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ここにはNO.351(チラシは290号2008年5月1日)から
NO.433(チラシは479号2012年8月4日)までを
まとめました

NO.434からNO.533まで、このサイト内にはありません

なだ・平和のための木曜行動NO.479
2012年8月2日

433

5万円が1円に

 7月1日に新関空という会社が関西空港と伊丹空港の運営権を手にしました。関西空港株式会社は関空の土地と1兆円を超える借金を保有する地主になりました。その株主から保有株の買い取り請求が出され、その株価は1株1円だったそうです。購入のとき5万円も払ったのに。

 兵庫県と神戸市を合わせると200億円もの「投資」でした。買い取らせると40万円ということに。

 ここは、こういう法律に関西広域連合長(兵庫県知事)は、イヤだと言って40万円もらうより、賛成して新関空への発言権を確保する道を選びました。

 「発言権」の中身は、国や大阪市が望む将来の伊丹廃港を止めることだけではありませんでした。神戸空港も新関空に運営権を渡そう(毎日新聞)と。

 あれほど市民が心配したのに。住民の意見は愚かな意見、もう後戻りできない着工済みと言って、この秋で14年です。


なだ・平和のための木曜行動NO.477
2012年7月19日

432

留学生の沖縄だより

 「もし許されるならテロでもクーデターでも起こしたいぐらいだ」「人間扱いされていないとしか思えない」「もう反米・反日運動だ」「オスプレイの配備を強行しようとするなら、どうなるかわからない。日米への反感は高まり、島ぐるみの闘いになるだろう」

 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備強行をめぐって、いま沖縄ではこんなことばが、爆音訴訟や反基地闘争の当事者たちから聞かれるほどの事態になっている。8月5日には、オスプレイ配備に反対する超党派の「県民大会」が、午後3時から宜野湾海浜公園で開かれる。

 沖縄大学に「留学」するMさんからの便りです。「安全優先の軍事行動などありえない」など深い洞察と、沖縄の人々の生のことばで「沖縄だより19号」は埋められています。高江のヘリパッド(着陸帯)建設反対の座り込みや普天間基地ゲート前の反対行動の写真も添えられて。


なだ・平和のための木曜行動NO.476
2012年7月12日

431

歴史くり返すな

 きのうで東日本大震災から16か月たちました。

 「四面環海の我が国において、豊穣をもたらし、憩いを与えてくれる美しい海とともに暮らし、豊かな伝統や文化を育み、紡いできた地域が壊滅的な被害を受け、数多くの人々の尊い命や暮らしを一瞬にして奪い去った。・・・朝の来ない夜はない。」と、「国土交通白書」(5日)は書きだしています。

 区画整理は62地区2,800ヘクタール(28平方キロ)で、阪神大震災の20地区256ヘクタールの11倍に及ぶそうです。

 阪神大震災の区画整理も再開発も、街路事業も、10年検証活動など、「よかった。よかった」とはとても言えない総括があります。

 復興と称する「まち壊し」の再現であってはなりません。

 たしかに朝の来ない夜はありません、自然界では。しかし歴史はくり返すとも言います。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として、とも。


なだ・平和のための木曜行動NO.475
2012年7月5日

430

匿名で統治と仇討ち

 「堺からのアピール・教育基本条例を撤回せよ」が、日に日にその主張の重みを増してきています。毎朝、フェイスブック風にメールを受け取ります。「大阪維新の会」の悪行をどう読み、どう考えるのか、今や神戸にいても「大阪府市統合本部」と無縁でなくなり、当事者にさせられている「旋風」に対処するため、メールが待ち遠しく感じるようになりました。

 大阪各区の、市長が決めた区長が7月1日から「引き継ぎ」を始めました。

 2人は9月からで、うち中央区長は「本人の希望により氏名非公表」。なんぼ匿名社会と言ってもねえ。24人の論文を少し広げてみましたが、住吉区長の改革案は「旭区は、区長の責任と指示において、あらゆる大阪市政改革項目を24区中トップ3以内のスピードで達成します」。自治でなく発想は統治。梅田や中之島、天神橋の北区長は、「加西市で果たせなかったことを」です。仇討ち?


なだ・平和のための木曜行動NO.474
2012年6月28日

429

二度と見たくない

 消費税増税が、「一体」だった社会保障とバッサリ切断され、ほぼそれのみが衆議院を通過しました。定数480で欠員1、議長を除くと478のうち363人が賛成、反対は96。増税賛成は4人に3人の割合です。

 国民の意見は4人のうち2人が反対、1人賛成、1人が態度明かさず、という実感です。

 国会は住民の意思を反映するどころか、正反対。

 「決められない政治を突破できた」と野田首相。

 いいえ。知見も資格もない原発再稼働を決めたばかりです。基地を沖縄に押しつけることもオスプレイも、みんな決めたじゃありませんか。ここでは人食いザメのように。

 大阪維新の会の橋下市長が言うのは「決められない民主主義」。その思う壺に、今度はタコのように入って民主主義を破壊しました。その罪は余りに重い。

柳の下に二匹目を見つけても私たちは選ぶまい。こんな国会二度と見まい。


なだ・平和のための木曜行動NO.473
2012年6月21日

428

報いはだれに

 京都1区の平智之・衆議院議員(民主党)が18日、抗議して離党届をだしました。

 6月11日号の『週刊現代』にまとめられている議員の発言やあの中部電力労組の大会での東電労組委員長発言と、そして世論を多少なりとも考えてみれば、当然です。がんばってほしいと思います。

■仙谷由人・民主党政調会長代行「全原発を停止すれば、日本が集団自殺をするようなことになってしまう」

■新井行夫・東京電力労組中央執行委員長「裏切った民主党議員には、報いを」

■藤原正司・参議院議員「半年もたてば、世論も変わるわ。・・・お父ちゃんの仕事がなくなってもええんだったら検討しましょうよ」(昨年7月)

■前原誠司・民主党政調会長「再稼働がなければ関西は計画停電」「そろそろ判断のタイムリミット」


なだ・平和のための木曜行動NO.472
2012年6月14日

427

「再生」一度じゃない

 関空・伊丹の経営統合は7月1日。前世紀末の大銀行に始まった巨大企業の「再生」(新自由主義改革)が、東京電力と関西空港という2つの舞台で繰り広げられています。交通分野では日航に続く「再生」で、この源流は国鉄分割民営化です。

 関空に出資した関西の自治体は様々な対応をしています。「伊丹を補完する地方空港」である神戸空港は、伊丹空港という国内基幹空港がなくなれば、それに取って代わるのか、それとも一緒に消えるのか。

 「複眼の日本」とか「分散型国土の形成」(87年四全総、88年法律)と謳い、ケインズの信奉者のようなフリをして民営関空が税金をごっそりと使い切ってしまった果てに、このありさまです。

 「どこまでも利用者は増える」と建設されたのが神戸空港でした。その神戸空港に異変です。羽田便の利用者数が底を突いています。


なだ・平和のための木曜行動NO.471
2012年6月7日

426

自然の大破壊

 「原発はクリーンなエネルギー」「未来の子どもたちのためにCO2を25%カット」どれほどテレビで流されたでしょう。出演料だけで億単位だったそうです。

 原発が止まって、温排水を利用して養殖していた水産物がピンチだそうです。

 浜岡原発ではクエの養殖が、福井県高浜町の内浦湾ではシマアジなど暖海性の魚介類が今年は三分の一が死んだそうです。原因調査をするそうです。

 原発の温排水が7度も水温を上げて本来は南の海でしか育たない生き物が幅をきかせるようになり、生態系を激変させました。伊方原発は漁獲を壊滅的にしています。上関原発は豊かな自然の、その名も「祝島(ほうりのしま)」の対岸に企てられました。大きな取り返しのつかない自然の大破壊のなかで、暮らしていくための養殖。

 まさか、まさかですが、「養殖のために原発を」?やりかねません。いや、われわれはやりきれません。


なだ・平和のための木曜行動NO.470
2012年5月31日

425

憲法は何のため?

 名張毒ぶどう酒事件の再審を認めないとする決定を、名古屋高裁がおこないました。「第7次再審請求の差戻し異議審」。51年前の事件で死刑囚は86歳。奥西勝さんの弁護団は、特別抗告をおこないました。

 奥西さんにとって特別抗告は何度目なんでしょう。再審請求そのものが7度目で、事件から46年経った07年、最高裁が原判決を破棄しなかったために、奥西さんはたぶん十度に近い死刑判決を受けることになってしまいました。再審開始決定を取り消した高裁決定を「差し戻し」ただけにとどめたのでした。今回の判決で、少し開かれたようでもあった再審の扉が見る見る分厚く、重くなっています。

 「疑わしきは罰せず」という表現は憲法にありません。「えん罪はあってはならない」とも。しかし。

 国民が司法を含む権力を制限するために憲法があるという原点へ。立ち戻らせましょう。


なだ・平和のための木曜行動NO.469
2012年5月24日

424

厄介な時代か(下)

 「キッズコーナー」知らないのに書きますが、業界に自粛を求めているディーエヌエーなどの「コンプガチャ」まがいのゲームもあり、首相のビデオメッセージにもブログにも「さあ困った超高齢化社会」一色です。

 『毎日新聞』が社説で書いたように、「騎馬戦型から肩車型へ」とは、なりません。松下政経塾で学んだ人々は、なぜか「支えられる」人の数を間違え、いやわざと間違える人が多いようです。現役世代の将来負担の増加は、いまの1.1倍程度で、3倍になるというのはウソです。

 そもそも「支える人」と「支えられる人」を年齢人口の構成だけで説明することが間違いです。保育所や学校は、「支える」人々を支えています。「支えられる」ことなしに「支える人」の一日は始まりません。

 少子高齢化や人口減少社会を「厄介な時代」にしないため、真に「支える人」や「支えてきた人」のたたかいが必要です。


なだ・平和のための木曜行動NO.468
2012年5月17日

423

厄介な時代か(中)

 将来の人口構成がどうなるかという学問は、戦争へと歩んだ時期にはまったく無力でした。若い男子を戦場へ送り、ましてや戦死者を多数だせば社会はどう歪むか。自明の理の「学問」など「非国民の理屈」でした。

