や新千歳路線は観光で来るより、関西全域から出かける方が多くなるでしょう。同じ観光客でも消費する場所が大違いです。「おもてなし」には裏があったのです。

 神戸に空港は不要でした。需要予測319万人はデタラメでした。島の土地を売って造成費を捻出するもくろみも、いよいよ大はずれです。


なだ・平和のための木曜行動NO.230
2006年12月21日

194

ひとり相撲が千秋楽

 産廃汚職とも神戸市汚職とも名づけられ、親子2市議が起訴され、辞職した事件の幕が引かれます。新社会党が要求した地方自治法百条に基づく調査権はついに行使されず、当局が職員を調べた行政監察の報告についてさえ、ついに審議せず、あろうことか再発防止の市会決議も条例化せず、くわえて委員会での審議まで省略・・・。明日22日、定例会最終日の本会議が、その舞台となりました。

 「金品の授受禁止」という倫理規範が決議案の前文に少し姿を見せるだけで、「政治倫理基準」として列挙した6項目のなかに出てこないのです。

 この事件でだれが傷ついたのか、従って議員の手足を縛ろうとしているのはだれなのか、答えは市民なのに、あたかも「与党が窮地に追い込まれた。もう忘れてくれ」とでも言わんばかりです。委員長あっせん案さえ出せなかった市会与党の独り相撲が千秋楽。


なだ・平和のための木曜行動NO.229
2006年12月14日

193

働き続けられない

 施設の介護職員でも平均勤続年数は3年、訪問介護員(ヘルパー)の正規採用者はわずか2割。時間給の人の半数以上が10万円未満、日給の人の平均は14万7千円、月給の人でも半数以上が25万円未満です。月給の人(概ね正社員)は全体の半数しかいません。

 全国1万か所の介護事業所を対象に、財団法人「介護労働安全センター」が昨年行ったアンケート結果です。

 対人労働の「質」は確保されるでしょうか。20年近い訪問介護実績を持つ特別養護老人ホームは、介護保険法ができ、それまであった神戸市からの給与改善助成などがなくなりました。「介護の質」を維持することを断念し、「お部屋掃除」などに乗り出す会社も登場しました。

 介護報酬は「介護の質」無関係です。年齢も経験年数も。資本の論理が福祉の心を強要し、日本列島は介護工場です。


なだ・平和のための木曜行動NO.228
2006年12月7日

192

敬老パスが狙われる

 また敬老パスの雲行きが怪しくなりました。神戸市が検討をはじめ、来年秋にも結論を出そうというのです。

 矢田市長が熱心なリストラのために一つひとつの事業を評価し、外部評価で「不適格」などと烙印を押して取りやめる事業を選んできました。今年度の「外部評価結果」は9月1日に出されました。

 やり玉にあがった消防音楽隊や公用車、水の科学博物館などは「さらなる取り組みが必要」とされ、「検討結果がまだでていない9事業」のなかで敬老パスが名指しされたことを受けたものです。

 名古屋市は敬老パスの有料化に踏み切っています。景気も財政状態もいい。全国唯一の環状地下鉄など、それなりの事情があります。高齢者から敬老パスを取り上げるとどれほど市の財政が潤うというのでしょうか。1便15人しか乗っていないベイシャトル(高速空気運搬船)は検討対象からはずれています。


なだ・平和のための木曜行動NO.227
2006年11月30日

191

逆履歴詐称 虐履歴 逆ギレ

 神戸市は、大学や短大を卒業していたことに気づかず、「中学・高校卒」を対象とする募集で採用した疑いのある職員から聞き取り調査をしています。発端は学校の調理師で、すでに14人が免職となっています。

 聞き取り調査の対象となっているのは5千人。

 85歳の元職員は「戦争で大学が繰り上げ卒業だとか、まともに勉強できる環境になかった時代から長い間、吏員・雇員という差別採用の仕組みがあり、いまも役所は学歴社会、いや学閥社会」と批判しておられます。

 (1)採用した側の責任はないのか(2)「その試験で落ちた人にとって不利益を与えた」というが、「時効」ではないのか(3)免職処分の法的根拠はあるのか(4)脅迫めいた「聞き取り」が職員の志気を奪わないか、など疑問だらけです。

 「逆履歴詐称」問題は履歴を虐待する「虐履歴」であり、不祥事続発への「逆ギレ」ではないでしょうか。


なだ・平和のための木曜行動NO.226
2006年11月16日

190

よそを嗤っている場合か

知事室は汚職や官製談合のスケールの大きさを競う場所でしょうか。

 福島県で佐藤栄佐久被告が辞職したと思ったら逮捕・起訴、この間1か月。

 和歌山県では出納長が起訴されても「潔白だ」と言ったものの、その翌日2日には知事が辞職表明。その後2週間で、秘書課に裏金が4千万円も蓄えられていたことが発覚しました。「改革派」知事はホームページで情報発信を続けていましたが、裏金がどこから来たかには、触れていません。県のホームページには今「しばらくの間、『ようこそ知事室へ』は、内容を更新しておりませんので、ご了承ください」と書かれています。

 月末告示、12月17日投票で行われる選挙は、前知事が旧自治省出身だったのに対し、今度は経産省出身だというオチつきです。

 よそを嗤っている場合ではないかも知れません。わが知事も、わが市長も「相乗り」です。


なだ・平和のための木曜行動NO.225
2006年11月9日

189

「汚職の自由」を奪え

 村岡親子の汚職事件は発覚から7か月。市会が百条調査権を行使することなく幕引きをはかる最悪の展開となり、しかもその幕の下ろし方をめぐって醜い姿をさらけ出しています。

