井上力の

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ここにはNO.251(チラシは290号2008年5月1日)から
NO.350(チラシは395号2010年9月30日)までを
2011年4月21日にまとめました
 


なだ・平和のための木曜行動NO.395
2010年9月30日

350

港を売るな

 『毎日新聞』の「余録」に「売家と唐様で書く三代目」という川柳がでてきて、自称、川柳評論家のAさんとひとしきり話題にしました。

 広辞苑には「初代が苦労して作った家屋敷も、三代目となると売りに出すことになる。商いをおろそかにし中国風の書体などを凝って習ったおろかさが『売家』のはり紙にあらわれていることを皮肉った句」とありました。

 親は母子家庭を苦労して学校にやってくれたのに、横から出てきたわが不孝に思いはおよびました。また3年前、バンソウコウの農水大臣も参院選大敗で登院せずに入院した首相も三代目だったことにも。

 神戸はどうか。初代都市経営から三代目。「港は経営すべし」から三代目、埠頭公社の民営化。借金は棚上げ、民営化しても固定資産税いらない、補助金は従来以上に。何やら旧国鉄の様相です。


なだ・平和のための木曜行動NO.394
2010年9月16日

349

虚心は虚言なのですか

 名護市議選について、仙谷官房長官は「民意を虚心に受け止める」と言い、名護市民に「説明する」と宣言したそうです。「説明」とは、政府の方針を沖縄に押しつけることでしょうか。「説明」とは、抑止力について「説教」することでしょうか。抑止力なんだから飲酒運転も少女暴行事件も泣き寝入りしてほしいと「説明」するのでしょうか。「虚心」とはこのように使う言葉でしょうか。

 「虚心」と字が似ていますが「虚言」ということばがあります。仙谷官房長官の「虚心に」は「虚言」です。本来ならば民意を虚心に受け止めれば「首相に相談してみる」はずです。民意を虚心に受け止めれば少なくとも、「大臣のなかに前の市長と複数回、銀座で会った者がいなかったのか(『琉球新報』の報道)、検証してみる」のではないでしょうか。

 貧乏人はカネを見せれば転(こ)ける。そんな虚(むな)しい政治にピリオドを。


なだ・平和のための木曜行動NO.393
2010年9月9日

348

レベルがローだ

 2週続けて格安航空会社(LCC、ロー・コスト・キャリア)について。

 日航が更生計画で「検討」とし、国交大臣が「検討ではいけない。進めるべきだ」と宣告しました。ANA(全日空)もすでに準備を始めており、国内線も国際線も半額、ブランドはANAではなく、パイロットなど給与体系もまったく別、海外からファンドなどの資本参加、社長は格安航空会社を経営した実績のある人物、なのだそうです。

 すでに始まっていることですが、航空自由協定とLCC専用ターミナル建設や着陸料の値下げなど、まさに国策としてLCCを育成しようというのが国交省の「成長戦略」です。

 得られるものは観光客の増加という「内需」だけで、失うものが余りにも大きく、多いように思います。安全の基準、産業別・職種別の労働基準から命の基準まで。準LCC専用空港となった神戸空港の例から言えば空港の基準も。


なだ・平和のための木曜行動NO.392
2010年9月2日

347

人のクビ「格安」

 日航の更生計画が発表されました。1万6千人の解雇、5,200億円の債権放棄、国が3,500億円を出資する、などです。

 ドル先物買いで大損し、ホテルも失敗、国策で赤字の地方空港に就航し、日米構造協議でジャンボ機を大量に買い、廃棄。株主優待券は「格安券」として金券ショップへ。

 「空の市場開放」時代。前原国交大臣は、日航がLCC(格安航空会社)を設立すべきだと言います。

 大臣は、茨城空港に「上海まで4千円」という海外格安会社を就航させました。同社は週3回、茨城に就航し、そのうち1回は百里基地の訓練で成田への離着陸なのだそうです。水戸から成田まで私鉄で片道4千円以上かかるそうです。

 「格安券」から「日航の名がついた格安子会社」へ。国が命じてデパートが隣に安売りの量販店をつくったらどうなるでしょう。安全と人のクビの「格安」は困ります。


なだ・平和のための木曜行動NO.391
2010年8月26日

346

忘れっぽいね

 八尾から神戸、十数分。忘れる暇だけあった話。

 「ビジネスジェット、自家用飛行機当たり前と言ったって、それはアメリカ大陸、新幹線も電車さえまともにない国の話です。神戸ほどの大都市に空港がないのはおかしいと言ったって、横浜や、新宿、渋谷に空港はない。神戸もいらん」

 古い古い、忘れるほど古い議論。いまや借りた飛行機をちょいと操縦。こういう時代なんです。忘れてました「空の時代」。

 忘れていました「管理は着陸料で」。足りない10億円、泉のように知恵が出た。何にでも、つまり福祉にも教育にも使える地方交付税は空港管理にも使えるし、県が補助金くれた。燃料譲与税は、環境対策のためということですが、空港を造ったからこそもらえるカネ。国費も県税も出どころは市民だって、忘れてください。

 着陸料は忘れず払ってね。脚だし忘れの1機、6トン未満1050円。


なだ・平和のための木曜行動NO.390
2010年8月19日

345

激増 赤字地方債

 赤字国債は35年前から累々と積み上げられ、ついに地方債も赤字地方債が借金全体の3分の2に。残高でも3分の1に近づいています。お盆前に県も市も昨年度決算見込みを発表しました。法人から兵庫県への税金、770億円の減。補うのは減収補てん債、臨時財政対策債、行革推進債に退職手当債。「地方交付税で措置する」と国が道府県、市町村をサラ金苦に追い込んでいます。

 「国と地方を通じた税構造の抜本改革」に異論はありません。ついで知事は、「消費税や地方消費税の取扱いなど避けて通れない」とも。

 大不況に何が大切か。入るを量って出ずるを制すなどという財政「学」では困るのです。65年そうやってやってきた結果が「孫子に借金」なのですから。県民の懐に「入る」、雇用を計ること。国に軍事費削減、自らは大企業援助や神戸空港補助金などを「制する」ことではないでしょうか。


なだ・平和のための木曜行動NO.389
2010年8月5日

344

ウソの色はバラ色

 先週のこの欄は「ウソの色は白か」と内閣府の経済白書について。厚労省の労働白書の色はバラ色です。

 平成22年版労働経済白書がでました。ひどいものです。次のような表現があります。

 賃金とGDPは激減したが雇用が守れた、というのです(本文70ページ)。「雇用の確保を通じて所得と消費の崩落を防ぎ、人々の不安心理を払拭することによって、経済を底支えた」(同)と。引用・紹介されているデータとこの表現の落差。

 労働者の暮らしは「底支え」どころか、雇用も賃金も、すでに底割れしています。格差(同第3章)で片付けるわけにはいかない深刻な情勢です。

 白書は「人件費コストの抑制」一色だった企業の「採用態度」が変化を見せ始めており、「大企業では正規雇用の割合が増えた」と。誠に喜ばしい限りです。「すべての企業規模で雇用が減少」したのに・・・。


なだ・平和のための木曜行動NO.388
2010年7月29日

343

ウソの色は白か

 かつての「経済白書」は、経済企画庁がなくなり、内閣府が出す「経済財政白書」になっています。

 2010年版が23日に。500ページ近い分量で、役所が力をこめて「新発見」と書いた部分は驚かずにはおれません。

 「これまで、介護事業は労働集約的なサービスであり、生産性の向上は難しいと考えられてきたが、ITの活用により、介護人員の効率的な配置・派遣やその他の事務の効率化が進めば、賃金の改善につながる可能性があることが分かった。」 (308ページ)のだそうです。

 人手をかけて効果的な介護に取り組むと要介護度が下がり、つまり介護報酬が下がり、賃金を下げるしかない。介護保険の本質的な欠陥は、ここにあります。だから人間の尊厳を奪うと分かっていても、人手のかかるオムツ外しなどには取り組めないと。

「新発見」は、これに答えていません。


なだ・平和のための木曜行動NO.387
2010年7月22日

342

なぜ?「持ち帰り票」

 参院選神戸市西区の開票作業が、翌朝11時を過ぎても「続いて」いたのは驚きでした。立会人が朝から再招集され、「確定」をやり直したそうです。知事が20日の定例会見で「持ち帰り票が多いのはおかしいのではないかという、素朴な疑問をもう少しみんなが共有することができれば・・・」と釈明しています。

 「持ち帰り」は、悪質な違反行為とつながります。ゼロでなければならないはずの替え玉事件があったり、持ち帰り票すなわち、持ち込み(と見なすべき)票が目立つようになりました。

 たしかに投票立ち会いや開票作業をする人々の「素朴な疑問」が必要です。研修も必要でしょう。

 しかし、世論はいまこれを許しているでしょうか。とくに公務員一般に「だれでもできる」「公僕という字の意味を考えろ」という風潮のなかで、「事務」や「事業」の平均的・社会的水準が、実はピンチです。


なだ・平和のための木曜行動NO.386
2010年7月15日

341

遠ざかる「本土並み」

 沖縄地元紙の一つ『琉球新報』で「自民死守・民主不在」という、参院選をふり返る特集が始まりました。

 沖縄は「全国最下位」をたくさん持つ県です。失業率、有効求人倍率、一人あたり県民所得・・・。出生数や長寿という点では「全国トップ」です。

 復帰('72年)からいっかんして全国平均を上回っていた投票率が初めて全国平均を下回ったのは'96年の総選挙でした。そして今回の参院選は、初めて全国最下位の投票率となってしまいました。

 民主党は選挙区候補を立てず、自民党現職が「新基地反対」で議席を死守、民主党は「新基地反対」の無所属候補を応援してはいけないと命令を出しました。比例区では社民党が第一党となり、「新基地反対」を言いたくても言えなかった『花』の喜 納大失敗・誤字でした昌吉さんは前回から激減で、落選してしまいました。

「本土並み」からどんどん遠ざかっています。


なだ・平和のための木曜行動NO.385
2010年6月17日

340

どう読む?奇兵隊(下)

 幕藩体制を支えたのは「上見て暮らすな、下見て暮らせ」の身分制度でしたが、ついに薩長土肥など商品作物を奨励し、貿易を活発にしてきた諸藩の内部で革命は始まりました。武士の力は弱まり商人が農民を搾取して力をつけます。財閥も芽吹きました。

 長州藩は幕府の開国政策に反対し、勅許を出さなかった朝廷の意向を汲んで英仏蘭米4国と戦争を始めます。鋼鉄船さえ持たない長州藩はあっけなく敗れました。反省、学習して常備軍の西洋化に取りかかります。指令部は下層武士に、農工商階級からも募って「奇兵隊」などが組織されたのです。三百年ふんぞり返った武士だけでは、本業の戦さえできなくなっていたのでした。

 なお、朝廷は幕府に長州征伐を命じ、二度にわたって大軍が長州を攻撃しますが、これに長州藩は薩摩と秘密同盟を結んで勝利します。フランス大革命から百年たっていました。


なだ・平和のための木曜行動NO.384
2010年6月10日

339

どう読む?奇兵隊(上)

 「コンクリートから人へ」は、8か月たてば「コンクリートを海へ、コンクリートで新基地を」でした。その直後「市民派活動家」出身の新しい首相は就任会見で「最小不幸社会」と言い、自らを「奇兵隊内閣」と持ち上げて見せました。

 江戸時代の三大改革は、倹約を説き、徳政令(今で言う民事再生法、債権放棄)を出して武士が商人から借りていた借金を棒引きにし、商品作物の栽培や流通を押さえ込みました。武士は表向きカネを汚いモノと説教しながら、拝金主義に陥っていきました。改革は、商人の力を押さえる目的がありました。士農工商という身分差別で維持された封建社会は、それでも崩壊の一途を辿ります。

 権力移行のルールなんてない幕末、尊皇攘夷、公武合体、倒幕、何と言おうが上級武士だけの力ではどうにもなりません。藩士だけ、武士だけではない常備軍が造られました。


なだ・平和のための木曜行動NO.383
2010年6月3日

338

沖縄慰霊の日

 沖縄の「終戦」は8月15日ではありません。地上戦終結は、「本土決戦を一日でも遅らせろ」「民間人を盾に」と指揮した牛島中将が自決した6月23日です。

 その沖縄慰霊の日は、摩文仁の丘で慰霊祭が行われ、平和の礎に半数以上は民間人の新たな名を刻みます。子どもたちは平和学習の日であり、平和行進が行われ、米軍と一部は日本軍に奪われた命に思いを寄せます。

