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ここにはNO.101(チラシは137号2004年10月14日)から
NO.120(チラシは156号2005年3月10日)までをまとめました
NO.121からNO.150までを'06年5月17日に移しました

なだ・平和のための木曜行動NO.186
2005年12月22日

150

神戸市は赤字を育てている

 神戸空港開港が近づくにつれ、「市税投入問題」で何度も役所が記者会見を開いています。

 もともと空港を造れば雇用が増え市民所得を10%押し上げるという触れ込みでした。空港特別会計が赤字という説明はありません。

 98年の住民投票運動の際、推進派の議員が「空港に市税使わず」という決議をしたのでした。

 ところが開港を控え、「狸が捕れない」ことがはっきりしてきました。ターミナルビルは土地を借り、乗客確保のために駐車場を無料にし、航空会社の要求どおり着陸料を値下げしたのです。そうしなければ「空港は失敗に終わる」というのです。

 別会計で空港島造成の臨海都市整備会計はこの数百倍の赤字が必至です。90f売却する予定だったのに売れたのは0.3fだけ。

 これについて神戸市は「小さく産んで大きく育てる」と言っています。大きく育つのは赤字です。


なだ・平和のための木曜行動NO.185
2005年12月15日

149

「安全」に全力を

 「いのちの重さをどう考えているのか」。テレビに釘づけになって、構造計算偽造問題の証人喚問を見た人の感想です。ブログを材料に質問して事態の真相に接近することができるのだろうか。設計コンサルタントからの発信が少ないのはどうしてだろう。この満月に大地震が起きない保障はないのに。検証すべきはテレビに映っている人だけでいいんだろうか・・・。

 新社会党に寄せられた相談のなかには、この問題がおもてに出る直前に仮契約を結んだ市内で建築中のマンション購入者もいました。大手住宅販売会社は一斉点検中と売り出し、要領よくホームページに「姉歯建築士との取引はありません」と宣伝材料にする会社も現れました。川崎ではボーナス設計制度で所有者「救済」という「名案」が出たといいます。

 「神戸市長は住宅販売会社に呼びかけては?」という質問に「あとで」という回答。情けない。


なだ・平和のための木曜行動NO.184
2005年12月8日

148

設計士からの便り

 ある設計士から次のようなお手紙をいただきました。「今回の構造計算偽造事件は、大変な社会問題を引きおこし、また社会不安を生みだしてしまいました。同業者としてまったく許すことはできません。また一因には審査機関の許されざるチェックの甘さ、怠慢も大いにあると思います。実情から言えば、今回だけがチェックが甘かった訳ではありません。正直に言って、甘い担当者にあたった時は「ラッキー」と思ったことがあることを告白します。・・・中略・・・

 ○○に関してはまったく心配はありませんでした。震災後あの仮設庁舎における神戸市の構造審査が充分になされていたかは私としても疑問でした。○○住民の皆様が不安を感じられたとしても無理もありません。今回の事件を機に再度チェックをしてみましたが、改めて私の責任において保証いたしますことを○○の皆様にお伝えください。」


なだ・平和のための木曜行動NO.183
2005年12月1日

147

あらゆる民営化をチェックしよう

 構造計算の偽造問題は、衆議院での参考人招致のすさまじい映像で、ことの重大さを改めて示しました。

 とくに住宅販売会社が激しく論じた責任転嫁は、凄まじいスピードで進んだ民営化の弊害と、法令遵守(コンプライアンス)は大事だがモラルはすでに崩壊しているという重大な事実を満天下にさらしました。

 自動車の車検は民営ですがリコール制度で「補完」され、最後は運転者の自己責任です。住宅建設も同じだというのが「改革」の理由でした。高額の負担を伴う住宅性能表示で消費者保護は完璧だと。住宅の「住」の字は今や金ヘンに変わるのでしょうか。

 「改革」のきっかけは震災だったと言います。阪神淡路大震災の教訓がいつから「民間にできることは民間に」となってしまったのでしょう。ありとあらゆる民営化について、被災都市神戸の市民であるがゆえのチェックが必要です。


なだ・平和のための木曜行動NO.182
2005年11月24日

146

決算から見える暮らしの危機

 神戸市の昨年度決算の大きな特徴は法人市民税収が大きく伸び、個人市民税収は大きく落ち込んだことです。

 法人税の伸びは14の政令都市のなかで北九州(21・7%)に次いで第2位(15・6%)です。中国経済の活況で造船・鉄鋼が好調で、巨大企業の多角経営効果あるいはリストラ効果とも言えます。

 一方、税額の大きい個人市民税は政令都市のなかで悪い方から2番目のマイナス4・2%です。人口が増えたのに個人市民税収は落ち込み続けています。老年控除の廃止や定率減税の縮減などで今後の動向は不明ですが、仮に個人市民税収が上がるとすれば「カラのタオルを絞って」手にする収入です。

 財政力指数は0・645まで下がりました。県内の市で悪い方から6番目です。2期目の矢田市政は「豊かさを実感できるまち」を標榜しますが、しなければならないことは鮮明です。市民生活の危機克服です。


なだ・平和のための木曜行動NO.181
2005年11月17日

145

介護保険1万円天引き時代

 14日神戸市保健福祉局は、来年から始まる3年間の介護保険第3期計画の試算結果を発表しました。

 介護の総給付額(3か年合計)は2,500億円〜2,700億円台、第1号被保険者(65歳以上)の保険料基準月額は4,600円〜4,900円台(現行3,445円)となる、などというものです。

 保険料の段階をどうするかで、ずいぶん数字は動きますが、とても恐ろしい数字が並んでいます。高齢者は2か月に1回受け取る年金から約1万円天引きされるのが普通、という時代を迎えます。

 思い起こすのは「公共の福祉」を否定し、「公益および公の秩序」と書き換えようとする自民党改憲案です。高齢者の暮らしがギリギリです。「公共の福祉」も背水の陣です。

 介護保険計画の骨子について、神戸市は11月28日から市民意見(パブリックコメント)を受け付けるそうです。


なだ・平和のための木曜行動NO.180
2005年11月10日

144

「官官戦争」の限界打開を

 生活保護の国庫負担を減らす「改革」をめぐって、全国市長会などが、反発を強めています。

 厚生労働省が言う改革は「地方の意見を一切無視し」「国自らの責任を放棄」する「単なる地方への負担転嫁に過ぎない提案」であり、固執するなら生活保護事務を国に返上せざるを得ないし、すでに始めている国への毎月の報告中止に加えて、引き継ぎのための具体的作業にとりかかる、としています。

 「国自らの責任」とは憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障する「国の責務」を指しています。「三位一体の改革」は、自民党改憲案が「公共の福祉」を「公益」や「公の秩序」に書き換え、生活権の保障から手を引こうとしていることと符合します。

 官と官の対立に終わらせず憲法12条が言う「国民の不断の努力によってこれを保持」するよう、自治体は呼びかけるべきです。


なだ・平和のための木曜行動NO.179
2005年10月27日

143

保育所民営化の中止を!