 6日に開かれた特別委員会で各党の「条例案」が示されました。再発防止は倫理条例か、それとも倫理宣言か。政治倫理審査会を設置すべきかすべきでないか。与野党の溝は深く広いことが明らかになりました。

 団長がワイロを受け取った自民党と他の会派の違いも鮮明です。そもそも議席は市民の負託によるものであるという本質が自民党案にはありません。

 市民は投票して4年間、議席を代議員に預けますが、フリーハンドを与えるのではなく、少なくとも「汚職の自由」まで与えたのではありません。条例を議場で決めるのは市会議員ですが、その制定をさせるのは市民です。条例制定権は市民にあります。


なだ・平和のための木曜行動NO.224
2006年11月2日

188

値上げする側の論理(下)

 「通常の低所得世帯には応能応益家賃制度で対応し、急に所得が減少した場合などに激変緩和や緊急避難措置として減免制度を弾力的に運用するのが望ましいと考える」

 そもそも「応能応益」という国が「発明」した公営住宅家賃制度の上に立って、復興住宅に住む高齢者から徴収する家賃を考えることができるでしょうか。百歩譲って「受ける利益で家賃は決まる」として、仕事に就けない高齢者が駅に近い復興住宅に住むことで得られる「利益」とは一体、何なのでしょう。「利益」は月額何円か、「公益」という自民党新憲法草案が大好きな抽象的な「益」ではなく、「利益」は金額で示されるもののはずです。高い家賃の民間住宅に住んでいる人との不公平は、それには家賃補助が適切だと答申案は述べています。

 審議会ではだれも発言せず、答申案が一人歩きを始めました。


なだ・平和のための木曜行動NO.223
2006年10月26日

187

値上げする側の論理(上)

 神戸市「すまい審議会」が10月19日、答申をまとめる大詰めの議論をしました。

 1月16日、市長は「家賃制度について」諮問し、復興公営住宅に暮らす被災高齢者の家賃を値上げするためのお墨付きを求めたのでした。

 理屈はどこにでもくっつくものです。「母子世帯はいつまでも母子世帯ではない、つまり住宅困窮者でなくなる日も必ずくる」「一時的に失業して住宅困窮状態になる場合だってある」等々。被災者はいつまで被災者か、と。

 震災で倒壊した文化住宅や家賃数千円のアパートは、公営住宅が果たすべき役割を代行していたのでした。ときに公営住宅より低家賃で人々はそこを「終の棲家」としていました。復興は「元どおりにしない」ことから始めたため、「広すぎるマンション」「見知らぬ土地に建った大規模住宅」「民間家賃と比べ格安の住宅」へと移り住んだのでした。(次号へつづく)


なだ・平和のための木曜行動NO.222
2006年10月19日

186

環境破壊税とならないか

 県民緑税が4月から徴収されています。年額8百円を均等割に上乗せして集められています。個人210万人から17億円、法人から4億円、あわせて21億円です。「期間は5年間」とされていますが「5年経過する時点で・・・見直しを検討」と、増税さえ臭わせて。

 高知に始まり、20県近くに広がりました。たしかに森林は荒れています。山々は卒塔婆を突き刺したように無惨な姿を曝しています。森が失われたあと海が死に、その中間で洪水が起きた所もあります。公費を投じてでも森を育て、間伐し、都市を緑化することは必要です。むしろ遅きに失した状態です。

 公害防止協定を破って煤煙をまき散らした企業に超過課税すれば、県民にはその分を返還できます。ガソリン税・自動車重量税は森林を殺す道路建設に使い、森林保全は別の税金で、というのもいかがなものでしょう。県税収入総額は1割も増収なのに。


なだ・平和のための木曜行動NO.221
2006年10月12日

185

野球なら通用しない

 「同じチームで親子でやるものじゃないと、しみじみ感じさせられた。まわりも、こっちも気を使う。誰もが認める実力者ならいいけども、あれぐらいのレベルの選手じゃ。かわいい子には旅をさせろってことだ」と監督は、息子の選手としての引退を語りました。

 ブッシュ、安倍晋三、金正日だけでなく、プロ野球と違って素質を見きわめる尺度のない政治の世界が、2世だらけです。

 パパブッシュはイラクを打ち負かしたのに2期目の選挙に負けた。そのリベンジだとイラクに大軍をだした大統領。

 首相の座に手が届いたようで何度も失敗した父と、総理大臣となりながら没後、A級戦犯として紹介される祖父の「2人の無念」を晴らそうとするのか、総理大臣。

 建国の父と比べられ、原爆を持てば大国の仲間入りと考えたのか、それが日本の植民地支配へのリベンジだとでも、国防大臣。


なだ・平和のための木曜行動NO.220
2006年9月28日

184

面接官は大丈夫なのか

 新首相が河口湖の別荘にこもって構想を練った際、一人だけ同行したのが「国鉄マン出身、ノンキャリア、43歳井上義行・官房長官秘書官(当時)」です。

 安倍晋三・官房長官(当時)は、21日全省庁に対し「首相直属の政策スタッフの公募」を文書で通知したと『毎日新聞』が報じました。「特命チーム」は、特定政策について企画立案にあたる政策スタッフで、「役所と縁を切る覚悟で政権のために働く人材」だそうです。この面接をしたのが新首相の「懐刀」を自他ともに認める井上義行氏でした。

 国家の重要政策を立案するスタッフがこのように選ばれていたとは驚きです。43歳やノンキャリアということを問題にするのではありません。この「面接官」の信条や人間性は何も明らかにされていないからです。功績や首相との信頼関係はあるのでしょうが、「特命チームを選ぶ能力」はどうなのでしょう。