 6月23日はまた、安保条約が効力を持った日でもあります。(アナログ版では間違いがありました)改定(アナログ版は誤字あり)され、毎年延長される現在の安保条約は50年。今年は公示前日。「学べばまなぶほどに」6月23日は意味ある日です。

 沖縄での慰霊祭に最近は首相が参列しています。今年は「学べばまなぶほど」の鳩山さんは沖縄に行けるのだろうか、今度こそきちんと学んでほしいものだ、などと考えていたら、退陣しました。新首相がこの日を4年つづきで迎えます。


なだ・平和のための木曜行動NO.382
2010年5月27日

337

ゲームはとまらず

 「経済は回復基調」なのに世界は再び金融不安です。ギリシャ、スペインにつづいて、今回の震源地はドイツ。ドイツは国債などの空売り(値下がりを予想して先に売って、あとで買う)規制に続いて、上場株の空売り規制に乗り出すそうです。グローバリズムの時代に「一国主義」は失敗するという予見が皮肉にも今回の金融不安の原因で、日本には円高と株安が。

 発展し余りにも大きく、多くなりすぎた工場や商店、自動車や鉄道は恐慌の際、潰して、経済は回復するというのが常識でした。金融も同じで、お金もその何倍もの債券や株券も、紙くずにしてしまうまでゲームは繰り広げられます。「金融敗残兵」だけでなく、大問題は何ら「戦闘」に参加していない労働者に失業が襲いかかります。学校を出ても若者の仕事が慢性的にありません。ゲームを止める知恵は「金融帝国主義者」には浮かびません。


なだ・平和のための木曜行動NO.380
2010年5月13日

336

更正が必要

 4月28日、国土交通省の成長戦略会議は、5つの分野で「とりまとめ素案」を発表しました。

 委員は経営者を中心に11人、月内にも最終報告が閣議決定され、事業仕分けで凍結になっていた予算などが動き始める仕組みです。

 読んで驚いたのは、経済成長についての提言のはずなのに「雇用」という文字は151nでわずか15か所。海洋に4か所、観光に10か所、航空に1か所、国際・官民連携と住宅・都市の分野ではゼロです。

 住宅建設、下水道整備や更新、船舶、鉄道、高速道路、航空など需要の拡大・・・国交省が関わるどの仕事をとっても、雇用の拡大と労働者の生活の安定なしに「成長」するものはありません。

 日本の経営者は雇用と経済成長は対立概念だと考えている、そんな確信を深めました。雇用をやむなく減らすのは会社更生法。経営者たちの「更正」が必要です。


なだ・平和のための木曜行動NO.379
2010年5月6日

335

怒りのマグマ

 「怒りのマグマが噴出しますよ」

 普天間(ふてんま)第二小学校の屋上で伊波洋一・宜野湾市長が鳩山首相にフェンスの隣の普天間基地を説明している間にもジェット機の騒音が会話をかき消すテレビのニュース。大半は事前に指名を受けた人々が、しかし、移設でなく当初の約束どおり撤去を、土地を地主に返還しろ、一日も早い基地の閉鎖を、と訴えました。会場の外には「怒」のプラカードを持った数百人の市民。16日には神戸からもヒューマンチェーンに仲間が駆けつけようとしています。

 同じ光景は鳩山首相の訪ねた先々で繰り広げられました。県庁前で。名護市民会館で。

 3月に憲法を生かす会・灘が沖縄を訪ねた際に戦跡を案内してくださった方も、冒頭の学者のことばを引用しておられました。時代錯誤の安保と「抑止力」。マグマは私のなかで噴出寸前です。


なだ・平和のための木曜行動NO.378
2010年4月22日

334

本土のように

 『琉球新報』が徳之島の大集会を大々的に報じていました。全国紙でも大きく報じられましたが、徳之島に読者を持つ全国紙よりはるかに多く、「他県」の出来事を扱っています。

 平井一臣・鹿児島大学教授がインタビューに応じ、「奄美を『県外』とするのは、歴史の二重性を無視した大和(本土)側の論理」と指摘しています。

 琉球王朝。奄美出身の3世がサーターアンダギーの店を灘区で開いておられます。琉球舞踊の先生もいます。明や清、朝鮮半島や台湾と交流した「島人(しまんちゅ)」であって、「県外」ではないのです。

 一人あたり市民所得が沖縄より低いから沖縄のように基地を受け入れて沖縄のように豊かになろうという意見がないわけではありません。沖縄返還38年、「本土並み返還」から奄美は57年。アメリカのように豊かに、本土のように豊かに、いずれもモデルではありえません。


なだ・平和のための木曜行動NO.377
2010年4月15日

333

行司の嗤い

 関西3空港(関空・伊丹・神戸)をめぐる兵庫部屋と大阪部屋の一戦は、ついに行司が「じゃんけんで決めたら」と言い放って、行司がまず嗤(わら)いました。3空港懇談会は千秋楽。

 土俵の上に市民はいません。土俵にいるのは府県や政令市の知事・市長で、行司は財界(関経連)。

 鉄道会社が線路を敷き駅も造ったけど、電車が来ない・・・国鉄民営化で廃線にしたローカル線と同じことが都会の空港で起こっています。

 そこに法則と現象を混同し、「傾向と対策」の議論ばかり。伊丹を売って関空へリニアを。小中学生並みか幼稚園児か。狭い日本にリニアは要らないが海底トンネルのリニアは要る。乗客が増える見通しをたててはどうか、いや減ったらどうする。線路の経営(借金の返済)と電車の経営を分けては?

 土俵上の観戦者もいました。成長戦略会議という隠れ蓑まとった国交省。


なだ・平和のための木曜行動NO.376
2010年4月8日

332

両大臣への疑念

 朝鮮人高校(神戸では高級学校)を対象から外して・・・実際には外すかどうかは今後決める、として高校無償化法が施行されました。この字数であるいは街頭での報告で、この問題を扱うには誤解だけが残ってしまいかねません。しかし敢えて。

 中井aE国家公安委員長と川端達夫・文科相は、いったい何をしたいのだろうか?という疑念が日に日に募ります。スポーツでも大学進学でも、帰国子女問題など我が身に置き換えて見れば当然の開放と交流促進がこじ開けられてきた歴史を、この際それこそ百年(朝鮮半島の植民地化)逆に進めることが可能で国益になるとでも思っているのでしょうか。

 最後は有識者へ地方へと「丸投げ」しても、拉致問題の選挙への利用と民族排外主義というメッセージは強く残ります。排他的団結という手法に頼らざるを得ないほど、この社会の未来はないのでしょうか。


なだ・平和のための木曜行動NO.375
2010年4月1日

331

珍説・三空港

 「補完する」という言葉の意味は?「不十分な部分を補って完全なものにする」と辞書に。

 「関空は国際空港、伊丹は国内基幹空港、神戸は伊丹を補完する」という補完論がありました。首都圏と比べると潜在的な需要がある。4本の滑走路で足りない分を神戸空港が補うというものでした。

 日航を破たんさせ、全日空が650億円もの赤字を出した原因は、滑走路が足りないために飛行機を飛ばせなかったからではありません。

 新・補完論は「関空を伊丹と神戸が補完する」。関空の利用者が少なすぎるので補完なのです。補完という言葉の意味が違います。1兆円超の借金の利払い補助を国は減らしたいので伊丹と神戸の収入で関空を「補完する」と。

 伊丹は黒字ですが、神戸空港には県の税金や市の交付税が入っています。

 珍補完説を補って完全なものにするのは不可能。


なだ・平和のための木曜行動NO.374
2010年3月25日

330

廃港か3空港か

 橋下・大阪府知事が兵庫県議会を「物事を考えない小中学生」と非難すれば、井戸・兵庫県知事が翌日予定の府議会と橋下知事を、「空想論」と罵倒。

 府県議会が他府県の野党になって、「うちの知事」に同調、自らすべき仕事(市民の意見、需要予測や事業の収支見通しなどの調査)をしてこなかったことを棚に上げています。

 「3空港の最適活用」「関西の航空需要を最大化」・・・短い決議に「最適」「最大」が何度も。

 23日、県会最終日に議決(多数決)された「決議1号」。意見書よりトーンの強い決議。伊丹空港廃止反対の決議ですが、需要予測をもっと大きく見積もって伊丹と関空と神戸、3空港を残そう、としか読めません。

 両知事も両府県議会も、「あんたのとこの知事と議員は頭が悪い」。まるで「おまえのかあちゃん・・・」。文書にはできたものの、府県民の意見ではありません。


なだ・平和のための木曜行動NO.373
2010年3月18日

329

これが本物

 兵庫県での労働者大会にしていこう、参加者が主人公の集会を、と始まった「兵庫たたかう仲間の集会」は今回で9回目となった。毎年、県下の闘いを報告し、働く者の課題を確認しあう集会を心掛けてきた。参加者はなかなか300人の突破はならない。今年も300名弱の集会となった。それでも他では経験できない、創意工夫を凝らした集会だった。組合結成から偽装倒産全員解雇と闘う全港湾姫路伊藤分会、国労闘争団、今年は郵政労働者たちも組織的に参加してくれた。武庫川ユニオンは今年も劇で闘いを報告した。「ダストマンサービス残酷物語」昨年のレイバーフェスタに次ぐ2回目の上演となった。分会組合員を中心とした熱演に感動を与えた(と思っている)。神戸ワーカーズは派遣法抜本改正を訴えた。集会後は恒例のデモ行進。働く者の主張が三宮・元町にこだました。(武庫川ユニオンのサイトより転載)


なだ・平和のための木曜行動NO.372
2010年3月4日

328

世紀のペテン

 神戸市や兵庫県が関西空港に出資している莫大な公費は、関西空港の貸借対照表では利子を払う必要のない「資本=負債」です。対して、昭和の三大バカ事業と自民党議員が名づけたのに妙に共感、高い利子を払い全額返済が必要な負債が1兆1千億円。

 これを上下分離してはどうか、巨大な空港島つまり「下」を国営に、という何とも虫のいいプランが出て、井戸・兵庫県知事は1日、高く高く評価。

 同じように人工1文字訂正島を造ってその上に滑走路を造った神戸空港は、都市を住民ごと経営しているのに空港島が上手く経営できないはずはない、と島も空港も市営にしました。

 「地代さえ払わなくてよければ」とは、植民地か沖縄の米軍です。

 手品師は黒い布をかけた箱の上に首だけ出して、胴体を切り離したように見せかけます。へたな真似をしてはいけません。関空再建の迷案は世紀のペテンです。


なだ・平和のための木曜行動NO.369
2010年2月4日

327

兵庫×大阪バトル

 大阪の橋下知事が「神戸空港は絶対に失策」と言えば井戸敏三・兵庫県知事は「関空の方がよっぽど大きな失策」と返しました。

 足かけ2年におよぶ兵庫vs大阪戦争は県民不在のまま。

 大阪が「伊丹を廃港にしてリニアを関空へ」と言えば「こんなに狭い日本にリニアは要らない」と兵庫県。ここから始まったのですが、2日の定例会見では記者と大論戦。「(伊丹)廃港を反対する人が38%に対して、賛成が55%」と言う記者に「みなさんが誘導されている」「その辺りは慎重に客観的な報道をしていただかないと」。ついには「私はそこまでの力はないということで、(橋下知事を)評価させていただいているところです」と。

 焦る必要なし。地元紙は神戸にあって大阪にない。議会は兵庫が支持厚く。選挙直後の兵庫と選挙控える大阪。兵庫県は4つの空港に関与し、大阪府は2つのみ。相当勝ってます。


なだ・平和のための木曜行動NO.368
2010年1月28日

きょうは大雨のため駅前での行動をしていません。アナログ版は『週刊新社会』への折り込みのみです

326

暮らせる賃金を

 昨秋全国で初めての公契約条例を制定した千葉県野田市の根本崇市長が21日、尼崎で講演しました。尼崎では武庫川ユニオンが女性5人の無期限ストを一昨年おこない、その後昨年否決されましたが公契約条例を提案した市議4人が、招いたものです。

 野田市では工事請負契約の際に、現場で働く労働者の最低賃金を国の設計労務単価の8割とし、委託契約でも最賃法より101円高い基準を設けました。また監視と罰則の規定を設けた点でも意味は大きく、2月1日から条例は動き始めるそうです。

 全国八百近い議会が法制定の意見書を可決しながら「国や周辺市の様子を見る」としてきましたが、根本市長は「国と一戦交える決意」だったのに、「何のお咎めもない」そうです。

 知人の大工さんが「大工の息子を大工にできない」と嘆き、全建総連の要求と尼崎市議会の動きが条例制定につながったと。


なだ・平和のための木曜行動NO.367
2010年1月21日

325

兵庫県は4空港

 「兵庫県は関西空港に出資し、伊丹空港の存続を主張して府知事と争い、神戸空港には年間4億円の補助金を出し続ける予定」と発言したところ、「但馬空港はどうなってるの?」という指摘が出ました。

 兵庫県知事が「県内5空港」(伊丹、神戸、但馬、はりま、淡路)を掲げ、母港は神戸という構想がありました。運輸省(当時)はいっかんして「空の時代」と言い需要予測は右肩上がりでした。

 神戸へは高速道路ができ、列車の乗客数も伸びないので不便は変わらず。伊丹にできたモノレールはあっちを向き「神戸母港」も乗り継ぎが不便と母港は伊丹に。いまJAL子会社の日本エアコミュータが2往復(冬は1往復)。日航破たんで東京直行便の夢は?