 保育所事情は一向に改善されず、1歳、0歳を中心に申し込んでも入れない状態が続いています。小泉政権は「待機児童ゼロ作戦」と銘打って「儲かる保育園」に資本を誘導しています。神戸市では、にもかかわらず公立保育所の民営化をすすめています。市長選挙でも争点の一つになったところです。公立・私立を問わず保育所増設こそが必要です。

 ところが、市内で初めて4年前に東灘区に誕生した株式会社が経営する保育園が、来年3月で廃園することになりました。「ウィシュ神戸」の「すくすく保育園」では市の監査・指導課の再三の指摘にもかかわらず、前日に調理した食事を子どもにだしたり、補助金・助成金が外車購入などに流用されていました。不当労働行為で会社が敗訴するなど、雇用も無茶苦茶でした。

 保育所民営化を一時中断して総点検をするべきではないでしょうか。


なだ・平和のための木曜行動NO.178
2005年9月29日

142

見えた!民営化の本質

 「だれかが改革をやってくれたら、私は肩の荷が下りて、平穏な生活に戻れる。しかしながら、・・・」とブログ(http://blog.livedoor.jp/matsumura39/)で述べているのですから、彼が立候補するという噂は本当なのでしょう。

 総選挙期間中、テレビは「官に立ち向かう」一人の男を間断なく映しました。「郵政民営化」「官から民へ」・・・自民党大勝の結果を見て自らを小泉首相と二重写しにする人物が登場しても不思議ではありません。

 冒頭に紹介した人物が経営する会社に神戸市がたくさんの仕事を発注してきました。「民間活力」「不況対策」「ベンチャー育成」と銘打って。受注した方は「公務員でなくてもできる仕事ばかりじゃないか」と考え、ついに「公務員は要らない」と主張し始めました。市長選挙に臨む本音は「だれかがやってくれたら」ではなく「もっとわが社に発注を」のようです。


なだ・平和のための木曜行動NO.177
2005年9月22日

141

破たんする介護保険

 介護保険が案の定、高齢者排除の坂道を転がり始めました。

 10月1日から特養や老健に入所している人の食費や居住費を徴収することを市会は20日、承認しました。「在宅で暮らす高齢者は食費も居住費も自分持ちなのに不公平だ」と言うのですが、介護保険が財政的にパンク寸前だという事情が、まず最大の理由です。

 神戸市営の老健で最大13.5万円、特養で10.3万円、上げ幅はそれぞれ最大7.4万円と4.7万円、減免制度があるとはいえ、この改定が理由で退去・退院しなければならない人がでることを、神戸市は否定していません。減価償却費を入所者は理解しにくく、病人食を行政は理解しないのですから、とんでもないすれ違いです。

 有料老人ホームとどう違うのか。税金や保険料はどこに使われるのか。利用者の会や家族会の本格的なチェックが必要です。


なだ・平和のための木曜行動NO.176
2005年9月15日

140

拝啓 コイズミ総理大臣

 「見事な解散、そして見事な勝利おめでとう」というお祝いのメッセージがブッシュ大統領からも届いたそうですね。

 僕の廻りで今度の選挙について語っていることをお伝えします。

 父は応援した原和美さんが善戦したことを喜んでいます。母は僕の子どもたちが徴兵される時代になりそうと本気で心配しています。妹は「この国にがっかりした。英語を勉強して海外で暮らしたい」などと言いました。会社の友人は、終電車まで働く状態を変えるためには、総理大臣より社長を代えなければ、と言います。気になるのは祖母の発言です。

 「私が総理大臣の間は消費税を上げないし、憲法を変えない」と言った小泉への国民の答えとしては満点。生きている間と言わず、百年でも二百年でも総理大臣を続ければええんや、と。海で薪を拾って風呂を沸かした頃の方がはりあいがあった。はりあいのない時代になった、と。


なだ・平和のための木曜行動NO.175
2005年8月18日

139

エノラ・ゲイと神戸空襲

 広島に原爆を投下したB29「エノラ・ゲイ」が神戸製鋼所に長崎型原爆の模擬爆弾を投下していたという記事を、昨年7月24日『神戸新聞』が掲載しました。愛知県の市民団体「春日井の戦争を記録する会」が、模擬爆弾による犠牲者名簿を集める過程で「エノラ・ゲイ神戸に」が明らかになったと。

 戦後60年。「神戸空襲を記録する会」は、記録も記憶も曖昧にしてしまいかねない神戸市の態度に業を煮やして、神戸空襲で亡くなった人の名簿づくりにとりくんでいます。

 きのうから神戸市教育会館で始まった「神戸空襲パネル展」でも、その受付が行われています。また、最終日の20日には、神戸空襲の体験者でもある評論家の内橋克人さんを迎えて講演会も行われます。未来のために戦争の世紀をしっかり記録しておこうと、神戸だけでなく各地で市民団体や自治体が、地道な活動を続けています。


なだ・平和のための木曜行動NO.174
2005年8月11日

138

ガリレオと小泉首相

 小泉首相の談話にガリレオ・ガリレイが登場したのには、驚きました。科学的真理は宗教や政治に屈服しないとする逸話として、ガリレオ裁判は、4年前に彼が国民を煙に巻いた「米百俵」より、ポピュラーなテーマではありました。