なだ・平和のための木曜行動NO.219
2006年9月21日

183

社会にもリハビリが必要

 リハビリの日数制限によって、「脳卒中は期限180日間違えていて9月29日に訂正しました。まことに恥ずかしい」の「その日」が来週に迫っています。

 目標の4倍もの署名が提出されたことを報じた『神戸新聞』は「・・・現場は混乱に陥っている。日数計算は四月から始まっており、今後、打ち切りが本格化する」と6月30日に報じました。署名を呼びかけた「リハビリテーション診療報酬改定を考える会」のホームページには、患者や家族の声が満載されています。

 脳こうそく患者(母)の家族として運動に参加してきました。予防・治療・看護・リハビリ・介護は一体です。どんな病気もだれの闘病も「社会」と無関係ではないのに、「社会的入院」を排除し続け、ついにはリハビリの効果まで「もうない」と宣言するに至りました。

 診療報酬制度が闘病の援助中止を患者や医師に、そして理学療法士に説教します。社会にも、リハビリ(機能回復訓練)や手術が必要です。


なだ・平和のための木曜行動NO.218
2006年9月14日

182

御影コンペに「待った」の声

 御影工業高校の跡地に50階建ての超高層マンションと阪神百貨店を核テナントとする商業ビルが建つ計画に、「待った」の声が上がっています。

 昨年11月7日に当選者が決まったコンペで、結果的に神戸市はなんと32億円も市有地を安く売り飛ばしてしまったのです。

 募集要項が「まちづくり協議会(まち協)」に事前に配られ、まち協にも、当選者グループにも阪神電鉄が加わっています。駅の改修や駅の西出口をつける計画との整合性を、コンペのなかで審査委員から尋ねられ、当選者グループだけが「阪神電鉄とは協議ずみです。この案しかありません」と答えています。

 駅前の再開発を鉄道事業者を無視して進めろとはだれも言いません。しかし、あまりにも不公平です。

 現在バスが通っている通りから人の流れは駅直結のデッキを経て商業ビルに吸い込まれます。都市計画まで民営化でしょうか。


なだ・平和のための木曜行動NO.217
2006年9月7日

181

不振三セク今も

 神戸市は昨年度の決算を公表しました。きのうから始まった定例会で水道や市バスなど公営企業決算が審議されます。あわせて外郭団体についても昨年度の決算が出そろいました。

 債務超過に陥っている会社の状況。7月13日に就航を再開した海上アクセスは124億円、舞子ビラのマリンホテルズは26億円、休止中のK-CATが6億円、航空貨物ターミナルのK-ACTが3億円、神戸ワインを製造する「みのりの公社」が12億円、先端医療センターという病院を経営する先端医療振興財団は16億円、フルーツフラワーパークを経営する神戸ワインは25億などです。このなかに債務超過額を減らせた会社はありません。

 甘い見通しでバブル期につくった三セクばかりでなく、市財政が火の車の状態でそれでもスタートした三セクが不振です。子会社に責任はありません。親会社(神戸市)の決断が求められています。


なだ・平和のための木曜行動NO.216
2006年8月31日

180

焼き討ちもテロだ

 加藤紘一・元自民党幹事長の、山形県鶴岡市にある実家と事務所が放火されたのは8月15日でした。現場で切腹した犯人(容疑者)が逮捕されたのは29日。かつてYKKと名づけられ、その後「友情と打算の二重構造」と関係を清算し、最高権力をほしいままにした小泉首相が、この焼き討ち事件について初めて口を開いたのは28日のことでした。

 犯人はこれから取り調べを受けますが、首相の靖国参拝を批判した加藤紘一議員を狙ったものであることは明らかです。もっと真剣に議論されるべきではないでしょうか。

 日本が戦争へと歩んだ戦前にも、同じ風潮がありました。「国家の意思」に反する言論を暴力で封殺することを当然視する風潮は、敗戦まで加速されました。ヒットラーはテロと合法手段を組み合わせて政権をとりました。なぜか加藤邸放火はテロと名づけられていません。


なだ・平和のための木曜行動NO.215
2006年8月17日

179

いまどきの神戸空港

 きのう神戸空港は開港から半年を迎えました。

 見物客は好調ですが、約3千億円の造成費を賄うべき民間企業への土地売却は、いまだに9百坪のままです。関空行き高速船ベイシャトルの乗客は就航1か月で予定の半分以下とふるわず、鶴甲会館などを運営する開発管理事業団への多額の借金返済も怪しくなり、社長が兼務するターミナルビルの経営にも影を落とし始めます。

 さらに神戸空港と命運をともにする某航空会社の業績がさえません。安い運賃が売り物で就航当初は好調でしたが、その平均搭乗率はピーク時と比べ約2割落ち込みました。それでも同社にとってはドル箱路線ですが、同社全体の4〜6月期の業績は大幅に落ち込み、8月11日、同社は業績予想の下方修正を発表しました。

 開港前ささやかれた「神戸市が航空会社を持つ以外に空港は成り立たない?」のでは困ります。


なだ・平和のための木曜行動NO.214
2006年8月10日

178

起こるべくして起きた事故

 「流れるプール」の事故について、旧上福岡市議で現在ふじみ野市議の青山さんが資料を送ってくださいました。

 旧大井町がT管財との間で契約書を交わし、プールを夏だけ業務委託していましたが、合併でふじみ野市がこれを引き継ぎました。入札で毎年、契約の相手方は選定されましたがこの7年間はT管財が「落札」していました。T管財は同じ入札に参加して落札できなかったKプランニングに丸投げしていました。

 委託契約は問題だらけでした。契約書に添付された「管理業務仕様書」には、吸水口やその柵の記載はありません。仕様書には係員の配置人数や清掃業務の作業内容などが詳述されています。入札参加業者もビル清掃業や警備会社です。受託者は「善意の管理者」として責任が免れています。