 バス、高速道路、鉄道、空港が、減る利用者を奪い合っています。離島とは事情が違います。バスは域内を、鉄道で隣町へ、新幹線へ、シンプルです。


なだ・平和のための木曜行動NO.366
2010年1月14日

324

なぜいま航空母艦?

 米州最貧国のハイチで大地震があり、首都壊滅かとCNNは伝えています。都市直下10キロ。15年前の神戸は満月の日の朝でしたが、ハイチは新月の夕方、被害の実相は伝わっていません(日本時間13日夕)。

 被害が小さいことを、一人でも多くの命が救われることを望みます。

 それにつけても、暮れに発表された鳩山政権初の予算案にある防衛予算です。ヘリコプター搭載の空母型護衛艦22DDH(2万トン)を1207億円もかけて建造するそうです。

 「わが国有事に際しての対潜戦に」と。潜水艦との戦いは、「同盟国」アメリカが呼びかけている「テロとの戦い」ではありえません。そこで「災害派遣、国際緊急援助活動等において、陸自部隊の輸送、医療活動等の多様な任務の拠点」と。

 15年前、神戸に来た自衛隊には戦車も機関銃も要らず、ジャッキやユンボが必要でした。災害救助隊に改組し、装備一新を。


なだ・平和のための木曜行動NO.365
2010年1月7日

323

「放談」じゃすまん

 藤井裕久・財務相の辞意が伝えられています。おそらく3党連立の解消より、あるいは参院選での民主党の単独過半数獲得失敗より、鳩山政権にとって大きな痛手です。

 予算案の提出権、従ってその編成権は政府・内閣に属します。憲法上「国権の最高機関」とされながら、国会はその修正や組み替えをせず、議院内閣制でもないのに多くの地方議会もその轍を踏み続けています。それほど編成権・提案権は表向き「不可侵」でした。

 大蔵省主計官、細川内閣大蔵大臣、自由党幹事長、民主党幹事長、同最高顧問という経歴。ぜひ聞きたいのは、自ら仕組んだ事業仕分けの対象を選ぶ過程に入った横やりや、その結果への猛攻の詳細はどうか、だれが、どのようにして、ということ。そして税収37兆円、借金44兆円という予算案の本音の評価。

 「放談」ではなく、この国のために。


なだ・平和のための木曜行動NO.364
2009年12月24日

322

途上国の痛快な反撃

 コペンハーゲンで行われたCOP15(第15回気候変動枠組条約締約国会議)が、途上国の「痛快」な反撃で、何も決められないまま閉会したことが報じられたのは1日だけでした。

 太平洋の島国ツバルの代表は「銀貨30枚で国民を裏切れというような提案だ。わが国の未来は売り物ではない」と。インド洋に浮かぶ小島、モルディブの大統領は「気候変動はわが国にとって今そこにある危機だ。(温室効果ガスの)大排出国による露骨な妨害は残念だ」と。

 「地球は人類なしで何億年もやってきた、地球は我々を必要としない、しかし我々は地球を必要としている」「みなさんは自由とおっしゃるが、殺す自由ですか、差別する自由ですか、苦しませる自由ですか」・・・とは南米ベネズエラのチャベス大統領。

 安原和雄さんの『仏教経済塾』http://kyasuhara.blog14.fc2.com/に詳しく。ぜひ一読を。


なだ・平和のための木曜行動NO.363
2009年12月17日

321

控訴中の「偽証」

 『中央公論』新年号に守屋武昌・元防衛事務次官が登場。普天間基地の移設問題の「真相」を暴くと15ページ。

 接待ゴルフは妻に誘われて、の山田洋行事件。1審で実刑判決を受け控訴中です。

 「沖縄の特殊性を見よ」などと自身が関わった普天間移設問題の経過を「利権政治」で「解き明かし」、自らはあたかもその外にいたかのような「証言」です。

 「私は沖縄の一部の人々に悪し様にいわれている」と自覚しているわりには、沖縄の全ての人々に、米軍再編で被害を受ける全ての人々に、基地撤去を願う全ての人々に挑戦状をたたきつけるかのように。

 それでいて、次官が通った沖縄のバーやクラブの名前(証人喚問で山内徳信議員)は出てきません。岩国の井原勝介・元市長の「岩国への厚木からの艦載機移駐も、庁舎補助金凍結も守屋が勝手に決めた」という指摘こそが、正しかった。


なだ・平和のための木曜行動NO.361
2009年12月3日

320

資本主義が映画に

 マイケル・ムーア監督の来日が報じられています。eiga.com配信ニュースをヤフーなどが詳しく。ザ・ニュースペーパー扮する鳩山首相に90度のお辞儀をしたとか、小倉優子に「お母さんから10億円もらった?」と聞いたとか、日本のホテルのトイレを褒めたとか。そして失業が増え犯罪が多発するようになった日本ではなく、「昔の日本に戻ってほしい」と語ったそうです。

 先日、7月に帰国してリハビリ中のFさんから、アメリカで体験した医療費請求が途方もなく高額だったことや、帰国後、孫や娘さんの交渉でそれが何とか支払えるレベルに落ち着いてきたというお話しをお聞きしました。映画『シッコ』は誇張でなく身近なところで体験した方がいたのだと、驚きました。

 監督の今回の映画は『キャピタリズム・マネーは踊る』。元兵庫県知事の故・阪本勝『戯曲資本論』(日本評論社1931年)以来の偉業?(ネット「きょうの井上力」より)


なだ・平和のための木曜行動NO.360
2009年11月26日

319

狭い日本で・・・

 「日本のように国土の狭いところにリニアを整備する必要があるのか」・・・月曜日に知事が定例会見で。

 スパコン、スプリング8、日航の神戸空港撤退、そして関空への補給金停止と「知見の高い方たちでない人たち」の手でバッサリ仕分けられ、まさに「必殺」状態。そこへ(記者から)大阪府知事が唱える伊丹空港廃止論が持ち出され、いささか感情的になられた模様です。

 東京・名古屋間をリニア新線で40分で結ぶ民営JRの構想は、すでに独り歩きを始めています。大阪からは「のぞみ」と乗り継いでプラス60分、これで空路に勝てるというのがJRのソロバンです。伊丹廃港だとこの勝負、終わっています。

 井戸知事のリニア反対論、片方では「狭いところに3つの空港が必要」を唱えておられるだけに、さて力を持つのでしょうか。

 県が発表した県民意識調査。「若者が希望持てる社会だ」は、ついに5%。


なだ・平和のための木曜行動NO.359
2009年11月19日

318

あの人が外務大臣?

 4年前10月29日に米軍再編の中間報告がでました。

 9月11日の総選挙で小泉・自民党は圧勝、郵政民営化の法律を通すまではと、第3次小泉内閣は全員が留任してスタートしました。中間報告には「2プラス2」と呼ばれた日米、外務・防衛両トップの署名がありました。日本側は高村外相と大野長官。

 10月31日、内閣改造で登場したのは外務大臣が麻生太郎、防衛庁長官が額賀福志郎でした。中間報告には「閣僚は、地元との調整を完了することを確約する」という文言がありました。確約した2人を2日後に2人とも交替させたのです。

 このような経過を明かし、当時の大臣に問い、「地元」の声を何度も聞くべきです。

 「普天間は嘉手納が攻撃を受けたときの代替基地」と言われ「あ、そう」では困るのです。嘉手納が狙われているのなら嘉手納も撤去でしょう。


なだ・平和のための木曜行動NO.358
2009年11月12日

317

先送りできない事実

 初のオバマ大統領の来日にあたって、普天間飛行場の移設問題(私たちにとっては「撤去」問題)は簡単に「先送り」されました。

 沖縄では先週末、嘉手納(かでな)町民大会と県民大会が開かれました。その日、米兵によるひき逃げ事件が起き、米兵引き渡しをめぐって鳩山政権は右往左往の末「起訴前でも身柄を(日本警察に)引き渡せ」という当然の主張をやっと行いました。

 事件があったのは読谷(よみたん)村。沖縄戦で米軍が最初に上陸した場所、チビチリガマを始め、日本軍が住民を「集団強制死」(集団自決)に追い込んだガマが多数、米海軍軍政府が置かれたまち、「象のオリ」とよばれた楚辺通信所、村役場に憲法前文と第9条を大書した看板・・・。

 極東最大・嘉手納基地の嘉手納弾薬庫や沖縄市(旧・コザ市)と地続きのまちです。「基地のなかにオキナワがある」先送りできない事実です。


なだ・平和のための木曜行動NO.357
2009年11月5日

316

くつじょくの始球式

 ブッシュ・前大統領が来日したそうです。

 日本シリーズ、東京ドームでの開幕にあたって始球式をしました。東京ドームの前、水道橋では、「戦争犯罪に時効はない」「靴を投げられ『靴辱』」なんて静穏なデモも行われたようです。かすかなブーイングは、大きな拍手でかき消されました。

 ワールドシリーズをまねて日本シリーズも「国民的行事」です。始球式も貴賓席に前大統領がいることも、当然に見えます。

 しかしイラクとアフガニスタンでの戦争で「アメリカが負けた」「自国の若者を含む何十万の人が死んだ。そして死んでいる」、その責任者をこのように、今もてなすことを世界と米国民はどう見るでしょう。

 招いた日本プロ野球機構のトップは、加藤良三コミッショナー。イラク戦争開戦のときの駐米大使で、大使としての「大活躍」は、従軍慰安婦問題の下院決議への抗議でした。


なだ・平和のための木曜行動NO.356
2009年10月29日

315

深刻な経営危機

 JAL(日本航空)を報じるとき、多くのテレビ局は「経営再建中の」と、前に付けています。NHKは「深刻な経営危機にある」と。

 人員削減の人数も、9月16日の6千8百人に始まって、9千人、そして最近では1万2千人へ。

 国の航空政策、地方空港をめぐるできごとと並んで、神戸空港問題とLAJ再建方針は、市長選の候補者が生煮えの政策のなかで触れた程度にとどまりました。「日航撤退を引き留める」も「穴を他社で埋める」も、実は現実性がないのです。「ムダづかいの象徴」という指摘はそのとおりですが「どうするか」に触れていません。JALの経営危機はそれほど大きな問題です。

 着陸料のダンピング競争にすれば神戸空港のみならず空港は全滅します。アメリカではGMとクライスラーがありました。大阪府営WTCビルと同様に、国営化?それとも労働債権放棄を民主党政権が?