 「それでも郵政民営化は正しい」か。「それでも朝から晩まで真っ黒になって郵便物を配っている労働者をいじめたい」か。「それでも350兆円を外資に委ねなければならない」か。「それでも安全な預貯金よりハイリスク・ハイリターン」か。

 何より、小泉首相は裁かれる側には立っておらず、彼は権力者です。裁かれたガリレオとは正反対に、弱い者イジメを4年余り続けてきました。

 ガリレオは同じ高さからなら、異なる質量の物体が落下する速度は同じであることを発見しました。民営化という同じ主張のいくつかのグループは、名前は異なっても弱い者イジメの速度は同じです。


なだ・平和のための木曜行動NO.173
2005年8月4日

137

男も子育てを考えよう

 保育所民営化は新しい段階です。31日に3保育所で法人に対する説明会が開かれました。本山北町保育所の移管を受けたいとする法人は29、中原には13法人、鈴蘭台北町には11法人が関心を示しました。

 次は法人が保育方針を説明し、選定委員が「採点」して移管先が決められることになっています。名乗りを上げたなかには認可外施設で流行の「ライブカメラでお子さんの様子がご覧になれる」ことを売り込んでいる法人もあります。また「ここは、この法人」といううわさどおりの法人も名を連ねています。

 保護者会の中心は若い母親です。一方、役所の子育て支援部も名乗りをあげた法人も、市会の委員会も、男性が目立ちます。中原保護者会が提唱する運営委員会は法人、保育士、保護者の構成で女性が多くなりそうです。男はだめとは言いません。子どものことを第一に考え動く仕組みが大切です。


なだ・平和のための木曜行動NO.172
2005年7月28日

136

保育所自営の試み

 中原など3保育所の民営化(民間移管)問題は、7月31日に神戸市が「法人説明会」をすることや8月下旬に法人から保護者にプレゼンが行われることなど、矢継ぎ早に日程が公表されました。

 6月末の常任委員会で「条件賛成」の本山北町父母の会からの陳情が採択され、議会の意思と市民の意思が同義なら、行政の行為に瑕疵はない、と考えるのが妥当でしょう。しかし、ならば中原と鈴蘭台北町の保護者会が白紙撤回を唱えていることが「わがまま」なのかというとまったく正反対です。

 保育の主体は保護者です。社会の名において一定の時間、保護者の委任を受けて保育所は子どもを「預かり」ます。コインロッカーと保育所は「預かる」中味が全く違います。白紙撤回を求める中原と鈴蘭台北町の保護者の要求には保育園運営委員会への参加など、保育の主体としての自覚がこもっています。


なだ・平和のための木曜行動NO.171
2005年7月21日

135

「法令遵守」の読み方

 「静かな時限爆弾」アスベスト禍への行政の対応にスピードを感じることができるでしょうか。「より早く禁止措置がとられれば、よかったと思う」とは細田官房長官。兵庫県は「アスベスト対策推進会議」、神戸市も「アスベスト問題連絡調整会議」を設置しました。神戸市は保健福祉や環境部局に加え危機管理室がこれに入っています。「時限爆弾」への対応は、たしかに危機管理でしょうが。

 健康被害が家族や工場周辺住民にも発生する危険性を国は早くから認識しており、76年には労働省(いまの厚労省)が通達をだしていました(『毎日』20日夕刊)し、当時『朝日』が報道していました。92年、社会党が法案提出をした際、日本石綿協会が「健康障害は起こり得ない」とした見解を政党・省庁に配って抵抗、廃案になったという経緯もあります。

 「都合の悪い法令はつくらせない」という「法令遵守」が業界の危機管理?


なだ・平和のための木曜行動NO.170
2005年7月14日

134

ザルは大きさが問題か

 「2万人の雇用創出に関して、増えたことわかりましたが、その間に減った人も当然いるはずで、そういったデータはありますか」6月21日の矢田市長定例会見での記者の問いです。市長がマニフェストとして掲げた「2万人雇用」を10月の任期終了を待たず「完全に目標を超えていくと考えています」と胸を張ったことに対する質問です。

 市会でも何度も同じ問いをしてきました。

 就職したい若者も、職場を去った中高年も、市のトップの認識が「目標を超えて成果があがっている」と聞けば、どんな感想をお持ちですか。失業者を数えない、パートやアルバイトも正規雇用と同じ「1人」に数え、(他の地区から撤退した)進出企業から聞き取った雇用計画が、足し算すれば「4年で2万人」になると言うのです。

 セーフティネットというザル雇用対策。ザルの目の粗さ放置し行政はザルのデカさにただ胸を張る。


なだ・平和のための木曜行動NO.169
2005年7月7日

133

空港は豊かさのシンボルか

 6月21日の記者会見では記者の問いに「私自身、現在のところ、表明するかどうかということすら、まだ頭にありません」と答えた矢田市長が7月5日、市会定例会最終日に立候補表明をしました。

 市選管は「市長選挙は10月9日告示、23日投票」と発表しました。

 3千億円の神戸空港は開港します。560億円かけてポートライナーも空港島までつながります。医療産業都市は800億円。借金は返済しなければなりません。毎年1度は空港を使い、2週間に1度はポートライナーに乗る。・・・市長は「豊かさの実感できるまち」と言います。

 空港まで造れた神戸市が保育所一つ守れない。3千人も職員を減らすことを「豊かさ」と説明できる人はいません。

 3か月後に市長選挙を控え、市政をどうするかの議論、不足している議論を増やし、現職の表明に対案を示しましょう。


なだ・平和のための木曜行動NO.168
2005年6月9日

132

海空(マリンエア)は親しまれるか

 市民の心配の声をよそに来年2月開港に向けて神戸空港建設工事がどんどん進んでいます。

 最近では「空港まで造るお金はあっても、保育所一つ守れないのか」と、民営化される保育所の保護者から非難の的になったり、「夜景が見える」空港にするために、ポートライナーの駅より展望室を高くするためのかさ上げ工事に、10億円が追加投入されたり。

 中部空港が「ちゅうくう」と言うわけにもいかないと愛称を「セントレア」にしたことが、自治体合併の破談のもとになるほど「評判」になったからと、神戸空港も愛称募集をしました。愛称をつけたからと言って愛される空港にはほど遠いのですが、なんと当選作は「マリンエア」。

 ふつう陸海空という順の単語を、公文書に海陸空と書いており、常識無視はお家芸か。マリンエアは海空。そんなに「神戸」を使いたくないのでしょうか。みんなが好きな神戸なのに。


なだ・平和のための木曜行動NO.167
2005年6月2日

131

個人情報はだれのもの?