 「あってはならない」事故ですが「起こるべくして起きた」事故です。


なだ・平和のための木曜行動NO.213
2006年8月3日

177

生命を吸い込む流れ

「流れるプール」の事故で文部科学省と厚労省は、排水口・吸水口の柵や金網が固定されているかどうか、安全点検をするよう何度めかの通達をしました。

 再委託(丸投げ)やマニュアル不徹底。考えられない事故が相次ぎます。「聖域をつくらず」「民間にできることは民間に」とする行政経費節減を優先する時代への一つの警鐘だと受け止めるべきです。今回のふじみ野市(旧・上福岡市)のプールが管理を委託されたのは少し古く、地方自治法改悪で指定管理者制度ができる以前のことではありますが。その際も人件費を削ることを至上命題とする「改革」で、このプールは今年から「直営で」委託という方式でした。

 灘区にも公営プールがあります。王子スポーツセンターは体育協会が指定管理者となり、鶴甲は一般利用を中止しています。 

「安かろう悪かろう」と民営化の流れが生命まで吸い込んでは困ります。


なだ・平和のための木曜行動NO.212
2006年7月27日

176

歯止めがきかない超高層

 『朝日新聞』が超高層ビルの特集をしました。

 神戸は超高層の比率が全国一と聞いたことがあります。ニョキニョキとマンションが建ち続けています。梅雨時には雲のなかに最上階が隠れていました。空き家が一方で増え、それでも新築の超高層マンションは全部売れているそうです。

 神戸市内で高さ100b以上のビル・マンションは34棟、建築中と計画中が他に7棟あります。灘区内にはHATに2棟、六甲南再開発に2棟、灘駅前に1棟です。御影工業高校跡地には50階建てのプランが疑惑のコンペで採用されました。

 住んでいる人に聞くと「眺望はいい」「近所づきあいの煩わしさがない」など、評価は高く、夜景を演出しています。でも『朝日新聞』が特集のなかで指摘したように、未解決の問題は山積し、将来は不安です。

 行政は「適法なら規制は不公平」だとして歯止めがかからない状態を放置しています。


なだ・平和のための木曜行動NO.211
2006年7月20日

175

幕の下から汚い足が

 4月5日の逮捕以来、拘置所に収監されていた村岡被告がきのう保釈されました。一昨日の初公判で容疑を全て認めたことに基づく保釈決定でした。

 一方、この1時間後から始まった市会の倫理特別委員会は、今後の審議の進め方について、委員長提案を採決で決めるという異例の展開となりました。

 市の中枢が描くシナリオが見え隠れします。行政に不正はなかったというシナリオです。行政の関与なしに、収賄罪が成り立つというシナリオがまずあり、市長も幹部職員も、被告も、また市会までがそのシナリオを演じて、舞台は成り立つでしょうか。幕を降ろそうとして幕の下からきたない汚れた足が見えています。

 新社会党は、裁判所とは異なった観点、つまり汚職の背景を解明し、それを根絶し、市民の市政への信頼回復をはかるという観点から、全容解明と再発防止運動を続けます。


なだ・平和のための木曜行動NO.210
2006年7月13日

174

滋賀県 新知事に期待

 滋賀県に誕生した嘉田由紀子(かだ・ゆきこ)新知事が、新幹線「南びわ湖駅」の予算執行停止を表明しました。

 総事業費2兆円の琵琶湖総合開発は、神戸などの飲料水の持続的な供給に大きな役割を果たしましたが、一方、北湖まで汚染が広がるなど、環境持続性には、もっと大きな不安定要素をもたらしました。嘉田さんは、琵琶湖の研究者です。

 かだ新知事のホームページによれば、新幹線の新駅は事業費250億円のうち、地元自治体が240億円だそうです。東海道線とは離れていて、草津線の新駅との間に陸橋を架け、この間400bはムービングウォークで結ぶという構想だそうです。何やら、関西新空港と神戸空港の間に海底トンネルを造る話に酷似しています。この20キロ北にびわこ空港を建設する計画も、かつて前知事がぶちあげていました。 

 嘉田由紀子・新知事(就任は20日)の活躍に期待。


なだ・平和のための木曜行動NO.209
2006年6月29日

173

親密すぎる三人の関係

 日銀・福井総裁の資産に驚きました。同年代の高齢者が市県民税、国保料、介護保険料の増額通知に耐えられないと、連日区役所に押しかけているさなかに。

 かれがブルジョア階級に属しており、その暮らしぶりが庶民とかけ離れていることは、むしろ驚くべきことではありません。本当に驚くべきは、村上ファンドとオリックスの宮内義彦会長の親密な関係に加えて、福井総裁が「非常に親しい」とするオリックスの宮内会長を交えた3者が投資組合を操って、企業の乗っ取りに深く関与していたことです。しかも日銀のトップが「親しい」と語る宮内会長のオリックスを介して福井総裁の「投資」は、村上ファンドに投じられていたのです。

 営利企業を国や自治体に参入させる新自由主義革命を政府の規制改革会議を舞台に主導した「神戸大使」は、証人として喚問を受け、正直に答えるべきです。


なだ・平和のための木曜行動NO.208
2006年6月22日

172

どの声も切実で重い

 先週、3日つづきで発送が始まった、市県民税、国民健康保険料、介護保険料に、問い合わせ・減免の申請、そして抗議の人並みが続いています。区役所には毎日、3千人、4千人の人々が、多くは高齢者ですが押し寄せ、特設した電話相談も電話がかかりにくくなっています。