なだ・平和のための木曜行動NO.355
2009年10月1日

314

若者を解雇するな

 総務省が公表する失業率統計、今回(8月分)は10月2日だそうですが、同月の「毎月勤労統計」(厚労省)が発表され、やはり私たちの身のまわりで起きている出来事は、全国的な傾向なのだと思い知りました。

 「現金給与総額」は前年同月比で3.1%の減、実に15か月連続のマイナス。パートで働く人は増えたが正規・非正規を合わせて「社員」は6か月連続して減少だと。

 「社員」が減り始めた半年前、1月に労使共同宣言で、また3月には政労使共同提言というもので、「雇用が第一」と政府・連合・日本経団連、経済同友会と商議所は誓ったのでしたが。

 大学を卒業して4月に入社したMくん、解雇予告期間を経てまた「就活」の身。Iさんは大卒後、専門学校へ行き直し、やっと入った大阪の派遣会社が乗っ取られ、派遣先転々、「首都圏にしか仕事ない」。何とかしなくては。


なだ・平和のための木曜行動NO.354
2009年9月24日

313

こんなことも知らんのか

 JAL(日航)が神戸空港から撤退すると、少なく見積もっても年6億円、あるいはもっと多額の赤字が管理収支(空港特会)に生じます。これまでの3年間でさえ、県補助金や特定財源ではない地方交付税まで取り込んでやりくりしてきたのですが、一気に「関空化」してしまいます。

 96年12月の飛行場設置許可に関する公聴会でJALは「こんなことも知らんのか」とでも言わんばかりでした。「国内航空旅客需要はこの二十五年で五倍強に伸びた。世界の大都市と比較し、まだまだ空港整備は遅れている。新しい神戸の創生を。」

 JALに吸収合併された日本エアシステム(旧東亜国内)は、もっと明確に「完成したら当社も就航したい」と述べ、JAL傘下の日本エアコミューターは「都市間コミューターの拠点整備の観点から賛成だ」と。

 地方空港乱造とグローバル化が航空業界の命取りだと知っていながら。


なだ・平和のための木曜行動NO.353
2009年9月17日

312

夢奪った者の夢
アナログ版ではNO.を「313」と間違えました

 折口雅博48歳。折口雅博個人と折口総研が破産したのは最近です。新聞等で報じられたのは9月になってからです。

 多額の隠し資産がアメリカにあると噂されています。会社更生をはかる前に人間としての更正をさせる手だてがないものかと夢を奪われた何十万人という若者が、きっと思っていることでしょう。

 ジュリアナ・東京、お立ち台で持てはやされただけではありません。東証一部上場企業の会長、日本経団連、財界司令塔の理事となり、乗っ取りたいときに乗っ取り、潰したいときに会社を潰した男。

 介護のコムスンが破たんして2年です。登録型日雇い派遣のグッドウィルは主な都市のめぼしい場所に大きな看板を出していました。

 新自由主義30年。土地・金融バブル崩壊後の反省も中途半端に、日本の資本は派遣バブル、介護ビジネス・バブルなど夢をなお見続けています。


なだ・平和のための木曜行動NO.352
2009年9月10日

311

つらくても母は

 昨年8月26日、アフガニスタンでなくなった伊藤和也さんの写真展をペシャワール会が開催しています。福岡を皮切りに大阪は10月20日から25日まで、應典院(大阪市天王寺区下寺町)で。12月に伊丹でも。

 ペシャワール会報第100号

(7月15日)には、母の伊藤順子さんの手記が掲載されています。冒頭部分を紹介します。

 「憤りと悲しみを友好と平和への意志に変えて。」これは、中村先生(中村哲さんのこと・・・引用者)から頂いた言葉です。

 「今日からここに居るんだね。お母さんも電車を乗り継いで逢いにきたよ。」

 写真展の会場でいつも和也と子ども達に掛ける挨拶です。以下略。

 「子ども達」は、和也さんが写真におさめたアフガニスタンの子どもたち。「アフガン菜の花基金」がスタートしています。

 写真展にはぜひ行ってみようと思います。


なだ・平和のための木曜行動NO.350
2009年8月6日

310

平和疑ってどうする?

 広島市を流れる多くの川の一つが元安川。原爆ドーム脇の元安橋は、渡ったことのある橋です。

 8月6日、早朝から線香の香り立ちこめた記念公園周辺も、ようやく陽が西に傾き、と言っても6時、東京からの者には夕刻とは思えないほど陽は高い。64年前「水を下さい」としがみついた人々が元安川へ折り重なったその橋が、元安橋です。水を求めた人々を思い、祈りが灯籠流しの行事となり、この橋のたもとから流れ出すのは午後6時からです。

 その6時から、ほど近いそごう西隣のメルパルクで東京から来たこの男は「広島の平和を疑う」「日本は核武装を」と演説するのだそうです。被爆者と遺族と市長と新社会党と・・・みんなが「この日このときこの場所だけは」避けてください、と頼んだが。

 生きた人々が「申し訳ない」と語った地で、田母神俊雄は「死者を疑う道」を選ぶそうです。


なだ・平和のための木曜行動NO.349
2009年7月30日

309

「持ってけユーケンシャ」?

 選挙が「劇場」から大道芸に変質です。それはバナナの叩き売りですが、どう見ても売り物にならない傷んで真っ黒になったバナナを本気で売ろうとして、「芸」でもありません。

 ある店では、高速道路はどこまで乗っても千円、3〜5歳児の幼稚園と保育所を無償に、などと言い、「え〜い持ってけユーケンシャ」と寅さんの口調で言って、高校・大学生に給付型の奨学金だよと、しきりに台を叩いています。

 別の店では、高速道路はタダにするよと言い、中学卒業まで2万6千円の子ども手当など並べたて、「え〜い持ってけユーケンシャ」と、寅さんの口調がやはり入って、公立高校は授業料タダだよと。

やがて「盗んできたバナナだろう」「お前は先週ときょうで口上がブレている」などと「店」どうしで。挙げ句、「つまらん店は減らすのだ」「3割減」「80減」。「つまらん店」をいい店に取り替えよう。「代議員」たれ。


なだ・平和のための木曜行動NO.348
2009年7月23日

308

私物化失敗解散

 『朝日新聞』が今回の解散をどう名づけるか「各界の人」の声。「しっぺ返し解散」「損切り失敗解散」「断末魔解散」など、どれもさすがのネーミングが揃っています。

 タマネギの皮が傷んでいるからと2枚めくってみたものの3枚目がもっと傷んでいました。どこまでめくっても芯は出て来ません。自民党だけでなく政治も社会もタマネギ状態。傷んだタマネギの皮むき解散。

 麻生首相が自民党の全国会議員の前で謝った直後の解散というのは異例も異例です。「バカヤロウ」に対して「ごめんなさい」だと言った「各界の人」もいました。しかし、反省の姿勢だけなら猿でもできる。「猿程度の反省解散」。

 「解散権は首相」ではありますが、立法府と行政府の緊張関係によって主権者・国民の意思が政治に反映される仕組みの、最高の局面が解散であり総選挙です。選挙私物化(しかも失敗)解散です。


なだ・平和のための木曜行動NO.347
2009年7月16日

307

くらしを足でまなぶ

 相手のキャッチャーの肩が弱いと見て、盗塁を試みる。内野手の連係プレーに穴を見つけて次の塁を狙う。・・・解説者が「相手の嫌がることをするチームですね」などと「解説」します。「カネを積んで4番やエースを集めてる金権腐敗体質だからこんなプレーになるのです」というような、聞いていて胸のすく解説はありません。「日頃の練習量の差が出ました」という科学的な分析も滅多にありません。

 「予告解散」され、不信任案がやっと出た国会の、自民・民主両党の作戦的お粗末に着目して、さあ、国民が選ぶのはこのどちらかだ、とされています。「相手の嫌がることを」「相手の弱みにつけ込んで」と。不人気な首相を相手にしたい。麻生首相の続投で解散がいい。「国民のくらしから出る声を聞こう」ではないのです。

 鍛錬を。「庶民のくらしを足でまなぶ」原和美にご注目を。


なだ・平和のための木曜行動NO.346
2009年7月9日

306

営利主義が奪った生命

 JR宝塚線の大惨事について、神戸地検がきのう、事故から4年余をへてやっと社長、つまり法人を起訴しました。106人が命を落とし、後遺症癒えぬ多数含めて負傷者は562人。

 国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会(当時)は不思議にも「遠心力」説。地下で都心に乗り入れる「片福連絡線」のため、福知山線を直角に曲げ、私鉄から乗客を奪うため速さを競い、日勤教育で労働者を震え上がらせた、だから事故が起きたのではなく「遠心力」。

 運転士が業務上過失致死傷か、または未必の故意で殺人罪なり何なりどうぞ、が、被告となったJRの見解。運転士が罪人だ。運転士さえ決めた速度を守っていれば・・・。

 仲間が命を落とした。生きて仲間は有罪。交通労働者が国じゅうでストライキをして抗議しなければ、いつまでたっても「決めた速度を守らなかった」「労働者が悪い」ままです。


なだ・平和のための木曜行動NO.345
2009年6月11日

305

フェーズ6?2類?

 やがてあれから1か月たちます。新聞、テレビで頻繁に伝えられる「新型インフルエンザ」、実は『朝日新聞』では「新型の豚インフルエンザ」、『読売新聞』では「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」と表現されています。

 政府はたんに「新型インフルエンザ」と呼び、感染症新法で定める「2類感染症相当」(隔離や積極的疫学調査)とすることにしました。「一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していない」からだそうです。

 その後の全国への「広がり」や、WHO(世界保健機関)がまもなくフェーズ(段階)6を宣言するという情報を聞くと、ますます怪しげです。正しい知識・見解を広めるべきだと私たちは当初から指摘しましたが、それとは逆に法律が独り歩きをし、熱も出てないのに人々が震える様子を観察しているかのようです。法では2類感染症相当だぞ。フェーズ6だぞ、と。


なだ・平和のための木曜行動NO.344
2009年6月4日

304

大臣が安心大安売り

 「景気は1月から3月の間にすでに底を打った」と財務大臣が宣言したと思ったら、日銀の有力筋は「遠からず下げ止まる」と。

 失業率が悪化し、有効求人倍率が「正規」に限ると史上最悪の0.27、約4人の求職者に対し求人は1人という寒々しい状況。大臣の方はやはり総選挙を控える国会議員、それも経営者や投資家に安心を売って、自民党が苦境を乗り切りたいという意図がありありです。

 消費の落ち込みを埋めるため4度にわたる財政出動をしてきた麻生内閣。この財務大臣記者会見の前日には内閣府が、「消費が45兆円足りない」という、従来より15兆円も悪化した見通しを発表しています。買い換えの時期が来ているクルマやテレビが少し売れただけで何とかなる状況ではないようです。賃金下落→消費縮小→物価下落→利益減少のデフレスパイラルを指摘する声が大きくなりました。


なだ・平和のための木曜行動NO.343
2009年5月28日

303

どう乗り切りました?

 インフルエンザ禍で学校、幼稚園、保育所、学童保育所まで休業となり、保護者の苦労は極限状態でした。何人かで「共同保育」をして乗り切った人、実家への「疎開」生活、祖母を呼んだ人。

 「休校でも仕事休めず」と、神戸・関西での全面休校の情報を受け、沖縄県学童保育連絡協議会(学保連)がおこなった保護者アンケートの結果を、『琉球新報』(沖縄の地方紙)が25日に紹介しました。

 「3日まで」が父親91%、母親83%。仕事が休めないときの子どもの居場所については「親戚にお願いする」62%、「自宅で留守番をしてもらう」27%、「友人知人」4%、「その他」7%。推定ながら「子どもだけが自宅に」が3割だと。

 コミュニティの繋がりが強く、家族構成が多いとされる沖縄でも、の話です。「安心して働き、休める仕組みと合意が必要」という学保連の意見が、もっともです。


なだ・平和のための木曜行動NO.342
2009年5月21日

302

なにをなすべきか

 インフルエンザ禍で、灘の街は息を潜めています。大不況のうえに、不要不急の外出を控え、人の集まるところへは行かないように。飲食店、ことに夜の居酒屋。子どもが母親に手を引かれて公園にいる姿も、とても寂しそうに見えます。

 「後手に廻ってはいけない」のは、まことにそのとおりです。2月につくられたマニュアルに従い、迅速、適切に。

 「新型インフルエンザ対策行動計画」は今年2月に改訂されました。現在は4段階の第2段階「国内発生早期」。

 社民党の辻元清美・衆議院議員はブログのなかで「現在国が行っている行動計画が、強毒性の鳥インフルエンザを想定したものであることが、自治体に大きな困惑を与えている」とし、「あらためて、冷静な対応が必要」で、ウィルスが強毒性に変異する「未来の脅威・真の脅威を見据えて弱者への対応を急ぐべきとき」だとうったえています。


なだ・平和のための木曜行動NO.341
2009年5月7日

301

ご希望の要介護度は?