 5月30日に金沢地裁で、また31日に名古屋地裁で住基ネット訴訟の判決がありました。金沢では憲法13条「幸福追求権」を住基ネットは侵害しており、自己の情報を自らコントロールする権利を個人は持っており、住基ネットから原告は離脱可能としたもの。名古屋の方は自己情報コントロール権についての判断を避けました。

 住基ネットは'02年8月「出先でも住民票の写しが取れる」「パスポートの申請が楽になる」など「便利になる」として稼働、11ケタの番号を書いた紙が送りつけられ騒然としました。翌年8月には「身分証明にもなる」などとして住基カードの「販売」が始まりましたが、全国で住基カードを持つ人はわずか0.4%にすぎません。

 同様の裁判が13地裁で行われており、神戸では代表が中田作成さんです。公文書公開と個人情報保護運動に携わってこられた中田さんたちの活躍に期待します。


なだ・平和のための木曜行動NO.166
2005年5月26日

130

保育市場化テストやめろ

 中原保育所など3園を民営化する神戸市の方針は、ますます保護者の怒りを大きくしています。

 いい保育所に入れたし、保育所をもっと良くしたい。いい子に育ってほしい。世代は違いますがいつの世も親の子どもに対する気持は変わらないことを、とても嬉しく思います。

 岩波ブックレット651『保育園民営化を考える』で、普光院亜紀さんが「最低条件10か条」などを提起しています。

 ところが「神戸市の民営化は古い」という声が早くも聞こえてきます。政府の規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長)は、言いたい放題です。「利用者が多様な保育サービスを選べるよう、保育所に対する補助から、利用者への『直接補助』方式への転換を」と。会社が人を選び、社会福祉施設が客を選ぶ時代に、民営化は万能で公共の福祉は目の敵なのだそうです。


なだ・平和のための木曜行動NO.165
2005年5月19日

129

民営化保育所中止を

 中原保育所など3保育所を来春から民営化(社会福祉法人に無償譲渡)する問題で、週末から神戸市は2度目の「説明会」で条件提示をするとしています。

 連休前に初めて「説明」を受けた保護者はビラを配り、説明会で声をあげ、保護者会をつくり、ホームページをつくって「ネット上討論」を呼びかけています。「かきこみ」に子どもたちの様子や保護者の意見がどんどんアップされています。「クレーム」のページには社会福祉法人の保育園を運営している立場からの反論が載り、それへの回答がアップされています。(http://www.geocities.jp/nakaharahogoshakaiグーグルやヤフーなど検索サイトから「中原保育所」で検索できます)

 市の財政難のツケを子どもに押しつける神戸市政でいいのか!新社会党は16日に中止を申し入れました。少なくとも「神戸の子どもの成長」を考える機会にしなくてはなりません。


なだ・平和のための木曜行動NO.164
2005年5月12日

128

民営化保育所の未来

 神戸市は中原保育所など3園の民営化を発表し保護者説明会を開きました。「関係者のご理解を得て」としながら、「説明会」では「詳細は5月末に示す」と支離滅裂です。民営化ありき、行き当たりばったりで、中身は後日。「様子を見て」という駆け引き。

 「市長が市会で3月2日に答弁した」から「既定方針だ」で、納得できるはずがありません。若い保護者は怒っています。「子どもを荷物扱いするな。ここはベビーホテルか」「財政難の後始末をなぜ子どもに」。

 3園は、公立のなかでは新しく、駅に近いなど希望者の多い保育所。来年以降も1か所5千万円の経費節減のため無償譲渡を続けるそうです。

 「認可外」がすでに87か所2711人、全部で常勤職員は338人、常勤調理師は2人。保育にどんどん営利企業が参入しています。公営の方は保護者排除で、子育て無策。過剰なコスト意識で子は育ちません。


なだ・平和のための木曜行動NO.163
2005年4月28日

127

スピードより「いのち」

 JR宝塚線(福知山線)の大惨事で、関係の方々に心からお見舞いを申し上げます。

 希望に胸膨らませて大学に通う若者など、百人を超えるいのちを奪った公共交通、18年前までは国民の財産だった巨大私企業の、罪はきわめて重いと断じます。

 阪急宝塚線の乗客をいかに奪うか。私鉄との所要時間差を縮めてはならない。新年度は秒単位で遅延をチェック。90秒の遅れでボーナスのカット。オーバーランは処分対象。仮眠は4時間で十分。・・・事故を招く材料がそろいすぎていました。

 '63(S38)年、鶴見事故の161人(同日、三池炭坑で458人)以来の人災です。

 「置き石」「車掌のウソは許せない」「死んだ子返せと言われました」・・事故後の対応も話しになりません。

 20日には石造りの新しいドーム型大阪駅を発表した直後ですが、スピードや「石」より、いのちについての経営者の「意思」です。


なだ・平和のための木曜行動NO.162
2005年4月21日

126

反日デモと日系企業

 各政党が反日デモへの中国政府の対応を批判しています。邦人保護を要求するだけにとどまらず、デモやストについて「中国の歴史教育が排外主義だ」「中国政府は国民の目を外に向けさせている」など、日本国内向けの発言をくり返しています。

 対中貿易はすでに輸入では対北米を追い越しました。中国のWTO加盟にともなって、日本企業の進出は再び激増しています。中国で活動する日系企業は欧米系企業と比べ「現地化が進んでいない」と指摘されています。総経理(社長)や主な管理職は日本人、研究機能は「本国」依存で現地にはつくらないなど。くわえて、従業員待遇は欧米系企業と日系企業では1.4〜2倍の格差があると言われています。日本国内の産業空洞化も、いっそう進みそうです。