 20日の福祉環境常任委員会は10時に始まり、休憩を挟んで終わったのは夜8時でした。新社会党は、予算審議の段階から減免を求め、控除廃止や控除縮減で神戸市が得るものがあってはならないと主張してきました。また、何時間も待って減免申請書一つ書かせてもらえないような対応はおかしいと主張しています。介護保険新法の影響もあり、どの声も切実です。

 先週木曜日には、区役所前で署名運動にも取り組みました。「ハンストしか抗議の意思表示の方法はない」「小泉にだまされたのか」・・・。重い声です。


なだ・平和のための木曜行動NO.207
2006年6月15日

171

入居者の不安解消を

 シンドラー社製エレベーターが設置されているマンションから、怖い思いをしたという情報が多数寄せられています。「最上階まで上昇」「ドアに挟まれた」「閉じこめられた」・・・。事故を受けて、定期点検を繰り上げ実施することにはなりましたが、過去のトラブルや不具合の情報を把握し、その原因を調べ、解決にいたった経過が説明されなければなりません。

 参入の経緯に何があったのか賃貸住宅が多く、市営住宅などや旧住宅公団(住都公団・都市基盤公団を経て都市再生機構)に多数設置されています。市営住宅の他、灘区六甲台町のグリーンヒルズ六甲や東灘区鴨子ヶ原のグリーンヒルズ御影などです。

 管理市場の争奪戦があり、値下げ競争があり、当然のようにメーカーは管理会社に情報提供を渋り、その間、住民不在です。入居者は「管理費を払う人」でしょうか。入居者の不安解消が急務です。


なだ・平和のための木曜行動NO.206
2006年6月8日

170

エレベータへの信頼

 エレベータがどの会社の製造か、関心を持っている人は少ないと思います。建築基準法で点検や行政への報告も義務づけられており、安全が大前提です。

 東京港区で土曜日に起きた死亡事故を発端に、公共施設でシンドラー社製のエレベータに次々と不具合が見つかっています。

 各社が競って高速化し、当然コンピュータ制御です。乗り心地も大切で、止まる前に逆に動くような感じがしたと昔話をすると若者に笑われます。時速60`が世界最速で、ノンストップなら50階建てでも10秒程だそうです。

 監督官庁は神戸市建築安全課で、市営住宅33棟、学校など10棟がシンドラー社製。エレベータは市内に1万基あるそうです。

 2枚のドアの一方でも開いたまま動くことはない、なのに動いたのです。参入障壁というドアの開け方に無理があり、もう一枚のドア、法令による点検も機能しませんでした。


なだ・平和のための木曜行動NO.205
2006年6月1日

169

密室の取引が問題

 全容解明へ、神戸市会は地方自治法第百条に定める調査権を行使する決議をおこないました。事件発覚からやがて2か月です。

 市長室押収(5月1日)資料には、要綱改正によって民事訴訟で市側が敗訴する可能性を当時市長が認識しており、8日の地検による市長事情聴取の際、それが問われていたらしいのです。さらに問題は、市長が本会議で要綱行政一般にすり替えてこれを「公益を守るため」と開き直っていることです。

 新自由主義は要綱行政に批判的です。一般論として要綱は必要です。しかし「敗訴も覚悟」とは、つまり「市民への背信行為」「企業で言えば背任罪」ではないでしょうか。ガラスばりの行政なら、そして正しい要綱改正なら、ここで市民に実情を公表し、市民の判断を得るべきだったのではないでしょうか。ことは密室で、特定企業の利益のために、自民党の要求に沿って進められたのです。


なだ・平和のための木曜行動NO.204
2006年5月25日

168

知恵が「ないぞう」症候群

 にわかに内臓脂肪症候群(メタボリック・シンドローム)が話題になっています。

 厚生労働省が調査結果を発表したのです。何と40歳以上の男性は2人に1人、女性は5人に1人が「危険水域」にある、と。

 生活習慣病の予防に役所が力を入れることに異議はありません。しかし、生活習慣病は四半世紀も前から指摘されてきたのに、米国で診断基準が公表されたのは'01年で、4年後には日本でも基準がつくられました。

 日本では、男性は腹囲(腹回り)85a以上、女性は90aで、米国の基準より男性では17aも厳しいのに女性は2a緩やか。しかもなぜか背の高さは無関係。ハンバーガーを歩きながら食べるのが「文化」になるより素早く定着したのです。

 役所が基準づくりまで学会に丸投げしたやり方は、今や「習慣」となっています。知恵が「ないぞう」症候群です。与党の水ぶくれが問題なのです。


なだ・平和のための木曜行動NO.203
2006年5月18日

167

別ければ資源「集めればワイロ」

 灘区H町の自治会は資源集団回収に取り組んでいます。日曜日に総出で集めた空き缶を足で踏み、リサイクル製品の品質向上に汗をかいています。

 Mさんは「山歩きの際、ペットボトルも持ち帰って集団回収に出している。家ではビールの空きかんを洗って出す。きれいになったアルミ缶から良質のアルミが再生でき、リサイクルセンターを請け負っている業者がそれを高く売る。市民がリサイクルに取り組むと結果としてワイロが増えるとは」と怒っています。出前トークに市長が出てきてこれを説明できるだろうか、とも。

 リサイクルのマークは、生産者と消費者、そしてリサイクル業者の3者の間を資源が廻って循環することを象徴しています。神戸では疑惑が業者、議員、市長の間を「循環」し、「再生」されています。