 介護保険の「新要介護認定」が、おかしなことになっています。本人や「主たる介護者」(家族)の「希望を聞く」として、結果が出るまで経過措置がとられ、介護保険証が手元にないまま「サービス」を受ける異常事態が続いています。制度の出発から丸9年、三度目の「見直し」で、いよいよ制度の破たんです。

 灘区では7つに地域割りされた地域包括支援センターが調査していますが「軽い認定になったらいかがですか」「逆により重度の認定になったらいかがですか」と。まるで「ご希望の要介護度は?」と。

 従来は、一次判定、二次判定、不服の場合は再調査と審査請求があるのだから、本人側の希望は聞かないとされていたのです。全国で審査請求は、9年間で2913件。多くは棄却でした。ほぼ全てが訴訟にいたりませんでした。

 国は何をめざしているのでしょう?老人を調べる前に役人と学者を調べろ。


なだ・平和のための木曜行動NO.340
2009年4月30日
訂正5月6日

300

スペイン風邪と戦争

 母は、世界中で革命運動が起きた1919年生まれです。このように言うのは私で、母は「スペイン風邪で多くの人が亡くなった年」だと一つ話をします。乳幼児が多く死んだのではなく、青壮年が犠牲となり、この年生まれの子どもの数は極端に少なかったそうです。犠牲者は48万人。

 14年に始まった第一次世界大戦、革命が起きたロシアは講和条約を急ぎ、大戦は終結へと向かいます。戦場で優勢だった国をついに終戦へと向かわせたのは革命運動とスペイン風邪でした。日本は餓死と凍死のシベリア出兵へと向かいましたが。

 豚インフルエンザへの備えは99年の感染症新法があるといいます。「公共の福祉」の結核予防法とは似て非なる法律です。

 麻生首相が豚インフルエンザ対策会議で見せた笑顔が、シベリア出兵当時の陸軍大臣、後に首相の田中義一のそれと似ていないことを願うのみです。(井上力)


なだ・平和のための木曜行動NO.339
2009年4月23日

299

震災対策と不況対策

 麻生首相が新年度になってわずか10日後に発表した予算の補正(追加経済対策)は、予算額で約14兆円。登録から13年たったクルマを新車に買い換えれば25万円、エコ家電には5%の「ポイント」。予算成立がいつになれクルマは4月10日に、家電は5月15日に、それぞれさかのぼって、と。

 阪神大震災の被災地は、震災から3年たって「被災者生活再建支援法」をつくり、さらに10年たった一昨年、大幅な法改正を実現しました。

 「前例がない」という拒否理由はついに変更されました。しかし一つだけ動かせなかった法理は、「改正前の災害には、さかのぼって適用(遡及適用)せず」でした。

 予期せぬ自然災害にはさかのぼれないが、不況という人為的被害には、何でもありという前例ができてしまいます。「覆水盆に戻」せるか。人(にんげん)と違って、法人はつぶれても生き返らせるのだと。


なだ・平和のための木曜行動NO.338
2009年4月16日

298

キューバ五十年

 送金の制限など長い経済制裁をやめてオバマ政権はキューバとの関係改善を進めています。カストロ前議長は「オバマのために何かできることがあるか?」と、訪ねたアメリカ民主党の国会議員に聞いたそうです。

 マイケル・ムーア監督の映画『シッコ(ビョーキの意)』は、その終わりに、医療と福祉の先進国としてのキューバを紹介しました。他の先進国より一足先に医療崩壊が進んだアメリカで暮らすアフリカ系住民と、その初めての大統領をカストロは思いやっているようです。

 先のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で敗退した際も、カストロは「日本の練習を見習え」と語ったと、「西側」のマスコミがその人柄をほほえましく報じました。中南米とアフリカは、キューバとカストロを尊敬しています。カネと軍事力によらずに。

 地球の反対側ではカネと軍事力が六か国協議より優先されています。


なだ・平和のための木曜行動NO.337
2009年4月9日

297

聞き飽きた「学説」

 財政からの持ち出し15兆円の補正予算に、国会は思考停止に陥りそうです。雇用対策もある、自治体への財政対策も。殺し文句は「百年に一度」。

 新車の買い換えに25万円。省エネ家電購入に5%の政府発行ポイントという新手の政府発行紙幣・・・。

 落ち込んでいる消費を拡大し、自動車と家電メーカーを支援しようというものです。「もうかった」ように消費者には見えます。モノを買って「もうかる」はずはないのですが。

 家電や新車の購入に生活費を廻せない人には、もう一回定額給付金という話はありません。あるのは赤字国債を返済するときの負担、消費税負担を「公平に」することだけです。

 何より、15兆円の財政出動で30兆円と見込まれるGDPの落ち込みを埋められるのかという問題です。「産業連関で経済波及効果」・・・聞き飽きた役人と経済学者の「学説」を破たんさせた大不況なのに。


なだ・平和のための木曜行動NO.336
2009年4月2日

296

ゲームをやめよう

 「経済学はウソが多かった。リーマンショックではっきりした。自然科学はウソを教えない。でも自然科学もだれのために使うか、そこが大事やな」と、先日、知ったかぶりして理学部地球惑星学科に入学が決まった若者に。

 この数週間の「北朝鮮による飛翔体発射」(衆参の決議)をめぐる騒動に、「大人たちは若者から夢を奪っている」と痛感しました。

 人工衛星は権利だ。テポドンを撃ち落として国民を守る。迎撃は宣戦布告と見なす。迎撃は失敗するか、破片の数が増えて被害が拡大する。これでミサイル防衛構想は・・・。

 ますます両者が緊張を高めるために、緊張を高めるように相手のことばを引き出す。六か国協議を進めない。六か国協議に出てこないようにしたい。まさにゲーム感覚です。金融サミットからとんぼ返りで麻生「司令官」が帰るのも期待されている様子です。


なだ・平和のための木曜行動NO.335
2009年3月26日

295

派遣切りの原点

 国鉄が分割民営化されて22年。国労組合員であるという理由で、発足する新会社(JR)への採用予定者名簿から排除したことの違法性(不当労働行為)を問い、清算事業団=鉄建公団との雇用関係の存在を求める裁判の控訴審判決が、きのう出ました。

 「不当労働行為に慰謝料」「解雇は有効」としました。なぜ不当労働行為を認定しながら「解雇は無効」でないのでしょう?

 裁判長は最後に「判決を機に1047名問題が早期に解決されることを望みます」と付け加えました。「解決」が誰に求められたのかは明らかです。政治が答えを出す番です。

 そもそも1047人は、若者でした。いま神戸でたたかうOさんは57歳、当時35歳でした。若者から仕事を奪う社会に未来はありません。派遣切りの原点は22年前の国鉄改革法にあります。座り込みは、おととい神戸、きょう明石、あす加古川と続きます。


なだ・平和のための木曜行動NO.334
2009年3月19日

294

百年一日のごとく

 連合と日本経団連が労使共同宣言を出し、労使共同提言を厚生労働省におこなったことは、前にこの欄で紹介しました。「百年に一度」だ、「経営者も労働者もない」力合わせて乗り切ろう、と。

 労使対決は古い、階級闘争なんてない、経営者ももとは皆サラリーマンだ。アメリカのように重役が億単位の年俸やボーナスを受け取ってはいない、とも。

 「こんな不景気のときにストライキをしたら会社がつぶれて元も子もない」あるいは「生産調整のとき、ストライキは経営者の思うつぼだ」。

 理屈です。でも百年に一度どころか百年間聞き続ける理屈です。

 共同宣言に足並みをそろえるかのように非正規労働者の解雇が激増し、正規労働者がこれと連帯する立場に立っていません。

 解雇はどこで止まるか?私の前でか、後でか?たたかう労働組合こそがセーフティネットです。


なだ・平和のための木曜行動NO.333
2009年3月12日

293

恥を知れ宗旨替え

 与謝野財務大臣が「財政規律派の仕事は公演中止だ」と言い放ったそうです。政府の赤字を減らすため、財政出動を戒め、消費税大幅引き上げ論者で知られてきた氏が「宗旨替え・転向」したとも言われます。

 与謝野鉄幹・晶子の孫、法学部卒なのに、畑違いの財政や経済に強そうに振る舞ってきた人です。もともと庶民の暮らしを知らないという点では首相に負けていません。

 経済は人々がメシを食うため、財政はその経済活動で生じる所得の差を埋めるため。なのに財務・経済財政担当国務大臣を一人で引き受けました。『ひょっこりひょうたん島』の「摂政関白太政大臣」もびっくりでしょう。

 たまたま倒れた一升瓶から漏れ始めた酒(埋蔵金)に酔い、ついに栓を外すと言うのです。前任者を反省するなら酔うときは静かに。お札と赤字国債の印刷機を酔って廻すな。財源は富裕層から。


なだ・平和のための木曜行動NO.332
2009年3月5日

292

時間をかけた解雇

 麻生政権はさらに30兆円使うそうです。未曾有の不況で財政出動への抵抗が弱まり、史上空前の超大型補正予算を見せて解散すれば、勝ち目がでると。

 いつもなら最初に動き出す自治体の動きは緩慢で、政権の姿勢を嗅ぎ取った資本の動きは鋭敏です。3日、共同して不況に対処しようと、日本経団連と連合が、舛添大臣に申し入れをしました。1月15日の「労使共同宣言」に続く「雇用安定・創出に向けた共同提言」です。

 雇用調整助成金は昨年12月と今年2月、要件が緩和され、認められる休業日数も補助率も引き上げられました。「解雇を防止する」目的で国が動くことに、もちろん異論はありません。

 現場では休業への議論もなく、労使協定(助成金の条件)の中身を問う声もあがりません。「時間をかけた解雇」だという指摘が、派遣切りを行った大企業には、ピッタリです。


なだ・平和のための木曜行動NO.331
2009年2月26日

291

恐慌は波状的に

 将来の年金の見通しが発表されました。私たちは年金積立金の運用を市場に委ねたことを、従来から警告してきました。

 あすにも運用実績が公表されますが、株にしろ債券にしろリーマン・ショック後の巨額の運用損が顕著になります。「四半期ごとに公表してやる」「でも長い目で見ろ」と。

 金融恐慌から実体経済の不況へと動いた世界は、また奇妙な動きを始めています。原油や株から引き上げられた資金を為替取引(通貨相場)へと向かわせ、年度途中の為替差損や株価の低迷を年度末決算までに取り返そうという動きです。

 「時代は低金利。千五百兆円という日本の金融資産を生かせ」と竹中平蔵・元大臣があおります。大金持ちは低金利やゼロ金利にガマンできません。

 労働者が「清く正しく生きた」時代は終わりました。「貧乏はイヤだ」と、原和美を選んでください。


なだ・平和のための木曜行動NO.330
2009年2月19日

290

失業する自由を選ぶな

 神戸と縁が浅くない奥谷禮子氏が、またとんでもない議論を労働者にふっかけています。

 「過労死は自己責任」と、かつて労働政策審議会で。

 『VOICE』3月号。坂本哲志総務政務官が「あの人たち(年越し派遣村の500人)は本当に真面目に働こうとしている人たちか」と言ったのは正論だと。「ロスジェネ」(前の就職氷河期世代)は、ことば遊びと。労働者派遣法の規制強化反対だと。

 「かつて日本には無職と正社員だけだった」「選択で主体的に派遣という働き方を選び取った」とも。

 奥谷さんを習って派遣会社5万事業所。381万人の派遣労働者が「選び取ってよかった」とは思わなかった現実が、年越し派遣村ではないですか。

 常用の派遣会社で今進んでいるのは「4月から社内失業か、それとも(選ばなかった)軽作業か」。若い仲間がまた「選択」を迫られ、退職を「選んで」います。


なだ・平和のための木曜行動NO.329
2009年2月12日

289

神戸空港がどう順調でないか

 「2月2日、あすから市長選挙の岩国へ。佐高信、森田実さんらテレビの顔、あすから市長候補の井原勝介さん・・・」

 この8日後、山口県岩国市は、「空母艦載機59機、来るものは来る」という市長を選んでしまいました。

 1年たちました。市庁舎建設補助金を防衛省に出してもらおう、埋め立てのために削った住宅団地を米軍住宅に、民間空港再開を軍民共用で。そして市長選挙の際、バス停で、買い物途上「市長が代われば1人2万円配られるらしい」という「ささやき戦術」が、その後「国を動かして」定額給付金となったと、手柄話のようです。

 民間空港再開に「このアメの続きにどんなムチが待っているのか」、「神戸空港が、どう順調でないのか聞きたい」とTさんからお手紙をいただきました。

 神戸空港の減便は、岩国へ行くのかも知れません。地盤改良工事など2年も遅れるそうですが。


なだ・平和のための木曜行動NO.328
2009年2月5日

288

制服代けずれば・・・

 16日開港3年を迎える神戸空港で記念行事、市役所前でも抗議集会。

 2千億円の借金返済が新年度から始まるのに、土地はまったく売れていない。かつて鶴甲を始めとして団地販売で貯えたカネで返済する、市税じゃない。

 2大航空会社は減便や路線撤退。1年目より2年目は乗客が増えたが3年目は大幅減。県の税金は市税ではないとも。秋には市長選挙がある。

 今や乗客は対前年割れ、連続10か月。3つめの航空会社が安売りで客を取り、他社にも安売りをさせ・・・。なにやら、ディスカウントショップが隣に出店し、あげくは共倒れの老舗の構図です。

 3つめの航空会社は制服代と更衣室の賃料を節約して保有機を10から20にし、増便するそうです。

 駅長はバリアフリーに心砕きましたがテナントの不満があったのでしょうか。ターミナル会社の社長に大株主から「打診」?