 高度成長時代。「向こう三軒両隣に会社勤め5人、自営業か農家1軒、子どもは10人、専業主婦含め無職8人、高齢者は4人」程度が一般的でした。ここでも「被扶養者」は「稼ぐ人」の何倍もいます。

 「就ける仕事があるか、倒産・失業のような浪費はないか」が、高齢化などの人口構成より問題です。

ところが80年代末、厚生省(当時)は、高齢者を騎手に見立て3人が組んだ騎馬に乗る絵を描き、肩車されるシワだらけの高齢者の絵とともに発表しました。「介護に市場原理を」というキャンペーンでした。

 同じマンガが今度は首相官邸のビデオになって「税と社会保障の一体改革」に、登場してきました。


なだ・平和のための木曜行動NO.467
2012年5月10日

422

厄介な時代か(上)

 騎馬戦型から肩車型へ。生産年齢人口15歳から65歳まで3人に対し、老年人口1人の時代は騎馬戦型。それに対し超高齢社会はその比率が1対1となり、これは肩車型。超高齢化社会。年寄りの多い国になる日本は、どう備えればいいのだ。厄介な時代になるぞ。負担増が避けられない社会がやって来る。

 『毎日新聞』がゴールデンウィークの8日間にわたって社説を連載し、国の形を問いました。税と社会保障の一体改革・消費税増税は、「騎馬戦型から肩車型へ」という「常識」に始まっているが、考えてみよう(5月5日)と。

 私はこのウソ=常識を解き明かしてきた里見賢治先生の科学としての社会保障論を、目からウロコが落ちる思いで読み、聞いてきた一人です。

 労働人口と被扶養人口、「稼ぐ」人の数と支えられる人の数は、前世紀の早い時期から未来まであまり変化がない、と。


なだ・平和のための木曜行動NO.466
2012年4月26日

421

ウソのサイクル

 高速増殖炉もんじゅに反対してきた「ストップ・ザ・もんじゅ」代表の方から、核燃サイクルの危険性について19日の集会でお話しをききました。

 直後に、核燃料サイクルの再検討をしている内閣府原子力委員会(原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員)で事務局が、核燃サイクルに有利なように資料を操作して提出していたと伴英幸委員が告発しました。

 使用済み核燃料が原発のなかで行き場なく蓄えられています。フクシマで一番危険なのは、3月11日に動いていなかった4号機だという指摘もあります。「捨てずに再利用できる」核燃サイクルに飛びついたものの、「もんじゅ」も六ヶ所村の再処理工場も、まったくうまくいっていないのはご承知のとおりです。原発は「トイレのないマンション」に喩えられます。トイレのないマンションをべらぼうな割高で買ってしまった住民。クーリングオフは今。


なだ・平和のための木曜行動NO.465
2012年4月19日

420

人権制限宣言

 安全を判断する新・規制庁もできず、この国は、政治家が原子力に口を出す愚行の途上にあります。資格のない人が自動車を運転すれば無免許運転という道路交通法違反です。政府がやっていることを法律で取り締まることはできないのでしょうか。

 大飯原発から100キロの私たち。

 「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利(憲法13条)」が著しく蹂躙されています。これをときに妨げる「公共の福祉」が原発だなんて・・・。憲法第13条は次のように野田首相や枝野大臣の手で変更されているようです。

 「生命、自由および幸福追求に対する国民の権利は、『停電にならない範囲で』立法その他の国政の上で、最大限の尊重を必要とする」

 ちなみに「絶対に」がそうであるように、「最大限の」ということばも、憲法のなかでは1か所しかでてきません。「最低限度」も25条に1か所。


なだ・平和のための木曜行動NO.464
2012年4月12日

419

もう一つの琵琶湖

 大飯原発再稼働に、兵庫県知事も反対の意向を表明してほしい。「神戸は地元や」と。その要望を兵庫県防災計画課に届ける会合に出席しました。

 「原発事故は起きない」前提の現行防災計画について、「関西減災プラン」を来年3月に改訂する予定だと言います。つまり原発は再稼働させ、その再稼働した原発による災害を「減らす」プラン・・・。

 地震や水害は、人間の力で発生を食い止めることができないと、よくぞ「気づいた」ものでした。「広い道大きな公園高いビル」からの大きな前進でした。

 しかし。今度は(関西は)災害を減らそう、原発減災だと言うのです。

 「琵琶湖に代わる水源を」とも言うのです。自然災害も原発事故も同列に扱う思考停止かと思えば今度は論理の大飛躍。

 「もう一つの琵琶湖」?「水源にあわせた人口」なら神戸は40万人都市になってしまいます。


なだ・平和のための木曜行動NO.463
2012年4月5日

418

中嶌哲演さんの断食

 福井県小浜市の明通寺住職、中嶌哲演さんがみぞれが降った3月25日の集会とデモの後、断食。

 私たちは少し遅れて会場に着き帰りのバスのなかでその情報を初めて知ったのでした。

 「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」(子ども福島)は次のように呼びかけました。

 (中嶌哲演師は)「私ごとですが」と断って「後に続く者たちのためにも再稼働は許さない」として福井県庁での断食を表明。五穀を断ち準備し、25日朝も重湯だけだったそうです。すごい決意です。

 福島の女たちは、以下のようにリレー断食を開始します。(引用終わり)

 そして経産省前テントで、郡山駅前で、福島駅前で、とリレー断食が続けられました。

 小浜にも原発誘致と反対の運動がありました。「財源を取るか、豊かな市民の心を取るか」、当時の市長の勇気ある決断がこのまちの選択となったのだそうです。


なだ・平和のための木曜行動NO.462
2012年3月29日

417

竹中平蔵とAIJ

 「金融庁では、金融商品取引法改正の中心人物として仕切った参事官の責任を問う声が上がっている」(霞が関事情通)というが、ついでに小泉・竹中も吊るし上げるべきだ。・・・とはAIJ問題で情報提供を無視して被害を大きくした金融庁についての『日刊ゲンダイ』3月19日の記事。

 運用成績が落ち、元本まで失い、厚生年金の代行で積み立て不足(代行割れ)の企業年金が続発、大企業は代行を返上して逃げのび、逃げ遅れた企業年金があえいでいます。解散しても不足分を国が厳しく取り立てます。神戸ではタクシー会社が連鎖倒産に追い込まれました。

 時系列ではこちらが先で、AIJはあとです。

「最大の金融機関が国営の郵便局だなんて世界で日本だけ」と言って首相と竹中平蔵の儲け話のコラボは聞かせました。選挙で大勝したほどです。

 不幸の原因はこちらで、AIJは不幸な結果です。


なだ・平和のための木曜行動NO.461
2012年3月22日

416

残るがれきは9割以上

 宮城と岩手のがれき広域処理を、東京の知事と大阪の市長が受け入れ表明をしたことは、実は今後の一般廃棄物行政に大きな禍根を残す大事件です。産廃のように、古紙の輸出のように、廃棄物は儲かる宝の山だ。・・・とは言わず・・・。

 うずたかく積まれたがれきの山、強烈な臭いとハエを被災地の外は知らないのか。放射能の基準以下の、安全ながれき処理に協力しないとは、国際評価までおとしめているぞ。日本人はいつからこうなったのだ。「湾岸戦争の悲劇再現だ」(橋下市長)と。

 見えない放射能を可視化する学者・山内知也さん(神戸大大学院教授)も指摘するように、まず「受け入れが決まらないから処理が遅れている」のではありません。政府が全国広域処理を、と言っているのはなぜか2割で、なぜか山は9割以上残っています。

 カネのない市町村は都会のゴミを引き受けて飯を食え。その実験です。


なだ・平和のための木曜行動NO.460
2012年3月15日

415

目的は統廃合

 卒業式で君が代を起立して歌え、歌わなければ処分、と教員に命じる「橋下教育改革」。

 来賓の府会議員が卒業生への祝辞に代えて「ルールを守れない教員がいることをお詫びします」と「演説」し、PTAから抗議され、ブログで謝罪しました。

 和泉高校では、式で校長と教頭が、教員が起立し、口が動いているかを点検し、3人から「歌っていなかったのでは」と「事情聴取」したそうです。民間人校長として採用された橋下市長の学生時代からの友人で、「口元を見るのは当たり前」と橋下市長はまだ責めました。

 卒業生と送る在校生は式の添え物?主役は強制に従ったか従わなかったか注目される教員?いや従わせた校長が主人公の悲喜劇。次々と学校を統廃合したいから「千代に八千代に」と歌わせたいだけです。

 そもそも入学式や卒業式があるのは、世界では少数派だそうです。


なだ・平和のための木曜行動NO.459
2012年3月8日

414

土一升をつぐなえ

 『毎日新聞』夕刊の「見つめ続ける・震災から1年」。2日(金)は南相馬の「水田跡地」で刈り取った雑草を運ぶ女性?でした。写真家・武市公孝さんの、見出しは「雑草でなく米を」。

 「働いていないと体がなまっちまうからなあ」「もう一度、ここで米を作りたいな」。集めた雑草の処理ができず、枯れ草の山は増えるばかりと。

 放射能さえなければ、枯れ草は焼けば病害虫のいない、土づくりになろうというもの。土づくりどころか、国民の責務として法律で表土を5センチもはぎ取る「除染」を公費で「してやる」と、恩着せがましく。ガレキは全国で引き受けてやる、とも。

 「土一升に金一升」は、地価が高いことのたとえですが、文字どおりの土一升を、東京電力と政府は引き取り、汚染されていない土と交換を。いや「土一升」に、農家・農業者と同じく、経団連も政府も「一生」を賭けるべきです。


なだ・平和のための木曜行動NO.458
2012年3月1日

413

半減期30年 完売290年

 5年前の神戸市新都市整備事業会計についての包括外部監査、全体として同会計は極めて健全だという優しさあふれる外部監査です。そのなかに「過去5年間の売却ペースで土地が売却されていくとしたとき、あと何年ですべての土地が売却できるか」という分析があります。

 複合産業団地(テクノ・ロジスティックパーク)は209年、ポートアイランド2期(港島南町)は290年というのです。六甲アイランドは−(ダッシュ、無限の未来までかかる)です。290年後に大規模土地の私有制が残っているとは思えませんし、利用されない埋め立て自体を指弾すべきでした。