 「混ぜればゴミ・別ければ資源」(神戸市)です。でも「集めればワイロ」とは。


なだ・平和のための木曜行動WEB版
2006年5月11日

号外

環境保全とワイロの関係

 「神戸市政の不正をただす会」を無数につくりましょう。市長が「不正はなかった」と重ねて主張すればするほど、こんな声が市民の皆さんからあがります。

 きのうの市会特別委員会は、環境局長の答弁拒否で休憩に入ったまま、散会しました。

 疑惑は広がり続けています。資源リサイクルセンターの入札は、障害者団体に決まっていた委託を取り消して、営利企業の参入を村岡容疑者が働きかけた結果おこなわれました。わずか10万円差のトップ2者が組んでいましたが、それを市当局は黙認していた可能性が高まっています。

 自民党の工作で参入した産廃業者は、市内の分別収集で出された空き缶を処理・販売して莫大な利益を手にしていました。

 市民が環境保全のため水道をひねって空き缶をすすぎ、分別して出せば、それが回りまわってワイロに使われていたのです。


なだ・平和のための木曜行動NO.202
2006年4月27日

166

あのフェロシルトが

 あのフェロシルトが神戸に搬入され続けています。

 石原産業が商標登録までして「販売」していたフェロシルト約100万dは、高濃度の六価クロムや微量の放射性物質を含んでいたことから、東海三県と京都府で撤去が始まっています。

 石原産業は産業廃棄物として受け入れてくれる最終処分場を全国で探していますが遅々として進まず、三たび公害の元凶として悪名をはせています。四日市市垂坂地区には7万5千d。回収のため掘った穴は数十bの深さに及び、フェロシルトは野積みされています。

 神戸の民間処分場が受け入れていることは「美談」でしょうか。産廃の撤去を求めているのは住民とそれぞれの行政で、産廃の処分先を求めているのは石原産業です。何より受け入れ計画は公表されていません。3年前、環境保全審議会は処理場の情報公開へ基準の改定を市長に答申していた、にもかかわらず。


なだ・平和のための木曜行動NO.201
2006年4月20日

165

でも好きです阪神

 「阪急タイガースになったけど、名前も変えないから、阪神タイガースだと思ってこれまでどおり応援してください」資本主義だから当たり前と言われても、釈然としません。

 好きだった女性が結婚しても、毎日写真を見て思いを募らせるとすれば、今の連れ合いは喜ぶでしょうか。思いを寄せられる女性もキショイでしょう。世間では横恋慕と言います。相手が男だとて同じ。

 たとえが悪い。ならばオリックスバファローズはどうでしょう。市役所の前に「夢を飛ばせオリックス」というバナーがはためきます。なぜ「バファローズじゃないのだろう」。あえて企業名を公道にひらめかせるところにオリックスは利益を見つけるのでしょうが、市民は野球文化とはとらえず、神戸市がマンション業者かレンタカー業者、ああ元サラ金に乗っ取られたのかと思います。

 乗っ取りの時代の暮らしにくさを思います。


なだ・平和のための木曜行動NO.200
2006年4月13日

164

行動200回・ビラ200号

 吉田俊弘さんのサイトに「木曜行動ノート」が連載されて4年4か月。その更新回数は199回に達しました。毎回、六甲道駅前で会う人々の表情や、このビラの見出しが記録されています。「木曜行動ノート」の歴史は木曜行動の歴史であるとともに、吉田俊弘さんのホームページの歴史でもあります。それはまた、ブッシュ政権や小泉政権の5年間とたたかって平和を訴えてきた歴史です。

 同サイト内の「あんな本・こんな本」は69冊となりました。書評もそこそこに「我が意を得たり」あり「大反論」ありの、書籍紹介です。行動200回を期して、ビラの縮刷版を記念出版しようという呼びかけに応えるならば、ぜひ紹介したい2つのコンテンツです。

 冬が5回、当然その後、春が来ました。毎号を、駅であるいは『週刊新社会』の折り込みで貯めていただいている方もあります。


なだ・平和のための木曜行動NO.199
2006年4月6日

163

法令を守るシステム?

 話題の大阪市役所にコンプライアンス委員会なるものができました。

 新自由主義は資本の手かせ・足かせを解いて、儲けたいだけ儲けることのできるシステムです。規制を撤廃すると、間もなく商道徳や企業倫理も崩壊(モラルハザード)しました。ヨーロッパでは「再規制(リレギュレーション)」が始まりましたが、日米では「コンプライアンス(法令遵守)」でお茶を濁しています。

 大阪では役所が法令を遵守すると約束し、そのチェック体制を公表しました。法令遵守を役所が目標にすること自体、お笑いですが、どこまで読み進めても主権者である市民が登場しません。厚遇問題の本質は、労使癒着と委員会傍聴さえできない議会の閉鎖体質にあったのに、これに手を付けずに「改革」を進めようというのです。予算や条例の審議を市民がチェックせず、行政を市民に従わせることは不可能です。


なだ・平和のための木曜行動NO.198
2006年3月30日

162

記名投票で民営化反対を表明

 神戸市会定例会がきのう閉会しました。格差拡大の憂うべき状況を行政が後押しする新年度予算が賛成多数で承認されました。

 「豊かさ」が強調され、震災や不況・デフレは市幹部の頭のなかでは過去のものだそうです。開港した神戸空港がにぎわっており、飛行機のついでに論理も安全までも飛ばして「新たな飛躍」なのだそうです。

 市長の「神戸は豊か」という催眠術にかかったのか、議員定数削減と抱き合わせのように議員歳費の値上げ(震災後の減額を解除)が提案され、可決されてしまいました。

 「豊か」なら保育所を人手に渡す(民営化)必要もありません。行政水準・保育水準を下げる必要が、なぜ「豊かな神戸」にあるのでしょう。保護者は納得していません。中原など3保育所を廃止する条例改正案に、採決結果を分かりやすくするため新社会党は記名投票を求め、青票(反対票)を投じました。