なだ・平和のための木曜行動NO.327
2009年1月29日

287

野球ファンと郵政民営化

 2005年9月11日の総選挙で自民党は圧勝。

 2005年秋、ファンには興ざめの不可解な出来事が次々起きていました。

 極めつきは大阪ドームで行われたオリックスの試合で、竹中平蔵・郵政民営化担当大臣(当時)が始球式をしたことです。その3日後、優勝目前の阪神タイガース親会社・阪神電鉄株が村上ファンドに買い占められていたことが明らかになりました。

 わずかおいて「三井住友の西川善文氏を阪神球団社長に」と村上世彰が語り、阪神球団もファンも、これ以上ない屈辱を味わいました。

 野球から離れて本筋に戻りますが、西川善文氏が日本郵政初代社長に内定したのは11月でした。

「土地300億円、建設費二千百億円のかんぽの宿を労働者もまとめて109億円で」・・・西川氏はじめ日本郵政経営陣は総退陣となると、『月刊FACTA』が書いています。


なだ・平和のための木曜行動NO.326
2009年1月22日

286

庶民は「ゆすり」と言う

 過疎地郵便局の廃止、金融市場への外資参入、低賃金労働力への置き換えによる利潤の確保・・・郵政民営化の目的は多岐にわたりました。ここに来て一気に見えてきたのが、国民共有財産の、私物化です。

 「かんぽの宿」70か所を落札したのが、規制改革会議で民営化の旗を振ったその人への売却とは、いかがか、と鳩山総務相。オリックスは「2度の入札を経た。ホテルやドーム、神戸の野球場など全国152施設を一体運営する」。週刊誌は「オリックスは首都圏9か所の社宅も格安で入手」と報じました。

 竹中平蔵・元大臣は「かんぽの宿は不良債権」と、『産経』紙上でオリックスに加勢。「持ってたら赤字増えるだけ。買ってもらえ」。

 法で民営化し、かんぽの宿を売り払うことを法で決めた上、民間企業たるかんぽ生命に、元大臣が「いまオリックスに売れ」なのです。庶民はこれを「ゆすり」と言います。


なだ・平和のための木曜行動NO.325
2009年1月15日

285

差別はやめたのか

 「納付方法を選択できます」区役所から手紙が来て、首をかしげる方の相談が増えています。

 例の後期高齢者医療制度で保険料を天引きから銀行口座振替に変更できるというのです。ただし、滞納がなければ、あるいはこれからもなければ、と。

 疑問や怒りは、そもそも「国の制度改正により」とさらりと書かれて、保険料天引きにどれほど多くの人が怒りの声を上げたのか、その際、疑問に、いつ、どう答えたのか、本当の改正=廃止についてはどうなるのか、など何も書かれていないのです。差別医療をしませんとも。

 失礼の極みは、天引きがなお主であり「あなたは滞納しやすい後期高齢者です」と言っているようです。怒っておられました。

 収入の多い家族が保険料を払えば得になる人もあります?6で割らずに12で割れば「安くなる」?何とかして首相の通帳から払ってもらえない?


なだ・平和のための木曜行動NO.324
2009年1月8日

284

哲学を尋ねる人なく

 定額給付金の目的が、物価高で苦しむ国民への生活支援から、大不況を乗り越えるため、消費拡大のための給付へと変わったそうです。麻生首相「時代が変わった」と。

 従って、首相によれば「高額所得者がもらうのは、さもしい。哲学・矜持(きょうじ)の問題」から、「私がもらうかどうかは、そのとき考える」へと豹変したのです。

 一方で、毎年2千2百億円ずつ社会保障費を削減することが財政再建だ、改革だと言い続け、社会保障の拡充を求める声には「財源がどこにあるのか」と開き直り続けてきた、その同じ政府が、です。医療費抑制を30年ちかく続けているその同じ国が、です。全国市長会も政令都市も本質に切り込む意見を言わず、是正提案も、していません。

 政治道徳とは何か。志はどこにあるのか。今や聞く人もなく、哲学を尋ねる人もなさそうです。


なだ・平和のための木曜行動NO.323
2008年12月25日

283

増配もクビ切りも悪い

 「あしたから来なくていい」「期限後は契約を延長しない」。非道な派遣切りや期間工首切りを真っ先に行ったのはトヨタでありキャノンでした。なぜ年間利益何千億円とか2兆円ちかい会社が?・・・

 共同通信社が巨大企業の内部留保の実態を調査しました。

 自動車・電機の主要16社で、内部留保は33兆円、6年前から倍増したと。退職金積み立てなどを除く額。16社のうち5社は配当を増やすというオチまでついて。労働者は非正規・正規を問わず首切り4万人。株主には増配。強欲資本主義だと24日の『神戸新聞』。

 かの経営者たちは自分たちが操作する金融の秘密を知っている。消費の能力の何倍も世界中で過剰に生産し、庶民はちかぢかローンが払えなくなるという事実も。労働者のために会社をやってるのではない。営利企業なのだ、増配と首切りのどこが悪いと。


なだ・平和のための木曜行動NO.322
2008年12月18日

282

アメリカのゼロ金利政策

 アメリカが史上初めてゼロ金利政策をとるそうです。住宅バブル崩壊後の日本と同じ道です。

 日本では、銀行が踏み倒された融資を公的資金で穴埋めしました。庶民の預貯金に利息を払わず、預金者から利息を上回る手数料を取りました。大企業は低金利で資金を得て、海外に投資し、いっそう多国籍化しました。「日本に残ってやる」と言った電機メーカーなどには自治体から補助金が出ました。低金利は円安をもたらし、また正規雇用の非正規労働者への置き換えで、海外の子会社も国内の製造業も巨額の利益を得ました。

 「日本が模倣された」と言って喜んでいられません。「借りたカネは返す」「労働が富の源泉」というルールが、経営者の規範でなくなったことに、すべては発しているからです。

 日本では庶民の貯蓄が大銀行を救いました。アメリカと世界の資産は富裕層が独占しています。


なだ・平和のための木曜行動NO.321
2008年12月11日

281

個人情報はだれのもの(下)

 中田作成さんがだした公開質問状に対し、何も答えない回答が4日、やっと届いたそうです。

 最も答えていない部分は「医療関係者に聞いたのか」です。回答前に兵庫県医師会が声明を出し「慎重であるべきだ」と、知事に苦言を呈したという「証拠」が出てしまったのです。

 プライバシーを口外せず、差別・偏見とたたかい、受診・治療を強制せずに早期発見・早期治療を勧め、多くの症例を学び研究し、しかしまた最期は命を救えず、ときに治療に失敗し、薬害・医原病で人々を苦しめた歴史も背負っている医療者の声に耳を傾けることは重要です。

 行政が周知に努めることと、治療費・休業補償や付随する生活の糧のかけらさえ準備せずに「あんた病気かも?」と指名することは180度ちがいます。

 個人情報は知事のものではありません。その管理は過半数でなく100%の合意が必要です。(井上力)


なだ・平和のための木曜行動NO.320
2008年12月4日

280

個人情報はだれのもの(上)

 父が結核で亡くなったのは'51年でストレプトマイシンの発見から8年後でした。結核予防法の大改正は同年。レントゲン、ツベルクリン反応、BCG・・・と劇的に死亡率は低下します。

 差別と偏見は、伝染性であり隔離したこと、労働(入隊も)が不可能になり、貧しさが原因と結果であったこと、不治の病であったことから生じていましたが、GHQが去ったあとも、憲法25条下で法律・条例がつくられ「国民病」ではなくなりました。「自己責任」の今では考えられない進歩と希望でした。

 井戸知事が住基ネットで薬害肝炎、結核、ガンの人の引っ越し先や生死を調べるそうです。なぜ医者にかからないのか、なぜ住所を変えたのか、なぜ通院をやめたのか、少し考えれば自明のことなのに。

 住基ネット訴訟団(中田作成さん)の公開質問状への回答さえ、知事はできないのか、時間稼ぎなのか。(つづく。井上力)

ビラには書かなかった「憲法と結核予防法」

(上)・(下)に分けました。署名をしたのは「父」の前には「私の」が入っているからです。

父の死は1951年2月9日、結核予防法の施行は同年3月31日です。「保健所政令市」などの規定は、地方議員ならだれでもご存じです。そして保健所と保健所の機能が骨抜きされてきた歴史についても。

結核療養所が役割を終え、隔離政策への強い反省が必要だとはいえ、あるいは様々な副作用への警戒が必要だとはいえ、結核予防法を廃止しなければならないほど、他の施策で「国又は地方公共団体の責務」が薄れ、弱められた結果、「整合性がとれない」などの批判がこの法律に集中したのでした。

労働基準法が何度も改悪され、教育基本法が改悪され、結核予防法は廃止されたのでした。

私の父は、戦争がなければストレプトマイシンが日本に伝わるのに8年もかからなかっただろうという意味で、また手術の設備や技術も日本に容易に伝わっていたであろうという意味で、予科練の教員にならなければ公職復帰が可能で、単身赴任もしなかっただろうという意味で、戦争がなければ日本国民の栄養状態が悪化することもなく従って結核患者の数も少なかっただろうという意味で、さらにこの患者の社会的背景が戦争と平和では正反対のものになっていたであろうという意味で、戦争の犠牲者です。もちろん加害者でもありましたが。


なだ・平和のための木曜行動NO.319
2008年11月27日

279

年貢納める庶民の不幸

 兵庫県知事が撤回に2日もかかった「関東大震災はチャンス」という発言について、矢田立郎・神戸市長が19日の定例会見で一生懸命、擁護しました。「言葉だけをつままれたのではないかと。私はちょうどイギリスで・・・」と。「何かある部分だけをちょん切った形でやりとりがされたのではないかと、・・・感じました」とも。ロンドンではNHK・BSニュースが「ちょん切られ」ていた?

 当然、記者は「騒いだほうが、ちょっと不見識だったということですか」と突っ込んでいます。

 この会見では定額給付金の所得制限について、麻生首相の「地方分権というのはちょっとニュアンスが違う」と指摘しながら、何とこの後、また首相の迷走を擁護してしまいました。

 思わず週刊誌が書いていた「バカ殿」を思い出します。バカ殿を本当の意味でフォローする家老はいない時代なのか。年貢納める庶民が不幸です。


なだ・平和のための木曜行動NO.318
2008年11月20日

278

木曜行動7年

 「木曜行動」が丸7年。

 日米安保条約(自民党は日米同盟と呼ぶ)の範囲は「極東」なのにインド洋・アラビア海まで海上自衛隊は行った。'91年の掃海艇派遣は、湾岸戦争が終わってからでしたが、今度は7年たっても戦場です。白村江の戦い、モンゴル帝国の日本侵略、秀吉の朝鮮出兵、そして大戦・日中戦争に次いで長い「武力による威嚇または武力の行使」です。

 まさかブッシュ政権と日本の政府がタリバン残党に「敗北」するとは考えもせず、これほど長い間、六甲道駅ご近所の皆様にご迷惑をおかけするとは想定しませんでした。おわびいたします。

 「平和のための木曜行動」ですが、訴えやビラの半分は、直接的には戦争と平和についてではなく、「くらし」であり、民主主義であり人権であり自治であり、福祉・環境です。

 通勤・通学の顔ぶれもどんどん変わります。励まし・お叱り歓迎します。


なだ・平和のための木曜行動NO.317
2008年11月13日

277

民意「踏みつぶし」政権だった

 『朝日』が11日、麻生首相の答弁メモ誤読について囲み記事を載せました。河野談話や村山談話を「踏襲いたします」を、「ふしゅう」と読んでいたそうです。首相になってから2回。参議院事務局は外相時代の昨年、外務省に大臣(当時)の「ふしゅう」は「とうしゅう」だと確認していたので、今回も議事録には「踏襲」と載せられたと。

 湯桶読みを避けるため「ふみかさね」なら意味は何となく分かる気もしますが「ふしゅう」では。

 世情は大金持ちが「踏み倒した」とか、世界中で経営者たちが人の道を「踏み外している」、あるいは政治が民意を「踏みつぶし」ていますので、こんな新しい読み方が誕生したのでしょうか。

 秘書官が「踏み込んだ指摘(失礼。進言と言うべきか)」をすべきだと私たちも思います。まだ「投げだし」ていない、死んでないのに「腐臭(ふしゅう)」では、首相も気の毒です。


なだ・平和のための木曜行動NO.316
2008年11月6日

276

小判は木の葉だった

 サブプライムローンは、なお暴れています。

 「キツネは木の葉を小判に変える」「キツネは野つぼをいい湯加減の風呂に仕立てる」という民話があります。「いい湯加減のお湯」にどっぷりとつかって小判を手にしていた「世界」が、これはただの紙きれであり野つぼであったと知っただけのことです。「やはり野つぼはいい湯加減でなければならないし、木の葉は小判でなくてはならない。キツネが不足している」から、「もっと賢いキツネを増やそう」というのが麻生首相です。キツネが増えては困ります。