 こんな日系企業のあり様と無関係に「村山談話」を持ち出しても受け入れられそうにありません。


なだ・平和のための木曜行動NO.161
2005年4月14日

125

つじつまあっているか

 中国各地の反日デモが激しくなり、3者が「冷静に」としながらも、日本、米国、中国それぞれの外務大臣が発言をしました。靖国神社への首相参拝、日本の国連常任理事国入り問題、尖閣列島(釣魚島)のガス田採掘権問題、そして教科書検定に見られる歴史認識問題と、両国間の不一致点は増えています。

 日中外相会談の17日に「大規模デモを」とする情報が入って来たのに歩調を合わせたかのように、日本政府はガス田試掘を民間企業に認める手続きを13日、とったそうです。

 米英がイラクで行っているような占領政策を日本は受けず、星条旗が球技場を染めたこともありませんでした。相手の立場に立って交流するのを自虐史観と切り捨ててはなりません。イラクへ行く日本人には「米英の占領政府には責任はない。自己責任で」と言い、中国には「邦人保護の責務を」と言うのも、つじつまが合いません。


なだ・平和のための木曜行動NO.160
2005年4月7日

124

労使協調の結末

 大阪市に端を発した職員厚遇問題が「神戸にも飛び火し」ました。5日、大阪国税局は神戸市に税務調査に入り、勤続年数に応じて旅行券やクーポン券を支給することが課税対象となるかどうか調査を始めたと報じられました。

 「厚遇問題」では色々な角度から驚くべき実態が次々明らかにされています。「失業のない社会」が終わって貧富の格差がどんどん広がるなか、かつて公務員の組合が「勝ちとった」処遇が、常識はずれのものと見なされています。

 私たちは団体交渉がストライキなど「力」によってしか実現しないことを主張してきました。窮状を訴えて処遇改善を勝ちとる代わりに、「労使協調・なれ合い」で頭をなでられ、手当を得るやり方では、長い目で見ると失業や賃下げが広く労働者全体に襲いかかります。賃上げと年金や健康保険、介護保険を改善できるのは健全な、たたかう労働運動です。


なだ・平和のための木曜行動NO.159
2005年3月31日

123

暮らし再生できない市予算

 構造改革の優等生であったが故に、その結末である地方の疲弊、自営業の消滅、失業と不安定雇用という特徴を、どの自治体よりも早く経験し、痛みは、耐え難いものになっています。消費税の改悪や老年控除の廃止で、この年末には廃業に追い込まれる自営業者が続出すると言われています。神戸空港建設中の経済波及効果は6000億円とされていますが、その建設はもう終わりに近づいて経済効果の方はさっぱりです。神戸空港だけで2万人以上の雇用を生むとされていたのに、市長の雇用拡大目標も2万人で、それも失業を数えず、パートやアルバイトを数え、介護保険で数を稼ぐのではやりきれません。

 市長提案の予算は、過去の施策を検証・反省し、こうした神戸の経済と市民生活が置かれている現状を打開しようとするものではありません。(29日、神戸市会本会議での新社会党の反対討論の一節)


なだ・平和のための木曜行動NO.158
2005年3月24日

122

空の安全が脅かされている

 日本航空(JAL)の事故が止まりません。幸い人身事故にはなりませんでしたが、管制指示違反、尻もち、ドアの閉め忘れ・・・。国土交通省が17日、安全確保に関して重大な落ち度があるとして「事業改善命令」を出す前も、命令の後も事故は続いています。

 これに先立つ1月20日、航空労組連絡会(内田妙子議長)は日航が労働組合に介入し分裂させたことを批判する声明を出していました。

 JALとJAS(東亜国内空港、今の日本航空ジャパン)の合併で、作業方式と労働条件を強引に統一し、安全がおろそかにされていることに航空労組連絡会や航空評論家(『週刊金曜日』)から抗議が続いています。スカイマークは合理化競争を航空業界に持ち込み、エアドゥは破たんして国有化されました。命令を受けトップは交代しましたが、社長降格だけでは安全確保にならないことが実証されました。


なだ・平和のための木曜行動NO.157
2005年3月17日

121

究極の「国民保護」計画

 ニッポン放送が傘下のポニーキャニオンなどをフジサンケイグループに売り渡すなど、ライブドアへの対抗策が次々報じられています。

 「焦土作戦」と呼ばれています。ナポレオンがロシアに攻め入った19世紀のはじめ、ロシアは自らの町を焼き払って厳寒の焼け跡にナポレオンの軍隊を足止めし、追い返しました。

 折から今年は戦後60年。「本土決戦」に備え建物疎開と称して焼夷弾の標的となる都会の木造家屋、つまり庶民の住宅を解体して延焼を防ぐ作戦が採られました。家屋が並んで建っていたのでは住民が消火に追われて、竹槍の威力を発揮できない。これまた究極の「国民保護」計画でした。

 ロシアは勝って農奴解放が半世紀遅れ、日本の都市は建物疎開むなしく焼け野が原になり、フジサンケイは「社員一同」守りを固めています。焦土作戦不支持、ライブドア支持の声が大きいのはもっともです。


なだ・平和のための木曜行動NO.156
2005年3月10日

120

「地域の特養」を

 神戸市は新年度予算案で「小規模特養(特別養護老人ホーム)」を5か所、計70人分建設すると提案しています。

 「市街地に特養を」という運動が広がったのは89年でした。灘区でも鶴甲のきしろ莊だけだった特養が5か所(このほかに老健や別種類の老人ホームも)に増えました。「施設の社会化」が唱えられ、デイサービスやショートステイも珍しいものではなくなりました。

 市街地に特養ができたものの「地域の特養」になっているかというと、まったく違うと答えざるを得ません。住み慣れた地域にグループホームを、という運動も、介護保険の時代になって入所費が高額となった結果、「地域の特養」ではなくなってしまいました。

 小規模特養も、運営は社会福祉法人に限定され、大規模特養の補完施設となる恐れもあります。「地域の特養」とする大運動を起こしたいと思います。


なだ・平和のための木曜行動NO.155
2005年3月3日

119

値下げするならまず税金でしょう

 神戸市の新年度予算案のなかで、ひときわ長いカタカナの施策が目を惹きます。「神戸エンタープライズプロモーションビューロー」。きのうの『神戸新聞』が報じたところではこの相談役3人が内定したそうです。