なだ・平和のための木曜行動NO.197
2006年3月23日

161

保険料値上げの持続可能性

 高齢者の介護保険料が4月から36%も引き上げられます。基準月額で4、694円という重い負担となります。

 控除廃止という増税で「年金額は減ったのに今年から課税対象になった」という人が少なくありません。連動して国保料とともに介護保険料もごっそり天引きされます。

 神戸の介護保険料は広島(4、786円)、大阪(4、780円)、京都(4、760円)、北九州(4、750円)に次いで政令都市14市の中で5番目に高くなりました。市民所得は低い方から2番目の神戸が保険料は高い方から5番目です。特養や老健施設が整っているので高いのだとされていますが、入所待ちの人の数も半端ではありません。

 神戸市は制度が破たんしているのではないかという問いに、「(3年後の)値上げ持続可能性」をさえ臭わせる議会答弁をしています。

 現役世代にもいずれ降りかかる高負担です。


なだ・平和のための木曜行動NO.196
2006年3月16日

160

住民投票運動の前進速度

 岩国で12日に行われた住民投票の結果を、13日の『おはよう新社会党です』(阪急六甲で配布)に載せるため、深夜までインターネットとテレビに釘付けになりました。11時半、「住民投票を成功させる会」のホームページに「確定。受け入れに賛成は・・・。受け入れに反対の人の有資格者に占める割合は51.3%」という情報がアップされました。

 現地から今井一さんが「午後4時の発表で投票率50%を突破します」と伝えてくれてから8時間、今回の住民投票で知り合ったFさんをはじめ多くの人々と開票所の雰囲気を共有できました。

 思えば新潟県巻町の原発住民投票は'96年8月。「住民投票はなじまない」「すでに決まったこと」・・・神戸も含め、数々の住民投票が、同じ壁を乗りこえ少しずつ前進しています。情報伝達手段(IT革命)の普及速度ほどではないにしろ、確実に。


なだ・平和のための木曜行動NO.195
2006年3月9日

159

不思議な保育所廃止条例

 保育所民営化を神戸市は、保護者の心配や怒りを無視してゴリゴリと続けています。

 4月から民営化される中原(灘区)、本山北町(東灘区)、鈴蘭台北町(北区)の3園について「廃止条例」が市会で審議中です。と言っても、昨年4月22日、突如として「保護者の理解を得てすすめる」と宣言しておきながら、いまだにまったく合意形成ができていない状態の保育所もあります。

 おかしなことに、法人を公募したとき、地代を50年間払うことを条件にしておきながら、6年間はその地代と同額を補助するのだそうです。地代は地価をもとに決められ、子どもの数や保育の質を保障する保育士の数や経験年数とは無関係です。本山北町保育所で子どもは141人、地代、つまり補助金は年額210万円、中原は137人で年額130万円です。補助金というより「民営化ごり押し謝礼金?」ではないでしょうか。


なだ・平和のための木曜行動NO.194
2006年3月2日

158

増税と表現しない大増税

 庶民大増税の予算案の是非を審議すべき国会が、1枚の紙切れの真偽と謝罪の仕方で空転ならぬ逆回転です。

 神戸では介護保険料が36%アップです。国民健康保険料、市営住宅家賃、保育料なども、控除をなくし、あるいは定率減税廃止の「税制改正」で、大幅な値上げになります。「非課税から課税に変わったのはなぜか」「値上げと言わずに額を引き上げるのはなぜか」「計算を間違っているのではないか」。新年度、区役所に大勢の人の波が押し寄せることになりそうです。もちろん、新社会党は「市の収入が増える分を、市民に再分配を」と訴えますが、「新たな飛躍」「豊かさ」強調の市長を説得するには、庁舎を取り巻く何万人もの抗議の声が必要です。

 若者も高齢者も手取りが減れば支出も減ります。消費が減れば商店の売り上げに影響が出ます。「景気回復」も一瞬のものになります。


なだ・平和のための木曜行動NO.193
2006年2月23日

157

余るは足りぬのなんとやら

 神戸空港が開港し、そのにぎわいが連日のように報じられています。

 開港前の見学会に押しよせた人と車の群れを見て、神戸空港ターミナル株式会社は「見学は当面控えて」「駐車場は搭乗者と送迎専用。見学は公共交通で」と開港直前の13日に決めました。

ターミナルビルと駐車場を管理しているのは三セクのこの会社です。搭乗者の車を24時間無料にし、眺望は抜群と、見学・利用を呼びかけてきたのは神戸市でした。

 ターミナルビルが「来場歓迎」で、道路管理者の神戸市が「見学を控えて」なら話はわかりやすいのですが、まったく逆なのです。

 早くも黒字化を宣言したターミナルビルと、埋め立てたものの土地が売れない神戸市の立場の違いでしょうか。飛行機と論理は飛ばせても、市民生活の「新たな飛躍」にはなりません。「市役所のオモテナシにはウラがある」。


なだ・平和のための木曜行動NO.192
2006年2月9日

156

復刻ブームと神戸文学館

 大佛次郎(おさらぎじろう)の『天皇の世紀』普及版が12月から毎月1巻ずつ発行され、人気のようです。

 読書家(読書階級?)でない者がこんなテーマを扱うこと自体がヒンシュクものですが・・・。インターネットの上で、「復刊ドットコム」(http://www.fukkan.com/)という復刊・復刻についての投票を呼びかけているサイトがあり、吉田俊弘さん(http://www.kcc.zaq.ne.jp/tosihiro)はホームページで『あんな本・こんな本』の読書を勧めています。また神戸市は「文学館」を新年度予算のなかに盛り込もうとしています。