 若い人は野つぼ(あるいは「どつぼ」とも)をご存じないでしょうが、まだまだ本物の有機農業が日本にあった頃のお話しです。地方によっては、これにはまると「名前をかえる」というルール?もあったようです。

 それで日本ではジュンイチロー、シンゾー、ヤスオ、タローとほぼ毎年、名前をかえているのです。


なだ・平和のための木曜行動NO.315
2008年10月30日

275

日雇い あと1年半

 労働者派遣法の改正は、解散日程との関係もあり、上程が一日延ばしにされてきました。

 厚生労働省の労働政策審議会が改正案要綱を提出したことによって、ようやく国会日程に組み込まれる見通しが立ちそうです。

 しかし中身は、命を落とした若者には目もくれず、きょうも派遣先から解雇されている若者には、とても「改正」と言える代物ではありません。むしろ規制をさらに緩和する「改悪」なのです。

 審議会で「一日でも施行を遅く」と発言した経営側委員の発言どおり、改正法の施行は何と、来年10月。日雇い派遣を「30日以内の派遣」と言い換えて「日雇い派遣原則禁止」だとする部分の施行は、何と再来年の4月なのです。

 派遣労働者の日雇いに頼って積み上げた巨大企業の暴利も、世界不況で一夜にして吹っ飛び「もう一儲けできるまで施行は待つべし」と。


なだ・平和のための木曜行動NO.314
2008年10月23日

274

奉行所は何してる

 厚生年金と国民年金の150兆円の積立金のうち、3分の2は、株や債券に投じられており、株の大暴落で15兆円が吹っ飛んだんだそうです。減らしたのは「年金積立金管理運用独立行政法人」。

 このやり方は2年前、06年4月からで、それまでは多少なりとも「人から預かったお金」なので、元本が保証されないような投資をしないルールが守られていました。

 「世界中見渡して、日本ほど低利で運用している国は珍しい」「お役所仕事は堅いばかりで」「ハイリスク=ハイリターン」「四半期ごとに運用成績を公表し、透明性が高まるから」・・・

 実は「15兆円の損金」というのは確かなデータではなく、『週刊新潮』が報じた社会保険労務士の推定です。今おきている暴落の結果が公表されるのは来年2月末。選挙を急ぐも遅らせるも、イカサマ博打の胴元に奉行所の頭が上がらないからです。


なだ・平和のための木曜行動NO.313
2008年10月16日

273

金融詐欺の破たん

 山野豊さんが、たくさん小話をつくってホームページに紹介しています(http://www17.ocn.ne.jp/~wn380yy/)。

 今年2月11日の小話は、昨今の金融危機を解明していて、吹き出してしまいました。

 猿を1匹10ドルで買い取る男が村に現れ、次に20ドル、25ドルと捕獲できる猿が減るに従って値段をつり上げ、猿が獲りつくされたときには50ドルに。そのとき、男は村を離れ、部下が村人を誘う。

 「檻にいる猿を35ドルで皆さんにお分けしましょう」。全財産をはたいて猿を買い取った村人たちの前には男も部下も二度と姿を現さなかった。残ったのは大量の猿の群れ。「株式市場の仕組みとはこんなものである」と。

 笑うばかりでなく、私たちも学習しなくては。村にも長がおり、村長が男と通じた結果でしょう。『週刊新社会』では「金融危機つまり金融詐欺の破たん」。これまた明快です。


なだ・平和のための木曜行動NO.312
2008年10月9日

272

富が蓄積している

 1929年以来とか半世紀ぶりとか言いますが、株価が連日大暴落です。株を売った外国ファンドが円を持ち、激しい円高です。

 株を買ったこともない、ドルやユーロを見たこともない庶民が、しかし、大きな「損失」を被ります。低賃金に支えられて飛ぶ鳥を落とす勢いだった自動車メーカーは過剰生産、製鉄なども右へならえ。トヨタのおかげでメシが食えてた訳ではありませんが、輸出産業のかげりは国民の暮らしを直撃します。

 直接の目減りは企業年金、なかでも自己責任うたう日本版401kとか。どんなに組み合わせようが投資信託であろうが、みんな暴落なのです。いや、国民年金も厚生年金も、目減りしないわけはありません。

 世界が貧乏になったのではありません。倒産前に退職功労金、破たん見越して投げ売りで利益。きょうも一方の極に貧困がもう一方の極に富が蓄積します。


なだ・平和のための木曜行動NO.311
2008年10月2日

271

「ミニバブル」の崩壊

 「外資系不動産投資ファンド二社が神戸市中央区の神戸港・新港第一突堤で計画していたホテルの建設事業が中止されたことが二十九日、明らかになった」と『神戸新聞』が報じた。周辺で7つのホテルが建設される予定だったが、うち3つが頓挫した。

 いくつかの大企業が進出しては撤退、その繰り返しを経験してきた神戸市みなと総局が、今度は「進出前の撤退」を引き留めることができなかった。これまでは「とりあえず開業」まではこぎ着けていたのに。

 ウォーターフロント開発という20年ぶりに耳にした「事業」。前回、リゾート法はバブル経済を引き起こし、それがパンクし、日本経済が立ち直るのに10年以上の歳月を要した。

 1度目のバブルは少し労働者も浮かれた気分を味わったが、終わってみれば喜劇的でさえあった。2度目では賃金水準がどんどん落ちた。誠に歴史は繰り返し、2度目は悲劇だ。


なだ・平和のための木曜行動NO.310
2008年9月25日

270

危機は新しい段階

 世界経済の危機が新しい段階に突入しました。

 日本では御用(誤用)学者が「アメリカの対応は早い」などと手放しですし、アメリカの破たん企業「救済」に日本の巨大企業が名乗りを上げています。

 10年前、庶民に救済されたことをすっかり忘れているようです。不良債権をチャラにするには郵便局から客を奪うと公言しました。日本では支店を減らし、庶民から細かく手数料を取り立てる巨大銀行が、アメリカ1位と2位の証券会社の大株主になると言うのです。倒産した保険会社を「救済」する証券会社も現れました。

  世界の経営者と富裕層が震え上がった9月。先週18日は柳条湖事件(満州事変)77年の日でした。「21世紀の満鉄」ふとそんな不安がよぎりました。

 契約社員の善意に支えられる日本企業が、世界で、同じ程度「善意の労働者」や踏み倒さない顧客を得られるだろうか。


なだ・平和のための木曜行動NO.309
2008年9月18日

269

とてつもない短命内閣に

 「これが安城、もしくは岡崎だったからいいけど、この名古屋で同じことが起きたら、この辺全部洪水よ」。「私の不用意な発言で、皆様方に不愉快な思いを抱かせた」と謝罪し、この件は終了のようです。

 そもそもアメリカ型の社会にあこがれる自民党が、ジェット機で全国をめぐる大統領予備選のように国民の耳目をひきつける作戦として模倣しただけなのです。大企業が動員作戦に協力し、マスコミが熱心に報道しました。

 阪神大震災から13年余の間、ずっと同じ趣旨の話を聞かされ続けてきた思いがします。「あれが東京でなくてよかった」「東京を襲う地震への備えは別だ」。ただ一般に政治を職業とする人々は「神戸で良かった」と言わないだけなのです。

 『週刊新社会』はその書『とてつもない日本』を「知性がない」と評しました。「とてつもない」総理大臣がとてつもない短命に終わるように闘いたい。


なだ・平和のための木曜行動NO.308
2008年9月11日

268

ポピュリズムの禁断症状

 大麻の「麻」と麻生の「麻」が同じ文字なのは何か「縁」があるのか。意味も読み方も異なるのに、同時にテレビ・新聞に見出しが踊る。もちろん何の関係もあろう筈がない。

 大相撲の「再発防止検討委員会」は、実は何の再発を防止するのかはっきりしないらしい。一度めは弟子の虐待死という悲劇、二度めは大麻の喜劇。

 躍起になっている部外者は「コンプライアンス委員会」という企業や自治体で大流行の名称にしたいが、国技に法令遵守も畏れ多く、国技にカタカナは据わりが悪いらしい。

 「大」リーグに対抗する「大」相撲。マスコミが特別視しないことから始めよ。

「再発防止委員会」は政権を投げ出した自民党にこそ設置すべきだ。政権のたらい廻しは国技でもないのに、総裁選は首相選なのだとマスコミが特別視している。自・民党首選の過大報道で、小泉=ポピュリズムの禁断症状が出始めた。


なだ・平和のための木曜行動NO.307
2008年9月4日

267

人間を商取引の対象にするな

 首相交代で国会の意思が変更されるのは、議院内閣制特有の弱点です。市民に立法発議権を認めていない国会では、とくに。

 労働者派遣法の抜本改正は、日本の未来を決める、したがって首相交代で後退させてはならない大きなテーマです。もっとも福田首相が抜本改正論者では全くなかったことも事実ですが。

 同法の改正案づくりの行政サイドの最後の作業が始まっています。

 「派遣労働ネットワーク」(中野麻美弁護士が理事長のNPO法人)が、8月26日、1万4千字の意見を厚生労働大臣宛に出しました。「日雇い派遣の原則禁止」ではなく「登録型派遣の原則禁止」であり、マージン率の問題や大企業の「もっぱら派遣」などで、全労働者の立場に立つ意見です。「労働を、人間を商取引の対象にするな」。A四24ページの意見書、お入り用の方はご連絡ください(078-801-6530)。


なだ・平和のための木曜行動NO.306
2008年8月28日

266

抜本改正を

 来月始まる臨時国会には労働者派遣法の改正案が与党からも提案されます。

 日雇い派遣と介護で「ビジネスモデルを構築」し、グッドウィルは乗っ取りとピンハネで巨大企業になりました。日本経団連理事まで登りつめた折口雅博が資産を持ったまま「退場」し、行政処分を受け、たくさんの若者を「自主退社」させました。乗っ取りで得た何十社という会社の大半は、それぞれ、99年以降の「何でもあり労働者派遣法」のもとで「成長」した会社です。

 そのグッドウィル(持ち株会社としての同グループ)が、今期(6月)の決算発表を延期し、数十億円の債務超過に陥ったと言われています。年末には、かつてのみずほの債券が株式に転換され、外資が大株主として君臨します。

 派遣労働者の労災は3年で8倍。大企業の「もっぱら派遣」も含め、労働者派遣法の抜本改正が必要です。


なだ・平和のための木曜行動NO.305
2008年8月21日

265

世界標準とは?

 オリンピックの野球もボールカウントはBSOの順です。裏番組の高校野球もプロ野球も慣れ親しんだSBOの順なのに。いや真相はSBOは日本だけらしい。なぜ日本だけが世界標準(グローバル・スタンダード)ではないのか、少し調べてみましたがしっくり来る説明に行き当たりません。

 「打ってレフト側へ、つまり時計回りに走者が走るというほどのルール変更ではないから、いいではないか」・・・寛大な人も多いようです。普及・浸透の程度からして今さら変更も難しそうです。

 インターネット上では、右から読むアラビア文字も今や頻繁に登場します。最初に作られたルールは永遠の筈がありません。

 大資本と超大国の論理は、激しい抵抗を受けます。激しい抵抗でお互いを認め合う世界にするためのたたかいは熾烈です。

 不可侵の世界標準は人権・生命。そして不戦・非武装への出発です。


なだ・平和のための木曜行動NO.304
2008年8月7日

264

グッドウィル廃業が「実験」

 7月31日に株式会社グッドウィルが(持ち株会社のグッドウィル・グループではない)廃業したことについて『日経新聞』は「約六千人のグッドウィルの登録派遣スタッフのうち五千人以上が、派遣先企業による直接雇用への切り替えなどにより、就業先が決まったという」と報じています。

 290万人という「公称スタッフ数」ではなく、この時点で「就職先などを決める必要のあった人」を0.2%まで減らし、そのうち就業先などが決まった割合は、6千人中5千人(83%)という高い率になったというのです。営業社員や事務職員などグッドウィル固有4500人(6月末)とも1500人(7月末)とも言われる社員の再就職がどうなのかということも含めて、とても大きな社会問題です。

 労働者派遣法をどう改正するか、日雇い派遣を禁止したいが統計上の失業率が上がっては困る、という政府の危険な実験の場になっています。


なだ・平和のための木曜行動NO.303
2008年7月31日

263

予算も水も一気に

 都賀川の急激な増水で5人が命を落としました。

 新社会党も総支部に現地対策本部を設置し、県議や市議団とも連携をとり、原因究明と再発防止、弔慰金を求めるなどの提案を始めています。

 川遊び中の19人の児童と3人の引率者が巻き込まれ2人が命を落とした学童保育所の指導員は、日頃、子どもたちの「外遊び」に心を砕いてきたベテランでした。大雨・洪水警報発令は13時55分。事故発生までまだ数十分。市建設局の降雨情報システムも警報も、彼女たちには届きませんでした。