 何に似ているかというと放射性核種の半減期です。ちなみに空港島(ポートアイランド沖)は当時、過去5年で「滑走路が売れ」ましたので「あと3年」です。

 半減期30年のセシウムは健康を蝕み、販売に290年かかる埋め立て地は市と県の財政を蝕みます。


なだ・平和のための木曜行動NO.457
2012年2月23日

412

私だけではないはず

 テレビをあまり見ていない者が、あえて。この番組は続けてほしい。

 CS放送「朝日ニュースター」の『愛川欽也のパックインジャーナル』です。3月末で終わるそうです。現在の土曜昼の生放送から、月2回の録画放送にと局から言われ、それでは持ち味が発揮できないと愛川さんは判断したそうです。

 「左がかった番組」と言われるでしょう。一貫して政権批判が続きますから。でも私はイラク戦争や憲法9条、そして原発の爆発について、掘り下げた解説に深夜や早朝の再放送をよく見ました。

 いちいち目くじらを立てるより、見なけりゃいい、たしかに。

 しかし、「こう思うのは私だけではないはずです」と毎晩言って、大勲位を持ち上げたり、前首相をこき下ろしたかと思ったら野田首相には長時間。局は違いますが、録画にして記者たちがチェックをすべきは、こちらです。


なだ・平和のための木曜行動NO.456
2012年2月16日

411

地獄の沙汰も

 介護付き有料老人ホームが入居者に暴行を働いた職員を懲戒解雇し、神戸市から改善措置通知を受け、県警は元職員を逮捕し、はぴね神戸学園都市を捜索したと報じられました。

 神戸市では'06年の指針と要綱ができるまで、そして高齢者虐待防止法ができるまで、有料老人ホームの開設を止めていました。

 圧倒的な質量のニーズがあり、つまり苦しみ困っている人が多く、古くからの有料ホームもあり、認知症グループホームが推奨され、認知症についての要介護認定が実態に追いついて、ついに巨大資本が参入し、今では定員で特別養護老人ホームを有料老人ホームが上回っています。

 はぴねを経営する企業の理念はパートナーなど「5つのP」だそうで、そのなかには支払い・「pay」のPは入っていないものの・・・。

 今回の事件から学び、気づくことは本当に多いと思います。行政も、もちろん市会・県会も。


なだ・平和のための木曜行動NO.455
2012年2月9日

410

原発と景気

 経団連の米倉弘昌会長は「原発に依存しないと電力不足で国内産業がどんどん海外に逃げ、雇用が守られず、経済成長が落ちる」と言いました。

 孫正義さんの持つプロ野球チームが日本一になったことを妬(ねた)んだのでもないでしょうが、原発再稼働問題で「理屈のない反論も困ったものだ」と理事の孫さんを会見でボロクソに言ったりもしたそうです。

 発言には「風が吹けば桶屋が・・・」程度の論理性もありませんが、景気が悪くなる、企業収益が悪化する、クビを切るという結果だけはピタリです。

 家電は大赤字。薄型テレビを「いつ、いくらで買ったか」聞いてみました。80万円から3万円まで。地デジにしなけりゃ非国民の空気までつくり、エコポイントに税金使って。工場誘致合戦の結末は、「元が取れる」どころか立地条例に書いてない補助金返還請求事件へ。原発問題とは何の関係もありません。


なだ・平和のための木曜行動NO.454
2012年2月2日

409

カーネーションにハマる

 「これらの趣旨を踏まえ、平成23年度卒業式・修了式及び平成24年度入学(園)式においては、幼児児童生徒に国旗及び国歌の意義を十分に理解させるとともに、教育計画及び年間指導計画に基づき、音楽や特別活動等における指導の充実に努め、『堺市立学校園に対する指示事項』で示しているとおり、儀式的行事における国旗掲揚・国歌斉唱については、全員起立して国歌を斉唱するよう指導願います。」

 校長・園長に対して堺市教育委員会・教育長が30日に出した通達の一部です。

 悪文のほど、教育委員会らしからぬと言うか、らしいと言うか。

 指導とか理解とかありますが、強制です。NHKの連続テレビドラマ『カーネーション』にでてきた大日本国防婦人会の3人の女性が華美だ供出だと言ったのも、「理解」を得て「指導」という「強制」でした。大阪に糸子、今はいないのか?


なだ・平和のための木曜行動NO.453
2012年1月26日

408

ちがいは名前だけ

 野田首相の施政方針演説には呆れました。

 演説で持ち出したのは、当時の福田首相が、大連立のレールが敷かれていると思い込んで就任したものの、そうではなかったため、泣き言を並べたてた、あの演説でした。

 9月に「私の内閣で改憲」の安倍首相が登院せずに入院、11月に大連立の協議がボス同士で成立した後、破談に。そして「与野党が信頼関係の上に立ってよく話し合い」という正月の施政方針演説となったのでした。

 「異例の演説」などと論評がありますが、一票を投じ、不況に耐え、働く国民をこれほど愚弄するものはありません。

 自民党時代にもなかった組閣前のこの人の経団連訪問が、演説の伏線になっているように思えてなりません。「大連立」という単語が出たか出なかったか?

 忘れません。「2つの政党は同じなのに、選挙のときだけ違う名前」


なだ・平和のための木曜行動NO.452
2012年1月19日

407

年賀はがき値崩れ

(前号からのつづき)日本郵政グループは表向きブレーキ、裏でアクセルばかりではありません。

 JPエクスプレスを日本通運と共同出資でつくったものの、2年もしないうちに1千億円の赤字をだし、負債をすべて引き受けました。表向き民営化を急加速する一方、ことに事業清算の段階ではアクセルを踏んだまま急ブレーキを踏み続けたのです。

 郵便事業会社でベテランの非正規社員を9月末に8415人も雇い止めするなど、しわ寄せを現場に押しつけました。加えて年賀状販売枚数は東北地方を中心に激減、非正規も含め「ノルマ」を増やして売り込みをはかったものの、販売額で対前年4%減、元日配達は同7.6%減となってしまいました。

 残業協定を破った疑いで労基署と監察が立ち入った支店もでました。経営の失態を労働者に転嫁する姿勢を改めよ。郵便事業の再建は、まずここからです。


なだ・平和のための木曜行動NO.451
2012年1月12日

406

年賀はがき値崩れ

 「新24年度年賀はがき買い取り価格/インク完封200枚×36円/ディズニー完封200枚×36円・・・」販売の方は「400枚以上45円・・・」など。古物商、いまでは金券ショップという店のネットでの「案内」です。

 金券ショップに年賀はがきを持ち込む(売りに行く)のは、表向きはコスト削減、裏では利益隠し(裏金づくり)の企業だけではないのです。

 日本郵政の正規・非正規の社員がノルマ分を買います。「自爆買い」とも。

 改正特定商取引法(特商法)では、販売事業者の名称を名乗り、販売目的による訪問であることを告げ、契約書面を交付し、クーリングオフの説明を求めています。   

 会社は表でブレーキを踏み、裏で大量のノルマを課し、アクセルを全開。結果は冒頭の有り様です。

 日本郵政大丈夫か!大丈夫じゃありません。年賀はがきが労働賃金とともに値崩れです。(つづく)


なだ・平和のための木曜行動NO.450
2012年1月5日

405

原発のホント

 かつて4年間、鹿島で東電福島第一原発3号機の建設工事に従事したMさんは、基礎工事のコンクリートを打設する作業中、地下水が大量に浸み出し、四隅に井戸を掘って水抜きをしながらの難工事だったとおっしゃっています。

 電気が売るほどある会社なのに海水(二次冷却水)をポンプアップする電気代を惜しみ、地盤高を25メートルも切り下げた(豊田正敏・東電元副社長。5月5日中日新聞)そうです。結果、原発の直下は地下水の多い軟弱地盤となってしまったのです。

 Mさんらの必至の作業で原子炉建屋の地下部分は分厚いコンクリートで地下水の流入を防いでいたのでしょうが、それから35年、大地震がコンクリートに大きな亀裂をつくりだし、汚染水は増え続けています。東電は海洋放出の機を謀っているようです。

 政府はMさんらからの聞き取りなど、まったくする気がありません。

実は「きょうの井上力・12月15日」の焼き直しでした。


なだ・平和のための木曜行動NO.449
2011年12月22日

404

オール知事経験者の意見

 「北朝鮮の金総書記死去の国際的なニュースの中で、沖縄からの切実なアピールも記憶に刻んで頂きたい」と照屋寛徳・衆議院議員がブログで語っています。

 ひとつは、19日に新崎盛暉・沖縄大名誉教授が呼びかけ、稲嶺恵一・前知事や大田昌秀・元知事が加わって19人がおこなった共同アピールです。

 県議会が11月に出した意見書を支持し、地域の意思表示を政府が無視してはならないとするものです。押し詰まった週明け26日とされる環境影響評価書の知事への提出をやめるべきだと。

 もう一つは那覇空港での自衛隊機の事故について。19日午後、1時間半にわたって那覇空港の滑走路が閉鎖され、待避・待機などで7千人が影響を受けたできごとがありました。緊急スクランブルの自衛隊機F15が滑走路を逸脱したのだそうです。過密の那覇空港、軍民共用をやめようと。


なだ・平和のための木曜行動NO.448
2011年12月15日

403

被災地に戦闘機いらん

 見えない有害物質、放射能と見えない放射線に苦しんでいるとき、「敵に見えないジェット機」という高い買い物を野田内閣は決断したそうです。レーダーに映りにくい「ステルス性能」からF35を選ぶそうです。

 次期戦闘機(FX)の選定をめぐる自衛隊の歴史は、すでに過去において国民にだけは見えない暗闇のなかにあります。ライセンス生産ですでに武器輸出大国となり、新製品を出せないメーカーが急速に市場から退場する市場原理を打ち破り、国家が購入する製品を決め、個別企業の売り上げを確保してきました。