 敏馬の浜が万葉集にうたわれ、また与謝蕪村に「菜の花や」と詠まれたのは摩耶山麓だったにもかかわらず、文学館と称するものが一つもない、それどころか谷崎潤一郎記念館は芦屋にとられ?ています。

 復刻ブームや神戸市が文学館への歩みを始めることを歓迎します。

アナログ版ではリンクはしていません。念のため


なだ・平和のための木曜行動NO.191
2006年2月2日

155

法令そこ偽装の極み

 姉歯建築士(当時)が耐震偽装問題でテレビにたびたび映った際、ある若者から「あれはヅラ。偽装にきまっている」と茶化して言われたことがありました。

 若者が政治に不信感を持ち、社会を信じなくなっていると指摘されて何十年でしょう。先鋭な感覚とウィットに富んだ表現で姉歯氏のカツラと耐震偽装問題を同時に表現しました。かれらは偽装・粉飾で欺まんに満ちた社会を結構、冷徹に見ています。

 実は偽装や偽造、粉飾の動機となり、これを生み出し、これを許している拝金思想や市場原理主義をこそ、断罪しなければなりません。しきりに「モラルハザードに対処してコンプライアンス(法令遵守)」という表現で、経営者の内部から処方箋が提示されますが、その土壌には手が付けられません。土壌改良こそが今必要です。

 「自由のため」「改革のため」とする法令こそ、偽装が極まっています。


なだ・平和のための木曜行動NO.190
2006年1月26日

154

改革デリバティブ企業の末路

 拘置所に入ったとたん、テレビも新聞もこき下ろし始めましたが、風雲児・革命児ともてはやされたのは昔のことではなかったはずです。しかもこの期に及んで「アメリカでは当然の商行為」「改革を止めるな」などと本質をはぐらかす論調さえ健在です。

 粉飾決算で消え去ったエンロンは、元は発電所や送電線を持つ電力会社でした。電力を売買し、電力を投機の対象にし、実需としての電力と、マネーゲームとしての電力の間に大きなギャップが生じた結果、カリフォルニアで大停電事故を起こし、消え去りました。電力まで金融デリバティブ(派生)商品にした当然の結末でした。

 ライブドアは「改革派生企業」です。ソフト開発などの実業が虚業を支えきれるかなどの課題は指摘されていますが、適法に進められる改革そのものにこそ巨大な落とし穴があることに、政治と行政は気づくべきではないでしょうか。


なだ・平和のための木曜行動NO.189
2006年1月19日

153

資本原理主義の罪

 ライブドアに粉飾決算の疑いがでて、証券取引所と株相場は大混乱です。

 東大生としての起業から企業乗っ取り、経団連加入などで名をはせるライブドアと堀江社長を、英雄視する風潮があります。改革の寵児・風雲児と。

 しかし、「元役員」ならずとも、買収され排除された経営者に恨まれないはずがありません。資本原理主義の道を歩んできて巨大資本を手にした大企業が、あとから資本原理主義の道を追いかけてくる企業を脅威に感じるのは当たり前です。

 罪状は何か。経営の効率化、敵対的買収、乗っ取り、恣意的な株式分割はいいが、偽計と風説の流布による株式市場の操作はよくない、のだそうです。

 失業と不安定雇用を大量に生み出す「改革」は、コンプライアンス(法令遵守)を強調してなお、倫理・道徳観を全社会にわたって破壊するという「改革」です。


なだ・平和のための木曜行動NO.188
2006年1月12日

152

大震災11年 最後の一人まで

 あの日も今年と同じ火曜日でした。成人の日が15日で、今年と違って休み明けの火曜日でした。

 超高層マンションが増え、神戸市の人口も灘区の人口も震災前を抜き去りました。大地震が未だ来ない東京でさえ、マンションに使用禁止命令がだされたというのに神戸では、その命令が出されることもなく、「順調に」復興は進んだことになっています。人の住む小さな家屋ばかりか、巨大な人工島と滑走路まで完成しました。ワープロ性漢字健忘症にかかった恥ずかしい誤字を1字訂正しました。13日。アナログ版の訂正不可

 しかし人々のくらしと商工業は、「8割復興」宣言が出されて以降も毎年、バブル経済の頂点から15年、低下の一途を辿っています。

 73歳から84歳まで11年、岡山・山陽団地からWさんの元気な声が届きました。「私が帰れる街になったか?」。答えに困っています。Wさんに「お帰りなさい」と声をかけるべきは市長や知事なのではないか、私個人なのか。


なだ・平和のための木曜行動NO.187
2006年1月5日

151

リストラ効果きわまる

 年末、神戸市は平成16年工業統計調査結果(神戸市統計報告No.4)を発表しました。製造品出荷額が7年ぶりに増加、その前は1年だけ増加した年があり、さらにその前5年連続して下落していましたから、見方によっては13年ぶりの増加です。経済産業省は9月に速報値を発表していますが、全国的には2年連続して出荷額が増加という同様の傾向です。

 ただし、共通して憂慮すべきデータは従業者数と事業所数で、なお減少し続けていることです。神戸市では最盛期、4人以上の事業所が4千5百を数えたのに、今や2千百事業所となり、従業者数は11万人台から6万7千人台へと激減しました。

 経済産業省は全国の統計結果について、「1事業所当たりの出荷額、従業者1人当たり付加価値額は3年連続増加、水準は過去最高」と表現しています。

 搾取率は過去最高水準、と読めます。

最近の木曜コラムへ TOPへ
バックナンバーその1へ 吉田俊弘さんの「木曜行動」ノート」へ
バックナンバーその2へ 木曜行動へ
バックナンバーその3へ
バックナンバーその5へ  
バックナンバーその6へ