 「治水・利水のための河川管理。親水?なんてことを」から、一転、大規模事業となった護岸整備。巨岩で河床を舗装し、通勤ルートにさえなった遊歩道。地元要望はもっとささやかなものでした。監視櫓の見守り付で「水に親しめる川を」と。予算は川筋が付くと一気に流れました。検証が必要です。


なだ・平和のための木曜行動NO.302
2008年7月24日

特別号のため休載しました


なだ・平和のための木曜行動NO.301
2008年7月17日

262

投機というバクチ

 米上院が金融不安解消のため32兆円の公的資金投入を許可する法案を可決しました。2月に景気対策で18兆円の財政出動をしていますから合わせて50兆円。日本の年間税収に匹敵する大規模な「公的資金の注入」です。

 地方銀行が破たんし、預金を引き出そうとする行列がCNNでも繰り返し放映されました。「住専」や「住宅抵当金庫」など、日本で10年前に耳にしたのとよく似た名前が飛び交っています。

 サブプライムローンの破たんに端を発した世界不況は、79年ぶりの世界恐慌の入り口で足踏みし、国にカネをねだっては帰るそぶりを見せ、「今度は良質の債権が」「次は公庫が」と、何度も戻ってきます。これも10年前の日本そっくりです。

 世界の富が激しく動いています。銀行から引き出し株を売り、上がる一方の原油市場へ、穀物相場へ。貧乏人にわかるバクチではありません。


なだ・平和のための木曜行動NO.300
2008年7月10日

261

木曜行動三百回

 「木曜行動」が300回めです。300回の「歴史」はネット上の「木曜行動ノート」に吉田俊弘さんが書いています。

 駅前でどんなことがあったか、通勤の急ぎ足で、「今どきの若者」が、どう関わりを持ちたくないと考えているのか、あるいはその逆か。テレビに出ない「新社会党」が何を目的に300回もつづけているのかということに、大いなる疑問をお持ちの方もあるでしょう。

 7年7か月ですから、転居で見かけなくなった方や、定年や進学で駅を利用しなくなった方など、たぶん半分ちかく入れ替わりがあったと思います。大学生の皆さんは、ほぼ全員が入れ替わっています。私ごとですが、息子は派遣会社員と結婚し、大阪へ転居しました。娘は通学から派遣会社勤め、労働組合員となり、この駅を通らなくなりました。

 ご協力、無関心、ご迷惑・・・これからもよろしくお願いします。(井上力)


なだ・平和のための木曜行動NO.299
2008年7月3日
(7月10日アップしました)

260

若者による立法を

 自民、公明両党も「日雇い派遣原則禁止」で合意し、すでに野党は院内集会等で院外のたたかいに賛意を表明してきたことから、秋の臨時国会で法改正が実現しそうです。

 労働者派遣法(実はとても長い名前)は資本の多国籍化が顕著となった80年代につくられましたが、99年の改正前は、社会問題となることもなく、派遣会社の数も限られていました。

 派遣できる業種が大幅緩和され、大企業の「もっぱら派遣」、正規採用が可能でも「こまぎれ派遣」、日雇い派遣や、グッドウィル1社で290万人という凄まじい「登録型派遣」など、何でもありです。ないのは若者の未来と結婚や出産だけは「絶対ない」、つまり日本社会に未来を見いだせない状態になってしまいました。

 法改正は当然です。この際、「失われた9年」を取り戻す若者たちによる立法活動が必要です。


なだ・平和のための木曜行動NO.298
2008年6月26日

259

ハイエナ・ライオン・ハゲタカ

 ついにグッドウィルが日雇い派遣から撤退と報じられました。

 日本人材派遣協会は中旬、全国紙に全面「意見広告」を出しました。この欄でも紹介した「コンプライアンス宣言」です。法改正の代わりに、派遣業界の「自主規制」を内外に示すことになったようです。

 しかし、それ以上に派遣労働者のお陰で史上空前の利益を得る多国籍巨大企業群は、どうなのか、これこそが問題ではないでしょうか。常々指摘してきたように、失業率のわずかな減少は、登録派遣・日雇い派遣の増加と同時進行です。

 大企業経営を3つの動物にたとえてみました。

●オリのなかに入ったハイエナ・・・「ルールを守って人間や弱い動物を襲います」と宣言●オリの外にいるライオン・・・人間で言えば「金持ちケンカせず」風●空を自由に飛び回るハゲタカ・・・「国産外資」と、いまだに参入規制撤廃一辺倒派


なだ・平和のための木曜行動NO.297
2008年6月19日

258

拝金主義を治療したい

 兵庫県知事が日本の教育に誇りを持っていることは、とても頼もしいことですが流行語で言えば品格はどうか。

 なんでもアラブの王様が日本の経済産業大臣か移植の腕が際だつ医者を介して、次のように助けを求めたらしいのです。「アブダビの子ども達は裕福ですので、ほとんどの子どもが掃除はメイドがするものだと思っている。ところが日本人学校では生徒が掃除をしているということで、将来のアブダビを担う子弟教育は日本流が望ましい」

 「子どもや学校は社会を写す鏡です。学校のなかだけ格差をなくしてもダメですよ。超高層ビルの脇にラクダを牽く姿を見て、日本を手本にしてほしくないと思いました」と答えてほしかった。

 市と県はポートアイランドに移植専門病院を造るカネをこの王様にねだるため「教育交流」を用意するのだと。行政の拝金主義を直す病院はないのだろうか。


なだ・平和のための木曜行動NO.296
2008年6月12日

257

歴史繰り返す?

 内閣総理大臣問責決議が史上初めて可決されました。いや、明治憲法下で貴族院が田中義一に対して可決し、それが無視された例があり、これを含めれば2度目。

 田中義一。陸軍機密費横領や社会主義者弾圧や、15年に及んだアジア太平洋戦争の「開戦」である張作霖(ちょうさくりん)事件。宣戦布告せずに武力による威嚇と武力行使をどんどんすすめ、天皇に叱責された史上ただ一人の政治家にして軍人。

 並べると福田首相は「見劣り」しそうです。

 しかし結局、田中義一内閣が総辞職した直後、あの29年世界大恐慌が起き、金融独占資本は別の手法を採用する2つのグループに分かれて第二次世界大戦へと至ったのでした。

いま世界大戦の危機はありません。しかし投機に浮かれ、貧困の広がる世界経済の、迫り来る危機は80年前と酷似しています。


なだ・平和のための木曜行動NO.295
2008年6月5日

256

末端だけが逮捕され

 3日グッドウィル本社課長らが逮捕されました。

 若者の半数が不安定雇用で低賃金。派遣会社は労働者派遣法が改正されて6万社まで増えました。派遣先企業は史上最高益を毎年計上中です。

 グッドウィル・グループは東証一部上場をとげ、そのトップは日本経団連理事に。「介護はもうかる」とあおりたて、何十社、十万人という派遣企業群を傘下に。日雇い登録にいたっては290万人。

 介護のコムスン不正請求でトップの折口雅博が追放されました。みずほが叩き売りした債権は外資にわたり、別のハケン資本が突如筆頭株主に躍り出たあと「母屋が大事なので株を売る」と宣言。業界団体は「コンプライアンスの誓い」だけ。

 新社会党の主張はシンプルです。第一に派遣先へ正規雇用を。労働者派遣法の即時改正。全容を調べて経営中枢はブタ箱へ。第四に労働組合は労働組合らしく。


なだ・平和のための木曜行動NO.294
2008年5月29日

255

高齢者と市場原理

タイトルを訂正しました 6月5日

 何人かの高齢者の会話が偶然耳に入りました。

1.敬老パスのカード申請書を出した。できるだけ乗らないようにしますよ、夕張みたいになったら困るから。年寄りは出かけるな、駅前のマンションに住めっていうことですね。

2.医者通いを減らせば、世の中うまく治まるのでしょうね。年寄りが安い薬に替えれば日本は豊かになるのでしょうね。

3.使わない電気消せ、ごみを減らせ、温暖化防げ、言われなくてもやってます。「テレビも冷蔵庫も買い換えで省エネを」なるほど最近早く壊れる。

4.カードを申請してまでタバコは吸わん。税収減るのは役所も覚悟。夜もコンビニは開いているし。慣れたらコンビニも便利で親切。

 新自由主義(市場原理主義)は、高齢者と団塊世代へと市場を大幅に広げないとやっていけないようです。経験、智恵、人間としての誇りを奪うやり方で。だから思惑は外れます。


なだ・平和のための木曜行動NO.293
2008年5月22日

254

貧困こそ地球規模

 98年5月22日、阪神大震災以来神戸発の大運動だった被災者生活再建支援法(昨年11月の改正で、拡充)が施行されました。つまりきょうで10年です。

 20日前の2日、ミャンマー大水害(死者・不明13万人)、10日前の12日、中国・四川大地震(同5万人)。命、自然と人間、災害と社会を考え、体を動かす機会は後を絶ちません。

 ミャンマーに行ってこられた神戸の8人や、CODE(海外災害援助市民センター)の動きが早く、カンパの呼びかけも街頭に立った留学生学友会、神大学生救援隊の「灘チャレンジ」、パンダの故郷へと王子動物園、また大企業も行政も、あるいはテレビからも。

 04年には国連防災世界会議が神戸で開催されました。今年はG8に加わるアジアで唯一の国、日本の神戸で24日から環境大臣会合が開かれます。

 格差について、地球規模の窮乏化問題(貧困問題)について議論してほしい。


なだ・平和のための木曜行動NO.292
2008年5月15日

253

内閣支持率より高い

 後期高齢者医療制度が定める「高齢者担当医」に届け出た医療機関は23・7%、一番少なかったのは青森県で、ゼロだったと「長寿医療制度実施本部」が発表したそうです(14日夕刊)。報道では厚生労働省は「まずまずの出足」と喜んでいるとか。たしかに内閣支持率よりは高い。

 この制度は自民党が高齢者や開業医や、いや国民全体をどれほど愚弄しているかを示しました。

 保険から年齢を区切って強制脱退、同意書一つなく2・3月分の年金から4・5月分保険料を天引き、説明が足りなかっただけという開き直り、挙げ句、月々の負担額を決めたのは患者のためと言い、保険料の実態はこれから調べると言う。若者の保険料が下がると言えば世論は賛成するだろう、とも。

 開業医に月額六千円。スタートすれば、エサに飛びつかない者はいない、とでも。「まずまず」ではなく「まずいまずい」出足です。


なだ・平和のための木曜行動NO.291
2008年5月8日

252

行政の報奨金

 敬老パス(敬老優待乗車制度)の「乗るたび負担」について神戸市は先月末、『広報こうべ』などで、ICカード(電子マネー)の導入を発表しました。他都市では入出金できない「見せるカード」にとどまっていますが、全国初の実用化です。

 公平に配分するには乗客数の正確なカウントが必要で、それがICカードで可能になる、と。

 これは鮮明な市政の大転換で、足りないところを補う補助金から、報奨金へ。バスは、乗客が少ない路線や時間帯を切り捨てて乗客の多い路線と時間帯へと「選択と集中」をすることになります。電子マネーの「市場」に高齢者を取り込み、やがて後払いカードやローン市場に高齢者を招き入れるという作戦でもあります。  

 市が「公共交通機関」と言ってはばからないベイシャトルには、報奨金でなく赤字が補てんされています。こんなダブルスタンダードはごめんです。


なだ・平和のための木曜行動NO.290
2008年5月1日

251

半失業社会

 ありとあらゆる食糧品に追い打ちかけてガソリンの値上げ。穀物などバイオ燃料や鉄鉱石の値上げが世界規模の物価高をもたらしています。

 企業物価指数(昔の卸売物価)が上がり続け、消費者物価も上がっているのですから、そして巨大企業の利益は確保されていますから、これら指標を見る限り「景気拡大」以外の何ものでもありません。

 「失業率がまた下がった」。総務省は4月30日、季節調整済みの3月完全失業率は0.1ポイント改善され、3.8%となったと発表しました。「女性の社会進出いちぢるしい」と。

 しかし有効求人倍率は数年前の水準まで落ち「インフレ下の低賃金」は深刻です。失業者数に、日雇い派遣に登録する数百万人を加えただけで失業率は4%も5%も跳ね上がります。派遣会社内の「待機」も失業率に反映されていません。一億総「半失業」社会です。


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