 今度もゲーツ前国防長官が機種名をあげていたF35で、やっぱりね、です。

 軍需産業は国民から見えるところで仕事をしません。対国民ステルス性能に磨きがかかります。

 いま被災地で苦労する自衛隊から、被災地に戦闘機や機関銃が必要だと聞いたことがありません。


なだ・平和のための木曜行動NO.447
2011年12月8日

402

冷温停止のウラに

 政府と東京電力は来週、壊れている東電福島第一原子力発電所1〜3号機について、「冷温停止宣言」をするそうです。

 福島から聞こえてくる声、福島から神戸をはじめ各地に避難している人々から聞こえてくる声は日に日に切迫したものになっています。何十年がたとえ数年に縮まったとしても、子や孫の未来は。きょうを、あしたをどう生きるか。カネもだが夢を。

 考え出されたのが、3つの地域指定を新たに設けることだそうです。「長期帰還困難区域」「居住制限区域」「解除準備区域」へと。新たな苦悩と差別をもたらすのみではないか。「除染ありき」の二の舞ではないでしょうか。

 壊れている原子炉に「冷温停止」はないそうです。「冷温停止もどき」です。原発には「もどき」が多い。ヨウ素もどきに、ストロンチウムはカルシウムもどき。賠償もどきを補償と言いくるめようとしました。


なだ・平和のための木曜行動NO.446
2011年12月1日

401

不適格にならないように

 以下、引用です。

 「・・・新指針と耐震バックチェックによって原発の耐震安全性が高まると説明してきた。しかし私は、改訂の委員として審議中から新指針の不十分さを指摘していた(改善されないので、最終案了承の直前に委員を辞任して途中退席した)。要は既存原発が不適格にならないように、Ss新基準の地震動・最大加速度。引用者)が過小評価できるような仕掛けになっているのである。

 実際、巻末表を見れば、柏崎刈羽原発一〜四号機のSsが二三〇〇ガルと突出して大きいのに、ほかの多くが六〇〇ガル以下なのを、読者は奇異に感じるだろう・・・」(石橋克彦・神戸大名誉教授・編『原発を終わらせる』)

 『毎日』夕刊の「特集ワイド」(29日)は、原発ストレステストの現場、三菱重工神戸造船所を取材して日野行介記者が書いています。「安心」やっぱりヤブの中・余裕は机上の計算・データは企業秘密・・・と。


なだ・平和のための木曜行動NO.445
2011年11月24日

400

たかが新聞

 プロ野球選手会のストライキから7年たちます。

 ずっと日本の報道界とプロ野球界の頂点に立つ人が「名誉毀損で訴えてやる」「法廷闘争では負けたことがない」など、大騒ぎ。

 「押し紙裁判」で記事を書いた黒薮哲哉さんが敗訴して罰金命令がだされた判決が5月にあったのだそうです。記事は新聞社の名誉を傷つけた、と。名誉毀損という印籠(いんろう)を見せれば上に立つ者が勝つというのは、誠に不条理です。

 法廷ではなく選手会が、球界が、会社に、プロ野球界に、モノを言うべきでは。

 ここも「場外乱闘」めいたことのあった中日の落合博満さんは祝勝会で「ここに知事も市長も来てます。ドラゴンズの選手から学ぶことはいっぱいある。お二方も参考にして、最終的にはよかったと思える政策をやってください」「知事も市長も苦笑するばかりだった」と報じたのは『スポーツ報知』でした。


なだ・平和のための木曜行動NO.444
2011年11月17日

399

改革の反省こそ

 開国か鎖国か。

 だれしも反論のしようのないテーマに置き換えて、野田首相は国民を説き伏せようとしています。そして国民に背を向けて、どんどん条約交渉が進んでいます。

 二夜連発の巨大地震と津波に加え、ついに首都直下型地震が襲った安政時代は列島が、地震の活動期でもありました。TPPを4か国から9か国へ、去年のAPECでオバマが持ち出したのは黒船。そこへ大地震と巨大津波。状況はそっくりだと。

 資本主義の発達の差、資本の蓄積の差は明確でした。幕府は商品経済を3度の改革で抑えてきたのでしたから幕末のときは。

 今度も、たび重なる改革で食糧自給率は江戸時代の4割。改革で商店街にシャッターが降り、個人商店は消えました。改革で学生が奨学金の利息にあえぐ時代になりました。改革で若者の失業が深刻です。

 時代錯誤のカイコクでなく、カイカクの反省こそ。


なだ・平和のための木曜行動NO.443
2011年11月10日

398

1%の倫理観

 カメラを愛用する人も多かったはずです。胃カメラは、ほぼこの会社の製品です。最近はテレビに宮崎あおいが「ココロとカラダにんげんのぜんぶオリンパス」なんて出てくるとトシを忘れて見入ってしまう人も多いようです。

 すばらしい仕事をする人たちがすばらしい製品をつくっている・・・。

 300億円を出資したファンドから6年後に提案された出資案件は、ほぼ即刻、「合法の」減損処理をおこなうためのものだった。ファンド運営会社の代表者とオリンパス執行役員は兄弟・・・。『週刊ダイヤモンド』は、ケイマン諸島に籍を置く国産「海外」ファンドの介在を報道していました。

 経団連は倫理、透明、順法を説教しています。国民には「減税しなければ、TPPに入らなければ、そして円高を止めなければ、出て行ってやる」とうそぶいて。「99%のわれわれ」に、倫理観の違いは、まったく見えません。


なだ・平和のための木曜行動NO.442
2011年10月27日

397

憲法を書いた人

 4年前に六甲道勤労市民センターで『日本の青空』を観ました。鈴木安蔵を取材する・・・。映画が制作されたのは「私の内閣で改憲」の安倍晋三内閣時代、私が映画を観たのは退陣1か月後でした。

 鈴木安蔵は1904年、福島県小高町(現在は南相馬市)の生まれ。相馬中学から仙台の二高を経て京都帝大に、治安維持法で服役、「転向」して憲法を研究、戦後、大学中退ながら明治憲法制定史で博士号。静岡大学、愛知大学等で教授。

 マッカーサーの日本国憲法に、野にあってもっとも大きな影響を与えた高野岩三郎らの憲法研究会の一員で、鈴木安蔵こそ憲法草案要綱を書いた日本国憲法起草者。憲法は国民投票で決すべき。しかし日本の「制憲議会」にその知恵も力もなく。法学館研究所が継承しています。

 「憲法と鈴木安蔵は相馬・小高の誇りです」と、灘区に避難するMさん。


なだ・平和のための木曜行動NO.441
2011年10月20日

396

人類の名において

 原子力基本法は日本国憲法と対峙しています。「人類社会の福祉」を語り、第一条で次のように述べています。(今や「失効」した教育基本法の1947年に次いで、1955年)

 「この法律は、原子力の研究、開発及び利用を推進することによつて、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もつて人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とする。」

 9章21条からなる法律の第八章は「放射線による障害の防止措置」で「放射線による障害を防止し、公共の安全を確保するため、放射性物質及び放射線発生装置に係る製造、販売、使用、測定等に対する規制その他保安及び保健上の措置に関しては、別に法律で定める。」と。

 「別の法律」のうち、原子力災害特別措置法はこれから44年後、JCO臨界事故まで、つくられませんでした。「無法」でした。


なだ・平和のための木曜行動NO.440
2011年10月13日

395

まさか憲法より上

 神戸大学元副学長の浦部法穂さんが、コラム『憲法時評』に、ハシズム(橋下府知事の傍若無人主義)と大阪府「教育基本条例」案について書いておられます。

 政治が教育に介入し、教育を支配する。教員は「上」に完全服従し、上意下達。同じ職務命令に3回従わなければ免職、人事評価で2回連続D評価(下位5%)は免職・・・。学校は命令と服従の戦場のような場所になります。

 監督はオーナーに、コーチは監督に、絶対服従。コーチは毎年試験があって試験成績が下から5%は、クビ・・・プロスポーツでも、こんなことで強いチームはできません。

 浦部先生は、次のように結んでおられます。

 「この条例は、府の教育に関する最高規範である」(第48条)。・・・まさか憲法より上とでもいうつもりなのか?大阪には日本国憲法は適用されないとでも?

 それとも橋下さん、つぎは「大阪独立宣言」ですか?


なだ・平和のための木曜行動NO.439
2011年10月6日

394

放射能拡散公害事件

 「品川宣言」をいただきました。冒頭の部分を紹介します。

 私たちは、・・・事故の終息を見守ってきました。また、その工程にあって、わが国有数の一流企業である東京電力株式会社や政府に、国土や国民の命を第一義的に守ってほしいと願ってきました。しかしながら私たちの期待は見事に裏切られ今日に至っています。

 2011年9月18日、全国の市民・農家・水産加工・食品団体員など有志が・・・討議しました。そして、私たちは、今回の事故並びにその経過が、「放射能放散公害事件」であることを再確認しました。そこには、明らかな加害者と、放射能にさられている被害者が存在しています。

 しかし、事件発生より半年が経過してもなおその起因者である東京電力に、その責任を果たそうとする姿勢は見られません。また、政府は一体だれのためにあるのか──。


なだ・平和のための木曜行動NO.438
2011年9月29日

393

補償でなく賠償

 先週に続き、東電の賠償に対する姿勢について。

 「ご被害者」の「お手続き」は「仮払補償金請求書ご記入」のうえ「住民票等のご準備」をしていただき「仮払補償金請求書ご提出」を経て「弊社」が「仮払補償金お支払い」をし、「ご被害者」が「仮払補償金お受け取り」に至った人にだけ、計216ページにおよぶ書類を送りつけました。

 先週木曜の『毎日新聞』「余録」は、繁文縟礼(はんぶんじょくれい=規則・手続き・礼儀作法などが、こまごまとして煩わしい)と指摘し、枝野経産大臣は「弁護士の私にも難しい」と叱りつけました。

 「居住の自由」「職業選択の自由」を日本の国は憲法で国民に約束しています。白昼、公然と、あからさまに、これを破った事件は、この憲法の下で初めてです。これは事故でなく、事件です。加害者が被害者に賠償するのは当然で、それは「補償」ではなく、「賠償」です。


なだ・平和のための木曜行動NO.437
2011年9月22日

392

ことば正確に「賠償と補償」

 原発の警戒区域から避難してきておられる方が、東電の「補償してやる」という姿勢が「ガマンならない」と怒っておられます。賠償の窓口を関西にも置くべきだ、とも。

 東電のホームページには「福島原子力補償相談室(コールセンター)」「補償金お受け取りの流れ」など。

 法律上は政府による東電の救済で「東電が賠償し」「政府(国家)が補償する」です。「仮払い補償」「本賠償」というように。もっと言えば「適法な行為を補償」「違法な行為に賠償」が分かりやすいように思えます。