 ポートアイランド2期と複合産業団地の土地の販売促進部だそうです。

 来年2月に神戸空港から一番機を飛ばすにあたって、空港島の手前に広がる広大な空き地48fと、土を取った跡の産業団地74fをそれぞれ定価の3〜5割引でたたき売りしようというのです。すでに購入した企業から不服がでる(2日の本会議、自民議員からの指摘)し、「開港前に店じまいセールとは?」です。値下げするなら、先ず市民の税金や公共料金でしょう。モノが売れないときに供給を増やしたら値崩れするなんて小学校で習わなかったのでしょうか。このトップに立つ市長と3相談役の経済理論やいかに。


なだ・平和のための木曜行動NO.154
2005年2月24日

118

なぜ空気運搬船を?

 高速空気運搬船「海上アクセス」は、運行を打ち切り、累積赤字がこれ以上膨れあがるのをストップしています。海上空港である関西空港と淡路や神戸を、高速船で結んでいました。最後まで残った関空・神戸便が運行を打ち切ったのは3年前でした。

 94年から02年までにつくった赤字は152億円。船を売却するなどで負債を減らしたものの「再開すれば37年間で累積欠損を解消できる」という「再建計画」をつけ、責任者の処分問題に発展しないよう「工夫」が凝らされたものの、空港賛成議員も含めて「もうこりごり」というのが本音でした。年末まで市長も「再開」に否定的な発言をくり返してきました。

 ところが神戸市の新年度予算では「06年度中に再開」という方針。小泉首相顔負けのサプライズです。だれのための市政なのか、「空港・いのち」でしょうか。軸足の定まらない市政を象徴するできごとです。


なだ・平和のための木曜行動NO.153
2005年2月17日
17日に日付を訂正

117

2・16を地球を守る記念日に

 「戦争で自由と民主主義を世界に広げ、安全を守ってやる」・・・ブッシュ政権の4年で世界は不安のなかにたたき込まれました。しかし、アフガニスタンへの空爆開始や9・11に先だって01年1月に発足したブッシュ政権は地球への挑戦状をたたきつけていました。

 97年12月の地球温暖化防止条約、いわゆる京都議定書からの離脱宣言です。二酸化炭素の排出量を先進国が減らし、地球温暖化にストップをかける約束をアメリカが「やめた」と宣言してしまったのです。01年3月28日のできごとです。単独行動主義はこのとき名づけられました。

 「アメリカが離脱すれば、条約は発効しない」という読みがあったと思われますが、きのう、条約は発効しました。「すでに温暖化も海岸線の後退も始まっている」と指摘されています。2・16が地球を守る記念日となるよう、「反米闘争」が必要です。


なだ・平和のための木曜行動NO.152
2005年2月10日

116

介護保険。根底に税の二重取り

 介護保険法「改正」案が閣議決定されました。例の「高齢者に筋トレ」という「介護予防」なるものが「持続可能」への切り札として登場します。介護認定のなかで軽い方から2段階(要支援と要介護1)を対象に、家事援助打ち切りが宣言されます。

 00年4月に介護保険がスタートしたときは、「(保険料を)払いっぱなしじゃなくて使わなければ損」「より重度の認定を受けたい」などの意見をあおり、制度をアピールした厚生労働省も、いまや破たんに瀕するシステムを維持するため、なりふり構わず給付削減というわけです。

 「四(生老病死)門出遊」お釈迦様は「老」と「病」という現象の本質を解明しました。人間の尊厳、いのちの問題をごまかしてはいけません。

 根底に税の二重取り。共済・共助も全否定するものではありませんが、すべてを自己責任に帰す寒々とした社会はまっぴらです。


なだ・平和のための木曜行動NO.151
2005年2月3日

115

チャリは百円クルマはタダ

 神戸空港が財政面での心配が大きくなっています。1月27日に『神戸新聞』が1めんで報じた「空港の駐車場は無料」というできごとはその最たるものです。

 財政計画では駐車場は8ヘクタール、空港島のなかでは「一等地」ですからより「高価な土地」です。単純に「平均処分予定単価」平米あたり27万円でかけ算すると、216億円。ターミナルビル株式会社には、そんな資金はないし、増資もできない、貸してくれる銀行がないはずはないのですが、金利の支払いなどを考えると不可能。ならば神戸市がタダで土地を貸し、駐車場は無料というのです。

 用地を分譲して埋め立ての財源にするという財政計画にまた大きな穴があきました。賃貸の土地から固定資産税が取れるはずもありません。市にとって二重三重の損失です。

 駅の駐輪場は有料です。クルマはタダ。チャリ100円、ゲンチャ200円・・・整合性やいかに。


なだ・平和のための木曜行動NO.150
2005年1月27日

114

アチェからの「生の声」

 インド洋大津波の犠牲者はついに30万人と訂正されました。NGO(非政府組織)が動き、政府も関係国から厚く感謝されているそうです。5億ドル無償援助や自衛隊の派遣、さらにその派遣期間延長も。災害大国にして防災先進国の面目躍如。

 「国際社会」は情報を共有し、被災地は情報を閉ざされています。「ほしい情報」が全く異なるという点で10年前の「神戸と東京(政府)」と、状況は酷似しています。

 地域紛争の渦中で20万人もの犠牲者を出したインドネシアのアチェから、10年前、神戸支局にいて報道した『毎日新聞』の岩崎日出雄記者が、今度はジャカルタ支局員として現地から「生の声」を伝えています。

 小泉内閣の「国際貢献」が、「アジアの大惨事は日本のチャンス」(24日『毎日』)や、たちの悪いODAでなく、アチェの人々に「生活復興」をもたらすことを祈ります。


なだ・平和のための木曜行動NO.149
2005年1月20日

113

防災見本市ではないか

 国連防災世界会議がポートアイランドで開かれています。94年に横浜で開かれて以来の会議で、2度とも日本です。日本は防災の国としてその名を高めることでしょう。

 しかし参加者のなかからも「復興手法の押しつけだ」という感想も出ているそうです。防災に予算を組むこと自体がめずらしい国の人もいるでしょう。さしずめ、津波警報システムや防潮堤の「見本市」かも知れません。