 ところが東電は、住めなくなった家屋・土地、作れぬ農地について口を閉じ、居住の自由や、職業選択の自由を日本国憲法制定以来、初めて顕著に強奪した法人であり、事故は事件です。当然、請求に応えて損害を賠償しなければなりません。「お支払い」・・・そう言えば使用料を国民はお支払いしています。


なだ・平和のための木曜行動NO.436
2011年9月15日

391

灘区制と柳条湖事件

 灘区制80年のスタートは満州、北支、やがて南方へ若者を送るための「国家の最下部機関」でした。国家は徴兵、徴税、治安維持のために地方を組織しました。徴兵検査、現役兵の身上調査、在郷軍人名簿の作成、召集令状(赤紙)の交付、出征兵士の歓送、戦地への慰問袋の贈送、戦死者の公葬(アジアプレス・吉田敏浩さん/『赤紙と徴兵 105歳最後の兵事係の証言から』/彩流社/2100円/より)

 「兵事係」が「灘区」に置かれました。灘区制は、いまの灘区制とは似ても似つかぬ「住民の統制と管理」のためにありました。

 武庫郡西灘村・六甲村・西郷町が神戸市に編入されたのは1929年、4月25日に市会議員選挙(定数68)が灘区(定数6)でも。1931年9月1日、神戸市に区制が敷かれ、準備整ったかのように9月18日、柳条湖事件(いわゆる満州事変)でした。区役所の完成は11月21日でした。


なだ・平和のための木曜行動NO.435
2011年9月8日

390

80年前の灘区 電気は?

 アジア太平洋戦争は、関東軍による南満州鉄道のでっち上げ爆破事件で始まりました。1931年、世界大恐慌から2年後の9月18日でした。今年で80年。

 占領して満州国を「独立」させ、市場と資源を得た大日本帝国は、世界大恐慌から真っ先に経済回復を遂げた国でした。もっとも新しい市場が資本の過剰をもたらし、もっと新しい市場を欲しがり、恐慌と戦争が繰り返されました。1941年に最終戦争を始め、1945年に破滅を迎えるまで。

 今年区制80年を迎えた灘区の当時は?電化、電力は当時も国策でした。

 1929年に六甲村、西灘村、西郷町が神戸市に編入され10万人余が住んでいました。編入から6年、1935年になって電気局(戦後の交通局)は、阪神電鉄から電力供給権を長い交渉の末、800万円で買い取り、他区より灘区は2〜3割も高い電灯料だった状態が解消されました。


なだ・平和のための木曜行動NO.434
2011年9月1日

389

原発みんなが当事者

 滋賀県の嘉田由紀子知事が8月23日の定例会見で、民主党代表選挙について「賛否両論あるからその問題は触れないということで争点隠しをするのは言い方きついですが卑怯だと思いますね」と明快です。朝日の記者が「エネルギー政策が大きな争点になっていない」と問いかけたことに対して。

 嘉田知事は、福井の原発14基を間近に控える琵琶湖が、放射能で汚染されるようなことがあってはならないと、「卒原発」を唱えています。滋賀県として翌24日に関電などへ安全対策の申し入れをおこない、立地市町村並みの安全協定締結をめざしています。その内容も、「再稼働についても滋賀県に同意の権限を」と、徹底しています。

 原発が建つ市町村だけが当事者ではありません。フクシマは示しました。遠い琵琶湖のことに無関心ではおれません。原発については人類がすべて当事者です。


なだ・平和のための木曜行動NO.433
2011年8月25日

388

赤松先生と鶴彬

 あろうことか私は「川柳のような形をしたもの」を書き、恥知らずにも「井上力のおはよう川柳」と名づけ、これを毎週続けているのです。赤松先生は「川柳かいても恥かくな」とはおっしゃらず、ある日事務所へ一冊の本を届けてくださいました。獄死した鶴彬(つるあきら)の本でした。

 鶴彬は日中戦争を厳しく批判しました。赤松先生の尊敬する川柳作家でした。ことばと心、心と文字は一体だよ。命がけで川柳を作り、詠んだ川柳のために国家に殺された鶴彬を読みなさい、ということだったのでしょう。赤松先生が亡くなられ、鶴彬を読み返してみると、次のような川柳が目に止まりました。凶作つづきの田は鉱毒の泥の海/十年は作れぬ田にされ飢えはじめ

 10年は住めぬと宣告される原発周辺、それとたたかう福島を、日本列島を、先生が詠み、みんなで代筆します。

 お別れの会は27日です。


なだ・平和のための木曜行動NO.432
2011年8月18日

387

文学館と赤松先生

 憲法を生かす会・灘代表委員のお一人で詩人の赤松徳治さんが、13日ご自宅で急性心筋梗塞のため急逝されました。76歳でした。

 赤松さんの家から少し西にある神戸文学館。7月1日に初版が出た『新・日本現代詩文庫89赤松徳治詩集』の「年譜一九九五年」。

 かねてより私は、文学者・芸術家の蔵書・遺品の県外流出・散逸を憂えていたが、大震災の発生はこれに拍車をかけた。急ぎ「神戸文学館の創設と蔵書・遺品の収集」を提言して、微力を注ぐ。(引用終わり)

 ガリ版刷りの同人誌の多くはすでに復元ままならず、収集困難で、赤松さんは急いておられました。5年前ようやく文学館が開き、神戸を代表する作家たちの自筆原稿などが所狭しと並びます。

 急いて急いて。旅立ちまでが。ありがとうございました赤松先生。お別れの会は27日(土)午後7時。六甲勤労市民センターで。


なだ・平和のための木曜行動NO.431
2011年8月11日

386

米相場・米騒動?

 安全な食品を口にしたい、食品添加物、遺伝子組み換え食品、BSE騒動・・・食品の安全を脅かす行政に注文を付けるだけでなく、産地と結んで安全な食品を供給するグループ、生活協同組合、会社・・・。

 40年にわたってそんな活動をしてこられた方から、「(福島・東北のお米は危ない、流通するお米の量が減る、と風聞を煽り、儲けるため)ある大企業が今年の新米を高値で買い付けている。米相場が72年ぶりに東京と大阪で開かれることも、農家と消費者には心配」という話をお聞きしたのは4月でした。

 聞けば民主党政権誕生以来2年、準備してきた米相場だそうです。減反から農家の所得補償制度へ、かっこよく聞こえた民主党のマニフェストでしたが、一方に日本の農政と消費者行政を死滅させ、主食を投機の対象にする米相場が仕組まれていたそうです。

 イギリスの若者の暴動のように日本では米騒動?


なだ・平和のための木曜行動NO.430
2011年8月4日

385

東北へ 生活復興

 「神戸は阪神大震災から驚異的な速さで復興を遂げた」と言われます。ボランティア元年だったとも。私は「生活復興に背を向けた15兆円復興」「空港とスパコン復興」だと思います。

 高速道路の倒壊と長田の大火が阪神大震災と言う人も多く、20ヘクタールの新長田再開発が「立体改造」として東北で再現される愚が始まります。

 民間低家賃住宅が公営住宅の代替機能を担っていたところへの阪神大震災でした。公営住宅を建てすぎたという批判はまったくあたりません。UR(旧公団)は東北で仕事をするにあたって神戸の高層住宅をすべて県と市に買ってもらい資金づくりをすべきだと思います。借り上げ住宅の大家たちも「空室が増える」と契約の延長・変更を求めました。

 もう書店の店頭からはなくなったと思いますが、岩波の『世界』8月号は、「人間の復興を!暮らしの復興を!」でした。


なだ・平和のための木曜行動NO.429
2011年7月28日

384

高校学区再編どこまで

 7会場で737人。兵庫県が普通科高校の学区を現状の16から5へ、14年度から大再編する「説明会」への参加者数です。

 普通科高校を「個性ある高校に」と新学科をつくり、就職もできない、進学はいっそうの序列化・差別化が進んだのみという結果をつくってきたことの反省もなければ、高校生・卒業生の意見を聞くこともなく、まっしぐらです。

 学区が広くなって新設学科の生徒だけでなく、全普通科高校生が、最寄りの高校に行ける可能性を摘みます。複数志願制がとくに神戸第一学区(灘区など神戸市東部と芦屋市)などではその効果が出ないことへの焦りとしか思えません。神戸全域、淡路、芦屋、何と広い学区でしょう。一部高校の有名大進学率を上げるためには、通学費負担増と小規模校の廃校へ。「ここまでやるか」と言わざるを得ません。同じ中学から同じ高校への集団は消えます。


なだ・平和のための木曜行動NO.428
2011年7月21日

383

市も県も当事者

 『東京新聞』5月16日の社説は「弱者に押し付ける傲慢 沖縄米軍基地と原発」でした。

 「負担を押し付ける構図は原発と同じではないか」と基地が沖縄に集中する問題を、原発の立地問題と重ね合わせ、「国会議員や官僚、専門家だけでなく国民全体が当事者意識を持って議論に積極的に参加すべきだ。さもなくば、基地や原発の問題はいつまでたっても解決しない」とし、最後は「トモダチ作戦」が米軍基地の沖縄のなかでのたらい回しという結論に結びつけようとすることには「違和感を覚える」と締めくくっています。

 原発は他人事としてきた自治体、平和問題はヒロシマやナガサキ、そして沖縄の問題だとし、それらは国の問題として議論を遠ざけてきた自治体も、「核」「平和」「原発」が実は一つの問題、「いのち」の問題であることは、もはや否定できません。市・県議会が当事者です。


なだ・平和のための木曜行動NO.427
2011年7月14日

382

原発持たない電力会社

 昨年から今年にかけて沖縄の新聞『琉球新報』を購読していました。1日遅れでも新鮮なニュースが多く、1めんトップの記事が地元の記事の割合は、地方紙のなかでも指折りだと思います。

 かつて電産という労働組合を潰す目的もあり9分割され、製鉄、電機資本と組んで本土の9社は原発へまっしぐらに走りました。沖縄は米軍施政権下で琉球電力公社は、その国策から外れただけでなく、戦場に原発ほど危ないものはないので原発がありません。海兵隊員が帰国する際、エアコン付けっぱなしは思いやり予算だからなど、電力大量消費社会で、離島も多く、燃料は全量、島外からです。