 展示ブースを見た感想として再生フォーラムの高田富三さんが、@国土交通省関連のブースが多いAなぜ被害が拡大したかについてはふれていないB震災に耐える土木事業の提案が多いCハコモノの復旧・復興はあるが、人間の復興についてが皆無にちかいD宝塚市は歌劇、三木市は金物、尼崎市は浄瑠璃人形、明石市は「食べたい、見たい」など、首をかしげる(以上要約)と、感想を述べておられます。


なだ・平和のための木曜行動NO.148
2005年1月13日

112

米軍基地は警報を受けていた

 兵庫県南部地震の数百倍の力が働いたスマトラ沖巨大地震と、津波による犠牲者は日に日に増えて16万人とも20万人とも言われます。ポートアイランドで予定されていた18日からの国連防災会議は、そのテーマを「津波」に切り替え、小泉首相も急きょ参加することになったそうです。

 津波警報システムが今回の被災各国で機能しなかったことに触れて、「警報を受けた米軍はインド洋上のディエゴガルシア基地の被害を最小限にくい止めた」が「この地域の各国政府は連絡を受けなかった」と、『週刊新社会』11日付紙上で富山栄子さんが指摘しています。また「米国のイラク侵略戦争遂行の戦費は毎日15億j、洋上津波測定器は25万j」とも。

 国連防災会議で開催国挨拶をする小泉首相を私たちは注目します。戦争屋政治家と戦争会社の手で、被災地がほんろうされることがあってはなりません。


なだ・平和のための木曜行動NO.147
2005年1月6日

111

不戦の決意を再生

 新年、だれしも今年こそはいい年であってほしいと願い、年賀状で旧友の近況に思いをめぐらせ、初詣でで家族の幸せを祈りました。しかし華やかさも正月らしさも年々薄れていくと感じるのは、喰った年のせいだけでしょうか。

 門松はピッキングの防止には効果がないらしい。欠陥車にお飾りでもない。お年玉目当てと分かっていても孫はかわいい、それが振り込め詐欺に遭う理由ですって。年賀メールでウィルスに感染しないか・・・。

 崩れた社会を再生することが容易くないことは承知です。子どもの遊び声が消えた路地にコマ遊びや羽子板の音が戻ることはないでしょう。しかし、地域社会を再生せずに人間は生きることができません。

 つくり直して信頼の社会を築く仕事に新社会党はとりくんでいます。同様に、戦争末期の60年前へと歴史が戻ることはないでしょう。不戦・反戦の決意が再生できれば。


なだ・平和のための木曜行動NO.146
2004年12月16日

110

計画も成果もない投資

 市会定例会で自民・民主・公明など「与党」も含めて各会派が一致して問題にしたテーマがありました。医療産業都市構想は、所期の成果が上がっていないのではないか。地元の中小企業が医療産業に参入できない、と与党が指摘したのに対し、新社会党は「すでに医療産業都市構想に投じてきた公費は財政計画に基づいているのか」と抗議しました。

 60床で本格的に診療が始まっている先端医療センターには、20億円もの一般会計からの貸付金も投じられています。これを経営する先端医療振興財団は早くも債務超過。他の施設にも巨額の公費投入と税の減免がおこなわれています。ところが成果が見えない、というのが与野党の一致点です。

 新社会党の問いに、決算審査最終日に明かされた総投資額は、なんと755億円。これに市民病院の移転で400億円が加わります。カネがないと言いながら・・・。


なだ・平和のための木曜行動NO.145
2004年12月9日

109

600円負担で受診者激減

 かかった病気は早期発見・早期治療が大切です。とくにバリウムを飲んでレントゲンで胃の検査をすることは、その効果が広く認められてきました。

 ところが神戸市の胃ガン検診の受診率は4%へ急落しました。受診者数は一昨年度の3万3千人から1万3千人に。

 予約して前夜から空腹にし、白いドロドロした液体を飲んで・・・煩わしさは一昨年度と何ら変わっていません。原因は明白で、これまで国民健康保険会計から出していた600円というお金を、自己負担にしたからです。「人間ドックやPET診断の高額負担と比べりゃ安いものだ」と役所は考えたのかも知れません。しかし、受診者は激減したのです。

 老人健診も今年から受診票発送数を減らし、抗議の声があがりました。「生活の質向上」を謳う矢田市政「らしからぬ」?経費節減策の結末です。(12月3日の決算委員会から)


なだ・平和のための木曜行動NO.144
2004年12月2日

108

高齢者に筋トレ

 介護保険が法改正され大幅に変更されるようです。'00年に始まった介護保険は、「見直し」という政府や国会お得意の用語で最初から、破たんした後のことまで準備されていました。いま5年目ですが、案の定、増える給付費に保険料が追いつかず、20歳から保険料徴収などの「名案」も不評で、維持も改正も不可能な状態に追い込まれました。

 人間が人間を差別するために知恵の働く人がいるものです。介護保険改悪では、「要支援と要介護1(軽い方の2グループ)の人には、筋トレ(パワーリハビリ)で介護予防を」などと打ち出されるそうです。200万人いる軽度の高齢者への訪問介護などを、減らそうというのです。「訪問介護などが身体機能を低下させている」ですって。

 健康を維持するのではなく「介護予防」。本末転倒を物語るネーミングです。介護保険法の改悪を予防したい。


なだ・平和のための木曜行動NO.143
2004年11月25日

107

枝葉末節への加筆

 中央市民病院の移転について「意見募集」が8月に行われました。矢田市長が「市民参画条例」を選挙で公約し、それに基づくものだとされました。神戸空港をめぐって市民の意見が二分されたなかで登場した市長ですから、市民病院を移転・新築することについても市民の意見を聞くのは当然だと。

 「意見募集」の結果は?24日の市会・福祉環境委員会に、「市民意見と神戸市の見解」なるものが報告され、ア然としました。

 移転・新築や専門医療センター構想、ベッド数削減という根幹については変更の「ヘ」の字もなく、「セカンドオピニオン充実」など、今の病院でもできることを細かに、しかも数点だけあげて「加筆した」というのです。