 それでも、いや「だから」沖縄電力は企業の所得番付1位です。00年に電事連に入り、経営計画に原発を盛り込んだのは天下りたち。遠く福島から避難した人もいます。怖いのは台湾北端の原発です。


なだ・平和のための木曜行動NO.426
2011年7月7日

381

大臣が知事を見下す

 「大臣が知事を見下す」というタイトルは3週間前と同じです。

 今回はだれの、どの発言か、被災地はもちろん、九州のB型の人まで敵に廻し、その話題を知らない人はいないほどです。

(数分待たされたという、部屋に入る順序で怒った)今のはオフレコだぞ。書いたら、その(新聞)社はおしまいだから。

ユーチューブでTBSのニュースが百五十万回も再生されました。結局、書かずに終わった新聞は1紙もなく、報道の翌日「おしまい」になったのは大臣でした。

 3週間前、沖縄の知事の発言を「小言」と言い、記者のねつ造だと言った防衛大臣には、後日談があります。名護の市長・稲嶺進さんが5日、官邸などを訪ね「2+2」のV字型滑走路に抗議しました。防衛省では事務方が聞くとし、大臣は会わないという対応。私たちの国の大臣なのでしょうか。


なだ・平和のための木曜行動NO.425
2011年6月16日

380

大臣が知事を見下す

 北沢防衛大臣と仲井真・沖縄県知事との間で次の会話があったそうです。

防衛相「米国でもずっとこのかりゆしで通したの」

知事「そうですね」

防衛相「いつも見ているけどさ、良いの着ているよなぁ」

知事「これ7千円…」

防衛相「小言、小言言われる前に褒めておいて…」

知事「小言じゃありません。県民を代表しての、アレですから。もう、急な申し入れにお時間とっていただいて。・・・」(10日防衛省で。『琉球新報』)

「あたま撮り」という記者がICレコーダーをONにし、カメラを向けた場面です。なぜ人が人をこのように「上から」見下ろすのでしょう。おまけに「小言とは言ってない。新聞記者のねつ造だ」と言っているそうです。

 阪神大震災のときも感じましたが、今度の大震災でも。慣れなれしく。見くだす。これでは隊員たちの遺体捜索の苦労も報われません。


なだ・平和のための木曜行動NO.424
2011年6月9日

379

科学を科学として

 『季刊Plutonium』(原子燃料政策研究会)の今年春号がでません。編集長は後藤茂という元国会議員。

 電話で聞くと、「中旬に」ということでした。まったく反省がない上、コストやウラン枯渇という70年代に明らかになった問題を「乗り越え」ようとしていることに、業界の手厚い庇護があるようです。いずれ「核・被ばくを裁く民衆法定」で被告にしなければなりません。

 電気が売るほどある東電が海水ポンプの電気代を惜しんで、地盤高を低くしたことが津波被害を受ける原因だったそうです。科学否定の商魂。

 科学を科学として扱おうという識者の発信ももちろん続いています。

 ろっこう医療生協の機関紙『健康いちばん』2めんのコラム「四季のカルテ」で前理事長の鳴海妥さん。またネット上に、神戸大学元副学長の浦部法穂先生が、コラムを書いておられます。


なだ・平和のための木曜行動NO.423
2011年6月2日

378

安全、科学と神話(下)

 石橋克彦・神大名誉教授のこれまでの警鐘に、私たちはどれほど謙虚にそのひとこと一言を聴いてきたでしょうか。

 その一つは石橋教授が阪神大震災直後に研究の場を神戸に移され97年に『科学』(岩波書店)に発表された「原発震災―破滅を避けるために」です。

 「経験したことのない長期にわたる放射能の環境への流出」という現実を直視せず、国際原子力機関(IAEA)も菅政権も、これから始まる調査委員会も「地震には勝った」「津波にやられた」と言います。石橋学説を目の敵にして。

 「マグニチュード9」の大地震も巨大津波も、書かれた歴史のなかでは最大規模(968年の貞観津波と同規模らしいが)、しかし、放射性物質の拡散は、千年に一度もあってはならず、ましてやウランの利用はまだ60年です。これでは知恵の菩薩「もんじゅ」も「科学を科学として扱え」と立ち止まっています。


なだ・平和のための木曜行動NO.422
2011年5月26日

377

安全、科学と神話(中)

 25日、さよなら原発神戸ネットワークが兵庫県に若狭湾の原発停止を、と申し入れました。

 関電は保安院からの指示に基づき電源車を備え、ポンプやタンクを屋上などに備えるとし、関西広域連合も要望していることなどが紹介され、6月9日に文書で回答することになりました。

 電源車を何十台も集めてなお、大事故となったフクシマを学ばず、「地震に耐えた。津波にやられた」とする原発復興策です。屋上のタンクは津波を浴びない、しかしその前に地震に耐えるか?実験している場合ではありません。

 これこそまさに、政治家や経営者の言う安全であり、書き直された安全神話です。石橋克彦・神大名誉教授は参議院の委員会で23日、地震列島という「大災害を想定すべき場所で原発の操業をおこなうというのは、暴風雪が予想されている冬山に熟年ツアー登山をするようなもの」と指摘しました。


なだ・平和のための木曜行動NO.421
2011年5月19日

376

安全、科学と神話(上)

 『原子力資料情報室通信443号』に、石橋克彦・神大名誉教授は「列島の全原発閉鎖を」と書いておられます。

 地震で配管が破断・損傷し、冷却剤喪失事故が起きていたという田中三彦氏らの分析を紹介し、地震動の大きさが設計を上回っていた事実を指摘しておられます。

 「安全」についても。

 安全には「制御されている安全」と「本質的安全」がある。例えば旅客機の安全は、超高度に制御されて維持されている。それでも、ときどき大事故が起こる。本質的な安全は、あんな重いものを飛ばさないこと、個人からみれば乗らないことだが、利便性のほかに、事故の犠牲が乗客・乗員と事故現場周辺の人々に限られることから、「制御されている安全」が受け入れられているのだろう。しかし、原発はまったく異なる。・・・地球規模の汚染と未来世代に・・・と。

 世には政治家や経営者の言う安全もあります。


なだ・平和のための木曜行動NO.420
2011年4月28日

375

まちの原子力講座

 格納容器と圧力容器はどちらが外にあるか。市販の圧力鍋にたとえられると一層分からなくなってしまいます。

 理髪店を営むTさんが「お客さんの息子さんが何度もテレビに出てくる東大の先生だったり、またあるお客さんが原子炉や放射能のことについて詳しくって、シーベルトにマイクロシーベルト、あ、あいだにミリシーベルト、ヨウ素やストロンチウム。話題についていくのが大変です」とおっしゃっています。

 冒頭の件で言えば、水を入れて沸騰させているのは圧力容器で、その圧力容器を格納するのが格納容器、だから格納容器を水浸しにして「水棺」だというのは本来、設計されたことではない、これこそ想定外で辞書にもない。

 床屋政談ならぬ床屋原子力講座が頻繁だそうです。「日本が原発をやめたら他の国の原子炉の安全チェックが不可能になる」とのたまう評論家、いちどまちの散髪屋へ行ってみれば?


なだ・平和のための木曜行動NO.419
2011年4月21日

374

廊下を走れ

 若狭湾には関電の原発が11基。敦賀にはあの「もんじゅ」も。そこは福井県。

 「過酷事故」で琵琶湖の水が汚染されることはないのでしょうか。東日本大震災で東京の水が摂取禁止となり、関西でもペットボトルの水が店頭から消えたことは、忘れた方がよいのでしょうか。神戸市民の使う水の四分の三は淀川からで、灘区では蛇口をひねると琵琶湖の水です。原発からの距離も100キロ、チェルノブイリのホットポイントより、はるかに近いのです。

 「ただちに健康を害することはありません」が、学校では運動場を使わず子どもは廊下を走ることが奨励されています。公教育の長い歴史のなかで、いや子どもの頃を振り返れば廊下を走って注意されたことはあっても、わずか13校とは言え、こんなことは初めてです。

 来週の火曜4月26日はチェルノブイリから25年です。


なだ・平和のための木曜行動NO.418
2011年4月14日

373

いのちを守れ

 東日本大震災1か月にあたっての菅首相の記者会見は、ひどいものでした。

 地位を守ることを「いのちを守る」ことより優先させています。原発事故の深刻さを示す国際評価尺度(INES)を、役所が「7」に変更したのを待っての記者会見でした。

 その瞬間も津波警報が出るたびに待避を重ね余震のなか、作業にあたっている現場で「いのちが削られている」人々には目もくれず、原発はクリーンだと語りました。

 「事態の収束計画をちかぢか東電に説明させる」とも言いました。「原発に強いオレ」とて分かっているとも思えません。モグラ叩きのように、まだ問題は噴出し続けています。東電の現場関係者にさえ収束計画と今の作業の役割は、伝わっていません。「私の友人の夫は、異動通知で東電福島へ向かいました。新婚の彼女も親兄弟も、とても心配しています」と大阪淀川区に住むM・Iさん。


なだ・平和のための木曜行動NO.417
2011年3月31日

372

想定外のひと言

 75年に故・高木仁三郎氏がつくった原子力資料情報室が07年9月に発行した『地震大国に原発はごめんだ』vol2に、次のようなことが書かれています。

 ・・・原子炉の停止ができても、燃料は崩壊熱を発し続けるため、冷却しつづけなければなりません。冷却に失敗すれば原子炉の空だき状態から燃料の溶融破損をまねき、環境中への放射能放出が起こるでしょう。・・・ポンプの動力が得られなくて起動できない、などの事態が十分考えられるからです・・・原発敷地内には何基もの原子炉を運転しているほかに、使用済み燃料が大量(数千トン)に貯蔵され・・・

 このように「想定外」だったのは東電や政府であって、警鐘を乱打してきた市民団体は、きわめて具体的に「想定」していました。

 東電会長の「心からのおわび」(30日)には「最大限の設計をしたつもり」という国民の想定外のひと言がついていました。


なだ・平和のための木曜行動NO.416
2011年3月24日

371

わかりやすい解説

 原子力資料情報室(CNIC)が3月15日から3回「メッセージ」をだしました。18日には「政府への申し入れ」を行いました。

 いずれも、市民に避難することを勧め、政府には事態の悪化を最小限に抑えるため、最大限の努力を求め、放射能測定値の公開を求め、避難区域の設定根拠などを問うものです。

 同室は、ユーストリームUstream.tvに記者会見をアップしています。

 12日の記者会見では放射性物質の流出が始まっていることや非常用電源・外部電源がすべて失われていること、冷却する術が「ない」こと、危機的な状況でありながら格納容器の破壊には至っていないこと、避難指示の範囲を広げなければならないことなどが説明されています。

 放射能の飛散と引き換えに、大量の放水・注水によって格納容器を守ったその後の政府の行為について解説されています。


10日と17日は「なだ・平和のための木曜行動」で、『週刊新社会号外』をくばりました


なだ・平和のための木曜行動NO.415
2011年3月3日

370

だれを思いやる?

 きのうの『琉球新報』は、と言っても神戸で実物を見るのは、きょうですが、電子版で「思いやり予算で外国人雇用、50人に」と伝えました。沖縄防衛局に取材し、初めてその実態が明らかに。フィリピン人が07年度24人から09年度28人など。

 「基地従業員の給与は日米地位協定で米軍が支払うこととされているが、日米の特別協定で日本側の負担が続いている」

 「思いやり予算」。米軍住宅の冷暖房費まで日本の税金で払う必要があるのか、しかも海兵隊員が休暇で本国に帰っている間も、エアコンつけっぱなしが公認されています。民主党政権はエアコンを人の気配がないときは止める新型にして「思いやり」ます。

 「基地で働くのは沖縄県民。かれらを思いやるのだ」言い逃れは、また真相を一つ明らかにしました。米軍が雇う外国人を思いやるほど、菅内閣にはカネも心も、ゆとりがある。


なだ・平和のための木曜行動NO.414
2011年2月24日

369

神戸空港と奨学金

 『日刊ゲンダイ』のWEB版、ゲンダイネットが次のようなことを書きました。NHKの日曜討論で、財務官僚たちが無利子・非課税国債の発行について「そんなものを出したら日本の財政は大変だと海外に思われる。いま国債は安定的に償還されている」「大丈夫」と言ったと。国民新党の亀井亜紀子参院議員が「国は消費税増税ありき。ためにする財政難のキャンペーン」と憤っています。

 ところで1月末、神戸市は神戸空港の借換債の利率を発表しました。2年続けて200億円ずつ市債を発行し、資金不足の一時しのぎをするものです。空港島の用地売却が「造成中にもどんどん」進んで、そのカネで造成費は返済できることになっていた、あの借金の返済のための借金です。利率は11月に25億円を1・03%で、12月に95億円を0・503%で。まるで無利子国債、これは利息付奨学金より低利。中小企業にこそ借り換え認めろ。


なだ・平和のための木曜行動NO.413
2011年2月17日

368

遅れている東京

 「在日米軍は抑止力」とは方便だった。──その発言は、1月末と2月上旬、2度にわたって計3時間、沖縄2紙の共同インタビューとして衆議院議員会館で行われた際に記録されたそうです。

 『琉球新報』と『沖縄タイムス』が1めんで報じたのは13日。3千字以上にわたって、鳩山首相が記者の問いに答えたことを地元紙は詳報しています。日曜日は夕刊がなく、月曜日は休刊日。社説も沖縄2紙が14日に書き、本土の新聞は16日でした。

 裏付け取材に前首相が応じなかったことや、東京で発言に対する反応が出始めたこと、前首相の前言撤回かのようなコメントがでたこと、これらが本土でいっせいに遅れて報じられた原因ではあるでしょう。

 東京での前首相の発言が沖縄に遅れること2日。「戦争を米軍が止めている」か否か。これに沖縄は答えました。こんどは東京が答える番です。


なだ・平和のための木曜行動NO.412
2011年2月10日

367

反省なき変節

 市民が解散・即日解職に圧倒的多数(賛成69万、反対25万)の意思を示した名古屋の住民投票を受けて、最大会派の民主党名古屋市会議員団が、「議員報酬半減(年額800万円へ)条例」に賛成することを決めたそうです。

 解職・解散賛成7割超という結果の前に、「前市議団」が「変節」しました。

 実はリコール運動が8月に始まり、9月に月額99万円から「半年間だけ79万円(年額1200万円)」にした後、公明党と共産党は「半減賛成」へと先に「変節」していたのです。

 昨年3月の議会基本条例は「本市の財政規模・・・等を考慮」としており、「本市の財政規模」は1年で半減していませんから「変節」です。

 名古屋市議団だけでなく、各党は地方議会のあり方について今回の結果から学んでほしいものです。名古屋市会だけでなく全国の地方議員が今回の結果から学ぶものは多いのです。


なだ・平和のための木曜行動NO.411
2011年2月3日

366

失業に鳥フル・噴火・花粉症

 「怖いもの。地震、雷、火事親父」風に言えば「失業に鳥フル、噴火、花粉症」

 花粉症は自動車公害だと言われたりもしますが、何と言っても大もとの原因は花粉が大量に飛散することです。山林が荒廃していることに、最大の原因があります。

 林野の荒廃は、一昨年の兵庫県西・北部水害の大きな原因の一つだとも考えられています。風倒木が川をせき止め、あるいは家屋を直撃しました。もちろん時間雨量も記録的だったし、避難誘導にも問題はありましたが。間伐したままで木々の間に残された倒木も原因になりました。

 TPP(環太平洋経済連携)への参加を急ぐ菅内閣は、電機や自動車などの輸出と農業が受ける打撃を計算して、まさに拙速に対応しようとしています。

 安価な木材の輸入によって衰退した林業と水害のことや、花粉症のことは、考慮されていません。


なだ・平和のための木曜行動NO.410
2011年1月27日

365

労働者並みの賃金で

 「議員報酬については、地方自治法の趣旨を踏まえ、本市の財政規模、事務の範囲、議員活動に専念できる制度的な保障、公選としての職務や責任等を考慮し、別に条例で定める」

 いま市会解散の住民投票が行われている名古屋で(投票は知事選、市長選と同じ2月6日)、昨年3月に可決された議会基本条例の、歳費(議員報酬)についてのくだりです。

 これでは「歳費は下げない」と市民に宣言したに等しく、市民は市会批判、市議批判の声を強めました。秋には任期中、月額20万円引き下げを全会一致で決めたものの、市長主導の市民運動がどんどん勢いを増しました。

 議員定数は人口に比例するのは当然です。しかし歳費は財政規模(人口)と比例する必要は、まったくありません。「労働者並みの賃金で働く代議員」(140年前のパリコミューン)が新社会党の理想です。


なだ・平和のための木曜行動NO.409
2011年1月20日

364

明細が怖い

 子ども手当を受け取っている何人かの若い夫婦に聞いてみました。「中学卒業までよりも、高校あるいは大学や専門学校にあがれば、保護者の負担はケタ違いに増えます。貯金をしておいてあげた方がいいですよ」「25日の明細が恐ろしいけど、扶養控除がなくなって、手取りが減るのに、貯金なんて」。

 でもね、子どもが大きくなって進学するとき、貯金はないって言ったら、「僕の子ども手当はどこへ消えたの?」って聞かれるよ。「オヤジ、あんたが飲んでるその焼酎やビール、オカンの服も、子ども手当なんでしょう?どうして貯金してくれなかったの」・・・

 若い夫婦は言います。「収入の多い人は子ども手当を丸まる預貯金に廻せる人もいるけど、僕らは無理。それに政府も『これは景気浮揚策、すぐ使ってもらいたい』って言ってるよ。3Dテレビにスマートフォン・・・7月までにテレビ買うだけでも大変」


なだ・平和のための木曜行動NO.408
2011年1月13日

363

健忘症内閣

 仙谷由人官房長官が他と入れ替わることで、菅内閣はますます主体性を発揮できなくなるそうです。しかし、もともと主体性ってあったのでしょうか。

 一昨年の総選挙で政権交代を実現した際のマニフェストを「変更する」と岡田幹事長が明言。民主党が未だ持っていない党綱領とは異なり、マニフェストは国民との約束だとされてきたはずです。そのマニフェストを仙谷官房長官は「のんきな構想でつくった」と言い放って(昨年6月18日)います。

 「のんきな構想」であっても、子ども手当をはじめとする施策に国民は期待を寄せ、衆議院の三分の二に近づく多数を占めたから、政権があります。忘れてはいけないもっとも大事なものを、菅政権は忘れようとしています。

 電話のやり取りを「健忘症」と言ってはぐらかしたのは官房長官でしたが、長官去れど、いまや内閣そのものが健忘症。


なだ・平和のための木曜行動NO.407
2011年1月6日

362

首相は維新の勉強を

 それにしても悪夢、初夢だけでも良い夢を見たい。

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定=労働力移動の自由化を含めた多国間経済連携協定)に参加することを、消費税と一緒に6月に決めると菅首相が国民に最悪のお年玉。

 農業団体は抗議の意思を鮮明にしています。対して貿易で儲かれば「おこぼれをくれてやるから心配するな」。農業者はこれほど少なくなっても全人口を食わせて余る米など大量の農産物をつくっています。「おこぼれ」とはひどい。国土の荒廃、あの戦争よりむごいことになる。

 農業団体以上に心配の声、反対の声を上げなければいけないのは労働団体です。農業者と同様に「バカにするな」と声を上げなければいけないのは労働者(勤め人)。

 「平成の開国」も勉強不足。そもそも維新は不徹底な市民革命(武士の支配の終わり)で、鎖国か開国かの争いは、きっかけに過ぎませんでした。


なだ・平和のための木曜行動NO.406
2010年12月16日

361

資産・試算じゅうに

 「四分六にしとこか」とだれかが言ったのかどうか。

 関西空港1.3兆円の負債をどう「上下分離」するか、いや資産査定を厳格に行い、その試算に基づいて債務返済の責任割合を決めるのが本来です。なのに「シサン」と聞いて、なぜか「しさんじゅうに」と計算し(かけ算は正しい)、さらに答えを「1」と「2」に解体して読んでしまいました。「くにまじり」さんと「じもと」さんの会話です。