 憲法9条のように加筆によって本質が変わるものもあります。市民病院の件は、公立病院の本来の役割否定というホンネには一字として加筆されていません。


なだ・平和のための木曜行動NO.142
2004年11月18日

106

M&Aの本質

 利益を小さく見せて脱税するのが企業犯罪だと思っていたら、逆に売上高を大きく見せて、株を上場し資金を集める企業犯罪が摘発されています。IT(情報技術)関連の新興企業(ベンチャー)は、何を製造するわけでもない、何を運ぶわけでもない、しかし、企業の最終目的である「もうけ」を得るためには手段を選ばない企業が目立ちます。ITベンチャーばかりではありません。しにせの和菓子メーカーも「架空増資」だそうです。

 なぜ「カネに目がくらむ」のか。カネが商品へ、商品がより多額のカネへと姿を変え、カネで企業を乗っ取れば、資本を増やすスピードは上がります。プロ野球の合併や買収を見ると本質が丸見えです。乗っ取りとか買収とか言うと聞こえが悪いのでM&Aと呼ぶのが、はやりです。

 忘れられているのは、乗っ取られ買収される側の立場です。まじめに働くことをべっ視する風潮です。


なだ・平和のための木曜行動NO.141
2004年11月11日

105

豪雪が待つ被災地

 阪神淡路大震災の教訓が生きているようでもあり、やはり「ここは人間の国か」と問わざるをえない現場を訪ねてきました。

 10年前を思い出す光景がいたるところに広がっていました。テレビや新聞で伝えられているとおり被害は深刻で、雪が来るまでにという時間とのたたかいも始まっていました。

 一方、新潟県がうち出した「全壊世帯に400万円、補修に災害救助法への上積み」などの支援策も、想定される莫大な補修費をまかなえません。中小企業が廃業し、パートや外国人が解雇され、高齢者・障害者が豪雪の冬を越せるか、正念場を迎えます。

被災地の写真を入れたため、短くなりました。


なだ・平和のための木曜行動NO.140
2004年11月4日

104

合併途上の震災

 新潟中越地震の被災地は大合併のさなかです。

 栃尾市では合併の是非を問う住民投票が、24日に行われる予定でした。11月1日から魚沼市と南魚沼市が誕生しました。被害の大きかった堀之内町や小出町の再開された小学校の看板は「魚沼市立」となったそうです。全村避難という空前(有毒ガスから逃れるための三宅島の例はある)の措置が取られた山古志村も長岡市への合併が決まっています。

 阪神淡路大震災で仮設住宅を居住地から遠く離れた場所に建設した神戸市幹部は、当時「市内に仮設を供給できた」と言ったものでした。広域行政にはデメリットがあります。今度の被災地で言えば、住民が希望する集落単位や民有地への仮設建設など細やかな復旧施策が、合併によって大ざっぱに扱われないかという心配です。自治体まで企業のM&A(吸収合併)のように弱肉強食であってはなりません。


なだ・平和のための木曜行動NO.139
2004年10月28日

103

社会の復興こそ

 被災地は、まもなく雪に埋もれます。雪国ではいっさいの土木工事は冬にはおこなわれません。頻発する余震のなか、時間との争いというもう一つの力比べに、人々は必死に立ち向かっています。一人でも多くの命を救い、10年前もがき苦しんでつくった制度が活き拡充されて、生活復興が実現することを新社会党は強く願います。

 10年前の被災地からは固唾を呑んできのうの救出作業を見守り、あるいはその前に居ても立ってもいられなくなって新潟へ飛んでいきました。「なぜ、いつまでも長い列をつくらなければならないのか」「なぜ地域の消防力は弱いままなのか」「『平成の大合併』で今度のような集落の孤立は防げるのか」・・・。

 新社会党も現地と連絡を取り合い、救助と復興支援に全力をあげています。 「自然との力比べ」とそのための「予算獲得」もさることながら「社会の復興」が課題です。


なだ・平和のための木曜行動NO.138
2004年10月21日

102

国際反戦デー

  1943(昭和18)年10月21日、61年前のきょうです。朝日新聞の見出しは「諸兄よ元氣で往け」。

 「・・・この朝、午前8時、出陣学徒東京帝大以下都下、神奈川、千葉、埼玉県下77校○○名(伏字)は、執銑、携剣、巻脚絆の武装も颯爽と神宮外苑の落葉を踏んで、それぞれ所定の位置に集結、送る学徒107校6万5千名は早くも観覧席を埋めつくした・・・」

と報じました。

 文系学生の徴兵猶予を解除し、太平洋戦争が最後の敗北へと突き進む瞬間でした。神戸では東遊園地で11月15日に行われた(神戸市文書館歴史年表)と記録されています。

戦後「きけわだつみの声」などに戦死学生の遺稿や遺言状がまとめられました。

 この日を期して66(昭和41)年総評がストライキでベトナム反戦を訴え、翌年からは世界中で国際反戦デーとしてデモやストが行われてきました。


なだ・平和のための木曜行動NO.137
2004年10月14日

101

ライオンとハゲタカ

 ダイエーの再建をめぐる動きが激しくなっています。プロ野球をもう1チーム減らそうという画策(あきらめていないそうです)とも絡んでいますし、「発祥の地」神戸では、ことのほか関心が持たれています。

 ダイエーが「産業再生機構(国有化)に屈服しない」と言えば、これまで不良債権漬けにしてきたUFJなどは「提訴辞さず」と詰め寄っています。巨大外資グループが「再建提案」をしており、ダイエーはこれらと組むと言われています。

 政府内も意見が分かれ、あの竹中大臣が国有化派なのは宗旨変えしたのかと思わせます。

 予断を許しません。しかし、いずれの方法も政府が関与してM&A(買収・合併)を成立させる「出口」は同じです。「入口」と「手口」が少し違うだけです。まさに弱肉強食。M&A(買収・合併)の相手がライオンなら生きたまま食べられてしまうし、ハゲタカなら死体までかじられます。

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