くにまじり「1対2ではどうでっか」(2代続いて関西人の大臣です)
じもと「ちょっとキツイでんなあ」
くにまじり「ほな四分六でいきましょや」

 まさかと思いますが。関空会社発足以来そしてこの国では、ずっと丼勘定。

「元気な日本を取り戻す成長戦略」は、伊丹をくっつけて売り飛ばす関西空港の解体販売計画です。

 兵庫県や神戸市の出資金も無利子貸付も、離陸のみで着陸しません。


なだ・平和のための木曜行動NO.405
2010年12月9日

360

ゆがむ専管事項論

 「外交・防衛は国の専管事項」なんて言ってたらとても沖縄の市町村長は務まりません。沖縄知事選の3候補者は全員が基地問題を公約に掲げました。

 「関空は方針が決まったので、申し訳ないが基地を受け入れるわけにはいかなくなった。見通しの立たない海上空港は神戸だ。(仲井真沖縄県知事は)神戸を見て」と橋下知事が言ったことに、なお「外交防衛は国の専管事項」と言った市長がいます。

 翌日は日米共同声明の5月27日、鳩山首相(当時)は全国知事会に乗り込んで、基地や訓練の受け入れを申し出る知事をさがしました。4割の16人もが欠席しました。「(知事や)国民が聞く耳を持たなくなった」と辞めましたが、受け入れ先探しは今も続いています。

 「専管事項」論の真意は「県・市町と市民に国防の義務なし」です。憲法を国に守らせるのが市長と市民の仕事です。


なだ・平和のための木曜行動NO.404
2010年12月2日

359

アフガンへの軍医派遣

 防衛相が医官・看護官10人をアフガニスタンに派遣するための布石をどんどん打っています。法整備の必要性と言ったかと思えば、APECの際に約束を交わしてしまい、「最高指揮官」たる首相の指示ではなく防衛相の指示で海外派遣してしまうそうです。

 カブールへ「西元徹也防衛大臣補佐官(74歳)をトップとする調査団」を出してしまいました。民主党の自民党化が嵩じて、用語を旧日本軍のものに復古させる暴挙が密かに計画されたそうですが、医官はさしずめ軍医。自衛隊は軍医の早期退職で隊内の軍医不足が深刻だそうです。

 少ない軍医の体力や人物、識見は大丈夫か。多様な言語のISAF(有志連合、米とNATO軍)の若者たちと言葉は通じるのか。中村哲さんの意見を事前に聞いたか。何より、除隊後の心の病が深刻だと言われます。軍医のそれが心配です。


なだ・平和のための木曜行動NO.403
2010年11月25日

358

指名解雇やめろ(下)

 いま「座して死を待つより反撃に転じ」るべきは、労働者です。

 とりわけ日航や全日空に働く人々。一足も二足も先に航空業界は自由化。日米航空自由化(オープンスカイ)協定(正式締結は今年10月25日)は「空のビッグバン」とも呼ばれてきました。格安航空会社を全日空が準備し、日航にもそれを迫っているのが政権です。

 パイロットや客室乗務員、地上職労働者の賃金、着陸料、航空燃料の価格、航空機のリース料または減価償却費・・・チケットの販売経費にいたるまで、両社とも値下げ交渉に熱心です。賃金値下げ交渉の決め手は解雇です。

 日航は特定の労働者に対して「ブランク(白紙の)スケジュール」を渡して「希望退職を強要」したうえ、指名解雇(管財人らは整理解雇と表現)を決断しました。おまけにスト権投票にも介入。座して死を待て、と迫っています。


なだ・平和のための木曜行動NO.402
2010年11月18日

357

指名解雇やめろ(上)

 「座して死を待つより起って反撃に転じよう」とは、40年前、国労本部がマル生反対闘争に臨んで委員長が呼びかけた名句でした。

 最近、場違いにこの句が使われました。TPP(環太平洋パートナーシップ協定=ETAのブロック版)にどう対応するか協議した閣議の様子を、仙谷官房長官が「座して死を待つより打って出て競争力を」と言ったそうです。

 今、日本の農業者を「座して死を待つ」とたとえるのはいかがなものでしょうか。田畑を耕し、高齢になっても働き続けて全人口の食用に余る米の生産を担っている人々が「座して」いる、「死を待っているだけだ」とは。

 菅内閣はその出自をサラリーマンの息子たちであることを自負していたはずです。当時のサラリーマンは子どもに「お米は一粒たりとも粗末にしてはいけない。お百姓さんがエライ目をしてつくってくれたひと粒一粒だよ」とさとしたはずなのに。


なだ・平和のための木曜行動NO.401
2010年11月11日

356

大企業の悩み

 スカイマークが日航、全日空につぐ3番目の国際定期便航空業者への出発を宣言しました。

 同社は、神戸空港への就航に真っ先に名乗りを上げました。1日30便の枠を外してほしい、つまり規制がなければ就航便は天井知らずだと言い続ける神戸市の要請を受け、日航撤退後、その穴を埋めてきた会社です。

 8月には神戸市長が定例会見で「スカイマークさんの便の張り方は非常に意義がある」と手放しでした。12月、神戸市の「フライト情報」に初めて「一番機」の位置を占めることができました。11月のそれには一番早くに離陸するスカイ便が10分後に離陸予定のANA便より下に書かれていたのに。

 さて最大800人乗りのエアバス社製A380の購入計画を発表した際、スカイの西久保社長は為替リスクに言及したそうです。日航破たんの一因となった為替差損は、規制撤廃論者にとって一番怖いもののようです。


なだ・平和のための木曜行動NO.400
2010年11月4日

355

応援禁止令

 民主党の岡田幹事長が11日から始まる沖縄県知事選挙について、同党国会議員はだれも応援するなと命じたようです。「反した場合は処分する」とも。

 同党の川内博史衆議院議員(鹿児島一区)はツイッターに「党常任幹事会で岡田幹事長発言。『党所属県外議員の沖縄県知事選挙応援禁止。応援とは、沖縄に行って特定候補の支持を訴えること。』県民には理解してもらえないだろう」と書き込み、常任幹事会で異議を唱えたと公表しています。

 民主党は参院選の沖縄選挙区に続いて知事選挙でも推薦が決められず、自公政権の「辺野古に新基地をつくって米軍に提供」に固執しています。

 岡田幹事長は鳩山内閣では外相でした。米政府や北沢防衛相とのコラボが5月の日米共同声明へ。今回の件は党内への指示ですが、一連の経過を考えると「沖縄は現職に勝ってほしい」という本音むきだし。


なだ・平和のための木曜行動NO.399
2010年10月28日

354

政治家の背任

 日本航空の破たんは満鉄倒産以来の規模で、1万6千人という戦後最大の首切りが計画され、ついに紛う方なき指名解雇が進行中です。

 90年代の日米貿易摩擦、日本の労働者が高い技術でよく働き、ついにアメリカへの輸出で儲けて世界一。是正するための取り決めが日米構造協議でした。日航はボーイング社から747ジャンボ機を113機買って、保有数世界一。操縦士が足りないからとアメリカに学校まで造った。ドル先物を買って差損が2千億円。地方空港乱造が赤字を増やしたのも、間違いなく政治の犯罪。

 朝日新聞が10月27日に報じた日航和歌山寮の土地購入では、政治家が直接、日航に損害を与えた一文字間違ってましたといいます。日航だけでなく、関空をはじめあらゆる埋め立て、あらゆる公共事業で、政治家が会社と国・自治体に損害を与えたのではないかと、疑いは強まるばかりです。


なだ・平和のための木曜行動NO.398
2010年10月21日

353

病院の患者情報室

 Yさんは肺がんの闘病1年半です。「人生に悔いはない。ええ人生やった」と。「S病院開院以来もっとも元気ながん患者」と主治医が言っているそうで、仕事こそ休んでいますが、発病以前と同様、元気いっぱいです。

 先週、『私のがん患者術』(岩波ブックレット569)の井上平三さん('02年4月没)のご家族とお会いする機会がありました。遺言の「病院に患者情報室」を実現されたご家族です。国立病院機構・大阪医療センターの患者情報室は、NPOによって運営されており、患者交流会やセミナーなども行われているそうです。

 ネットで「病院図書室」を列記したサイトが目に止まりました。これらは、入院患者がくつろぐため、あるいは時間を過ごすための「本の置いてある部屋」ではありません。大阪医療センターの患者情報室の充実は一番のようです。


なだ・平和のための木曜行動NO.397
2010年10月14日

352

なぜ職権濫用でないのか

 大阪地検の主任検事によるフロッピーディスク書き換え事件は、前田元検事の起訴という局面を迎えました。不思議なのはこの罪状が「証拠隠滅」であることです。刑法第104条(証拠隠滅等)他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

 なぜ証拠隠滅なのか、なぜ職権濫用ではないのか、不思議で仕方ありません。

 また、市議会招集権限を持つ市長が市議会を招集せずにどんどん専決処分でことを運んでしまった阿久根市でも、市長は職権濫用罪で被疑者となることはありませんでした。

 公務員の責務・使命について、その時代時代の人々が共有する認識(本来の意味のイデオロギー)が劣化しているように思えます。憲法と法体系の間に重大なズレが生じています。


なだ・平和のための木曜行動NO.396
2010年10月7日

351

だれとだれが互恵関係?

 兵庫県議会が、尖閣列島で巡視船が漁船に衝突された事件の処理について「冷静に」「互恵関係を」という決議を採択しました。一県民としては「互恵」=互いに便宜=の事実を並べてみます。冷静に。

 田母神俊雄・元航空幕僚長が呼びかけてデモをしたのに大新聞が報じなかった、と怒り。いわく「中国は沖縄を占領しようとしている」。すると米軍と沖縄は互恵関係か?

 尖閣諸島の主要な3つの島(魚釣島・南小島・北小島)は民有地で、所有者に内閣官房が毎年2450万円の借地料を払っている。そうなったのは8年前の4月。だれとだれが「互恵関係」か?

 いまだに拘束されている高橋さんらの会社、フジタは日本人が働いている会社だけど、親会社はゴールドマンサックス、言わば「世界系」企業。一方、東証一部上場企業の6割が中国に拠点を置き、「日系」進出企業数は2万5千余社。


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